新入社員研修の費用は経営者の判断に委ねられる部分が大きい
人事労務分野の情報機関・産労総合研究所では毎年、企業に対してアンケートを行い、社員研修費の実態調査を行っています。2018年10月に発表された調査結果によると、2018年度社員一人当たりの研修費予算額は47,138円で、91.4%の企業が新人社員研修を行っています。
この記事では新人社員研修にかかる費用10種類と、費用を決める3つのポイントをご紹介します。
新入社員研修の費用の種類10個
産労総合研究所の調査によると、実施された新入社員研修のテーマは「ビジネス・マナー」「コミュニケーション(報告・連絡・相談を含む)」「経営理念・創業理念」「コンプライアンス」など、さまざまです。
新入社員研修を行った時に、サービス利用代や講師謝礼のほかに、会場費や備品代などが必要になります。ここでは会社の経費にできる10種類の費用について、ポイントを解説していきましょう。
新入社員研修の費用の種類1:講師派遣
新入社員研修には「自社の人事担当者や各部署のスタッフで行う」「通信教育や資格取得を支援する」「社員研修専門サービスなどを利用する」などの方法があります。
講師派遣を選択した場合、講師への謝礼の相場が1時間2~3万円くらい、著名人講師の場合は2時間で20~100万円くらいと、価格に幅があるため、事前に費用がどのくらいかかるか情報収集しておくことが重要です。
新入社員研修の費用の種類2:社外セミナー
社外セミナーには、1日かけて行われる研修(ビジネスマナー、リーダーシップ研修など)と、数時間で終わる研修(PCスキル、会計スキル、営業スキル、TOEIC対策など)があります。
研修サービス専門会社によって、価格が違うため、必ず見積もりをとりましょう。
新入社員研修の費用の種類3:通信教育
国税庁は研修費用として処理できるものを定めています。
1. 他社主催の研修会・研究会・セミナー・教育訓練等への参加費用
2. 自社主催の研修会等の開催費用
3. 自社主催の研修会等の講師への謝礼金・交通費
4. 研修用書籍等の購入費用
5. 研修用テキスト等の印刷消耗品費
6. 研修等の運営費
7. 研修等で使用するための外部施設費
通信教育は本人負担であることが多いため、企業は「福利厚生の一環」として助成金で支援しています。
新入社員研修の費用の種類4:動画配信
動画配信を使った研修には3つのメリットがあります。
1. 関係者が一堂に会したような臨場感があるため、交通費やホテル代などの経費削減になる
2. 動画は文書の5,000倍もの情報が詰まっているのでわかりやすい
3. 繰り返し見ることもできて、内容を正確に把握できる
動画配信では、一定の月額料金で、対象の動画が見放題になる料金形態が一般的で、会場を借りて、講師を招いてセミナーを開くよりも費用が安くなります。
新入社員研修の費用の種類5:資格・検定の受検費
研修費用には経費として計上できるものとできないものがあります。「研修費」として経費に計上できるのは、実際に営んでいる事業に対して直接的に必要となる研修に限られます。
例えば、接客業でマナー研修のために、外部からマナー講師を招いて研修を行う場合や、外部で行われているマナーセミナーや講習会などに参加する場合は、経費になりますが、本人に直接帰属する資格の取得は、原則として経費にはなりません。
新入社員研修の費用の種類6:会場費
研修スタイルには、貸会議室などを借りて数時間の「集合形式」で大勢の社員が同時に座学で学ぶものや、ワークショップを使い、数日かけてコミュニケーションしながら学ぶ「合宿形式」などがあります。
開催する会場により午前と午後、平日と休日で料金が異なるため注意しましょう。会場を借りる日、時間、貸会議室・公共施設・ホテル・専門施設など、どのような施設を選ぶかによって会場費は大きく変わるので、事前調査が必要です。
新入社員研修の費用の種類7:備品レンタル代
研修を開くためには、会場の予約のほかに、プロジェクター、スクリーンなどのレンタルの手配、テキストの作成などが必要です。これらを自社で行った場合、社員は通常業務と並行して研修準備をすることになり、負担がかかります。
新入社員研修サービス会社には、会場費や備品レンタル代やテキスト作成などもパッケージに含んだサービスを行っているところもあるため、問い合わせてみましょう。
新入社員研修の費用の種類8:食費
新入社員研修には、2時間程度の基本的なビジネススキル研修から、数日かけて体を動かして覚える合宿形式の研修プログラムがあり、合宿形式の場合は宿泊費を考慮する必要があります。
しかし、費用をを見積もる時に見落としがちなのが「当日の昼食費」「夜の懇親会費」などの「食費」で、研修の時間が長いほど「食費」が多くかかります。参加人数分の弁当代、夕食代などをきちんと把握しておくことが大切です。
新入社員研修の費用の種類9:宿泊費
宿泊型の研修には3つのメリットがあります。
1. 移動や帰宅を気にせず研修に集中できる
2. 時間をたっぷり使えるので研修の内容を充実させられる
3. 社員同士がコミュニケーションする時間が増える
宿泊費の予算は、研修を受けた新入社員の満足度と、業務へのモチベーションにも関わる問題です。1泊2日、食事4回で、13,000~18,000円程度の会議室利用と食事がセットになった宿泊パックも検討するとよいでしょう。
新入社員研修の費用の種類10:交通費
地方の支店や営業所から、研修のために研修に集まる新入社員の交通費についても考慮しておくべきです。
一般的に経費を処理する際には、研修施設に行くまでの交通費やホテル代、夜の懇親会の費用などは「研修費」には含めません。研修会場までの交通費やホテル代は「旅費交通費」、夜の懇親会費用などは「接待交際費」として処理するのが無難です。
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新入社員研修の費用を決めるポイント3つ
新入社員研修を行う時に発生する費用には、研修サービス利用代や講師謝礼のほかに、会場費や備品代などがありますが、研修サービス会社から提示された金額に、必要なコストがすべて含まれているか否かを事前に確認しなければ、想定外の費用がかかることがあります。
ここでは新入社員研修の費用を決める3つのポイントをみていきましょう。
新入社員研修の費用を決めるポイント1:会社の予算
会社が新入社員研修費にどの程度の予算をかけるかによって、新入社員研修の場所や内容が変わってきます。
予算をオーバーしないように、さまざまな新入社員研修サービス会社の情報を集め、充実した新入社員研修ができるように準備することが大切です。
新入社員研修の費用を決めるポイント2:新入社員に対する期待度
平成30年10月23日に厚生労働省が発表した、新規学卒就職者の離職状況(平成27年3月卒業者の状況)調査では、新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者39.3%、新規大卒就職者31.8%となっています。
会社が新入社員が戦力になることを、どの程度期待しているかによって研修費は変わりますが、充実した新入社員研修は新入社員の意欲を高め、離職しにくくなる効果があります。
新入社員研修の費用を決めるポイント3:一般的な相場
新入社員研修の予算を組む時に、会場費や研修サービスの利用代だけでなく、細かな経費についても計上しておかなければ、プログラムの内容で妥協することになってしまい、満足のいく新入社員研修ができなくなります。
自分の会社に合った新入社員研修の費用を決めるために、一般的な相場をしっかりとチェックして、必要な費用を見積もりましょう。
新入社員研修の費用の種類を一通り把握しましょう
この記事では新入社員研修にかかる費用10種類と、費用を決める3つのポイントをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。研修には費用がかかりますが、ポイントを押さえれば、投資効率のよい研修ができます。
さまざまな新入社員研修の費用の種類を把握して、自分の会社に合った新入社員研修を行ってください。