人材管理とは
人手不足が企業にとって深刻な問題となっています。新卒は売り手市場で熾烈な人材獲得競争が起きています。中途採用に関しても優秀な人材獲得は国内だけでなく海外企業とも争わなければなりません。
人材獲得が容易ではない状況では、既存の社員の育成も重要な人材管理のテーマです。限られたリソースをいかに有効に利用するかは人材管理を担当する社員にとって腕の見せ所となっています。
組織内での立場と役割
人材管理担当者は組織内では非常に重要な位置を占めているといえます。短期目標はもちろん、中長期的な採用および人材育成計画の立案・実行が求められます。
企業の持続的な成長にはそこで働く人の成長が欠かせません。どんな素晴らしい商品やサービスであっても人が育たなければいずれ衰退してしまいます。
人材管理担当者に求められるのは、マネジメントに関する知見や人間心理に関することや組織構築など幅広くあります。
人材管理が必要な理由
頭がいいとかクリエイティビティが高いなど優秀な個人をたくさん雇用すれば組織は成長するのでしょうか。
例えばスポーツチームで考えてみましょう。個人技に優れた選手を集めても勝てるとは限りません。選手をいかにチームとして機能するかのマネジメントがより重要です。
企業でも同様で人材管理を適正に行わないと、皆がバラバラな動きをしてしまい生産性も向上しない事態を招いてしまいます。
適切な人材配置
人と接するのが苦手な人を営業に配置したり、大雑把な人を経理に配置するのは正しい人材管理ではありません。いくら数値上は優秀な人でも適材適所というものがあります。
適性がない仕事をいくらさせても、結果がなかなか出ずモチベーションも下がります。これでは企業にとっても社員個人にとっても不幸な結果でしかありません。
いかに資質を見抜き適切なキャリアプランで社員を導くことができるかが人材管理のポイントです。
個人のスキルを活かす
人間一人ひとりが異なる特性を持つように、仕事においても個人が持つスキルを活かせるような配置を考える必要があります。個人のスキルには判断力や観察力、交渉力や調整力など職種や場面によって必要なものがそれぞれあります。
人材管理では個人ごとの特性に合わせた配置や業務の割り当てを行います。実績や経験、性格など複数の判断要素から能力発揮に最適なポジションを見つけていきます。
自社の競争力を高める
人材管理の目的は企業の収益向上のためです。社員の成長が企業の成長につながり、業界での競争を勝ち抜く体力となります。
各人がバラバラで好きなように仕事をしていては結果は出ません。スポーツでも決して個々の能力は高くないが、チームワークが抜群のチームが躍進することがあります。単純な足し算ではなく、かけ算を目指すのが良い人材管理です。
人材管理を構成する7つの要素
ここからはより実践的な人材管理の手法を見ていきます。ご紹介するのは基本的な人材育成や管理についてのごく基本的な要素です。
実際の人材管理はさらに複雑でいろいろな要素を含みます。ご紹介する手法は単体で行うのではなく、複数のものを組み合わせたり、長期的な計画のもとで行うのが一般的です。
人材育成は即効性のあるものではありません。成果が出るまで年単位で見守る必要があります。
要素1:育成
外部から優秀な人材をヘッドハントするのも一つの方法ですが、コストがかかります。それに対してすでに自社で雇用する人材を育成するのは長期的な視野に立った人材管理です。
自社の年齢構成や給与体系、今後の事業展開予想をもとに人材育成計画を立てます。特に将来の幹部候補生は以下に紹介する他の手法と合わせて多くの経験を積ませることで自社の経営を担うべき人材へと育てていきます。
要素2:配置
配置に関しては、どの部署に所属させるかといった横の展開の他に、どの役職・役割につけるかという縦の展開も考慮しなければなりません。
いったん配置すると2〜3年かけて役割や業務内容に集中させます。あまりコロコロと配置を変えるのは混乱の元になるので避けるべきです。
要素3:異動
大企業では特に一定期間ごとに部署異動があります。日本では特にスペシャリストよりもゼネラリストを重宝する傾向があります。将来の経営幹部はさまざまな部署のことを知っておかなければならないという、考えに基づくものと考えられます。
定期的な異動には、社員の不正防止という意味もあります。人材管理においてはいかに問題を起こさないように予防するかも大切です。
要素4:昇進
