適応障害で休職する社員への「会社側の対応」ポイント8個|復職のポイント5つ

人事制度

適応障害とは?

「適応障害」とは、自分に起こった物事や現状から強いストレスを受け、酷い落ち込みや倦怠感、無気力などの色々な症状が現れる精神疾患です。

明確な原因がある場合がほとんどで、ストレスがなくなってから半年以内に症状が治まるケースが多いです。

しかし、適応障害と診断された後、数年もすればうつ病と見なされるケースも少なくありません。一度適応障害になると治るまでが大変なので、診断書があれば会社も対応してくれます。

うつ病と適応障害の違い

うつ病と適応障害の違いは、明確な原因の有無です。

まずうつ病は、発症の原因が不明確です。ストレスに弱く、ストレスがなくなってもすぐには治りません。うつ病にかかると、楽しいことがあってもなかなか楽しむことができませんが、薬を投与すれば治る病気です。

次に適応障害は、発症の原因が明確な場合が多いです。少しのストレスでも発症し、それが解消されれば次第に治る傾向にあります。薬ではなく、リハビリで治療します。

休職する社員を出さないためには

休職者を出さないようにするには、日頃から社員の健康状態の把握を徹底しましょう。

仕事の進み具合や勤務状態をよく確認し、体調が悪そうな社員に適切な対応をしていく事が大切です。悩みやすい人に関しては、定期的に面談を取り入れても良いでしょう。

仕事をしていると、色々な原因でストレスを受けます。そんな時は、話を聞くなどの対応をする事でストレスが緩和されます。合わせてうつ病についての知識も身に付けましょう。

適応障害・うつ病になった社員への「会社側の対応」ポイント10個

適応障害になると、会社で仕事をする上で色々な困難を感じるでしょう。もし自分が「適応障害」と診断されたら、会社はどんな対応をしてくれるのか、また現在の職場でも働き続けられるかを考えることが大切です。

しかし、現在の職場に残っていたいという場合は、職場に自分の状態を理解してもらう必要があります。

ここからは適応障害になった際、会社はどんな対応をしてくれるかをご紹介しますので、気になる方は参考にして下さい。

1:就業規則の規定を確認する

企業の就業規則には、どんな場合に休業を与えるかが詳しく記載されています。病気による休職理由がどのように定められているかを、就業規則で確認しましょう。適応障害に陥ったら、就業規則に基づいて会社で対応してくれます。

大きく分けて、業務外の傷病で1か月以上の休養が必要になる場合と、心身的な疾患によって通常に働くことができず、回復するまでに時間がかかる場合の二種類に分かれます。

2:医師の診断書を確認する

適応障害が原因で会社が対応するために、まずは医師からの診断書を提出しているかを確認しましょう。その際、医師から発行される診断書に病名だけでなく、「○カ月間の入院を要する」などの記載があるかどうかを確認することが必要です。

診断書を提出する場合、会社側は従業員に休職の対応をしても良いかどうかを判断しなければいけません。

3:休職する従業員の有給休暇の日数を確認する

有給休暇は労働者の心身状態を回復、維持するために使われる物なので、8割以上出勤した労働者に対して与えるのが原則です。そのため、適応障害で休職する場合は、有給休暇の対象にはならない場合がありますので確認が必要です。

休職中も雇用関係が続いている会社であっても、労働の義務がない場合は対応されないでしょう。ただし、普通に出勤できる状態で、何らかの理由で欠勤したい場合は有給休暇を取ることができます。

4:休職する従業員に休職制度の内容を正しく説明する

社員が適応障害で会社から離れる場合は、休職制度についての対応を説明する必要があります。

休職が許される期間は、就業規則によって定められた期間です。休職制度は必ず定める必要があるため、職場ごとで対応の幅が決まっています。

就業年数に基づき、休職期間をどれだけ長く定めているかが違います。また休職制度がない職場や、就業期間が一年未満でない場合は休職制度に対応していない会社もあります。

5:傷病手当金の申請方法を説明する

適応障害で休職している際に給与が出ない場合、健康保険から傷病手当金が下りる場合があります。傷病手当金を受け取れる条件は、病気で4日以上の休養を要する場合、最長で1年6ヶ月間は、給与額から約2/3の金額が健康保険から引かれる制度です。

従業員が休職をする際、経済的に困って無理に早く復帰してトラブルに陥る場合もあるため、傷病手当金について正しく理解し、会社側も申請にしっかりと対応しましょう。

6:厚生年金・社会保険の払い方の説明

適応障害で休職している際の社会保険料と厚生年金は、休職している場合でも適応されます。必要に応じて給付を受け取ることができ、厚生年金も適用されていますが、保険料は自分で納付しなければいけません。

自分で納付する場合は、会社の口座に本人が負担する分の金額を振り込む場合がほとんどです。しかし休職している場合は、収入が大幅に減っているため、自分で社会保険料を負担するのが難しくなってしまう場合があるでしょう。

7:休職者の業務引継ぎの段取りを決める

適応障害によって会社を休職する際は、業務の引き継ぎに関する対応について説明します。医師から一刻も早く休む必要がある事を言われている場合は、該当する社員を早めに休職させることが大切です。

休職期間が長くなる場合は、臨時に人員を増やしたりして、企業の運営を上手く回す必要があるでしょう。ただし、引継ぎが必要なのは緊急を要する職場や部署に限られるため、必ず対応しなければならないわけではありません。

