解雇の意味と定義
解雇とは使用者側が行う一方的な労働契約の解除です。解雇するには理由が必要ですが、一般的は重大な不祥事を起こしたときに解雇されます。
労働者側に会社を辞める権利を与えられているように、使用者側も解雇する権利が与えられています。
使用者に労働者を解雇する権利はありますが、解雇するときは法令に定められた手続きを踏む必要があります。しかし特別な事情があれば、この限りではありません。
解雇と自主退職の境界
解雇に3つの種類がありますが、いずれも自主退職とは意味が異なります。解雇の場合は会社都合退職になり、自分の意思は関係ありません。
自主退職は会社の意思に関係なく、自分の意思だけで決める退職です。自主退職するときは法律上は最短2週間で退職できますが、会社の就業規則も関係してきます。
解雇と自主退職は別のものですが解雇には悪いイメージがあるので、会社側が自主退職を推奨することがあります。
解雇の種類3つ
解雇の種類は1つではありません。解雇には3つの種類があります。解雇の種類によって今後の身の振り方が決まるので正確に理解しましょう。
解雇される理由はさまざまですが、以下では解雇の事例を紹介します。事例の中には、いつ通告されてもおかしくないものがあります。解雇の理由に不服がある場合は関係機関に申立てできますが、証拠となる書類が必要です。
1:懲戒解雇
懲戒解雇はニュースでよく聞く言葉ですが、会社の秩序や信用を著しく損なう行為をしたときに下される処分です。
懲戒解雇を行う場合は客観的合理性と、広く社会に認められる社会的相当性が必要です。客観的合理性も社会的相当性も法律用語で、意味がわかりづらいです。
以下では懲戒解雇に相当する一般的な事例を紹介しています。事例の中には時代を反映したものもあります。
業務上の地位を利用した犯罪行為
業務上の地位を利用した犯罪行為も懲戒解雇の理由になります。地位を利用した犯罪にはさまざまな種類がありますが、一般的な事例を紹介します。
・不正経理による横領
・架空取引を計上して利益を得る
・顧客情報の悪用
犯罪に悪質性がなければ刑事罰の対象にならない可能性はありますが、懲戒解雇の理由としては正当です。
会社の名誉を著しく害する重大な犯罪行為
会社の名誉を著しく害する重大な犯罪行為も、懲戒解雇の理由になります。これらの犯罪の種類には以下のものがあります。
・常習的な飲酒運転で人を殺めた
・常習的な猥褻行為
・殺人や強盗で逮捕された
これらの犯罪が仕事中以外であっても関係ありません。会社の活動は信用の上に成り立っています。そのため社員の重大な犯罪行為には、厳しく当たるケースが大半です。
経歴の重大な詐称
経歴の重大な詐称も懲戒解雇の理由になります。経歴の重大な詐称には以下の種類がありますが、会社によっては調査会社に依頼し調査することがあります。
・就業の事実のない会社を履歴書に記載した
・就業した事実のある会社を履歴書に記載しなかった
・高卒なのに大卒と履歴書には記載した
・過去の職歴の勤務年数を大幅に長くした
会社は学歴や職歴で応募者を判断するので、履歴書や職務経歴書に重大な詐称があれば問題です。
長期間の無断欠勤
長期間の無断欠勤も懲戒解雇の理由になります。連続無断欠勤は当然懲戒解雇の理由になりますが、短期間であっても頻繁である場合は理由にされます。主な種類を紹介します。
・週に2日だけ出勤して残りは無断欠勤
・月の前半は真面目に出勤するが、後半は無断欠勤
・通常は真面目に出勤するが、夏の間だけは長期の無断欠勤
極端な例ですが、いずれの無断欠勤も業務に悪影響を与えるので許されません。
セクハラ・パワハラ
セクハラやパワハラも懲戒解雇の理由になります。セクハラやパワハラは最近注目されてきた言葉ですが、さまざまな種類があります。
・女性従業員の体を執拗に触る
・女性従業員に対して猥褻な言葉を繰り返す
・車内で強引にキスを迫る
・罵詈雑言を繰り返し部下を精神疾患に追い込む
・部下に土下座を強要する
セクハラやパワハラは比較的新しい言葉ですが、事例の種類は多いです。これからも増えると予想されます。
懲戒処分を受けても同様の行為を繰り返す
