総合化学メーカーには明確な定義は存在しない
総合化学メーカーとは、日本の新聞記者が作りだした言葉で明確な定義はありません。一般的には、三菱化学、住友化学、三井化学、昭和電工、宇部興産、旭化成、東ソーの総合化学メーカー大手7社を総合化学メーカーと呼ぶことが多いです。
これといった決まりはありませんが、大手7社を見ると原料から製品づくりまで全てを一企業で手掛けているメーカーが多いのが特徴です。
オススメの総合化学メーカー13選
総合化学メーカーの線引きはとてもあいまいです。ここでは、一般的に総合化学メーカーと呼ばれている7社を基準にして、その他の技術力が優れた化学メーカーも紹介します。就職先を探している人は、会社の特徴をよく比較して役立てましょう。
オススメの総合化学メーカー1:三菱ケミカルHD
三菱ケミカルHDは、三菱化学、三菱樹脂、三菱レイヨンと統合してできた企業です。子会社には三菱ウェルファーマと会社も設立しています。取り扱っている製品は非常に多く、統合を活かした製品づくりをしています。
非常に多くの職種で募集されていますから、中途入社でもチャレンジできます。求められているスキルを満たすために専門的な資格が必要になる総合化学メーカーです。
オススメの総合化学メーカー2:旭化成
旭化成は「マテリアル」「住宅」「ヘルスケア」の3領域で事業を展開しています。非常に身近な商品も多く、総合化化学メーカーとして知られています。マテリアル部門では、ケミカルをベースにした技術を使い苛性ソーダを生産しています。
住宅部門では人と環境に優しいヘーベルハウスを提案し、ヘルスケア部門では医薬品や医療機器の開発をしていま中途で就職を希望する人は、希望の職種が募集されているタイミングを逃さないことです。
オススメの総合化学メーカー3:住友化学
住友化学は「石油化学」「機能材料」「電子科学」「健康・農業関連」「医薬品」「研究開発」の部門に分かれて製品開発をしている総合化学メーカーです。取り扱っている製品がとても多く活躍できる分野は多岐に渡ります。
17世紀から続く非常に歴史のある企業で、肥料製造会社としてスタートしました。愛媛の工場をメインに千葉、大阪、大江、大分、青森に工場があります。海外のグループ会社は60以上あり、世界規模の企業です。
オススメの総合化学メーカー4:東ソー
1935年に設立された総合化学メーカーの東ソーです。クロル・アルカリ事業、機械商品事業、石油化学事業の3つに分けて事業を展開しています。塩ビ樹脂や苛性ソーダの生産ではアジア最大級の規模を誇ります。
身近な商品では、目薬の容器や点滴用のパック、エスカレーターの手すり、信号機など、生活に密着した商品開発もしています。また、社員の有給休暇取得率は8割を超えており、離職率は1%以下と大変低い企業です。
オススメの総合化学メーカー5:三井化学
三井化学は、創業107年になる歴史ある総合化学メーカーです。売上高44%が海外で、アジア地域を中心にしたグローバルな海外展開が特徴です。これに伴って、従業員の半数資格は海外在籍者となっています。
取り扱っている事業はとても多く、身近な食品から次世代に役立つ事業まで幅広く展開しています。メガネレンズの材料は世界有数のシェアを誇る総合化学メーカーです。就職には英語を身に付けると有利でしょう。
オススメの総合化学メーカー6:昭和電工
昭和電工は、「石油化学」「化学品」「無機」「アルミニウム」など多くの分野で製品作りをしている総合化学メーカーです。1939年に肥料生産会社としてスタートします。その後、石油化学へ進出をして規模を大きくします。身近な製品では飲料用のアルミ缶や炭酸ガスの生産をしています。
電子材料用高純度ガスの生産など世界有数のシェア商品が多数あります。技術力が非常に高い総合化学メーカーです。
オススメの総合化学メーカー7:信越化学工業
新越化学工業は、身近な生活用品から産業省資材に幅広く使われる「塩化ビニル」とICの基盤になる「シリコンウエハー」の分野で世界有数シェアを誇る化学メーカーです。安定した高収入を誇る企業ですから、就職先として優良でしょう。
信越化学工業が生産する塩化ビニル樹脂は、石油の割合が約4割ほどで製造する時に環境負担が少ないのが特徴です。耐久性も高いため、窓枠や外壁材として使用されています。
オススメの総合化学メーカー8:カネカ
「カガクでネガイをカナエル会社」で知られているカネカも総合化学メーカーです。「マテリアル・ソリューションズ・ユニット」「クオリティ・アブ・ライフ・ソリューションズユニット」「ヘルスケア・ソリューションズユニット」「ニュートリション・ソリューションズユニット」4つの事業にわけて製品開発をしています。
特に塩ビ樹脂の生産が得意で、人工衛星から身近な食品まで幅広い製品開発をしています。
オススメの総合化学メーカー9:宇部興産
宇部興産は1897年に山口で創業した総合化学メーカーです。「科学」「建設資材」「機械」3つの事業を展開しています。国内の工場は宇部工場をはじめとする、千葉、酒井、伊佐、苅田にあります。海外ではスペインやタイで活動しています。
主に石油化学、医薬品、橋梁など高い技術を駆使した製品開発をしています。特にナイロン原料は、世界的規模で生産をしてる総合化学メーカーです。
