カッツ・モデルとは?
カッツ・モデルとは、マネジメントに携わる人にとって必要と考えられるスキルとその関係性を分かりやすくまとめたモデルです。ロバート・カッツ氏により1950年代に提唱されたものではありますが、現在でも通用する思想です。
カッツ・モデルは管理職の育成において非常に重要な考え方です。また経営者や管理職だけではなく社会に携わる者にとっても重要なため、社会人であれば理解しておいて損はないでしょう。
カッツ・モデルの図について
カッツ・モデルにおいて、マネジメントに携わる人にとって必要と考えられるスキルは大きく分けて3つあります。有数マネジメントであればコンセプチュアルスキルが重要視され、ロアーマネジメントであればテクニカルスキルが重要視されています。
その中で、最も重要とされているスキルはヒューマンスキルです。役職問わず必須のスキルであると考えられており、社会人であれば誰もが習得するべきスキルであるといえます。
カッツ・モデルを理解するために重要な用語6つ
カッツ・モデルは3つのスキルと3つの立場にて構成されています。その中には役職を問わずに、社会人であれば必須のスキルも含まれています。カッツ・モデルの思想や仕組みを正しく理解するためには、それぞれのスキル(用語)についてを詳しく知ることが重要です。
ここではカッツ・モデルにおいて重要な6つの用語についてを順番に解説していきます。
カッツ・モデル用語1:テクニカルスキル
テクニカルスキルとは業務遂行能力のことです。現場で必要な実践的な知識やスキルを指します。言い換えるならば「仕事を行うために必要なスキル」です。資格や経験もひとつのテクニカルスキルと言えます。
中でも重要視されるのは、思考としてのテクニカルスキルです。会社ではチームを組みプロジェクトを行い、会社の利益に貢献していきます。そういった思考、またそれを実践できる能力をテクニカルスキルと言います。
具体例
どのように行えば効率的に結果を出せるのか、またコストを抑えることができるのかを意識しましょう。また人員や予算がどのくらい必要なのか把握することも意識するべきポイントとなります。そういった思考、またそれを実践できる能力が重要視されます。
カッツ・モデル用語2:ヒューマンスキル
ヒューマンスキルとは対人関係能力とも言われ、人間関係を良好に保つために必要な能力のことを指します。どの役職にとっても重要なスキルです。
チームや顧客から寄せられる意見を正しく理解し、また自分の意見を正しく伝えるために、ヒューマンスキルは必要不可欠です。
コミュニケーションは業務を円滑にします。そのためヒューマンスキルを得ることは、どの立場であっても重要なことと言えるでしょう。
具体例
一般の視点であれば「プロジェクトを円滑に進めるために必要なチームワーク能力」と言えます。経営者の視点では「会社全体の業務が滞りなく遂行できるように個人やチームを導く、そのために必要な能力」と言ったところでしょうか。
カッツ・モデル用語3:コンセプチュアルスキル
コンセプチュアルスキルは概念化能力とも言われています。このスキルを持つ人は、ひとつの経験から多くを理解することが可能です。また問題やトラブルに対しても、共通点を見出し解決に導くことができます。
コンセプチュアルスキルは才能に近く「多様な視点」「柔軟性」「洞察力」また「直感力」などを持った人材が獲得し得るスキルです。このスキルは特に経営をする側にとって非常に重要なスキルであると言えます。
具体例
このスキルは先天的な影響が強く誰もが持っているものではありません。一言でわかりやすく言い換えるのであれば「本質を見抜く能力」です。経験や努力によりコンセプチュアルスキルを獲得し高めることは可能です。
カッツ・モデル用語4:ローワーマネジメント
カッツ・モデルにおいてローワーマネジメントは、主に上層部であるミドルマネジメントや有数マネジメントが思い描く思想を実現する役割です。
上層部の提案を現場の活動へと反映させる、大切なポジションにあたるものであると言えます。ローワーマネジメントは「監督者」「下級管理者」と表記されることもありますが、名称が違うだけであり、役割に変化はありません。
主な役職
ローワーマネジメント層の役職名として挙げられるものは、係長や主任です。現場リーダーやチーフといった役職もローワーマネジメントに含まれます。
計画的な要素より,執行的な要素が多い役職と言えます。
カッツ・モデル用語5:ミドルマネジメント
カッツ・モデルにおいてミドルマネジメントは、主に上層部である有数マネジメントの指示や判断、そして思想をロワーマネジメントに正しく伝える役割です。
ミドルマネジメントは中間管理職と呼ばれることもあります。ミドルマネジメントは上層部と下層部をつなぐ、大切な役割を担っていると言えます。
主な役職
