OJT
仕事を通して養う能力や力量は、そもそも理論や理屈で身に付くことが少なく、自身の実践体験を通した反復訓練によって習得することが重要です。
企業などの新人研修で「教育訓練」という言葉をよく聞きますが、この言葉は「職業教育」と「職業訓練」からできた合成語であり、人材育成手法の基本的な概念です。ちなみに、教育の目的は「知識を体系的に学ぶこと」であり、訓練の目的は「技能を繰り返し体験して習熟すること」です。
OJTの意味
アメリカで開発された「OJT(On the-job Training)」は、職場において新入社員など対して計画的に実務をさせながら行う職業訓練の手法をいいます。
OJT手法の原則は、指導者が新人に対してマンツーマン方式で実務指導することを基本としていますが、「やって見せる(Show)・説明する(Tell)・やらせてみる(Do)・補修指導する(Check)」の4段階のステップに則って計画的に進めます。
OJTの目的
OJTの目的は、業務に未習熟な新入社員などに対し、計画的に日常業務を通して上司や先輩社員が必要な知識・技能・マナーなどを習得させることです。
OJTの手法は、日常の業務を通して計画的に習熟訓練させる手法であることから、指導者と受講者の双方にとって比較的負担の少ない割に効率よく習熟訓練の成果を上げられるメリットがあり、さらに受講者の習熟度に応じた指導を行えるところも大きなメリットといえます。
OJTの目的:即戦力の育成
OJTの目的の1つは、計画的な「即戦力の育成」にあります。そのためには、OJTに必要なマニュアルの整備は当然として、以下の3つのポイントに心掛けることが大事です。
1:相手を尊重する
新人は知らないのが当たり前であり、人格や価値観を否定しないこと。
2:叱るより先に褒める
失敗を叱ることより、成功を褒めることに徹すること。
3:相手と対話する
一方的な説明より、相手に質問させる雰囲気をつくること。
OJTの目的:経験学習を通じた実践力の定着
OJTの目的のもう1つは、計画的な「実践力の育成」があげられます。OJTによる指導は、まさに実際の仕事をとおした体験学習であり、実践力を身に付ける恰好の指導法といえます。
経験学習を通して得られる成果は、正しい解決手段を見つけることではなく、人それぞれに何に気づき・何を感じ・どう行動したかを重視するものであり、他者との関わりの中で自分自身の行動がどのように変化したかを気付かせる狙いがあります。
OJTの必要性5つ
OJTの効果は、指導者が実地訓練の結果を定期的に評価し、必要に応じて是正したり追加訓練するなど適切なフォローアップによって業績として反映されます。
OJTを導入する目的は、企業がおかれた市場環境や社内事情によって異なりますが、OJTの効果を最大限に発揮するためには、OJT推進の中心的役割を担う職長クラスの計画的な養成に向けた、従業員教育に資する計画的な受け皿整備が鍵を握っています。
OJTの必要性1:技術や技能の伝承
製造業を中心とした労働集約型の企業においては、営々と引き継がれてきた匠のような優れた固有技能に会社の命運が掛かっています。
製造業における固有技能の伝承は、さまざまな固有技術をデジタル化するための全社的な「技能伝承プログラム」に従った、計画的なOJTによる推進活動が不可欠です。
OJTの必要性2:人材不足時代で企業が生き抜く術
人材確保の対策において重要なポイント、経営者を含めた全社員の意識改革ですが、その鍵を握るのは若手社員のモチベーションです。
継続的な新入社員のOJTと計画的な中堅社員のOJTの実施によって、徐々に組織内の意識改革が進みます。人は知識が広がると意識が変わり、意識が変わると行動が変わります。人材不足の対策は、何より若手社員の活性化がキーポイントです。
OJTの必要性3:更なる企業成長へと繋がる
成功を収める唯一の方法は、失敗しても諦めず成功するまでやり続けることです。その上で、企業の成長にとって人・物・金・情報などの財産の有効活用が不可欠です。
その中でも、物・金・情報を扱う人の能力拡大が最も重要であり、とりわけ計画的な新入社員や若手社員のOJTが重要です。企業の成長を生み出す原動力は、成功するまでやり続けるモチベーションが不可欠です。
OJTの必要性4:次世代リーダーの育成
新入社員や若手社員に対する計画的なOJTは、仕事に対するモチベーションにとってとても重要なことです。つまり、計画的に行うOJTの効果は、単に仕事のやり方を覚えること以外に、仕事上の問題点を把握することや改善策の立案につながります。
OJTの必要性5:最新技術への効果的な対応策
企業における計画的な技術革新は、将来的な成長の鍵を握る重要なポイントの1つです。従来のアナログ方式の仕事のやり方を変革するためには、コンピュータを活用したデジタル方式の仕事のやり方に移行することが何より肝心です。
そのためには、若手社員のOJTで身に付けた柔軟な発想力が不可欠であり、仕事を任された若手社員のモチベーションを高めることで、組織活性化の原動力として活用することが企業の成長につながります。
OJT計画の具体的な立て方
企業におけるOJTの取り組みは、新入社員だけでなく中堅社員の能力向上にとっても、経営的な観点からも有益なマネジメント手法に違いありませんが、OJTの実効性を高めるためには経営者のコミットメントが必須条件です。
OJTの目的は、仕事に必要な知識・技術・技能・マナーなどを計画的かつ継続的に伝承する人材の育成システムですが、企業としてOJTに関する計画→実行→評価→修正のサイクルを回すことが重要です。
OJT計画の立て方:共有する課題の設定
OJTの実施においては、あらかじめ「新入社員教育計画書」などを作成し、関係者にOJTの実施内容を周知することが必要です。
OJTを実施するためには新入社員や指導者だけで無く、実習する職場においても時間や労力など多大なコストを必要としますので、人材育成に係る費用対効果の面から詳細なOJT計画書の作成が必要です。
OJT計画の立て方:スケジュール化
一部の例外を除いて会社の業務には必ず「納期」が設定されています。会社の業務の一環として行う新入社員のOJTは、当然マイルストーンを設定したスケジューリングの策定が不可欠です。
OJTのスケジュール化に当たっては、過密すぎると期待した教育効果が得られず、逆に冗長過ぎるとモチベーションが上がりません。また、OJTのスケジューリングに際しては、受け入れ部門の協力を得るための配慮と工夫も必要です。
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OFF-JTとの違い
OJTとは職場の上司や先輩の指導の下、実際の業務を体験しながら行う職業訓練のことをいい、Off-JTとは講演会や講習会へ参加するなどの方法によって、業務を離れた座学などで行う職業訓練をいいが、必ずしも社内外で区別するものではありません。
On-JTは、実践力が身に付く反面、体系的に学べない欠点があります。逆にOff-JTは、理論的な知識が身に付く反面、応用力がなければ実務に活かせない欠点があります。
OJTの必要性について理解を深めよう!
昨今のような人材不足に危機感を持つ企業は、従業員の能力開発や人材育成はまさに喫緊の課題であり、OJTの必要性を痛感しています。
一方で、OJTの必要性は認識しながらも、全体の75%の企業においては「OJTの指導者不足」という問題を抱えています。企業の継続的発展のためには人材を「人財」と認識し、上司が部下を一方的に教育するのではなく、上司も部下も「共育」するというブレークスルーの発想が必要です。