労務の所属先は企業によって違う
労務とは、会社の大小に関係なく労働者を雇う限り必要な業務です。主に労働に観する事務処理をおこない、雇用している労働者が安全で安心して働ける環境をつくります。労務があることで労働者は安心して働け、円滑に作業が進められるようになります。
労務の部署は、会社によって異なります。どのようなパターンがあるのか見ていきましょう。
労務・人事・総務がそれぞれ部署として独立している
労務部、人事部、総務部それぞれの部署を分けた独立型のパターンです。労務が他の部署の仕事を兼任しないので仕事がシンプルになりトラブルも減るでしょう。それぞれの部署を独立するケースは、労働者が多い大企業に見られるパターンです。
大企業になると労働者が増えるので、兼任してしまうと仕事量が膨大になって一人への負担が増えます。専属の部署を作ることで負担は減り、業務をスムーズに進めることができます。
人事部で人事と労務の両方を行う
労務と人事は仕事内容がとても似ているので、規模の小さい会社ですと兼任する事が多いでしょう。労働契約や社員の仕事管理、給料に関する事が業務になります。総務としての仕事は、給与計算や勤怠管理を行い、社員の仕事管理をしつつ昇給を検討する役割も任せられます。
人事と労務を兼任すると非常に仕事が増えるので、比較的規模の小さい会社がこのパターンになるでしょう。人事部で労務をすることで、社員の人間に関する業務を統括できます。
人事部で人事を行い総務部で労務を行う
総務部は会社のなんでも屋さんとも呼ばれ、多くの雑務をこなします。このパターンの場合は、人事に関わることはありませんが、会社内の事務処理を行いながら人にかかわることになります。組織としてはスマートな編成ですが、一人の仕事量が増えないように気を付ける必要があります。
総務部で人事や労務の業務を担い給与や賞与の計算は経理部が行う
人と金を別に考えるパターンです。総務部は会社のレベルアップを目指して頑張る部署ですから、人の管理をすることで目標に近づけるメリットがあるでしょう。給与計算は完全に経理が行うので、会社全体の関係を見渡しながら人の管理ができます。
総務部は社内の情報を良く理解しているので、労務に関する仕事もスムーズにできるでしょう。一本化する事でスマートな組織になり業務が円滑に進むでしょう。
人事と労務の仕事内容の違いは?
会社によっては、人事部が労務の仕事をするケースもあります。厳密に考えると労務と人事の仕事は違いがあります。ここでは、それぞれの仕事内容について詳しく調べてみましょう。
人事の仕事内容
人事の仕事は、人に関わる内容が主です。企業がこれから採用する人材に関わり、社内を活性化します。すでに働いている人の問題にも向き合いますから、人に関する仕事が多岐に渡ります。労働者採用の時期になると非常に忙しくなる部署でしょう。
人事部とはどのような仕事をしているのか、具体的に見ていきましょう。
人事の仕事内容1:人事企画
人事の仕事の中で関心が高い人事企画、専門性が高い内容です。人事制度企画立案と呼ばれ、人事の仕事に関心のある人はこの仕事に憧れます。人事で企画を任されるには、会社内の事を良く理解し各部門の役割も把握する必要があります。企画内容によって社員の成長を促すことになるでしょう。
企画の内容によっては、専門コンサルティングの力を借りていくことになります。人事の仕事の中でもやりがいを感じる仕事です。
人事の仕事内容2:採用活動
人事部の仕事で真っ先にイメージするのか、採用の仕事でしょう。新卒者の採用には経団連の方針を受けてスケジュール管理をします。現在の市場は人材不足で売り手市場です。企業通しの争奪戦が激しくどこよりも早くアプローチをかけなければなりません。
人事部ではひとりでも多くの優秀な人材を確保するために、早い時期から採用活動を行います。採用活動には、志望者を増やすテクニックや人を見極める力が必要になります。
人事の仕事内容3:教育・社内研修
人事部では、社内外で行われる研修についても考えます。新入社の研修はもちろん、昇進や昇格のタイミングで研修する事もあるでしょう。人事部は、研修スケージュールを決めたり予算を決定します。
研修によって成長するように、ビジネスマナーやスキルアップを目的とします。研修後は成果の管理と確認を行い、成果の認められない人には再研修を用意します。会社によっては海外研修を行うケースもあるでしょう。
人事の仕事内容4:評価制度
人事部では社員の昇進、昇給など労働者一人一人の処遇を決定する役割があります。労働者のキャリアプランや個人のスキルや能力の見極めも必要などで、キャリア担当の人と連携して行うケースもあります。
