昇給とベースアップの定義
昇給とベースアップは基本的に同じで、どちらも給与が上がることを意味します。
近年の働き方の多様化で、転職をする人が増えています。さらに無料で利用できる転職サイトも増え、テレビCMなどでも、さまざまなサイトの名前を耳にする機会も多くなりました。
しかし、いざ中途採用に臨もうとした場合、そこには給与面での問題が浮上してきます。キャリアによっては早い段階での昇給も望めるでしょうが、十分な確認が必要です。
定期昇給
「定期昇給」とは、企業が定めた年次昇給のことを意味します。
定期昇給の時期は決算月の翌月などが多く、中途採用者であっても、ほとんどの人は1年勤務することで定期昇給を受けられます。
しかし最近では、経営不振や業績の悪化に伴い、定期昇給がされない企業もあります。そもそも、定期昇給は必ず行わなければならないという性質のものではないので、個人の評価によっても金額の差は開きます。
不定期昇給
不定期昇給では、評価の高い個人が特別に昇給を受けるケースが多いです。
中途採用者の場合は、入社時の評価よりも入社後の評価が高くなった場合に給与がアップすることもあります。他にも営業職など、個人の成果で給与に影響が出る職種の場合も、不定期昇給がある場合があります。
一般的には、不定期昇給のある企業は少ないですが、個人のモチベーションを上げるために不定期昇給を取り入れている企業もあります。
ベースアップ
ベースアップとは、基本給が上がることです。中途採用者の場合は、入社後1年以上経過してからベースアップされることが多いです。
昇給の場合は、基本給ではなく、職務手当などの特別な手当てとして行われるケースが多いという違いがあります。
ベースアップによって基本給が上がると、少なからずボーナスにも反映されます。ボーナスは基本給に基づいて計算されるので、基本給が多ければ年収が上がることになります。
ベースアップは企業にとっては負担増
給与がベースアップされると、基本的に下がることは少なく、企業にとっては負担が大きくなります。近年のベースアップは、年に約5000円から1万円の範囲が平均であると言われています。
しかし、平均よりもベースアップの金額が低い企業も多く、個人の能力によってもその幅は大きく異なります。ベースアップすれば企業の固定費が上がるということなので、業績が振るわなければベースアップは難しいと言えるでしょう。
中途採用の昇給の扱い4選
転職を考える上で、次の会社の給料は気になるところです。中途採用者における昇給があるのかどうかなど、実態を把握してから転職活動を行うことも得策です。
一言で中途採用といっても、人によって事情は異なります。ヘッドハンティングなどの場合では、昇給があるケースも多々ありますし、採用先の要望に応えることで、昇給につながる可能性も十分に考えられます。
続いて、中途採用の昇給の扱いについてご紹介しましょう。
中途採用の昇給の扱い1:中途採用は昇給がない場合もある
中途採用で入社した場合のほとんどは、昇給は期待できません。どのタイミングで入社するかにもよりますが、入社2年目以降から昇給の可能性が出てきます。
たとえば入社時期が決算月であった場合、ちょうど1年後に定期昇給があり、この際に初めて昇給されることがあります。
しかし、試用期間のある企業では、その期間を終えて1年以上経過してから、初めて昇給がある場合が一般的でしょう。
中途採用の昇給の扱い2:中途採用は給料額の見直しがあることもある
中途採用では、即戦力になれる人材を求めています。今までの経験を活かし、新卒のように教育しなくても、すぐに会社に貢献できることが前提です。そのため、同じ職種で転職をすることが有利になります。
前職と求人先の職種が同じである場合は、試用期間中であっても、個人の能力や経験において昇給される場合もあります。
しかし、これまでの経歴と関連しない職務内容であれば、昇給は難しいという事を押さえておきましょう。
中途採用の昇給の扱い3:昇給の時期は実績によるところもある
昇給の時期は、実績により随時アップするという企業もあります。
たとえば、個人評価を強く行っていたり、企業の経済状況が上昇していたりする場合です。ただし、昇給は実績により異なるため、入社時はあくまでも昨年までの実績ということになります。
入社時に昇給があると聞いていても、昇給がない年があることは十分に考えられます。また、昇給が少ない場合だと、数百円単位という場合もありますので心に留めておきましょう。
中途採用の昇給の扱い4:中途採用の方が実績や能力は見られがち
中途採用の場合の昇給は、実績だけではなく、個人の能力の評価によって決定されることがあります。
新卒は職務経歴がないために、新年度は横並びのことが一般的ですが、中途採用に関しては個人の能力の評価が大きく関わって来ることがあります。
転職によってスキルアップに成功した人であれば、大きな昇給や昇格も期待できます。転職の際には、企業の口コミなどをチェックして内情を探るのも良策です。
中途採用では採用時の賃金や待遇の交渉も可能
中途採用では、面接時に今までの職務内容と企業が求める人材や仕事内容のすり合わせをします。
どれだけポジションマッチするかによって給料が決められるのが、中途採用と新卒採用の大きく異なるポイントでもあります。