ミドルマネジメント層の役職名として挙げられるものは、部長、課長などの管理職です。支店長、工場長、本部長、地区マネジャーと言った役職もミドルマネジメントに含まれます。
カッツ・モデル用語6:有数マネジメント
カッツ・モデルにおいて有数マネジメントは主に会社全体の業務状況の把握、また会社内のプロジェクトの方向性の決定や判断をする役割を担っています。またそのプロジェクトに関わる下層部に対しての評価も行っています。
有数マネジメントの一番重要な役割は、マネジメント層を含む会社の社員全員が業務を円滑に行うための方針を定めることであり、またすべての責任を負うことです。
主な役職
有数マネジメント層の役職名として挙げられるものは、社長、副社長、会長などの経営者です。有数マネジメントの中にはCEO(最高経営責任者)やCOO(最高執行責任者)といったも含まれます。
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カッツ・モデルを活用した人材育成方法3つ
どの役職にも言えることですが、最初から必要なスキルを完璧に身に付けている人はいません。必要な経験を得る、あるいは会社が場を作り育て上げることにより、人材としての価値が生まれます。
時間を有する人材育成において、カッツ・モデルは非常に効率的で、また利に叶っています。今回はカッツ・モデルを活用した人材育成方法を3つに分けて紹介、解説していきます。
カッツ・モデル人材育成方法1:身に付けるべきスキルに合わせた研修
カッツ・モデルにおいて重要視されるスキルは、役職毎に違いがあります。そのため身に付けるべきスキルに合わせた研修が必要です。テクニカルスキル、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキル、それぞれのスキルに合わせた研修方法を紹介していきます。
テクニカルスキルの場合
テクニカルスキルの場合、研修での最終目標や期限を明確にするべきです。明確な目標は高いモチベーションの維持に役立ちます。またマニュアルを用意し、常に研修者をフォローできる体制を確立するべきでしょう。信頼関係は成長の促進に有効です。
また併用して教育者の育成も行うことが可能です。上層部が教育者を通し研修者をフォローする体制を組むことで、教育者自身に責任感を持たせ、教育者の成長も期待することができます。
ヒューマンスキルの場合
ヒューマンスキルを向上させるためには、研修者をヒューマンスキルの高い人材と組ませることが必要です。ヒューマンスキルの高い人材と業務をこなし触れ合うことでヒューマンスキルは大きく向上します。
また身だしなみや挨拶といった基本のヒューマンスキルは、会社内の全ての人間が常に意識できるように、朝礼や会社の理念に組み込むと良いでしょう。
コンセプチュアルスキルの場合
コンセプチュアルスキルはゼロから得ることは難しく、元々の才能が大きいスキルです。
研修を行う際は、元々持っている才能を伸ばす形になるでしょう。その下地を元に「上層部としての自覚を持たせる」こと、そして「プロジェクトや理念を言葉で正しく下層部に伝える能力を養わせる」ことが重要です。
会議などの場で発言をする機会を多く与えてみるのも良いでしょう。経験は有効なアイデアや思想を引き出す手助けをします。
カッツ・モデル人材育成方法2:職位に応じた研修
ローワーマネジメント層であれば、目の前の業務を正確にこなす力を身に付けさせることが重要です。
ミドルマネジメント層であれば、ヒューマンスキルとコンセプチュアルスキルを伸ばし、管理職としての責任感を持たせるべきでしょう。また、有数マネジメント層であれば、会社全体の総合的な能力を理解していくことが重要となります。
カッツ・モデルにおいて人材を効率よく育成するために職位毎の研修は非常に重要です。
カッツ・モデル人材育成方法3:スキルによる人事評価
カッツ・モデルを用いて適切な人事評価を行う場合、重要視されるのはヒューマンスキルです。
コミュニケーション能力やヒアリング能力、また交渉力は重要な評価点です。その人材が向上心を持ち業務に取り組んでいるか否かも判断のポイントとなります。それらを総合的にみて会社にとって必要な人材であると判断できるのであれば、相応の評価を与えるべきです。
ヒューマンスキルこそが最も評価されるべきスキルと言えるでしょう。
カッツ・モデルを理解しスキルアップ
今回はカッツ・モデルの重要な用語6つに加え、カッツ・モデルを活用した人材育成方法についてを紹介させていただきました。
カッツ・モデルは1950年代の思想ではありますが、現代においても充分に通用します。また経営層だけではなく、一般の社会人の方にも必要な思想を多く含んでいます。カッツ・モデルを理解し、大きなスキルアップへとつなげてください。