労働者を評価する時は、業務結果や取り組み方、保有している能力や知識を客観的に考える事です。公正に行う必要があるため、自己評価や面談を行い、何度か評価を重ねて最終的に会議で決定する事になります。
人事の仕事内容5:配属先の決定
人事部では、配置や異動計画も行います。異動に関しては、労働者のニーズを満たせるように最適な配置ができるように考えます。評価制度の時と同じく。ここのキャリアプランや能力開発にも関わるため、キャリア担当と連携して行うケースもあるでしょう。
異動は会社が一方的に決めること以外に、社内の制度や自己申告制度をとっている企業もあります。配置の計画をしたら選考業務や手続きをします。
人事の仕事内容6:モチベーション管理
社内の人事によってモチベーションが左右され、業績にもつながります。人事部ではモチベーションを上げられるように、適材適所へ配置する必要があります。モチベーションは外発的動機付けをしても上がることは無く、会社の理念を理解する事でイキイキとした仕事ができるようになります。
労働者が目指す姿や価値観を見極めて使命を与える事です。人事部では人を見極め、ベストな部署へ配属する事が与えられた役割になります。
労務の仕事内容
労務の仕事はとても幅が広いです。重要な仕事内容が多くあるので正確な作業が求められます。これから労務の仕事に就きたい人はよく確認しましょう。代表的な労務の仕事内容を紹介します。
労務の仕事内容1:勤怠管理
労務が行う勤怠管理は、出退勤の時間、時間外労働、休憩、出欠勤日数、休日出勤、有給の管理です。就労規則に反していないかを確認して的確にに処理します。このデータを使用して人事の評価や給料が決定する重要な役割になります。
勤怠管理がきちんとできていない会社は、法令に触れる事態を見過ごしてしまうため、労務の役割がとても大切になります。
労務の仕事内容2:給与計算
勤怠を管理したら、そのデータをもとにして給与計算をします。企業によって給与計算は経理部がする事もありますが、小さな企業では経理と労務の仕事をこなすことになり給与計算も仕事の一部になります。
給与計算をする時は、健康保険法や厚生年金について、就業規則や雇用契約内であるかを確認します。このデータを基にして、税金を納付するので労務には正しい給与計算が求められます。
労務の仕事内容3:年末調整
労務では年末調整を担当する企業もあり、12月になると繁忙期を迎えることになります。年末調整は毎年必ず行われる業務で、正しい計算が求められます。年末調整とは、毎月の給料で天引きされた所得税を正しく計算しなおして請求する業務です。所得税が決定される年末に行われる業務で、従業員に代わって労務が計算をします。
時期になったら書類を配布したり、必要書類の提出を促します。正しい金額を確定することで、所得税の還付や追加徴収が行われます。
労務の仕事内容4:社会保険・労働保険の手続き
労務は、社会保険の手続き業務を代行する仕事もあります。労災保険に加入している企業では、労働者が業務中や通勤中に負傷したり病気になると労災保険が適用されます。被災した労働者や遺族を保護する目的の保険ですから、社会復帰できるようにサポートします。
保険の手続きに関しては、専門的知識が必要です。労務の仕事をする人は、良く理解しておく必要があります。
労務の仕事内容5:入社・退職の手続き
労働者が入社や退社をしたら手続きが必要になります。人事部と兼任している労務の場合、手続きが必要になります。入社する人が決まったら、労働条件を確認して採用通知書や必要な書類を発送します。雇用契約書を作成して、後日渡します。入社時にはとても多くの書類が必要になります。
労務では書き忘れの無いように確認して書類を作成していきます。退職時には、退職説明を行い雇用保険や年金の手続きをします。退職金の計算や有給休暇の確認をします。
労務の仕事内容6:就業規則・諸規定の作成と運用
就業規則や賃金規定、退職金規定などの規則を管理するのも労務の仕事です。特に、就業規則は会社の中心的規則になり、憲法や法律に基づき作成し遵守します。常時10名以上の労働者がいる会社は、労働基準監督署に就業規則を届け出する必要があります。
作成された内容に沿って労働者が働けているかを管理し、常に働きやすい環境を作るのも労務の役割です。
労務の仕事内容7:福利厚生業務
企業で働く従業員は健康保険、厚生年金保険、介護保険、労災保険、雇用保険に加入する必要があります。労務は、これらの保険を管理して労働者が働きやすい環境を整備します。福利厚生業務には法で義務付けられた法定福利と、任意で与える法定外福利があります。
法定外福利には、家庭生活やモチベーションをアップする内容の福利厚生を用意できます。例えば、誕生日休暇やペットの忌引きなど、会社によってさまざまな種類があるでしょう。
