コーチングするために必要なこと
コーチングをするために必要なことは、自分と相手の違いを理解し、その違いを活かして関わり方を変化させることです。
最近ではビジネスシーンでコーチングが重要視されています。コーチングとは、コーチングを受ける人が持っているスキルや考え方を引き出して、目的の状態に近づけることです。
相手に合わせてコミュニケーションのとり方を変化させ、より関係を円滑にしたり、仕事の生産性を高めたりすることが、コーチングの目的です。
自分のタイプを知る
コーチングをするには、自分のタイプを知るというところから始めましょう。人は無意識のうちに自分のタイプを基準にして他の人と関わっています。
そのため、自分なりのコミュニケーションの考え方やアプローチの仕方を、相手にも期待してしまいます。
そのため、自分のタイプを知り自分と相手の違いを理解することで、自分本位ではなく相手に関心や興味を持って関わることができるようになります。
相手のタイプを知る
自分のタイプが分かったら、コーチングを実践するために、身近な相手のタイプを類推してみましょう。
しかし、自分タイプを理解していないと、他人のタイプを考えてコーチングすることはできません。
自分のタイプを理解すると、相手に関心を向ける余裕が生まれ、相手との「違い」から、相手のタイプを類推することができるようになります。後段で説明する、タイプ別の特徴や、予想の仕方も、コーチングの参考にしてください。
コーチング式タイプ分け診断とは?
コーチング式タイプ分け診断とは、「人のコミュニケーションのとり方の違い」に着目し、それを分析する診断です。
これから説明する2つの軸を使うことで、人の価値観や行動パターンを4つのタイプに分類できます。
この診断を行うことで、その人がどのようなコミュニケーションを取るタイプの人なのかが分かります。
タイプによって、どのような関わり方や話し方をすれば良いかを選択することが、コーチングの基本です。
自己主張の強さを計る縦の軸
2つの軸のうち、縦の軸は自己主張の強さを測る軸です。自己主張は強いタイプなのか、それとも控えめなタイプなのかということです。
自己主張とは、自分の考えや意見を積極的に主張しようとすることです。会議などで積極的に発言する人は、自己主張が強いタイプだといえます。
感情表現の高さを計る横の軸
横の軸は、感情表現の高さを測る軸です。感情をはっきりと出すタイプなのか、それとも控えめであまり感情を出さないタイプなのかということです。
話をするときにジェスチャーをよく使ったり、話を聴くときに笑顔で聴いたり、相槌を打ったりする人は、感情表現の高いタイプだといえます。
感情を出すタイプの人は、「人物」を大切にするのに対し、感情をあまり出さないタイプの人は「事物」を大切にします。
コーチング式診断によるタイプ4つ
ここからは、自己主張と感情表出を組み合わせた4つのコーチング式タイプ分けについて詳しく見ていきましょう。
4つのタイプの特徴や見分け方、異なるタイプの人との相性なども説明します。
コーチング式診断によるタイプ1:コントローラー
自己主張が強く、感情表現が控えめな人は、「コントローラー」というタイプに分類されます。
コントローラータイプの人は、強いリーダーシップを持っていて、集団を引っ張っていく力があります。意思決定を行い、他の人に支持を下す、トップダウン型の人だということです。
このタイプの人は、「結果」や「成果」、「結論」にこだわります。また、事実を淡々と並べ、要点を押さえた話し方をします。
コーチング式診断によるタイプ2:プロモーター
自己主張が強く、感情表現も高い人は、「プロモーター」というタイプに分類されます。プロモータータイプの人は、明るくにぎやかで、アイデアマンです。
このタイプの人は、「新しいこと」や「斬新さ」や「楽しさ」、「他の人がやっていないこと」にこだわります。
また、好奇心旺盛なので、いろいろなことに挑戦します。しかし、飽きっぽい性格も持っているため、最後までやり遂げずにすぐにやめてしまうこともしばしばあります。
