マネージャーとは
マネージャーという言葉は当初、芸能界などで普通に使われ馴染がありました。タレントや歌手の付き人として機能する、世話役のような人物という印象があります。しかし本来はそれに限ったことではありません。
マネージャーとは組織のマネジメントを行う管理職を指します。 今回は、マネージャーとはどういった業務をこなす立場なのかをご紹介します。
マネージャーの意味
マネージャーとは、現場での指揮を任されていて部下に直接指導する場合と、そのマネージャー達をマネジメントするシニアマネージャーなどが存在します。
多くの場合、その企業の部門管理者や支配人のことを指しますが、さまざまなところに目を配らせることから、統括している責任者の立場であると言えます。日本では昔から雑用係のことをマネージャーと捉えがちですが、それに限らず、もっとスキルフルな業務が求められた人物です。
リーダーとの違い
マネージャーと比較されるのがリーダーと呼ばれる存在です。統括するという意味で、リーダーもマネージャーも変わりがないと思われがちです。しかしリーダーとマネージャーには決定的な違いがあります。
リーダーとは、自らが先頭に立ち進むべき道を示す存在です。主に歴史上の偉人のほとんどはリーダー的存在です。一方、マネージャーは、メンバーが最高のパフォーマンスを発揮するように支援する存在です。
さまざまな役割をもつマネージャー
マネージャーという役割には明確な定義がされていなく広義な意味で使用されています。その会社や組織のしきたりやルールで業務内容にも違いがあり、スキルも差が生じます。ここでは、一般的に呼ばれているマネージャーの種類についてご紹介していきます。
ゼネラルマネージャー
ゼネラルマネージャーとは、一般管理職のマネージャーの中において、最も責任がある役職の人物と言えます。日本企業の場合、昔から部長職のポジションなどが該当します。
現場で活躍するというよりも、組織の管理・運営を行う上で欠かせないポジションであり、相応なスキルも要するので役割は大きいと言えます。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーとは、ある一定のプロジェクトを興した際、利潤や成果を目標に管理・運営を行う責任者を指します。
プロジェクトの長期や短期を問わず、進行状況を常に把握しておくスキルや行動力が必要で、リスクの最小限化、計画実行・分析や改善のサイクルを指揮して成功させるための役目があります。
プレイングマネージャー
プレイングマネージャーとは、最近ではスポーツ業界でも馴染になってきた形式です。リーダーの役割とプレーヤーとしても、またマネージャーでもあるという複数の側面を持っています。
組織全体の方向を指揮しながら自分でも現場で先導しながら他のスタッフのサポートも行っていきます。あらゆる面で最前線に立って管理を兼任するので、相当なスキルとバイタリティを要します。
マネージャーに求められる5つのスキル
マネージャーは管理職という立場である以上、その職場にて一定以上のスキルやポテンシャルが望まれていて、それをクリアしている人物が選ばれています。
ではマネージャーとして職務に就いた時に、どのようなスキルや条件が必要となってくるのでしょうか。ここでは、マネージャーに必要なスキルを5つご紹介します。
マネージャーに求められるスキル1:ドラッカーが提唱する5つの基本能力
マネージャーといえばマネジメントという概念が欠かせません。マネジメントを体系化して世の中に浸透させた人物として有名なのが、P・F・ドラッカー氏です。まずは、ドラッカーが唱えているマネジメントに必要なスキル、その基本能力を5つご紹介します。
目標設定能力
マネジメントには、目標へ深く広く向き合って具体的な設定をする能力が求められます。目標がどうあるべきかを捉えておかなければなりません。
目標設定時から、チームとしての成果を組み込んでおきます。また、目標はチーム単体ではなく、組織全体の目標から引き出したものにする必要があります。
組織化能力
組織として機能させる力がなくてはマネジメントできません。個の力を集合させて全体を創造させるまでを管理することです。
マネージャーには、人的資源のあらゆる強みを発揮させることができるスキルが求められます。
資源とは個人の能力そのものを指し、それらを強い力に変えながら弱みを削ぎ落していくことが重要です。
コミュニケーション能力
マネジメントにとって組織のコミュニケーションスキルは重要です。