中途採用の場合、採用時に職務経歴をアピールして、給料の交渉を行うことも可能です。面接時には、勤務条件を始め職務内容など、確認されることがたくさんありますので、アピールポイントを作っておきましょう。
賃金や待遇の交渉には具体的なビジョンも必要
中途採用で給料の交渉をするためには、具体的なビジョンが必要です。「ただ単に給料を高くしてほしい」ということは認められない可能性が高いです。
自分が中途採用で入社することによって、その企業にどのように貢献できるか、何を成し遂げられるかなど、できるだけ具体的に伝えましょう。
「面接時はもう仕事が始まっている」というくらいの意気込みで臨んで下さい。
賃金や昇給の交渉の注意点
中途採用で賃金の交渉を行う際には、自分の価値と給与の相場をしっかりと理解した上で行いましょう。
あまりにも相場から外れた金額を提示してしまうと交渉の余地がありません。求人内容に掲載されている金額以上の交渉は、基本的には難しいと考えましょう。
ただし、入社後にプロジェクトを成功させたり、自分の実績を作れたりした時には、十分に給料の交渉を行う余地があります。何も功績のない段階での交渉は避けましょう。
一般的な賃金制度7つ
応募者は、中途採用で就職先を決める際に、給与の総額だけでなく賃金制度を確認しておきましょう。賃金制度はたくさんありますが、基本給以外は入社後に減額される可能性があります。多くの手当は基本給とは異なる査定です。
次に、基本給以外の賃金制度についてご紹介します。役職や職務内容によって、賃金制度は異なります。給料の比較をする上で、転職をお考えの方はぜひ参考にして下さい。
一般的な賃金制度1:職務給
「職務給」の付与は、仕事の内容や職務の難易度によって判断されます。簡単にいえば、「成果主義」ということです。中途採用でベースアップがない場合でも、職務給での昇給がある場合があります。
たとえば、仕事に関わる資格などを取得した際に職務給がアップすることがあります。職務給は不定期で付与されるため、仕事のモチベーションにもつながるという側面があります。
また、年齢による職務給の違いも見受けられます。
一般的な賃金制度2:職能給
「職能給」は、社員の労働能力に基づいて支払われる給与です。職務給と似ていますが、個人の能力が評価される点が異なっています。
「職能給」は能力やスキルに応じて支払われるため、個人の遂行能力が問われます。職能給を取り入れている企業では、「仕事の向上心につながるメリット」として考えているケースがあります。
しかし、成果主義を優先する企業では、職務給の方を取り入れる企業も増えています。
一般的な賃金制度3:年齢給
年齢を重ねることで給料はアップしていきますが、この場合はベースアップではなく「年齢給」で支払われます。
年齢給の場合は、基本的にその年齢における生活水準に比例した金額となります。新卒に比べ、年配の方は家族を養うためにお金が必要です。年齢を重ねるごとに職務経験も豊富になるので、必然的に給料も上がります。
しかし、年齢給も給与改定により増減することがあり、業績によって左右されるという事が言えます。
一般的な賃金制度4:勤続給
「勤続給」は同じ会社での勤続年数を問われるため、社会経験の年数とは異なります。
勤続給は、勤続年数が長くなればなるほど上がる仕組みでなので、中途採用で入社した場合は、基本的に付与されません。
その中にも、僅かながらも社員平等に勤続給を支払っている企業も多くあります。しかし、最近では年功序列という日本の文化が薄くなり、勤続給を廃止する企業も出て来ています。その場合は、職務給などで評価されます。
一般的な賃金制度5:家族給
「家族給」は家族手当ともいわれており、扶養家族が多ければ多いほど金額も上がります。
内訳としては、配偶者や子供にそれぞれの金額が設定されています。家族給は中途採用で入社した場合でも、入社当時から発生します。
基本的に、家族給は企業が定める一定の金額で支払われ、増減はありません。結婚したり、子供が生まれたりした時に自己申請することで支払われます。
中には家族給がない企業もあるため、入社時に確認しましょう。
一般的な賃金制度6:職責給
「職能等級別査定別定額職責給」は、管理職に支払われる手当のことを言います。そのため、中途採用で入社した場合でも、管理職としての入社であれば職責給が支払われることもあります。
職責給は職能給の一種でもあり、業務課題に対して大きく貢献できると評価されている人材に支払われる特別手当です。
したがって、若手社員に職責給が支払われることはとても珍しいでしょう。
一般的な賃金制度7:業績給
業績給とは、個人の業績の査定に応じて発生する給与です。したがって、業績が悪い年には発生することが少ないでしょう。よく勘違いされている業績給ですが、必ずしも会社の業績と比例するわけではありません。
それでも個人の成績が上がれば企業の成績アップにもつながるため、企業の業績が良い場合に見直されることが多いです。
基本的には、営業やタクシードライバー、保険の外交員などの職種で個人の業績が査定されます。
中途採用者の昇給について理解しましょう
この記事では、中途採用の昇給の扱い4選と昇給とベースアップの定義についてご紹介しました。
転職することで年収をアップさせられるとは限りませんが、スキルアップや職能を磨くことで昇給につながることは十分にあります。自分を磨き、能力をアピールすることで給料の交渉をすることも、昇給のための秘策です。
せひ、転職を考える際の参考にして下さい。