- 雇用契約したまま出向させられることには不満を抱く人が多い
- 雇用契約した従業員を出向させる時の注意点10個
- 雇用契約した従業員を出向させる時の注意点1:出向の注意点を明確にする
- 雇用契約した従業員を出向させる時の注意点2:出向先の範囲を明確にする
- 雇用契約した従業員を出向させる時の注意点3:出向期間を明確にする
- 雇用契約した従業員を出向させる時の注意点4:出向中の労働条件を明確にする
- 雇用契約した従業員を出向させる時の注意点5:就業規則を整備する
- 雇用契約した従業員を出向させる時の注意点6:給与・福利厚生
- 雇用契約した従業員を出向させる時の注意点7:出向期間の延長・短縮
- 雇用契約した従業員を出向させる時の注意点8:社会保険
- 雇用契約した従業員を出向させる時の注意点9:雇用保険
- 雇用契約した従業員を出向させる時の注意点10:労災保険
- あなたの会社に仕事の生産性をあげる「働き方改革」を起こしませんか?
- 出向者が留意しておくこと3つ
- 雇用契約した従業員を出向させる際はトラブルにならないように注意しましょう
雇用契約したまま出向させられることには不満を抱く人が多い
雇用契約を残したまま出向させられる人の中には、不満を抱いている人もたくさんいます。出向を命じる立場の場合は、こうした不満を抱く人が「何に対して」不満を感じているのか、きちんと確認し、誤解があれば解く努力をすべきです。
雇用契約を継続したまま出向する「在籍出向」の多くは、出向期間が終了すれば自社に戻って、再度活躍することを期待されている人たちです。会社としての期待を伝えておくことも必要でしょう。
雇用契約した従業員を出向させる時の注意点10個
出向には在籍出向と転籍出向の2種類があります。出向元の企業と雇用契約を残したまま出向することを「在籍出向」と呼んでいます。もとの会社に籍を残しているか、残していないかで出向者のモチベーションなど心持は大きく異なります。
ここでは、もとの会社と雇用契約を結んだまま、従業員を出向させる際に気に留めておくべき注意点をご紹介します。
雇用契約した従業員を出向させる時の注意点1:出向の注意点を明確にする
もとの会社との雇用契約を残したまま出向するということは、出向先企業でも雇用契約を結ぶことになるため、二重の雇用契約が成立することになります。
出向者に適用される就業規則については、出向先と出向元との会社間の契約により決定されるため、出向者には当然明示する必要があります。
出向元の規則に従うものと、出向先の規則に従うものを明確に出向者に伝え、出向者が混乱しないよう準備しておく必要があります。
雇用契約した従業員を出向させる時の注意点2:出向先の範囲を明確にする
雇用契約を継続したまま、他社に出向するということは、出向者は自社と他社の双方と、二重の雇用契約を結ぶことになります。双方の就業規則や福利厚生は異なり、双方に従うことはできないため、混乱のもととなります。
出向先と雇用契約を結ぶものの、指揮命令系統が完全に出向先の配下とはならないケースもあり、迷うことも多くなります。出向者には、出向先で従うべき範囲や、担当すべき業務範囲などを明示する必要があります。
雇用契約した従業員を出向させる時の注意点3:出向期間を明確にする
出向期間は出向時に伝えるべきことです。多くの場合、「最短〇年、最長〇年」といった幅を持たせた期間が伝えられます。出向者は、終わりの見えない出向よりも、業務にしろ、期間にしろ、目標となる値が提示された方が、モチベーションをあげることができます。
雇用契約した従業員を出向させる時の注意点4:出向中の労働条件を明確にする
出向中は、出向先の就業規則に従うことになります。しかし、もとの会社との雇用契約も継続していることから、もとの会社の「労働」も残っていることになります。
出向元の会社に対しては、報告義務が残されていたり、月1回の帰社が義務付けられていたりします。出向元と出向先、複数の就業規則にや日々の業務ルールの住み分けについても、出向時には明確に伝えておくことが必要です。
雇用契約した従業員を出向させる時の注意点5:就業規則を整備する
雇用契約を継続したままの出向の場合は、就業規則の適用については、出向元と出向先との間で交わされる「出向契約」で取り決められます。出向先の労働条件の方が悪い場合、問題になる可能性もあります。
賃金、解雇、退職、定年といった「労働者としての身分」に係わる事項は、出向元の就業規則を適用し、労働時間、休日、休暇、服務規律といった業務遂行に係る事項は出向先の就業規則を適用するのが一般的です。
雇用契約した従業員を出向させる時の注意点6:給与・福利厚生
雇用契約を継続したままの出向では、給与は出向元の会社から支給される場合もあります。出向先の従業員と同様に、出向先の会社の業績に応じて給与も賞与も支給されるという場合もあります。