受け手の知覚能力を考慮し、期待し受け入れ、相手の欲求との合致、単なる情報ではなく知覚させることが大事だということです。
評価測定能力
評価とは分析能力そのものであることを示しています。ドラッカーが唱えているのは、「評価とは上からの管理ではない」そして「自己管理を可能にするためのもの」この2点です。
マネジメントにおいて、評価測定こそが最も貧弱となっていて問題の原因だと指摘しています。多くの企業は、上層部からの管理手段を絶対としています。しかしそんな評価では、マネジメントにとっては不毛な状態が続くだけになるということです。
人材育成能力
人を育てて一人前にすることを、自分の分身を作るといった表現をします。しかしドラッカーはその考えを否定しています。
人材育成とは新しい創造であるべきであり、経営者や管理職は、自分のコピーを作るのがベターであるといった誤った認識を持たないように注意する必要があります。
マネージャーに求められるスキル2:業務遂行能力
マネージャーは現場のリーダーとしてスタッフ動かす立場です。そのために壁にぶつかることも多々あり得ます。問題自体を時間が解消することは少なく、意識して向き合っていかなくてはなりません。そこで必要になるのが決めたことを迷わず遂行するスキルです。
人は迷うと誰かの価値観や理念に左右されます。判断がぶれると部下との信頼関係にも影響し、戦略や方針が浸透しません。最終的に決めて実行する勇気が必要です。
マネージャーに求められるスキル3:対人関係能力
マネージャーとは一般的に中間管理職に該当します。上下関係の真ん中で板挟みになりやすい立場です。そこで昨今重要視されているのがメンタル面でのスキルです。ヒューマンスキルと呼ばれる能力に注目されています。
組織の上層部からの伝達を忠実に守りつつ、部下が円滑に仕事をこなす調整をしていかなくてはなりません。そのためにも、会社組織に属している立場ではなく、一人の人間としての魅力を発揮することはとても大切です。
マネージャーに求められるスキル4:概念化能力
概念化能力のことをコンセプチュアルスキルと呼びます。これは、同類な複数の対象物の共通項を洗い出して、概念を見極める能力を意味します。もっと簡単にコンセプチュアルスキルを説明すると、物事の本質を見抜くためのスキルと言えます。
コンセプチュアルスキルが高くなれば、あらゆる仕組みに対する強い関心を持ちます。最近の表現では、地頭が良く論理的発想を効率よく発揮できることを指します。
マネージャーに求められるスキル5:質問責任と回答責任
例えば学校の校則などは、あまり根拠や効果性がないのに、頭髪やスカートの丈がどうという理不尽なものがあります。それに対する責任をだれも感じておらず、ただ慣例に従わせようとします。
しかし会社組織でそればかりは通用しません。下手をするとブラック企業になってしまいます。自分が理解できないことをするのであれば、なぜする必要があるのかを問う「質問責任」があり、その問いに答える「回答責任」があります。
マネージャーの課題
マネージャーは中間管理職として調整の役目があります。部下を独立した存在として認めながらも、指示や命令を下して動かさなくてはならないので、お互いが尊重し合わなければ成立しないと言えます。
上司と部下という関係では、つい受け身の存在が当たり前になってしまいかねません。守るべきルールは必要ですが、委縮した組織ではイノベーションが起こりません。そこでマネージャーにこそ、ある程度の特権が与えられています。
経営環境の変化による影響
世の中はグローバル化が叫ばれています。それに加えて働き方改革やIT化、AIなどの台頭も目立ってきています。かつてのがむしゃらな働き方をしているだけでは、誰もついてこないような時代です。
ワークライフバランスを考えて、上手く働く分量を調整していくことも大切になってきました。そこでマネージャーの役割として、各スタッフの日々の労働力、特に労働時間の管理が求められています。
管理実務の増大
マネージャーは管理スキルが重要ではありますが、実際には現場での実務の経験が土台になって出世していった人がほとんどでした。しかし昨今では、実務の複雑化や時代の変貌によって、管理実務はかなり増大化し、かつ複雑になっているのが現状です。
マネージャーは実質、プレイングマネージャー的要素を備えた人物であるべきです。それは今の時代の実務を理解して、固定概念だけで判断しない柔軟なスキルや発想が必要と言えます。
不公平な人事考課に陥る
