役割等級制度の効果5つ|役割等級制度の注意点3つ

人事制度

役割等級制度とは

役割等級制度は役割に等級を持たせ、その役割を果たしているかが評価の要になる制度です。

ミッショングレード性とも呼ばれ、企業の経営目標を達成するために、「何をすべきか」というミッション(役割)を従業員一人ひとりに設定し、それを遂行できたか否かで評価されるため、より客観的な社内評価を行えます。

現在、日本企業では急速に導入が進められていますが、定型フォーマットがないため企業が運用に向けて模索しています。

役割等級制度の効果5つ

役割等級制度は役割をいかに効率的に果たせるかが評価の要となります。個人によって役割を持たせるため、自身で判断できる領域が広がりモチベーションアップにつながります。

役割等級制度で得られる良い効果が大きく5つ上げられます。

もちろん、デメリットもあります。しかし、人事評価においては導入するメリットの方が大きい制度です。そのため、役割等級制度は現在、日本において急激に導入がされています。

1:目標が明示的になる

役割等級制度は、従業員一人ひとりに達成すべき課題(役割)を与えます。従業員一人ひとりに役割を与えることで、効率的に課題を達成するための方法や目標が明確になります。

役割等級制度は客観的で明確な役割を設定できるため、従業員自らも役割を把握できます。役割が把握しやすければ、それを行うための目標が設定しやすくなり、職務遂行が効率的に行えるようになります。

2:人件費の高騰を抑える

役割等級制度では役割を果たしていないと見なされれば、勤続年数が長くとも降格、降給料の対象になるため、結果、人件費を抑えることができます。

年功序列で高い役職、高い給与を支払っていた以前では、能力に見合っていなくとも勤続年数に見合った役職、給料が支給されていました。役割等級制度では、その時の役割によって処遇が決まり、基本給に役割、等級を付与することで決定されます。

3:客観的な評価ができる

従業員一人ひとりに明確な役割を与える役割等級制度では、その役割を効率よく果たすことができたかが評価の基準です。

人の能力は客観的に判断することが難しいですが、評価の基準を「人」ではなく「仕事」にすることで、より客観的で合理的な評価ができるようになります。

役割の難易度や達成度によって評価されるので、管理職のみならず一般職員もわかりやすい評価を得られます。

4:組織改編がしやすい

変化は企業によって生き延びるために必要な戦略の一つです。経営環境が変わればそれに伴い経営戦略が変更され、組織もそれに見合ったものになります。

役割等級制度は役割を基本として等級によって差をつけることが可能です。同じポストでも等級が上がれば役割の重要度が変化します。

役割等級制度は、役割を基本にし、柔軟に等級をつけることができる制度です。そのため、組織改編による業務の変化にも対応できます。

5:社員が自発性を発揮できる

従業員一人ひとりにミッションが課せらる役割等級制度では、等級づけされた役割が明確になるため、自分で判断できる領域が広がり自発的に役割を全うしようとするモチベーションに繋がります。

役割を遂行するすることで評価が上がるため、より効率的に、より意欲的に役割を全うしようという意識が芽生えます。困難な課題に立ち向かって達成すればそれに見合った評価が得られるので、従業員個人も目標の達成を高く据えます。

役割等級制度の注意点3点

どんな優れた制度にもデメリットはあり、デメリットをよく理解した上で運用することで、大きな効果が上げられます。

役割等級制度のデメリットは少ないですが、ないわけではありません。次に挙げる注意点を理解することで、より効果的に制度の運用が行えます。

役割等級制度は他の制度と違い、明確な役割のルールが必要になることから、運用までに多くの時間がかかります。

1:運用実績が必要

役割等級制度の評価基準は「役割」です。役割は各企業の事業内容や、社風、会社の土壌によってさまざまに変化します。

役割等級制度は制度導入当初から役割や等級についての信頼度が重要になるので、一定のノウハウや、運用実績が必要になります。

また、企業を取り巻く環境の変化に応じた役割の見直しをその都度行うことで、この制度を効果的に運用できます。

2:不満が生じることも

今までは知識や経験の積み重ねがダイレクトに処遇に反映された年功序列による等級制度が運用されてきました。役割等級制度は年功序列に慣れた年配の従業員に不利益を被らせる可能性があります。

