税理士法人の年収はどれくらい?
税理士になるには大手税理士法人勤務、中小税理士法人勤務、または個人で独立する方法などがあります。税理士法人事務所への転職活動や就職活動における「人気企業ランキング」がありますが、近年3つのうち年収が高い税理士法人はどこなのでしょうか。
今回は、3つの中でも一番年収が高いといわれている大手法人税理士法人へ転職するための、おすすめの転職サイトをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
税理士法人の平均年収
平成29年の厚生労働省の賃金構造基本統計調査によれば、税理士(公認会計士を含む)の平均年収は1,042万円(職種別年収ランキング4位)、平均月収にすると69万円でした。
一般的なサラリーマンの平均年収は521万円なので、約2倍ほど高い年収が期待できるでしょう。ただし、経験年数やどこに勤務するかで、年収は大幅に変わります。
では、大手税理士法人の年収と中小税理士法人の年収は、どのように違うのでしょうか。
大手税理士法人と中小税理士法人の年収
大手税理士法人と中小税理士法人の年収をそれぞれ紹介します。
大手税理士法人とは、税理士を含めたスタッフが40~50名以上在籍している税理士法人のことを指し、初年収は500万円前後といわれています。
一方、中小税理士法人の初任給は月収20万円前後で、年収は250~300万円ほどになります。規模を問わない初任給の平均年収は300万円前後ですので、やはりこの年収の差は大変大きいと言えるでしょう。
年収高いといえばBIG4税理士法人
BIG4税理士法人とは、19世紀半ば頃にロンドンで設立された4つの国際税理士法人のことで、年収は「年俸制」となっています。
では、具体的にどのような法人があるのでしょうか。4社それぞれの特徴や年収などのランキングをご紹介します。
KPMG税理士法人
1954年にKPMG税務部門が日本に進出し、以来半世紀以上日本の財務専門家として高品質な税理士法人サービスを提供しているKPMGのメンバーファームです。
グローバル企業ですが体質は古い日本企業寄りで外資系の雰囲気も強く、ベンチャー気質な面もあるのが特徴です。
また、Universumが発表した「アジアの理想的企業2012年」ランキングでは2位を獲得しています。
- 業務収入ランキング :第4位 254憶US$:
- 年間成長率ランキング:第4位 平均103.5%
- 従業員数ランキング :第2位 530名
- 税理士数ランキング :第2位 134名
- 初任給ランキング :第4位 475万円 (成果給は除く)
PwC税理士法人
1949年にPwCの源流であるロー・ビンガム・アンド・トムソンズ会計事務所が東京と神戸に事務所を開設している、PwCのメンバーファームです。
BIG4の中でもグローバルな環境で、入社後は一人一人にコーチがつくようになっていてOJTなどの研修プログラムも充実しているのが特徴です。
BIG4の中では比較的早い段階で海外へ挑戦できる環境で、最短4年で海外進出した人もいます。
- 業務収入ランキング :第2位 359憶US$:
- 年間成長率ランキング:第3位 平均104.6%
- 従業員数ランキング :第3位 500名
- 税理士数ランキング :第4位 129名
- 初任給ランキング :第2位 525万円 (成果給は除く)
EY税理士法人
2002年に設立した、世界最大手の国際的会計事務所であるEYのメンバーファームです。全世界140カ国に展開しています。
人種、文化、価値観など、多様な人材を受け入れている社風で、国内BIG4のメンバーファームの中では珍しく独立した労働組合が存在するのが特徴です。
また、約1割の従業員が欧米やアジアからの外国人であるため、普段の会話は日本語でも社内のプレゼンテーションは英語が基本となっています。
- 業務収入ランキング :第3位 296憶US$:
- 年間成長率ランキング:第2位 平均104.8%
- 従業員数ランキング :第3位 500名
- 税理士数ランキング :第3位 133名
- 初任給ランキング :第3位 490万円 (成果給は除く)
デロイト トーマツ税理士法人
1993年に設立された全国規模の税理士法人で、デロイト トウシュ トーマツ リミテッドのメンバーファームです。日本では全国16都市、全世界150カ所に展開しています。
人を育てる文化があり教育制度が充実しており、一人前になるまで社内でしっかり面倒をみるという考えが浸透しているのが特徴です。
また、日系企業に社風が近いので他のファームより福利厚生が充実しています。
- 業務収入ランキング :第1位 368憶US$:
- 年間成長率ランキング:第1位 平均105.1%
- 従業員数ランキング :第1位 610名
- 税理士数ランキング :第1位 145名
- 初任給ランキング :第1位 570万円(成果給は除く)
BIG4税理士法人の仕事内容は?