コーチング式診断によるタイプ3:サポーター
自己主張が控えめで、感情表現が高い人は、「サポーター」というタイプに分類されます。
サポータータイプの人は、人との関係を大切にし、何より他の人のことを優先して考える傾向があります。
また、このタイプの人は、おとなしそうな雰囲気を持っていて、会議や授業で発言を求められても、鋭い意見を言うより、その場の空気に合わせた発言をすることが多いです。
コーチング式診断によるタイプ4:アナライザー
自己主張が控えめで、感情表現も控えめな人は、「アナライザー」というタイプに分類できます。
アナライザータイプの人は、「計画」や「予定」や「分析」、「データ」、「事実」をとても大切に考えています。自分で立てた計画をきちんと遂行し、成果を出すことができるタイプです。
反対に、新しいアイデアを考えたり、想像したりすることは苦手で、目に見えることを大切にしています。
【タイプ別】関わり方のコツ4つ
4つのタイプの特徴がわかったところで、次はタイプごとの関わり方のコツについて紹介します。
タイプによって話し方や接し方を変えることによって、より円滑なコミュニケーションが可能になります。
【タイプ別】関わり方のコツ1:コントローラー
コントローラータイプの人は、常に自分が意思決定をする立場に立ちたいと考えるため、自分に命令をしてくる人には無意識のうちに反発します。
また、「仕事」や「結果」を大切に考え、結論を急ぐため、人の話をあまりよく聞かない傾向もあります。
そのため、ビジネスシーンのコーチングでは、次の4つのポイントに注意しましょう。
- 手短に結論から話す。
- 「〜を教えてほしい」と教えを。
- いくつかの選択肢を提示して、相手に決定を委ねる。
- 相手の仕事には口出しせず、全面的に任せる。
【タイプ別】関わり方のコツ2:プロモーター
プロモータータイプの人は、自分が他者に与える影響力を重視しています。そのため、他者からの承認がないと、やる気を失ってしまいます。
また、オリジナリティを大切にしているため、自分のアイデアを否定されたり、自由度が低い仕事を任されたりすることが嫌いです。
そのため、ビジネスシーンのコーチングでは、次の4つのポイントに注意しましょう。
- 話を聞くときは相槌などの反応を示す。
- こまめに褒める
- 彼らのオリジナルのアイデアを大切する。
- ざっくりとした質問をして、自由うに話をしてもらう。
【タイプ別】関わり方のコツ3:サポーター
サポータータイプの人は、人の期待に応えるために行動し争いを嫌います。
また、このタイプの人は頼み事に「NO」と言えなかったり、表情などのノンバーバルなコミュニケーションを大切にしていたりという、繊細な部分もあります。
そのため、ビジネスシーンのコーチングでは次の4つのポイントに注意しましょう。
- 丁寧で温厚な対応をする。
- こまめにねぎらいの言葉をかける。
- 話を聞くときは作業の手を止めてしっかりと反応を示しながら聞く。
- 頼みごとに「YES」と言われても、無理がないかきちんと確認する。
【タイプ別】関わり方のコツ4:アナライザー
アナライザータイプの人は、自分の行動や考えが「正しい」と実感できたとき、やる気を出します。
また、「データ」や「分析」を大切にするため、そういった事前準備にかける時間を重視しまし、急かされることや正確でない指示、失敗や誤りを嫌います。
そのため、ビジネスシーンのコーチングでは次の4つのポイントに注意しましょう。
- 意図がはっきりと明確で、答えやすい質問をする。
- 相手の知識や能力など、具体的な部分を褒める。
- 質問の返答を急かさず、彼らが熟考する時間を邪魔しない。
- 仕事を任せるときは、目的や方針、リスクなどを明確に説明する。
コーチング理解に役立つ書籍4選
ここで紹介したタイプ分けを、ビジネスシーンでのコーチングに活かすため、コーチングの理解に役立つ書籍を4つ紹介します。
いずれも高い評価を受けている書籍で、わかりやすく参考になる書籍です。