8:休職中の連絡のとり方を決めておく

会社側が休職者に連絡する場合は、その手段や頻度は本人に従いましょう。2ヶ月に1回から1ヶ月に1回というように、徐々に頻度を多くしたり、メールだけのやりとりから直接会う形に変えたりすると効果的です。

本人と直接会って得られた情報をしっかりと記録し、主に産業衛生スタッフなどで共有することで、より手厚く対応できます。また、休職者に会う時は窓口を1つにしましょう。窓口が複数あると休職者が困惑するためです。

適応障害になった社員「会社側の復職の対応」ポイント8つ

適応障害から社員を復職させるには、休職期間が終わった際にその理由が消滅しており、会社が復職させても良いと認めることが条件です。

休職期間が終わった後に社員が復職を申し出た際、会社が指定する医師の診断に基づき、復職しても良いかを判断します。会社は休職者に対し、休職前に担当していた業務とは違う業務を任せる場合もあります。

ここからは、復職後の会社の対応をご紹介しますので参考にして下さい。

1:復職の条件を確認する

復職しても良いかどうかは、会社側が判断します。また、休職期間後も復職条件に合っていなければ、社員を退職させる可能性もあります。

「誰が、どんなタイミングで、何を基準に復職を決めるのか」という事を事前に確認しておきましょう。

復職は、通常は医師の診断書がなければ対応しません。しかし、診断書は単なる判断材料で決定的な物ではないので、復職するには会社が求める基準に能力が達している必要があるでしょう。

2:復職のタイミングを確認する

適応障害が治って復職する際は、体調がどれだけ回復しているかが見極めるポイントとなるでしょう。一般的に産業医面談の結果や、医師からもらった診断書を参考にします。予測より回復時間を要する場合は、再度休職の申請をしても良いでしょう。

また、リハビリ出勤が可能な職場もあるため、給与の有無や勤務時間によって復職が不安である場合は、休職期間が終わる頃にリハビリ出勤ができないかを会社に相談してみましょう。

3:復職時の勤務時間を相談する

適応障害による休職から復職して、すぐにフルタイムで勤務する人もいれば、最初は短時間の勤務から徐々に勤務時間を増やして体を慣らす人もいます。自分は大丈夫のつもりでも、復職したての頃は意外と疲れやすいので無理は禁物です。

会社ごとで定められているルールにもよりますが、病院や会社によく相談して体調に気を付けて業務に励みましょう。また、勤務時間だけにこだわらず、周りの環境や対応などに気を配る事が大切です。

4:職場環境の問題を解決する

適応障害が治って復職しても、職場環境に問題があったら意味がありません。職場環境が原因になっている場合は、環境調整を一度行ってみると良いでしょう。

周りの環境や通勤といった物理的な部分をはじめとし、人間関係なども見直すことが大切です。

その会社で行っている業務内容、出社時間、職場の環境といった条件を一つずつ確認しながら、どれが適応障害の原因となっているかを見つけておきましょう。

5:仕事内容の問題を解決する

適応障害が治って復職しても、体が慣れなくて十分に業務に取り組めない事が多かったり、周囲とすれ違いが多かったりする事があります。しかし、会社は色々な人がたくさんいる場所であるため、体を壊す従業員を全員管理することはできません。

業務を行う上で発生するリスクに注意し、適切に社員一人一人を管理することで、誰でも快適に業務に励める職場作りを心がけましょう。

それを成し遂げられれば、会社は円滑に回ります。

6:医師から復職可能の診断書提出を求める

休職中においても、通院の頻度や面談の報告、診断書の提出が求められる企業があります。たとえ休職しても、その職員が安心して復職できるよう、会社側は定期的に電話でホウレンソウをする事が大切です。

休職や復職に関する法律は定められていないので、企業ごとでルールが異なります。休職前に復職するための条件をしっかり決めておきましょう。

休職期間が明ける頃に、事前に決めた条件に基づき復職に関する相談をしましょう。

7:復職時の業務内容の相談

復職しても業務内容への対応が難しく、ストレスの原因になってしまう場合は部署の変更を会社に相談しましょう。ただし、部署を変えられたとしても、新しい環境に溶け込む際にストレスがかかる可能性もあるため注意が必要です。

心身の疲労が溜まるとストレスを抱えやすくなるため、適応障害がある人は規則正しい生活を心がけましょう。ストレスを溜めないように、軽いストレッチをするとストレスを抱えにくくなります。

8:部署の配置や仕事内容の配置の相談

会社での対応として、部署や仕事内容の配置転換をしてくれる事がありますが、人事配置を行うごとに部署の配置を一々変えていたら仕事にはなりません。

復職する人に関しては、元の職場で就業ができる状態まで回復すれば業務上問題ありません。

普通の職場で、心身ともに正常な社員に不都合が生じたら、本人に問題がある可能性が高いでしょう。その場合は時間に多少の余裕を持たせ、対応できるかを本人に考えさせます。

適応障害になった社員の会社側の対応を知っておこう!

適応障害は、自分に降りかかった事や周りの環境によって発症する精神疾患です。そのため職場の環境を変えることは、心身を安定させるために重要なので、医師と相談しながら治療に専念しましょう。

ストレスの原因を理解し、周りの人に助けを求めれば、その職員の適正に合う仕事がきっと見つかるでしょう。

適応障害は適切な処置で早めに治るので、治療に専念しつつも、ストレスがかからない環境を探していく事が何よりも大切です。

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