世界における「就職したい企業ランキング」で常に上位になっているBIG4税理士法人ですが、仕事内容は具体的にどのような内容なのでしょうか。
一般の中小会計事務所との違いなどについても細かく説明していきます。
仕事内容1:税務申告書の作成とレビューが中心
BIG4税理士法人の仕事では、記帳代行や決算業務を行うことはほぼありません。
クライアントは中規模以上の企業がほとんどであり、決済業務や税務申告書の作成を社内で行える企業が多いため、税務申告書の作成とレビューが中心となります。
仕事内容2:高度な税務
BIG4税理士法人では記帳代行や決算業務を行うことがほぼないため、税務業務は高度になります。
そのため、一般の中小会計事務所では取り扱うことがほとんどない「外形標準課税」「試験研究費控除」「小資本税制」といった論点や別表の作成も経験することができます。
大企業や外資系企業の日本法人などがクライアントなので特殊税務はもちろんのこと、英語を使う業務にも希望をすれば関わることができます。
仕事内容3:条文・原文をしっかりと調べる仕事
BIG4税理士法人では難しく高度で特殊な論点が多くクライアントレベルが高いこともあり、しっかりした解釈を求められます。
ゆえに条文にしっかり紐付けた解釈した仕事をするのが一般的です。
ただし、BIG4税理士法人は部署が細かく分かれているため経験できる業務の幅は限られることが多くあります。
仕事内容4:マネージャー以上はマネジメントと営業が中心
BIG4税理士法人はマネージャー以上の管理職になると自分の担当するチーム(部下)をマネジメントすることや、新たなクライアントや案件を獲得することが仕事の中心となります。
一般の中小会計事務所は年次を重ねても自らが業務に携わることが多いですが、BIG4税理士法人では自分の手を動かす仕事は少なくなり、レビューや調整業務などが多くなります。
BIG4税理士法人の労働環境は?
税理士法人の労働環境は、一般の中小事務所とは大きく異なります。
具体的にどのように違うのでしょうか。休日や残業、年収、繁忙期、役職の昇進の仕組みなどを細かくご説明しましょう。
残業
繁忙期(12月中旬~6月頃まで)は帰りが終電になったり、場合によってはオフィスや近郊のホテルに宿泊したりと、大変多忙です。
そのためBIG4税理士法人に勤務する人にとって、この時期は非常に疲弊します。
残業代もマネージャー以下であれば発生しますので年収にも大きく関係するでしょう。残業すればするほど年収も多くなりますが、働き方改革などの影響で残業も多くはできない環境のBIG4税理士法人もあります。
休日や繁忙期
土日祝日が休みで、休日出勤手当も支給されます。
一般の会計事務所の繁忙期は決算期の3月前後となりますが、BIG4は外資系企業のクライアントが多いため12月中旬~6月頃までの約半年間となり、一般の会計事務所よりも繁忙期が長いです。
しかし、年半分の半年間は比較的まとまった休みがとりやすくメリハリをつけて働くことができます。年収も高いですし長期休暇を取ることもできるので海外旅行に行くスタッフも多いです。
役職や昇格
3~5年程度を目安に昇格しますが、昇格するには年数だけではなくパフォーマンス面の評価も必要になります。
年功序列のようなものはなく人によって差がつくので、役職に昇格できても滞留しずっとその上に昇格できない人もいます。一般的にシニアスタッフ(年収650~850万円前後)からマネージャー(年収1,000万円前後)へ昇格するためのハードルが高く、そこがポイントとなっています。
大手の税理士法人への転職におすすめの転職サイト
では、どうすればBIG4税理士法人じ転職することができるのでしょうか。
BIG4の求人を取り扱っている代表的なおすすめの転職サイト、それぞれの特徴などをご紹介します。
どちらも信頼と実績がしっかりあるエージェントです。転職活動の際に必要な情報収集や、アドバイスなども集めることができるので、ぜひ活用してみてください。
転職サイト1:マイナビ税理士
マイナビ税理士は、求人数はかなり多いですが企業側の負担を考え8割は非公開となっており、他では公開されていない情報や配属先の雰囲気などを知ることができるのが特徴です。
応募書類の添削やアドバイスはもちろんのこと、スケジュール管理までもをキャリアアドバイザーがしてくれるので仕事をしながらの転職活動でも安心です。
転職サイト2:MS-Japan
MS-Japanは、創業から25年で20000人以上の転職を成功させている実績も大変豊富なエージェントです。
25年以上の豊富な転職ノウハウと最新のマーケット情報をもとに、専任のアドバイザーが転職活動をサポートしてくれます。
また、税理士などの転職に役立つ「管理部門特化型エージェント」として業界ランキング1位の実績を誇っています。
転職サイト3:ジスネットキャリア
ジスネットキャリアは、取引実績は3,000社を超えており実務経験者はもちろんのこと、これから経験を積もうと考えている税理士科目合格者への紹介も行っています。
創業23年目のプロフェッショナルエージェンシーで内定から入社までのサポートにも特化しており、現職の退職に関してのアドバイスも受けることができます。
転職サイト4:レックスアドバイザーズ
レックスアドバイザーズは、現状よりもキャリアアップして働きたい人向けの転職エージェントで、特に30代~40代のサポートを得意としているのが特徴です。
特にシニア、マネージャークラスの人材サポートに多くの実績があります。有資格者がキャリアアップするためのノウハウを蓄積することで、他のエージェントにはない独自のコンサルティングを行っています。
年収が高い税理士法人ならBIG4がおすすめ
いかがでしたか。今回は大手税理士法人へ転職するおすすめの転職サイトについてご紹介しました。税理士事務所の最高峰に位置するBIG4税理士法人は、一般の中小会計事務所では見ることができない世界が待っています。
税務関係の職を志している人にとっては誰もが憧れ目標にする存在であり、BIG4税理士法人で得られるやりがいや経験は大変大きいことでしょう。ぜひ、挑戦してみてください。