代休と有給休暇の違いは?
社会人になって気になる「代休」と「有給休暇」ですが、違いをよく理解できていない人も多いのではないでしょうか。実は、「代休」は、「休日出勤をした後に、その代償として労働日を休みとするもの」、「有給休暇」は、「休暇を取得しても賃金が支払われる休暇日」とされています。
そもそも、「休日」は、「労働義務のない日」、「休暇」は、「労働が免除された日」という違いをもっているため、正しく理解して活用しましょう。
代休や有給になる?知っておきたい会社の休みの種類8つ
会社の休みには多くの種類があり、どれが代休に当てはまり、どれが有給休暇に当てはまるのか理解していないと損をすることがあります。以下の記事では、知っておきたい会社の休みを8つ紹介します。
しっかりと会社から手当をうけ、給与で損をすることがないよう、ぜひ参考にしてみてください。払うべき給与を払っていない事態も避けるべきなので、会社側もこの記事を参考にするといいでしょう。
会社の休みの種類1:休日とは?
会社の休みとしてよく聞く「休日」ですが、実は、「労働義務がもともとない日」と定義されています。申請などの手順を踏むことなく、会社を休むことができます。
土曜日や日曜日など、もともと決められている曜日で振り分けている会社も多いのではないでしょうか。法律で休まなければならないと定められている「法定休日」と、それ以外の「法定外休日」があるため、よく確認しておくようにしましょう。
会社の休みの種類2:休暇とは?
「休暇」とは、「労働を免除された日」です。もともと労働の義務がある日に免除を行うため、休みを申請する必要があるといえます。
法律で定められた休暇としては、「年次有給休暇」「産前産後休暇」「育児休暇」などがあります。法定外休暇として、「リフレッシュ休暇」や「慶弔休暇」などの取得が認められている会社もあります。主な3つの休暇については、以下の記事で詳しく見てみましょう。
有給休暇
「有給休暇」とは、「休暇を取得しても賃金が支払われる休暇日」のことをいいます。
実は、有給休暇は、勤続年数によって付与される日数が異なっています。また、発生してから2年という労働基準法で定めらた有効期限があるため、失効してしまわないように気をつけたい休暇です。
①入社から6か月間継続勤務し、②その期間の全労働日の8割以上出勤していれば、その労働者には10労働日の年次有給休暇を付与しなければなりません。また、その後1年間継続勤務し、その期間の出勤率が8割以上であれば、11労働日の年次有給休暇を付与することが必要です。
育児休暇
「育児休暇」とは、「育児を目的とした休暇日」のことを指します。有給休暇を数日から1週間、育児のためにとったとなれば、それは「育児休暇」の扱いになります。
注意したい点といえば、「育児休暇」において認められている子供の年齢が、「1歳に満たない」と定義されているところです。それ以上の場合は、育児休暇と扱うことができないため、気をつけましょう。
夏季休暇
「夏季休暇」は、「それぞれの会社によって独自に取り方や時期などを定める休暇」とされています。自分の会社の就業規則や労働契約などを確認してみてください。なにも書かれていない場合には、夏季休暇がないこともあります。
夏季休暇をもらえたとしても、後日、給料明細を確認してみたら会社判断で勝手に有給休暇があてられていた、という場合もあります。その場合は違法になるため、気をつけたいところです。
会社の休みの種類3:年休とは?
「年休」とは、「年次有給休暇」を略した言葉を指します。年度ごとに定められた有給休暇のことです。労働基準法で定められた「賃金が発生する休暇」のことで、毎年一定の日数与えられているケースがほとんどです。
有給休暇と似ていますが、法律に基づく仕事をしている社労士などは「年休」、企業などでは「有給」や「有休」といったように、それぞれ使用するという分けられ方をしています。
会社の休みの種類4:法定休日とは?
「法定休日」とは、労働基準法で定められている「週に1回などの最低基準の休日」のことをいいます。多くの場合、「週に1回の休日」または「4週間を通じて4日の休日」と定められているものになります。
もし、法定休日に労働があった場合には、それに対応する「休日労働割増賃金」の支払いが必要となります。どの休日が法定休日に当たるのか、それぞれの会社の就業規則で明確にしておくことが大事だといえるでしょう。
会社の休みの種類5:法定外休日とは?
少し難しい定義となりますが、「法定外休日」は、労働基準法で定められた「週40時間の労働時間」の規定により設けられる、「法定休日以外の休日」のことを指しています。
例でいうと、1日8時間勤務の場合、週に5日の勤務で40時間に達するため、残りの2日は休日となります。そして、そのうちの1日が「法定休日」となり、あとの1日が「法定外休日」となるといえます。
会社の休みの種類6:代休とは?
「代休」とは、「休日に出勤した場合に、代わりに労働日を代休として休みにすることができる休暇」のことをいいます。代休制度は法律上義務付けられているわけではないため、社内規則上で「代休が使える」といったような規定がないと使うことができません。
ただ、労働基準法では「使用者は労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」と企業に義務づけているため、条件に当てはまれば代休の取得が可能です。
会社の休みの種類7:振替休日とは?