労務の仕事内容8:安全衛生管理
労務の仕事は、労働者の安全と健康を確保するため労働安全法を守った衛生管理を行う必要があります。代表的ものが健康診断で、健康を維持するための指導も行います。
企業によっては、定期的にストレッチをしたり、毎朝ラジオ体操をするところもあるでしょう。労務は労働者が安全で健やかに働けるような会社を目指します。
労務の仕事内容9:健康診断の対応
労務は上記でお話ししたように健康診断の対応もすることになります。毎年一回、健康診断を行ったら、その結果について医師から意見を聞いて実施後の措置を考えます。検査結果が悪い労働者には二次検査をすすめたり、健康保持のためにアドバイスもします。
健康診断の対応は専門知識が必要になりますから、担当した医師とコミュニケーションを取って労働者へ伝えることになるでしょう。
労務の仕事内容10:労務トラブル対応
労務の仕事は、基本どおりに行われて労働者との関係が円滑ですと問題になりません。しかし、労働者にはさまざまなタイプがおり、労働問題が起こることがあります。労務が行う仕事は、比較的トラブルの多い内容です。
中でも、給与、勤怠管理、規則既定の罰則についてトラブルに発展しやすい傾向があります。給与に関しては、入社前の話と食い違うケースがあるので、必ず書面で残しておきましょう。
労務の仕事内容11:業務改善の取り組み
総務部に所属している労務ですと業務改善の取り組みが求められます。業務を改善して仕事をスムーズにしたいのはどの会社でも同じです。労働者がどのような問題を抱えているのかをヒアリングし、問題点を整理します。
会社と話し合いをして、改善できる点は改善策を提案し決定します。労働者と会社の間に入ってより良い業務改善を目指す取り組みをします。
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労務に向いている人の特徴8つ
労務の仕事は会社によって違いはありますが、専門的な仕事内容ですから向き不向きがあります。能力を発揮するために自分に向いているか確認してみましょう。労務に向いている人の特徴を8つ厳しました。
労務に向いている人1:専門性が高い
労務の仕事は法律に従いながら進めていく内容が多いため、専門的知識が多く学べます。税法や労働基準法に関する知識や正確な計算能力も試されます。働きながら専門的な知識を身に付けキャリアアップする事も可能です。
もし、転職をすることになっても、身に付いた知識を活かして次の仕事を見つけることができるでしょう。
労務に向いている人2:事務能力が高い
労務の作業は会社によって大きく違いますが、事務処理を多く任されるケースもあります。事務能力が高いほど、正確でスピード感のある作業ができるでしょう。ジム能力が高いとされる作業を見ていきましょう。
デスクワークが得意
労務の仕事は多岐に渡りますが、デスクワークもあります。時期によっては長時間デスクワークになる場合もありますから、苦にならない人が向いているでしょう。デスクワークが得意な人は、仕事内容を的確に判断して、スピード感を持って取り組める仕事ができます。
マニュアルやチェック表などを上手に作成して、スムーズに仕事ができる人に労務は向いているでしょう。
PCスキルが高い
最近の企業ではデータ化してパソコンで管理しています。パソコンを全く使ったことが無い人は労務として働くのは難しいでしょう。パソコンの基本的なスキルは必要です。
パソコンのスキルが高いほど仕事がラクになりますが、ブラインドタッチができて、ワードやエクセルの基本的な操作ができるレベルでも問題ないでしょう。
仕事によっては、高スキルを求めてくる企業もありますが、労務の仕事は書類の手続きや給与計算が多いので基本的なスキルを身に付ければ良いでしょう。
コツコツとした作業が好き
労務の仕事では計算作業が多いです。非常に単調な作業になりますから、コツコツとした作業が得意な人に向いているでしょう。同じ作業を飽きずに正確にできる能力は求められます。コツコツとした作業が得意な人ほど、正確な計算ができるようになります。
また、労務の仕事は書類をチェックする作業も多いです。細かな内容を確認していくので、緻密な作業が得意な人ほど向いています。
計算の正確さや早さに自身がある
労務の仕事にはお金の計算があります。労務が行った計算を基に、給料が支払われたり税金が計算されます。場合によっては退職金の計算も任されるでしょう。計算の部分が不正確ですと労働者とトラブルになるので注意が必要です。
計算を正確にでき、決められた日時まで仕上げることができる人に向いているでしょう。
労務に向いている人3:常に向上心を持ち続けている