企業にとって最大の資源は人材です。人材が十分に揃っていなくては企業活動ができません。しかしながら人材を無視した経営が蔓延り社員の離職は後を絶ちません。不公平な人事考課に陥ってしまうと、その企業を弱めかねない深刻な経営課題へと発展してしまいます。
マネージャーの役割として欠かせないのが、公平な人事考課をするという点です。スタッフの長所を見抜いて、そのスキルやポテンシャルを活かすことに貢献しましょう。
ハラスメントの発生要因
ハラスメントが叫ばれるような時代になりました。これは何も今始まったことではなく、昔から存在する問題です。しかも上司と部下の間だけとは限りません。誰もが被害者もしくは加害者になり得るような状況です。
仕事におけるハラスメントにはいくつかタイプがあり、引き起こす原因もいくつか想定されます。マネージャーはハラスメントの基本スキルを理解して、被害者と加害者の双方を出さないための対策を考える必要性もあります。
地方拠点との意思疎通
ある程度の規模が大きい会社や組織にとっては、地方との連携は重要であり、かつ問題点が浮上しやすいという欠点があります。中枢である本部や本社での決定事項や伝達が、上手く伝わらず意思疎通がしにくいという点です。
現在ではサテライト制なども取り入れた企業も増えていますが、やはり各地に点在するマネージャーの役割とスキルはとても大きいと言えます。マネージャー自身が内容を把握して、円滑に指揮しなくてはなりません。
あなたの会社に仕事の生産性をあげる「働き方改革」を起こしませんか?
名刺が多すぎて管理できない…社員が個人で管理していて有効活用ができていない…そんな悩みは「連絡とれるくん」で解決しましょう!まずはこちらからお気軽に資料請求してみてください。
マネージャースキルを育成するのにおすすめの書籍紹介
ではマネージャーが自分のポテンシャルを活かしながらスキルの向上をさせるためにはどのような点を考慮したら良いのでしょうか。
まずはマネージャー自身が常に向上心を持って、今よりもスキルを磨いていかなくては始まりません。そこで、おすすめなマネジメントに関する書籍を数冊ご紹介します。
マインドセット「やればできる! 」の研究
ビジネスや日常生活での成功と失敗は、マインドセット次第だということが書かれた本です。スタンフォード大学での20年以上の調査による古典的名著です。
一度の失敗で落ちこんで終わる人と、失敗の原因を探って洗い出す人との差や能力はどこからやってくるのか、など才能だけの違いではない成功者の心理を追求しているおすすめな本です。
人生が変わったといっても過言ではないです。シンプルでかつ、どの分野でも役に立つことが書いてあります。オススメです
ティール組織―マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現
ティール組織とは、スタッフを信頼して運営する形態組織のことで、上下関係や売上目標、予算といった従来のアプローチの限界を突破した場所にあるマネジメントの新しい方法論です。
このディール組織を形成して成果をあげる人々が世界中に現れていると書籍でも謳っています。それを膨大な事例研究から導いている最新の経営スキルの秘密が書かれています。
いろいろなタイプの組織があることがわかる本。実際にティール組織になるのは難しいかもしれないが、こういう組織になりたいという意識をもつことは大事だと思う。
マネジメント[エッセンシャル版] – 基本と原則
マネジメントを総合的に判断する際に、必ず取り上げられる名著として知られています。マネジメントとは実践と成果であると明言し、そのために果たすべき使命、役割、取り組むべき仕事やスキル、中長期的戦略方法についてを具体的に解説しています。
マネジメントとは何かを知りたくば、まずはこの一冊を読むことからおすすめします。
純粋なプレーヤーからマネージャーの要素が加わる立場になる方には最適。時間をおいて読み返すと、また新しい面に気がつく良書。
マネージャーに求められるスキルを身につけましょう
マネージャーはマルチタスクをこなせる人物でなくては務まらないポジションです。常に部下のことを思い、組織の上層部とも関係性を調整しながら遂行していきます。マネージャーは実務経験と、それに準じた業務スキルを備えていることが必須と言えます。
もし自身がマネージャー的立場になった場合、あるいは現在そうであるようなら、ぜひマネージャーとしてのノウハウやマインドについて、日ごろから磨くことをおすすめします。