Amazonの購入リンクと口コミも掲載しているので、コーチングの理解にぜひ役立ててください。
コーチング理解に役立つ書籍1:図解 コーチング流タイプ分けを知ってアプローチするとうまくいく
コーチング理解に役立つ書籍1は、コーチング理論に基づくタイプ別アプローチのわかりやすい実践書です。人に対するアプローチの方法をタイプごとに使い分けることが、コーチングにおいては大原則です。
人によって異なる価値観や行動パターンをタイプ分けし、深く理解すれば、でコミュニケーションの質は格段に上がります。
複雑な組織の中で、より良い人間関係を築きたい人におすすめの1冊です。
【口コミ】この手の本は「たしかにたしかに。なるほど。」と読んで満足して終わることが多いですが、本書は図解で読みやすく、普段の生活の中でも活かせるポイントが多い。軽い読み物としてもおススメです。
コーチング理解に役立つ書籍2:この1冊ですべてわかる 新版 コーチングの基本
コーチング理解に役立つ書籍2は、コーチングのノウハウが凝縮された1冊です。コーチングは人材開発から組織開発まで役立ちます。
コーチングの実践的入門書がビジネス環境の変化に合わせて改定されました。
「組織開発の手段」としてコーチングを多層的に導入する企業の事例も多数紹介されていて、今後ますます読み継がれていく1冊です。
【口コミ】汎用的なコーチングというよりも、ビジネス人材向けのコーチングの本でした。ビジネスとしてどうやって組織にコーチングを文化にするかなども書かれています。事例が非常に多く面白いと思います。こういう質問をすると良いというのまで書いてあって、コーチング初心者でも本を片手に友人と練習できると思います。
コーチング理解に役立つ書籍3:4つのタイプ コーチングから生まれた熱いビジネスチームをつくる
コーチング理解に役立つ書籍3は、なぜか相性が悪い、反応が悪い、思い通りに動いてくれない上司や部下とどう接したら良いのか悩んだときに、人間関係を円滑にするヒントをくれる1冊です。
実行力でチームをリードするコントローラー、夢を語って盛り上がるプロモーター、合意と協調を重んじるサポーター、冷静沈着に現状を分析するアナライザー。この4つのタイプを正しく理解することが、人間関係を成功させるうえで大きな意味を持っています。
【口コミ】「同じ言葉で話しても同じように伝わらない」って感じたことはありませんか?今までは相性や価値観の違いって思ってました。しかし、この本を読めば同じように伝わらない理由が解かります。まずはCSIというプログラムを用いて自分自身のタイプを知り、後半はそれぞれのタイプに対してどういったアプローチを取るのかを学びます。読み終わる頃には、職場や友人のタイプがイメージ出来ているハズですから、今までよりも「うまく伝える」自信が出ること間違いなしです。
コーチング理解に役立つ書籍4:コーチングが人を活かす
コーチング理解に役立つ書籍4は、1500社を超える企業にコーチングのノウハウを提供してきた、COACH A株式会社の鈴木社長がコーチングの具体的な手法を解説した1冊です。
コーチングという言葉を学びその切れ味を体感した管理職は、より一層部下の成功と成長に向けて学習を加速させ行動を進化させていきます。
本書では、そのような「言葉の使い方」がたくさん紹介されています。最大のコーチング・ファームから生まれた最良の入門書です。
【口コミ】それぞれの項目に完結に例と説明があり、読みやすく、電車の中で読めるので重宝しています。
対応分けをコーチングに上手く利用しよう
自分を理解し相手のことを考えることができれば、違いを受け止めた上で戦略的なコミュニケーションやコーチングができるようになります。
タイプによる対応分けは、うまく活用すればコミュニケーションやコーチングの新たな可能性を切り開く、「鍵」のようなものだといえるでしょう。
しかし、相性が悪いタイプの人と関わらないというのは本末転倒です。正しく活用して、コミュニケーションやコーチングの効果を高めましょう。