オススメの総合化学メーカー10:ダイセル
ダイセルは1919年にセルロイド会社8社が合併してできた企業です。現在は世界14の国と地域で事業を展開しています。総合化学メーカーと比較すると中規模の化学メーカーですが、安定感がある就職先として注目されています。
ダイセルはセルロース事業をメインにしています。タバコのフィルタとして使用されるセルロースと液晶用の保護フィルムとして使用される原料を生産しています。大企業にはまねできない事業展開が特徴的です。
オススメの総合化学メーカー11:日本ゼオン
日本ゼオンは、エラストマー素材や高性能材料事業を展開する化学メーカーです。世界有数を誇る商品が多数あり、総合化学メーカーに引けを取らない技術力があります。日本車に使われている過半数以上がゼオンの特殊ゴム製品です。
また、爽やかなグリーン系のリーフアルコールもゼオン製です。香水やシャンプー、アイスクリームなど身近な商品に使われてます。幅広い製品開発で働く人は得意分野で力を発揮できる企業です。
オススメの総合化学メーカー12:三菱ガス化学
三菱ガス化学の正式名称は三菱瓦斯化学株式会社です。「天然ガス系化学品」「芳香族化学品」「機能化学品」「特殊機能材」に分かれて生産をしています。独創性の高い製品が特徴の企業です。
医療現場で使われる注射器はガラス製品が多く使い勝手が悪いのが現状です。三菱ガスが開発したプラスチック製の多層構造のシリンジは、バイオ医療の分野で多くの採用を見込んでいます。今後の業績に注目したい企業です。
オススメの総合化学メーカー13:JSR
JSRは、自動車用タイヤに使われる合成ゴムの有数メーカーです。高い技術力を活かして合成ゴムの総合メーカーとして世界市場をターゲットにして製品を提供しています。また、半導体材料やフォトレジストなどの液晶に使用される電子材料も高い技術力があります。
総合化学メーカーと比較すると、取り扱う分野は少ないのですが技術力は素晴らしいでしょう。有給取得率も高い企業ですから、働きやすさも魅力です。
総合化学メーカーの強み5つ
総合メーカーは会社の規模が大きいため、中小企業には無い強みがあります。大企業の方が安心感があり就職先に選ぶ人も多いでしょう。これから総合化学メーカーを就職先に選ぶ人は、強みを知っておくと中小企業と比較することができます。
総合化学メーカーと呼ばれている企業は、他のメーカーと比べるとどのような点が有利なのか調べてみましょう。
総合化学メーカーの強み1:上流から下流まで一貫して生産できる
総合化学メーカーは幅広い製品を取り扱っていることが多く、製品づくりを自社だけで行うことができます。研究や開発にかける費用も予算を多くとれるため、希少な製品開発も手掛けられる強みがあります。
製品に付加価値があったり、市場の占有率が高いほど製品価値が上がるでしょう。また、幅広い製品づくりをしている事で、利益率の高い製品でマイナスをカバーできる点も強みです。
総合化学メーカーの強み2:コスト競争力で優位に立てる
世界を相手にする総合化学メーカーでは、世界市場で勝ち残っていかなければなりません。高品質でありながら、リーズナブルな価格で取引する事が求められています。総合化学メーカーは、事業規模が大きいため大量生産も可能です。
大量生産になるほどコストを押さえられて優位に立つことができます。コストを抑えて製品開発をすることで、大きな利益が得られるでしょう。
総合化学メーカーの強み3:ビジネスの多様性があるため安定性に優れる
総合化学メーカーは取り扱う製品が多くありますから、業績不振の部門は他の事業方法を探ることができます。例えば、総合化学メーカーの宇部興産が取り扱う高分子は、日本が高度成長期から順調に売り上げを伸ばしていました。
しかし、原料の高騰やデジタルカメラの需要が増え国内需要が落ち込みます。そんな時はシフトチェンジをしてこれまでの技術力を活かした分野で新たなチャレンジができます。事業の多角化によって経営は安定します。
総合化学メーカーの強み4:昔から培ってきた技術の蓄積がある
総合化学メーカーは大変長い歴史をもつ企業が多いです。創業当初は現在の分野とは違う内容で事業をしていた所が多くあります。創業時時当初から積み上げてきた技術力と新たに始めた事業の経験をプラスして事業を拡大してきました。
総合化学メーカーにはさまざまな分野の技術者がいますから、多方面で商品展開ができるでしょう。これから総合化学メーカーに就職をする人は、経験を多く積めるでしょう。
総合化学メーカーの強み5:研究開発の人材が豊富で優秀である
総合化学メーカーは生き残りのために事業拡大を図っています。新たに始めようとする事業に必要な人材確保を率先して行っています。化学の各社は売り上げが悪くなった分野を見直します。企業によってはM&Aも促進しています。
異業種とも柔軟に手を組めるように、化学の企業では今までとは違った人材を求めています。今後、総合化学メーカーはさらに事業を拡大して、多くの製品を生み出すでしょう。
総合化学メーカーで活躍しましょう
総合化学メーカーは決まった定義はありませんでした。また、総合化学メーカーと呼ばれている企業以外にも優れた技術力をもっている企業は多くあります。
あいまいな線引きをせず、自分が働きたい企業で活躍しましょう。