代休と意味合いも似ている「振替休日」とは、「あらかじめ休日だった日を労働日として、代わりに労働日を休みとして振り替えて得る休日」のことをいいます。あらかじめ、労働日と休日を入れ替える、ということです。
こちらも代休と同じく、法律で義務付けられている制度ではなく、労働基準法における1週1休の原則を守るために就業規則などで規定されている制度になります。
会社の休みの種類8:欠勤とは?
「欠勤」とは、「給料の支払われない休みのこと」をいいます。有給扱いにならない休み、有給休暇の範囲を越えた休み、また、会社の許可なく無断での休みの場合に当てはまります。
給料が支払われない欠勤の仕組みを「ノーワークノーペイの原則」といいます。ボーナスの査定にも響いてくる事柄のため、なるべく有給処理して休むようにしましょう。
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代休と有給休暇の違いを理解するための5つの事例
定義上での「代休」と「有給休暇」の違いを説明しましたが、いかがだったでしょうか。ここからは、より違いを理解していただくために5つの事例を交え、さらに詳しく紹介します。
実際の事例に合わせて、臨機応変な休暇対策をとることができるようにするためにも、「代休」と「有給休暇」の違いを理解することが大事になってきます。ぜひ、参考にしてみてください。
代休と有給休暇の違いを理解するための事例1:法定休日に休日出勤をした場合
代休と有給休暇の違いとして顕著に現れる部分は、休日労働割増賃金の支払いに関する面ではないでしょうか。事例ひとつめとして挙げられる「法定休日に休日出勤をした場合」には、会社側は、休日労働割増賃金の支払いが必要になります。
つまり、法定休日での休日労働は、休日労働割増賃金の支払いが必要になる代休と同じ扱いになるということになります。「代わり」の休日が必要な労働のため、同じ区分になるといえます。
割増賃金について
「割増賃金」とは、「時間外労働をさせる場合に必要となる支払い賃金」のことです。代休取得が必要になるような時間外労働に対する割増賃金は、通常の賃金の2割5分以上とされています。
例えば、通常1時間当たり1,000円で働いている労働者の場合、時間外労働1時間につき、1,250円以上支払う必要があるのが「割増賃金」を考慮した事例となります。割増賃金が充てられるのは「時間外労働」「休日労働」「深夜業」です。
代休と有給休暇の違いを理解するための事例2:平日を振替休日にして法定休日に出勤した場合
「平日を振替休日にして法定休日に出勤した場合」は、休日と勤務日を入れ替えるという形になるため、休日出勤扱いにはならないといえます。そのため、休日出勤の割増賃金がもらえないといった点に注意しましょう。
「代休」とよく似た「振替休日」ですが、あらかじめ「働く日」と「働かない日」を入れ替えているだけに過ぎないため、休日労働の扱いにすることができないということをよく覚えておきましょう。
代休と有給休暇の違いを理解するための事例3:法定休日に休日出勤をして代休を取得した場合
複雑な事例となってきますが、「法定休日に休日出勤をして代休を取得した場合」には、事前に休日と労働日が交換されているわけではないので、この日は「休日労働」という扱いになります。
そのため、法定休日での労働による割増賃金3割5分が支払われます。代休を平日に取得すれば、平日同じ時間働く予定であった賃金が控除されたとしても、「休日労働割増賃金」の扱いで得をするということになります。
代休と有給休暇の違いを理解するための事例4:法定休日に休日出勤して代休を取得しない場合
「休日労働をしたのちに「代休を取得するか」「しないか」によって、もらうことのできる給与料に差が出てきます。会社のルールに左右されるところはありますが、休日出勤をした場合には、なるべく代休をとるようにしましょう。
代休と有給休暇の違いを理解するための事例5:法定休日に休日出勤して平日に有給休暇を取得した場合
少し特殊な事例として「法定休日に休日出勤をして平日に有給休暇を取得した場合」には、割増賃金が支払われることはないといえます。割増賃金が必要な時間外労働というのは、実労働時間でカウントされるため、この場合は法定労働時間までにあと8時間の余裕があります。
したがって、この場合の休日出勤については、時間外労働の割増賃金さえ必要ないということになります。賃金を割増なしで計算して支払われる事例となります。
代休や有給休暇について理解しよう!
「代休」と「有給休暇」について、それぞれの違いと事例による紹介をしてきましたがいかがだったでしょうか。代休を使うことで得する場合、有給休暇を使うことで得する場合とそれぞれ利点があることがわかったのではないでしょうか。
社会人になりたくさんのルールに悩まされることも多いでしょう。「代休」と「有給休暇」をうまく利用して、損することなく正しい給与を取得しましょう。代休制度があるかの確認も怠らず行いましょう。