労務の仕事は多岐に渡り、会社の仕組みについて学ぶこともできます。将来、会社経営をしたいと考えている人にも向いている職業です。将来企業を考えている人は、向上心を持ちながら仕事に取り組めるので、どのような制度があれば経営に負担をかけずに労働者が快適に働けるかをアドバイスできます。
将来企業をしたい人は知識が財産となり、成功へのステップアップになるでしょう。
労務に向いている人4:秘密保持の姿勢
労務の仕事は秘密事項が多く、個人情報にも多く関わります。労働者の上や、今後発表される人事では口外はできません。口が堅く、秘密が守れる人に向いています。労働者から相談を受ける事もあるので、一人で内容に向き合いながら解決定していく場面もあるでしょう。
労務には、秘密を他言せずしっかり向き合う姿勢が必要です。
労務に向いている人5:コミュニケーション能力に自信がある
コミュニケーションは、人とのやり取りでお互いの意思疎通をスムーズにする能力です。労務の業務だけではなく、働く人にとって重要な能力となります。コミュニケーションとは、相手に理解させ説得する力や論理的に伝える力を重視します。
労務では難しい書類を知識の無い人に書いてもらったり、専門的な内容を説明する場面も多くあります。コミュニケーション能力が高い方が、スムーズな仕事ができるでしょう。
労務に向いている人6:おおらかな人
労務の仕事は、人とコミュニケーションを取りながら進めていく仕事が多いです。人それぞれの考え方があり、理解に苦しむこともあるでしょう。ストレスを多く抱え込むこともあるので、おおらかな考え方ができる人が向いているでしょう。細かいことにこだわらず、少々わがままを言われても笑って許せる人が最適です。
自分の考え方をもって、おおらかな気持ちで人と接する事ができる人に向いています。
労務に向いている人7:集中力のある人
労務の仕事は企業によって差がありますが、計算関連の仕事や重要書類の作成も任せられます。ミスがあると取り返しのつかないことになるので、集中力を持って仕事に取り組める人が向いているでしょう。完璧な仕事内容が当たりまえの仕事です。
そして、労務は労働者と多く接する仕事内容になります。労働者の味方であり、頼られることが多くなります。突然、相談を受けて予定外の仕事抱えるケースもあるでしょう。
労務に向いている人8:ホスピタリティのある人
労務に向いている人は、思いやりがある人です。誰かに対して奉仕する事が、苦ではない人が最適です。労務は、常に労働者に対して思いやりを持って接する必要があります。
労働者が抱えている悩みに寄り添って、改善策を考えます。労務の業務は、労働者のサポート役に徹することができる人に向いています。
労務に活かせる資格
労務の仕事内容を読んでみて、将来労務の仕事してみたいと憧れる人もいるでしょう、しかし、労務の仕事は「労務募集」と言った案件はありません。これから労務の仕事をしたい人は、入社したい会社に労務の仕事があるのか聞いてみましょう。
労務として働くのに有利になる資格を取得して就活に役立てましょう。
労務に活かせる資格1:社会保険労務士
社会保険労務士は、保険や労働関係の法律をマスターしたスペシャリストです。企業に就職して人事や労務に関する専門家として活躍する事ができます。専門知識があるので、社会保険に関する書類作成や申告や給付の手続きもできます。
これらの作業は総務部で行う会社もあるので、将来、総務で働きたい人にもおすすめです。社会保険労務士の資格を持っていると、頻繁に行われる法改正にもスムーズに対応できます。
労務に活かせる資格2:簿記検定
簿記検定は、毎年、多くの人が受験をする非常に人気の資格です。1級から3級まであり、実務で役立てるなら2級以上が必要です。簿記検定2級では、3級で学んだ内容にプラスした高度な商業簿記が学べます。
商業簿記では、株式会社会計や本支店会計など専門的な計算が求められ、財務諸表を理解することができます。経理と兼任している労務の仕事で役立つ資格になるでしょう。
労務に活かせる資格3:秘書検定
秘書検定は、女性に人気が高く合格率50%を超える資格です、主に、会社の役員や経営者の秘書として活躍できる知識を身に付けることができます。試験は、言葉遣い、電話の対応、接客マナーについて学びます。労務は人と接する事が多いので、基本的なマナーを学びたい人におすすめです。
3級から1級までの4段階に分かれており、理論と技術に分けた筆記試験が行われます。準1級と1級は面接試験もあります。
労務についての理解を深めて挑戦してみよう!
労務の仕事についてよく理解できました。正確さを求められる仕事内容で、とても多くの内容がありました。労務の仕事は人の役に立つ仕事です。これから労務の仕事を目指す人は、理解を深めて挑戦しましょう。