複線型人事制度とは?
複線型人事制度とは、従来のように職場のキャリアコースが一定ではなく、複数の選択肢の中から従業員自らキャリアを選べるという精度です。
一般的に知られている複線型人事制度の例として、総合職として役職のコースをいくのか、管理職を取らずに専門職のスペシャリストとしてその能力を極めていくのかに別れる選択方法です。
マネジメントの才能がない人でも出世が見込めるなど、あれゆる業種に利益のある多角的な人事制度です。
複線型人事制度のメリット・デメリット各3つ
複線型人事制度のメリット・デメリット各3つについてご紹介していきます。
複線型人事制度は良いところもたくさんありますが、同時にデメリットもあります。複線型人事制度の内容についても、総合職と一般職・スタッフ管理と総務管理などの分かれ方をする会社などがあります。企業によって複線型人事制度へのアプローチは違います。
複線型人事制度のメリット・デメリットをよく見極めて、自社に合う方式へ変化させていきましょう。
複線型人事制度のメリット
複線型人事制度のメリットについてご紹介していきます。
複線型人事制度にはたくさんの良い点があります。高度成長期が終わって安定した世の中では、価値観の多様性が強まっています。単一の出世やキャリアコースに、皆がついていかれない現象が起きています。
キャリアに対するあきらめ・無関心が起きて従業員の生産力や仕事に対するモチベーションが低下する前に、複線型人事制度を取り入れて社内を活性化させていきましょう。
複線型人事制度のメリット1:ポスト不足に対応できる
複線型人事制度のメリットにポスト不足に対応できるという点が挙げられます。
40代・50代の管理職世代が増えてポスト不足が叫ばれています。従業員たちは長年、出世を目指して勤務してきました。それなのにキャリアが見込めない状況では、労働者たちのモチベーションが低下して社会全体に悪影響を与える恐れがあります。
複線型人事制度を導入することでキャリアに対して多角的な発想が行わるため、ポスト不足に対応できます。
複線型人事制度のメリット2:従業員のモチベーション向上につながる
複線型人事制度のメリットに、従業員のモチベーション向上につながるという点が挙げられます。
複線型人事制度は自分が好きなコースを選んで収入アップや地位向上が認められます。自分が望む道へ進めてなおかつ正当な評価をしてもらえるので、自然とモチベーションがアップします。自由に自分の才能が活かせるため、仕事の能率・効率の向上も期待できます。
モチベーションの向上は生産性や機能性のアップにも通じる重要な利点です。
複線型人事制度のメリット3:専門分野の技術やノウハウを蓄積できる
複線型人事制度のメリットに、専門分野の技術やノウハウを蓄積できるという利点が挙げられます。
複線型人事制度を利用すれば、専門技術のスペシャリストは継続して技術者として従事できるので、専門分野の技術やノウハウをそのまま蓄積することができます。
希望すれば専門職の管理者としての仕事をせずに、スペシャリストとして業務を続行し続けることができるからです。より精度の高い技術を磨き、企業に貢献することができます。
複線型人事制度のデメリット
複線型人事制度のデメリットについてご紹介していきます。
複線型人事制度にもデメリットがあります。会社の革新を目指して複線型人事制度を導入することはたいへん画期的で推奨すべきことですが、複雑な制度についていかれない人々も多く存在しているからです。
複線型人事制度はコストも余計にかかります。事業環境の変化とともに複線型人事制度そのものの変更も検討しながら、常に見直しと改善をくりかえしていく姿勢が重要です。
複線型人事制度のデメリット1:全体の人件費が上昇するおそれがある
複線型人事制度のデメリットに全体の人件費が上昇するおそれがあるという点が挙げられます。
ポスト不足を補う意味でも利用される複線型人事制度ですが、その分、人件費は掛かります。単一のキャリアコースであれば給与は一定で済みますが、才能がある人にもポストを与える複線型人事制度では、多くの人件費が掛かることになります。
複線型人事制度を収益に結び付けるためには、評価して給料を増やすという仕組みが必要です。
複線型人事制度のデメリット2:ルールが複雑になるおそれ
複線型人事制度のデメリットにルールが複雑になるおそれがあるという点が挙げられます。
キャリアアップの道が複数になるので、どのような能力評価を行うのかをそれぞれのケース別に決めておく必要があります。
いままでのようにキャリア形成のコースが1つであれば簡単に基準を考えられますが、異なる専門分野の評価となると、公平性をどう持たせるかという悩ましい問題が増える恐れがあります。
複線型人事制度のデメリット3:従業員の納得が得られないおそれ
複線型人事制度のデメリットに従業員の納得が得られないおそれがあるという点が挙げられます。
従業員の納得が得られなければ、複線型人事制度は成功しません。専門分野のスペシャリストになりたい人物にとっては複線型人事制度はたいへん有益な制度ですが、複雑な人事制度を受け入れられない従業員も大勢います。
成長とともに従業員規模が大きくなった会社は複線型人事制度に不満が出やすいので、特に注意が必要です。
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複線型人事制度と公務員
複線型人事制度は公務員にも浸透し始めています。
例として埼玉県春日部市が挙げられます。専門性のある職務に就く職員は複線型人事制度により10年ほど、同一または関連する部署で勤務できるようになりました。異動範囲が限られている職員・福祉・税・ITなどの分野の職員が対象です。
複線型人事制度の導入事例3つ
複線型人事制度の導入事例3つをご紹介していきます。
複線型人事制度は公務員だけでなく、民間でも利用されています。複線型人事制度導入を検討している企業は、今後の参考にしてみてください。
複線型人事制度の導入事例1:東日本旅客鉄道株式会社
複線型人事制度の導入事例として東日本旅客鉄道株式会社が挙げられます。
旧国鉄の時代から男性中心の風調を受け継いできたJR東日本ですが、複線型人事制度を取り入れることで女性を含めた多角的な価値観を組織にもたらすコンセプトが発動しています。組織内に多様性を持たせることで安定を図り、時代の波に乗っていこうという計画です。
複線型人事制度の導入事例2:株式会社三越伊勢丹ホールディングス
複線型人事制度の導入事例に株式会社三越伊勢丹ホールディングスがあります。
三越伊勢丹グループでは「シニアスタイリスト」というスタッフが、複線型人事制度の中で管理職として活動しています。上質なサービスを手掛けるスペシャリストとして活躍中です。
複線型人事制度の導入事例3:株式会社ニコン
複線型人事制度の導入事例として、株式会社ニコンが挙げられます。
株式会社ニコンは社員をプロフェッショナル集団として意置付け、独自の多様性のあるキャリアパスや職能資格制度を設けて賃金獲得へと結びつけています。自発的に選べるキャリアがある、個性的な複線型人事制度です。
複線型人事制度のメリットデメリットを把握しよう
複線型人事制度のメリットデメリットを把握して、自社に活用していきましょう。
個性的な生き方が推奨される世の中になりました。複線型人事制度のような多角的な考え方が事業には必要です。複線型人事制度のメリットデメリットをしっかりと把握してフォローを入れながら、実績を伴うキャリア形成を築いていきましょう。