タレントマネジメントシステムとは
タレントマネジメントシステムについての話を近年、よく聞くようになりました。
顧客ニーズの多様化により、企業はニーズに対応するために多様な人材を採用するようになりました。タレントマネジメントシステムは多様で優秀な人材を適切に配置していくために必要ですが、どのようなシステムなのでしょうか。
この記事では、タレントマネジメントシステムのメリットや導入企業の事例、目的別の事例などについてご紹介します。
タレントマネジメントシステムのメリット
近年、企業で多様な人材を採用するようになり、人材を適切に配置していくためにもタレントマネジメントが重要視されています。
タレントマネジメントとは、人材情報を人事で一元管理し、適切な業務に配置することを指しますが、タレントマネジメントシステムを導入すると人材を見落とすことなく活用することができます。
また、紙などで管理していた情報がシステムで管理できるようになり、業務が効率化されたという事例もあります。
タレントマネジメントシステムの導入企業事例
タレントマネジメントを行う上で、ぜひ導入していきたいタレントマネジメントシステムですが、すでに導入している企業は実際にどのように運用しているのでしょうか。
ここでは、すでにタレントマネジメントシステムを導入しているサイバーエージェントとオープンハウスの企業の事例について見ていきます。
導入企業事例1:サイバーエージェント
サイバーエージェントは、経営戦略に沿って成長が期待される部門に適した人材を配置する事で成果が上がると考えています。この事例では、人材管理のためタレントマネジメントデータベースを導入し、毎月1回、全社員へ3つ質問を投げています。
たとえば興味や得意な事を聞く質問をし「楽器を弾くのが得意」と答えた社員の人材データには音楽フラグを追加します。音楽関連の新規事業立ち上げの際は、その社員が候補に挙げられます。
導入企業事例2:株式会社オープンハウス
オープンハウスの事例の場合は、クラウド型のタレントマネジメントシステムを導入し、1,000名以上いる社員の人材情報の把握を行っています。
タレントマネジメントシステムによって人材情報を一元化することで、埋もれた人材を可視化し、異なる事業部であっても社員の情報が把握できるようにしています。これによって、経営陣が次期リーダー候補の育成につなげることが可能になっています。
タレントマネジメントシステムの導入事例5つ
タレントマネジメントシステムをすでに導入している企業の事例についてみてきました。それでは次に、タレントマネジメントシステムを目的に応じて導入する事例を見ていきましょう。
考えられる目的の事例としては、「人事評価の公正化と育成指導の強化」「人材は開くと人材流出の防止」「人材抜てきや育成のための人材分析」などが考えられます。
タレントマネジメントシステムを導入する事例1:人事評価の公正化と育成指導の強化
タレントマネジメントシステムの導入目的の1つの事例として、社員の能力管理の可視化が挙げられます。目標に向けて社員がどう行動しているかなどを上司が把握でき、社員も上司がどう評価しているかを確認できます。
また、育成計画機能もあるので、社員に合わせて人材育成計画を実施するために導入する事例もあります。研修の受講状況などの管理だけでなく、社員の現在のスキルと必要なスキルのギャップを把握することもできます。
タレントマネジメントシステムを導入する事例2:人材把握と人材流出の防止
タレントマネジメントシステムの導入を人材把握と人材流出防止のために行う事例もあります。
人材を適切に配置するためには能力を十分に把握する必要がありますが、人数が多いと容易ではありません。そのため、システムを導入する企業が増えてきています。
また能力を適切に把握するということは、企業がきちんと社員を評価しているということになり、社員のモチベーション向上につながります。これは人材流出を防ぐ効果もあります。
タレントマネジメントシステムを導入する事例3:人材抜てきや育成のための人材分析
タレントマネジメントシステムを人材抜てきや、育成のための人材分析のために導入するという事例もあります。
激変する経営環境の中では、適した人材をスピーディーに配置する必要があります。そのためには最適な人材を把握しておく必要があります。また、来るべき変化に応じて、必要な能力を確認し、社員に必要な育成を行っていくことも重要です。
タレントマネジメントシステムによって、これらをスムーズに行うことができます。
タレントマネジメントシステムを導入する事例4:人事評価の公正化
タレントマネジメントシステムの導入を、人事評価の公正化のために行うという事例もあります。
システム導入により、社員をどういった評価基準でどのように評価しているのかが可視化されることになります。そのため、なぜその部署に抜てきされたのかや、なぜ昇格したのかなどが、社員側も理解しやすくなります。
オープンになるということは、公正に人事評価する必要があり、社員にとってもフェアなイメージを与えることになります。
タレントマネジメントシステムを導入する事例5:グローバル人材の把握・抜てき
企業のグローバル化が進み、近年では人材争奪戦もグローバル化してきました。このような中で、いかに現場のニーズに即した人材を確保するかが重要です。
社内に埋もれているグローバル人材を抜てきするためにタレントマネジメントシステムを導入する事例も多く出てきています。また、システムによって公正な人材管理を行っているということは、外部のグローバル人材にも魅力的であり、グローバル人材の採用にも効果があります。
タレントマネジメントシステムの進め方5つ
確実にタレントマネジメントを行うためにも必要になってくるタレントマネジメントシステムですが、導入して運用していくためにはどのように進めていくとよいでしょうか。
タレントマネジメントシステムを進めていくには、まず導入の目的を明確にし、現状把握、必要人材の確認、アクション、検証と進めていく必要があります。