雇用契約を継続したままの出向の場合は、社会保険を除く福利厚生についても、出向元・出向先、あるいは双方の制度を使える場合などがあります。出向時には、こうした混乱する事項は、きちんと整理して伝えましょう。
雇用契約した従業員を出向させる時の注意点7:出向期間の延長・短縮
当初の出向予定期間よりも、期間が延びる、または早くに終了する、ということは、発生しがちな事項です。出向が終了すれば、出向者は自社に戻ることになりますが、だからといって、本人に何の事前通達もなしで決めることはできません。
出向期間が延長される場合も、短縮される場合も、出向社員に対しては期間が変更になる理由を十分に説明したうえで、同意を得て、期間変更を決定しなければなりません。
雇用契約した従業員を出向させる時の注意点8:社会保険
社会保険料(健康保険料+厚生年金保険料)についても、手続きが必要になるので出向者への説明が必要です。雇用契約が継続しており、給与を出向元で支払う場合は、社会保険料も継続となり手続きは不要です。
出向先から給与が支払われる場合、出向元の社会保険を抜け、出向先の社会保険に加入する手続きが必要になります。出向元と出向先が一定割合の賃金を支払う場合は、手続きが複雑になるので、出向者に詳しい説明が必要です。
雇用契約した従業員を出向させる時の注意点9:雇用保険
雇用保険は、より多くの賃金を支払っている会社の被保険者になります。出向先から給与が支払われる場合は、出向先の被保険者になります。出向元と出向先が一定割合の給与を支払う場合は、支払額が多い方の会社の被保険者になります。
出向先の被保険者になるためには、出向元での資格喪失手続き、出向先での資格取得手続きが必要になるので、出向者に手続きの説明が必要になります。
雇用契約した従業員を出向させる時の注意点10:労災保険
労災保険は、労働者が勤務している実態のある事業所で適用になるという決まりがあります。出向者の勤務場所が出向先だけであれば、出向者が出向先で被った業務災害、通勤災害の各種申請手続きは、すべて出向先が行います。
労災については、給付基礎日額の計算が必要になります。出向元から給与が支払われている場合は、その給与額も出向先で支払っている金額と見なし、出向先が支払っている賃金と合算して平均賃金を算定します。
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出向者が留意しておくこと3つ
自分が出向を命じられてしまったときは、今の会社との雇用契約が継続する「在籍出向」なのか、今の会社とは雇用契約が終了する「転籍出向」なのかを確認しましょう。転籍出向の場合は、本人の承諾なしに決定することはできません。
在籍出向の場合は、出向期間が終了すれば今の会社に戻ることになります。期待されているからの出向ともいわれます。もとの会社で何を期待され、出向になったのか理解して働く必要があります。
出向者が留意しておくこと1:出向の目的と自分の役割を把握する
出向を命令されたら、会社としてどういった目的があって出向という人事を選択したのかを、十分理解しておきましょう。
出向を最大限に価値のあるものにするためには、パフォーマンスを十分発揮できるよう、目的を理解し、自分の役割を把握しておくことが必須です。
若手の出向の場合は、社会勉強を兼ねていることも多く、役職者としての出向は、出向先の業績の立て直しや、出向先との濃密な関係構築が目的になります。
出向者が留意しておくこと2:役割に沿って責務を果たすべく尽力する
自分が出向になっている目的や理由を常に意識して働き、期限のある出向期間を目的達成のために、有効に使いましょう。
出向直後は、職場環境だけでなく「会社」そのものが新天地となるため、慣れることも多く大変ですが、目的と自分の役割を把握できていれば、慣れない場所でも進む方向は見出せます。
親しい同僚とのおしゃべりを懐かしく思うこともありますが、目的意識がしっかりしていれば、新しい環境にもなじみやすいはずです。
出向者が留意しておくこと3:出向先になじめるように努力する
他部署への移動と異なり、出向ということになると、たとえもとの会社と雇用契約が残っていても、周囲は初めての人ばかりという状況になります。人見知りな性格の人にとっては、きつい状況ともいえます。
しかし、出向は、引っ越しなどと異なり、共通言語となる「仕事」を介して、自然になじんでいけます。仕事の話をしながら、相手の嗜好を伺い、徐々に雑談を交えていきましょう。
雇用契約した従業員を出向させる際はトラブルにならないように注意しましょう
雇用契約を継続したまま従業員を出向させる場合は、企業側としてはその仕組みを十分に理解したうえで実施しないとトラブルを呼び込んでしまう可能性があります。
トラブルを回避するためにも、従業員に出向を命じる際は、就業規則や社会保険、労働基準法関連事項などを踏まえ、出向者が理解し、納得できるようすすめる必要があります。