人事評価の方法6つと評価手法3つ|ノーレイティングとは?

人事制度

人事評価制度の目的

企業を運営する上で重要なのが、良い人材を確保することです。優秀な人材を引き留めるためには適正な人事評価をし、能力にあった待遇を約することが大事です。

人事評価制度を行うことで、職務能力を評価することで適正人事配置の参考にしたり、どの職務を任せるかを決定する材料になります。

人事評価制度を適正に運用するには企業の状況や、自社が求める職務能力などの評価基準を確立する必要があります。

人事評価と人事考課の違い

人事評価は職務に対して、どれだけの能力があるかを一定の基準を元に数値化することです。人事評価によって、各人の適性やパフォーマンスを図ります。

これに対して人事考課は、職務を通じた貢献度や業績を定量的に分析し給料や昇進・昇格に反映させる仕組みです。つまり人事考課の方が、より各人の詳細な労働条件の決定に影響してきます。

両方ともほぼ同じ意味で用いられることが多いのですが、人事評価の方がやや広い意味です。

ノーレイティングとは?

ここ最近ノーレイティングという評価方法が注目されています。普通人事評価では点数などに応じて社員の等級を決定します。等級に基づいて昇進や昇格が決まる仕組みです。

とこれに対してノーレイティングは社員を等級づけしません。人事評価が通常年1回や2回のスパンで行われるのに対しノーレイティングはその都度上司との対話で目標や評価を受けます。人事や育成にもスピード感を求める欧米型の人事評価制度だと言えます。

人事評価制度の評価方法6つ

人事評価制度はどのような切り口で評価を決定するのでしょうか。多くの企業でよく見受けられる代表的な評価方法6つをご紹介します。

もちろんこれ以外にも評価方法はありますし、実際に人事評価を導入するにあたっては下記の6種類を組み合わせた評価としているところが多いです。

評価結果は社員のキャリアや人生そのものにも影響を及ぼしますので、公平公正な評価方法にできるだけ近づけることが何より重要です。

1:年功評価

かつて日本の企業では終身雇用・年功序列といった雇用制度が主流でした。長期間雇用することでじっくりと職務能力を開発することができました。

年功評価は在籍年数が長さを貢献度と結びつける評価方法です。年数を経るに従って能力は向上するという考えに基づいています。

経験を重んじる一方で、若いうちは能力に対して給料が低くなりがちという面もあります。年功評価を重視する企業は近年減ってきています。

2:能力評価

社員の持っている職務遂行能力に応じて評価をするのが能力評価です。多くの企業では年功評価と能力評価を組み合わせて処遇や役割を決める人事評価を採用しています。

仕事に対する知識や経験、技術・技能をベースにどれだけの職務遂行力があるかを査定します。長期的な育成を視野に入れた人事評価制度であり、終身雇用・年功序列といった日本型雇用慣行に合った制度で、やや属人的な評価制度だと考えられます。

3:役割評価

役割評価は個人に振り分けられた仕事内容や役割に応じて処遇を決定する人評価制度です。比較的新しい制度です。それぞれが担う仕事の期待度や責任が評価に反映されます。

例えば営業主任に任される仕事内容、責任、期待値などを設定し一定期間で評価基準に応じて査定をします。その際に数値などの定量的なものだけでなく、人物評価も加味されます。

社員に仕事内容と責任を理解させる上では有効な人事評価制度と言えるでしょう。

4:職務評価

同一労働同一賃金に対しての関心が高まっています。正規雇用と全く同じ仕事であるのに待遇に差があることに不満を抱く非正規雇用の考えは当然です。

職務評価は職務内容によって、給料その他の待遇が決まる制度です。仕事を職務ごとに細分化し自動車整備士であればいくら、パン職人であればいくら、というように形で人ではなく仕事内容を評価します。職務評価のメリットは公平な評価を取り入れられる点にあります。

5:コンピテンシー評価

コンピテンシーとは仕事で優秀な成果を出す行動特性のことをいいます。コンピテンシー評価は優秀な成果を出す行動を一つのモデルとして人事評価の基準に落とし込んだものです。

職務に対す理想の行動を社員ができるようになるための目標とし、どのくらい達成できているかを査定により判断します。社員一人ひとりが成長するための動機付けと公平な評価基準を兼ね備えた制度です。評価項目や基準を明確にして理解させる必要があります。

6:360度評価

人事評価は通常上司や人事部が行います。しかし上司だけでは気がつくことができない特性や能力があることも考えられます。自己評価と上司の評価の乖離が人事評価に不満を招く主因となります。

360度評価は、上司だけでなく同僚や部下など個人を取りまく人間からの評価も加味することで多面的な評価を可能にします。上司からの一方的な評価ではないため評価対象者の納得感萌えられやすく自己を客観的に見るきっかけにもなります。