与えられた役割について十分な成果を出して、一定の基準を満たす場合は昇進の対象になります。スキルと責任のバランスが取れるように制度設計をする必要があります。能力が伴わない昇進は本人や周囲に悪い影響を与えますので慎重さが求められます。
昇進にあたっては人事評価結果や上司の推薦、試験など複数の視点から決定できるのが望ましいでしょう。
要素5:評価
人が人を評価するのは想像以上に大変なものです。人材管理においても公平公正な評価を心がけることが最重要課題です。
評価は具体的で合理性のあるものでなければなりません。評価者の好みを反映したり、偶然の結果を課題に評価するなどのバイアスを極力排除する必要があります。
評価結果は次の配置や異動、昇進の判断材料となります。評価結果や今後のキャリアについて本人と面談をしてコンセンサスを得ることも忘れずに。
要素6:報酬
報酬は人が働く上でのモチベーションの一つです。サラリーマンは自分の給料だけでなく、同僚との給料の差も非常に気にします。
賃金制度は適正なのか、企業規模や経済情勢にあっているか、合っていなければ変える必要があるのか、など定期的なメンテナンスも人材管理の一つです。
どの役職・役割であればいくらの給料が適正なのかを決定することは社員や家族の生活にも関わることであり非常に責任の重い仕事です。
要素7:福利厚生
個人の生き方や仕事よりもプライベートを重視する若者が増えたことなどから、福利厚生の充実を図る企業が増えています。
家賃や食事の補助など、直接的な給料ではないものの、生活を助けるような福利厚生は社員にも喜ばれます。ワークライフバランスの観点から男性でも育児休暇が取れたり、法定以上の有給休暇を与えるなどで人材の確保を図る企業もあります。
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人材管理のポイント
人材管理を円滑に行うためにはいくつかのポイントがあります。間違ったやり方のまま人材管理を進めてもうまくマネジメントできないどころか、状況が悪化し、最悪の場合は人材の流出にもつながります。
人材難は企業の存続にも影響を与えかねないため、社員のロイヤルティが高まるような質の高い人材管理を目指しましょう。
評価制度の適正化
社員の評価をどんぶり勘定で行なっている企業があります。上司のえこひいき人事がまかり通っていたり、年齢分布が偏りすぎて、後継者不足に陥るなど弊害があります。
人事評価は絶対評価で、ブレがなく、評価の基準や点数等の配分も明確にして社員に向けて公表するのが望ましいです。よくある評価内容がブラックボックスになっているというのは疑心暗鬼の元になるため避けるべきです。
社員の意見を取り入れる
仕事や人生に対する価値観は人それぞれです。多様な考え方の存在を認める柔軟な企業こそ今後生き残って行く可能性が高いです。
企業が一方的に制度を押し付けるだけでなく、社員の意見も上手く取り入れることで新たな活力が生まれることがあります。
実際に社員の意見を取り入れ社内部活制度を導入したところ、部署間の交流が活発になりコミュニケーション向上や仕事のメリハリが効いて生産性が高まったというケースもあります。
潜在的スキルや能力の見極め
人間はなかなか自分のことを客観的に見ることができません。人材管理に求められるのは、社員の適性や能力を見極めることです。でそうすることで社員のパフォーマンスを最大限引き出すことができれば成功です。これには観察力や洞察力、分析力が求められます。
キャリアアップの場を提供
OJTや外部の講師を招いての教育訓練、外部機関を利用したスキルアップ研修や大企業を中心に導入しているところもある海外留学制度などキャリアアップの場を提供することで優秀な人材の流出を避けることができます。
モチベーションやスキルの向上を狙いつつ、限られた人的資源を有効に活用するためにもさまざまなキャリアアッププランを用意するのはいかがでしょうか。
人材管理次第で組織の質は向上できる
大リーグ・アスレチックスでGMを務めたビリー・ビーンは資金力不足を補うために、貧乏球団なりの戦略でデータを駆使して選手を集め強豪チームへと育て上げました。
ビジネスの世界も同様で、創意工夫した人材管理を行うことで大資本の企業と戦うことも不可能ではありません。手持ちの資源を有効活用し組織の質を上げて行くことが重要なこれ化の時代の戦略と言えるのではないでしょうか。