また、役割が評価の基準になるため高い役職にはよりハイグレードな役割が求められるようになります。そのため、役割の範囲が広くなり業務負担が増えることによりモチベーションが下がる危険性があります。

3:不当な人件費削減の手段にもなる

役割等級制度は社員の生産性の向上や平等な評価を行うために用いられる制度です。しかし、制度を盾に人件費削減に利用される危険性があります。

ルールを明確にすることは、不当な人件費削減を防ぐことにもなります。成果を出した従業員の処遇アップは当然ですが、処遇をダウンさせる従業員に対しては、企業、従業員双方が納得できる理由が必要です。

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役割等級制度と各制度の違い

評価を行う制度は役割等級制度の他に「職務等級制度」「職能資格制度」があります。

職務等級制度はスペシャリストを育成するのに力を発揮します。職能資格制度は広く満遍なく仕事をすることができる人材を育成、日本で広く深く根付いていた制度です。

どの制度も一長一短がありますが、役割等級制度はほか二つの制度に比べ、変更される組織運営に柔軟に対応できるため、現在注目されています。

1:職務等級制度

職務等級制度は仕事を基軸とし評価を行う制度です。職務記述書に記入された内容のみの業務内容を行います。処遇も仕事に基づいて決定され、主に専門性の高いスペシャリストを育成しました。

求める人材が明確にされるため人材の確保が容易で、さらに報酬も職務に応じて支払われるため設定が容易でした。しかし、日本の企業が求める人材はより広い知識を有する人で、専門性の必要な職業以外では日本の企業には馴染みにくいです。

2:職能資格制度

職能資格制度は知識や経験、人などを基準にした制度で年功序列が前提とされています。年齢が上がるに従って処遇がアップするのが特徴です。

どんな仕事にも対応できる従業員を育成するのに向いていますが、年齢が上がらなければ昇進が難しいため、若手を起用する際の障害となりモチベーションが下がる要因になります。

しかし、職務が固定されないためチームワークが生まれやすい、柔軟な人事異動が可能というメリットがあります。

役割等級制度と他制度が大きく異なる点

役割等級制度と他の制度の大きな違いは、「何に基準を当てて等級を決めているか」です。また、育成される人材も変化します。

職務等級制度は、仕事を評価の基準とし、スペシャリストの育成に力を発揮します。職能資格制度は「経験」を評価の基準とし、広い知識を持つジェネレストを育成するのに向いています。

評価の基準

役割等級制度は運用にあたり、明確な評価基準を設定する必要があります。

評価の基準は「役割」です。役割とは、振り分けられた職責のことを言い、その職責を遂行するために求められる働きや期待される行動を指します。

管理職層への適用

初めに管理職を対象に適用させるという企業が多い傾向にあります。

役割を軸として等級が決定されるため、管理職のポジションに応じた職務を設定することが可能です。あくまで「役割」を果たしているかで評価されるので、役割が明確な管理職への適用が容易です。

また、組織改編による職務の変化にも柔軟に対応できるので、管理職へ適用されやすくなります。

基本給について

今までの年功序列型の職能資格制度では、勤続年数によって基本給が上昇していました。評価の基準も曖昧で、年齢が上がるということは処遇や昇給が当然のこととされていました。しかも一度あげた基本給の引き下げはかなり難しい事案でした。

役割等級制度では、役割の達成度で人事が評価を行います。評価基準がはっきりしているため、職務に応じた役割を遂行していない場合には、降格や降給が行われます。

経営陣と社員とのコミュニケーションが大事

企業の経営戦略によって従業員に与えられる役割は多岐に渡ります。中には目に見えない業務や形の決まっていない業務も多く、目には見えない重要な業務も少なくありません。

役割等級制度でもっとも大切なのは、経営陣と現場との意見のすり合わせです。経営陣が些少とする事案が、現場では非常に重要ということもあります。

制度の運用にあたっては齟齬を減らすため経営陣と従業員の密なコミュニケーションが重要です。

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