人事評価の手法3つ

人事評価制度を構築するにあたって、何を基準にして点数をつけるか明確にする必要があります。ここでは代表的な数値目標の出し方をご説明します。

それぞれに特徴があり、単体で評価するだけでなく3つの手法を複数組み合わせる方法もあります。重要なのは目標として設定する数値の妥当性や公平性を確保することです。

そしてなぜこの数値目標なのかをしっかりと話し合い、定期的にフィードバックを行うなどのケアも必要です。

1:目標管理制度(MBO)

MBOはアメリカの経済学者ドラッカーが提唱しました。チームや個人で目標を設定し、その達成度合いに応じて評価する仕組みです。

例えば営業であれば部署の売上げ目標をいくら、個人の売上げ目標をいくらと決め、期末に達成率を精査します。ポイントは個人目標について、会社や上司が一方的に決めるのではなく、自己申告により目標を設定させることです。

成長への意欲や目標達成に向けた試行錯誤など個人の成長に効果があります。

2:目標管理制度(OKR)

MBOと似たような手法としてOKRというものがあります。Objectives and Key Resultsの略で目標に対しどのような結果を求めるのかを設定し計測する人事評価手法です。

MBOとの違いは数値で定量的に図らず、定性的な測定でも良いとされているところです。目標達成も重要ですが、それと同じかそれ以上にチャレンジングな状況をチームに植え付ける狙いがあります。やや短いスパンで目標を見直していきます。

3:業績評価指標(KPI)

KPIはKey Performance Indicatorの略で目標を達成する上での重要な数値指標を設定することを指します。

例えば営業職では評価期間における見込み客の発見数を何件、訪問件数が何件、そのうち受注が何件といった形で設定します。大元となるのはその期の売上げ目標で、KPIを達成していけば最終的な売上げ目標も達成する、というように数値設計します。

日々目標に向けての進捗が目視できる利点があります。

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人事評価のポイント5つ

人事評価をする上で注意しなければならないことがあります。人事評価により人を管理できれば会社の目標達成や個人の成長も見える形で表すことができます。

一方で万人が納得する評価は難しいという点もあります。会社の評価と社員の自己評価が一致することは稀です。人事評価の制度設計や運用を間違うと、社員の中に不平不満を生むだけの結果になってしまいます。特に評価をする側の考課者教育により公平性を高めることが重要です。

1:評価基準がはっきりしていること

評価基準が未知だと、社員も何を評価されるのかわからず疑心暗鬼になり十分なパフォーマンスを出せません。

特にワンマン企業などでは経営者の気分次第で評価が変わったりすることがあります。成果が正当に評価されないとモチベーションやエンゲージメントが低下します。うまくいっている人事評価は評価基準をブラックボックス化しないでオープンにしています。何をどうすれば高評価されるのかは明確にしておきましょう。

2:公平な手続きであることを明示

人事評価は公平公正であることを担保しなければなりません。特定の人が優遇されたり、一部の部門に有利な判定では会社全体のモチベーションやモラルの低下を招きます。

また評価者も一人に限定せず、二次考課、三次考課と複数回行うことで評価の揺れを防ぎます。例えばMBOやKPIの数値を設定する際は、能力に見合った目標でないといけません。能力と比較して簡単すぎたり、逆に難しすぎたりすると社員の成長を阻害します。

3:職務外の行動を評価に反映しない

仕事に関する評価ですので、当然ですが個人の性格を反映するべきではありません。人物評価では「協調性の有無」や「意欲的に取り組んでいるか」など内面評価項目もありますが、これもあくまで「業務上」に限定した話です。

プライベートでの行動に関しては人事評価とは切り離して考える必要があります。個人的な好き嫌いなどのバイアスがかからないように注意しましょう。

4:評価期間内の行動で評価する

当然のことですが、人事評価は設定した期間内の行動で評価をするべきです。目標には届かなかったが、将来への期待を込めて良い点数をつけたり、今期は良かったが、前の期は良くなかったので辛めに点数をつけることはできません。

それでは公平性を欠くことになるからです。人事評価は一評価期間における職務上の行動によってしか評価できません。

5:被評価者にフィードバックされること

人事評価は点数をつけて、給料や昇進に反映してそれで終わりではありません。評価結果についてきちんと被評価者に対してフィードバックをしなければ人事評価を行った意味がありません。

人事評価の目的の一つは社員の成長を促し、高パフォーマンスを引き出すことです。よかった点や改善点を本人に通知し今後の方針を上司と共有するところまでが人事評価です。

目的に合った人事評価制度を取り入れよう

人事評価はいろいろなやり方があります。率直にいってどれが正解というのはありません。それぞれに一長一短があります。

ではどんな人事評価制度であれば良いかというと「自社にあったもの」というよりありません。人事評価する目的や会社の規模、歴史、将来展望などさまざまな要素があります。人事に対する明確なビジョンが人事評価制度の成功に不可欠です。

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