懲戒処分には戒告がありますが、戒告の場合は引き続き仕事に就くことができるので、生活が脅かされることはありません。
しかし同じ行為を幾度も繰り返すと、重い処分が下される可能性があります。重い処分の最高は懲戒解雇ですが、そうなれば路頭に迷います。
戒告を受けたものは真摯に自分の過ちを認め、更生する努力をしなければいけません。仏の顔も三度までです。
2:普通解雇
普通解雇は、労働契約の継続が難しくなったときに下されるのが一般的です。そのため解雇の理由に合理性がなければいけません。以下の事例の種類は認められません。
・思想に賛成できない
・生理的に嫌いだ
これらの判断は感情に起因している部分が多く、合理性があるとは言えません。合理性のある理由の種類としては以下があります。
・体が不自由になり正常に仕事ができない
・精神的な病で正常に仕事ができない
3:整理解雇
整理解雇とはリストラのことですが、最近は増えてきました。この場合は会社都合の退職になるので、失業保険は手続き後に直ぐに受給できます。
整理解雇には正当な理由がなければいけません。正当な理由の種類は以下です。
・人員整理の必要性
・解雇回避努力義務の履行
・解雇する従業員選定の合理性
・手続の相当性
諭旨解雇とは
諭旨解雇は懲戒解雇の一種ですが、当事者のことを考えた温情解雇と言えます。本来は即日解雇に値することでも、当事者の反省次第では諭旨解雇になることがあります。
諭旨解雇の場合は退職金が全額支払われる可能性があるので、当事者にとってはありがたい措置です。
しかし諭旨解雇にするかどうかは企業の判断に委ねられているので、真剣に反省の色を示すことから始めなければいけません。
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懲戒処分の種類
懲戒処分には種類があります。懲戒処分の種類によっては、引き続き同じ会社で働くことができます。
以下では懲戒処分の種類を紹介しますが、一度は見聞したことがあるでしょう。懲戒処分の種類によっては生活方法を改めなければいけないので、正確に意味を把握しましょう。
種類1:戒告・譴責
戒告処分と譴責処分は共に軽い処分ですが、一般的に戒告処分は口頭での注意が多く、譴責処分は書面での反省が求められます。
いずれも労働者の将来性を考えた処分ですが、度重なると重い処分に移行する可能性があるので、二度と同じ過ちをしないようにしましょう。
種類2:減給
減給処分は軽い方の種類ですが、減給されることで生活スタイルの変更を余儀なくされるので、家庭を巻き込む可能性があります。
減給処分の額には規定があり、規定を超える減給は認められていません。減給に関する規定は以下の文言を参考にしてください。
1:1回の額(すなわち、1件の懲戒事案についての減給額)が平均賃金の1日分の半額を超えてはならない。2:数件の懲戒事案について減給処分を科す場合、その総額が一賃金支払い期において現実に支払われる賃金の総額の10分の1を超えてはならない。
種類3:降格
降格は職位を引き下げる懲戒処分の種類ですが、2種類あります。懲戒処分としての降格と、人事権行使としての降格です。
懲戒処分としての降格の事例には規律違反があります。人事権行使としての降格の事例には、能力的な問題があります。能力が足りないので職位を下げます。
種類4:出勤停止
出勤停止は懲戒処分の一種類ですが、一定期間就労が禁止されます。法律は出勤停止の上限を定めていません。
しかしあまりにも長い出勤停止は業務に支障を来すので、一週間ないし1ヵ月以内が多いです。1ヵ月以上の出勤停止は、懲戒休職や停職に区別されることがあります。
解雇の種類や懲戒処分の種類を把握しましょう
解雇や懲戒処分の種類によっては、今後の身の振り方を決めなくてはいけません。そのため解雇と懲戒処分の種類を知ることは大切です。
種類と内容を知ることで、適切に異議を申し立てることができます。解雇は家族共々路頭に迷う可能性があるので、不服がある場合は意義を申し立てましょう。
法律家ではないのですべての解雇と懲戒処分の種類を覚える必要はありませんが、記事で紹介したことは必要最低限の知識です。