ここでは、それぞれのステップにおいてのタレントマネジメントシステムの進め方について考えていきます。
タレントマネジメントシステムの進め方1:導入の目的を明確にする
まずは、タレントマネジメントシステムを使うメインの目的や目標を、中期的・長期的な視野で明確にします。
そのメインの目的を明らかにしてから、予算や運営体制を検討します。自社の人事制度に合い、目的や目標を達成できる機能を持つタレントマネジメントシステムを探していきます。そのうえで、誰でも使いやすいかなどを検討の上、ベンダーを確定します。
タレントマネジメントシステムの進め方2:人材情報を可視化し現状を把握する
タレントマネジメントシステムを導入すれば、すぐに適切な人材配置が可能になり、個人のパフォーマンスが向上し、業績がアップする、ということはありません。
タレントマネジメントシステムを導入したら、まずはタレントマネジメントという考え方を社内で浸透させていく必要があります。その上で社員のスキルや能力確認し、システム上で一元管理して社内の人材情報の現状を把握します。
タレントマネジメントシステムの進め方3:必要となる人材イメージを明確にする
社内にいる人材の能力を把握したら、次は人事戦略上でどんな人材が必要か人材イメージを明確にし、現状とのギャップを確認することが必要です。
今いる人材をそのまま活用できれば理想的ですが、不足することも多々あります。このギャップを埋めるために、今いる人材を成長させたり、新たな人材を採用したりします。
人材の成長については、配置先で実際の業務で成長させる場合と、研修などを実施する場合があります。
タレントマネジメントシステムの進め方4:具体的なアクションを検討しタレントの活用につなげる
人材の確保や育成の計画が立てられたら、実際に人材を適材適所に配置していきます。
この段階では、現場の管理者の役割が非常に大きくなります。人事が想定する能力をその人材が実際に発揮できているか、能力が向上しているのかなどを現場で確認する必要があります。
重要なのは現場の管理者との連携です。人材の配置までの前提情報を現場の管理者が把握しておかないと、現状と求める人材のギャップに気づくことが難しいです。
タレントマネジメントシステムの進め方5:アクションの検証
計画を実施した際には、必ず検証を行い、必要に応じて計画や教育体制の見直しを行います。検証をきちんと行うことで、着実に人材を成長させることができます。計画を遂行するだけはなく、評価と改善をセットで行うようにしましょう。
企業の競争力を高めるためには、スピーディーで最適に配置や異動を行うことが必要です。また、経営環境の変化などで配置転換の必要性が生じたら、迅速に異動が行うことも大切です。
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タレントマネジメントを導入する際のポイント4つ
タレントマネジメントシステムを導入している企業の目的別の事例や、実際に人材を管理する進め方などについて見てきました。それではタレントマネジメントを導入する際の重要なポイントは何でしょうか。
社内でスムーズにタレントマネジメントを行うには、当然ながら社員の理解などが必要になってきます。ここでは、タレントマネジメントを導入する上でのポイントについて考えていきます。
タレントマネジメントを導入する際のポイント1:社員からの理解を得る
タレントマネジメントを行うために社員のデータを集め可視化するということは、個人のプライバシーに深く入り込む事例も考えられます。中には反発する人もいるでしょう。
社員の価値観も多様化していることを認識したうえで、なぜタレントマネジメントが必要なのかを事例なども踏まえて社員に十分に説明して理解を得ることが必要です。また、不必要な情報まで収集しないようにするなど、人事の細やかな対応が求められます。
タレントマネジメントを導入する際のポイント2:コミュニケーション活性化につなげる
タレントマネジメントシステムの機能にあるクラウドツールなどを導入すると、アイコン画像で使われる顔写真や、趣味などプライベートな面も見ることができます。
情報をどこまで公開するかは慎重に行う必要がありますが、プロフィールを把握することで社員同士が円滑なコミュニケーションを取れるようになり、信頼関係が築きやすくなります。
社員同士の信頼関係はモチベーションの向上や組織活性化につながるという事例もあります。
タレントマネジメントを導入する際のポイント3:タレントマネジメントのことを中心人物が理解する
タレントマネジメントを円滑に進めるには、人事のみでなく、人材の育成を把握する管理者がしっかりとタレントマネジメントのことを理解しておく必要があります。
中でも特に経営陣は、タレントマネジメントに関心を寄せて積極的に取り組んでいく必要があります。優れた人材を活用し育成することは、組織と事業の成長につながります。自社の将来を左右する人材について十分理解しておく必要があります。
タレントマネジメントを導入する際のポイント4:膨大なタレント情報を活用するためのシステムを利用する
タレントマネジメントを行う上で、社員の能力やスキルなどのデータの活用は生命線です。情報を適切に活用するためにはデータを一元管理する必要がありますが、フォーマットが異なったり情報が重複していると、かえって混乱します。
データ管理がしやすいフォーマット作成や、膨大な情報を統合して整理するなどの取組みが必要です。この点で、人材データ活用をサポートするシステムの導入はタレントマネジメントに大きく役立ちます。
タレントマネジメントシステムを導入する事例を知っておこう!
タレントマネジメントシステムの導入企業の事例や目的別の事例、進め方などをご紹介しましたが、理解できましたでしょうか。
激変する経営環境に適応するためにタレントマネジメントは欠かせません。的確にマネジメントするためにも、すぐタレントマネジメントシステムを導入したい企業も多くあるでしょうが、まずは目的を押さえることが重要です。
そのためにも、タレントマネジメントシステムの導入事例を押さえておきましょう。