役職とは?
「役職」は、「役として果たさなければいけないつとめ」と「つとめとしてそれぞれが担当している仕事」を表し、よく似た複合語としての性格を持っていて、「管理職」を表す用語としてしばしば使われます。
「役職」と混同してよく使われる「職位」は、経営管理上の最小単位として割り当てられるタスク、課業の基本的機能(職務権限、役目)を意味して、「役職」がヒエラルキー構造上の権限と責任を規定しているところと異なります。
役職の目的
「役職」は、組織管理の必要性から生まれました。組織の拡大に伴い組織を分解して、リーダー1人でなくサブリーダーとなる役職者を必要数置き、効率よく組織を管理することを目的とします。
ヒエラルキー型の経営組織では、役職者に対し、「権限・責任一致の原則(職務遂行の権限を持つとともに、その職務に責任を負う)」「命令一元性の原則(命令を与える上司は1人でなければいけない)」が適用されます。
役職の重要性
役職者は、会社などに負託された経営資源をマネジメントプロセス(計画→組織→調整→統制など)の過程で意思決定し、部下を通じて組織目標を達成します。
ビジネス世界のグローバル化などから、組織を取り巻く諸状況はより複雑で変化が激しいものとなっていて、役職者は、自己の所掌する職域で部下の能力を最大限引き出して仕事の成果を挙げ、与えられた責任を果たさなければなりません。
役員とは?
「役員」とは、会社法上、取締役・会計参与・監査役を意味し、会社組織の内部的な職制による「役職(社長、専務、常務など)」と区別されます。
「役員」は、取締役会の構成員として業務執行の意思決定に参加する経営者の一員であって従業員ではありません。そのため従業員から「役員」に昇格する際は会社を退職することになり、従業員としての身分は消失します。「役職」につく場合は、従業員としての身分には変わりがありません。
日本企業における主な役職14個
日本企業における役職は、内部的職制によるもので、会社法で規定する取締役、監査役、会計参与の役職と異なり、その役職は会社内での上下関係に基づいたピラミッド型のヒエラルキーに序列化されています。
日本企業の主な役職については、法的根拠に基づく役職名や業務運営上便宜的に付けた役職名などが混在していますが、そのポジションごとに何らかの権限と責任が伴っている「職位」的意味合いを含んでいます。
1:代表取締役社長
「代表取締役社長」という役職は、会社法など法律上定められたものでなく、会社組織の内部的な職制に基づき設けられています。
ただ、会社法に定める「代表取締役(業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有している取締役)」を複数選任している場合、その中の1人が会社の有数であることを明示するために、「代表取締役社長」の役職名を使用することが多く見られます。
2:専務取締役
「専務取締役」という役職は、単に「専務」と呼ばれることもあります。この場合、「専務」という役職は、社内の職位に関する規程に基づいて責任や権限が規定された役職で、会社の日常的な業務全般を担当して社長を補佐する役目を担います。
会社法で定められる取締役会で取締役として選任され、専務職に就任する場合、通常の役職名は「専務取締役」となり、役付取締役として会社業務の執行権と会社の代表権を有します。
3:常務取締役
「常務取締役」という役職は、通常「常務」と呼称されることが多くあります。「常務」は「専務」と同じように社内の職位に関する規程に基づいて責任や権限が規定された役職で、専務取締役などとともに社長を補佐します。
取締役会で取締役として選任され常務職に就任する場合、その役職名は「常務取締役」となって、専務取締役と同じように役付取締役として会社業務の執行権と会社の代表権を有します。
4:監査役
「監査役」の役職は、会社法の規定により株式会社に必ず置かれなければならない役職で、会社における取締役・代表取締役の業務執行の適否を監査するために設置されます。
監査役の主な職務権限は、会計監査を含む取締役の業務執行に関する監督を行うとともに、その監査結果を株主総会で報告することを内容とします。いわゆる大会社では、会計監査を専門に行う会計監査人がいるため、監査役は主に業務監査を行うことになります。
5:執行役員
「執行役員」は、取締役会の決定に基づいて、企業経営と事業の執行にあたる役員を意味します。代表取締役の指揮命令下にある会社使用人としての立場から、取締役会の意思決定に関与せず、取締役会から与えられた執行権限により担当する会社業務の執行に専念する役職です。
1997年、ソニーの「執行役員制」導入を端緒として、経営の迅速な意思決定を図るなど取締役会改革の一環として、本制度を導入する企業が増加しました。
6:社外取締役
「社外取締役」は取引や資本関係のない社外から迎える取締役で、取締役会の監督機能の強化を目的とした商法改正(2001年、2002年)で導入された制度です。
「社外取締役」は、就任した会社の業務を執行せず、就任前に会社・子会社の業務を執行する取締役でなかったなど3条件を満たす部外者から選任することが義務づけられ、他企業の社長経験者や官公庁出身者、弁護士などが選任されることが多く見られます。
7:本部長
「本部長」の役職は、技術開発本部、営業本部、生産本部、サービス本部など本部制組織をとる主力業務部門における責任者を意味します。企業により本部長の役職の組織内序列は異なります。
企業外では、法令により規定される道府県警察本部の本部長、管区海上保安部の本部長や災害発生時の「災害対策本部」の本部長、行政上最優先事項の施策を図るための「危機管理対策本部」の本部長など臨時的・随時的に設けられるものがあります。
8:局長
「局長」の役職は、新聞、TVなどマスメディア企業の「編集局」「報道局」などにおける責任者を意味します。一般企業における組織単位は「局」よりも「部」「本部」などが代表的で、そのポストも「部長」「本部長」などが広く見られます。
この他に、行政機関で外局(ガス・水道など事業体としての意味合いが強く、比較的独立した性格を持つ組織)である「水道局」や「ガス局」の責任者として「局長」職が充てられます。
9:部長
「部長」の役職は、下部組織に課や室、グループを抱える「部」の責任者を意味します。一般的に部長職は、役員兼務や社員における最高ポストとして会社から処遇されるなど社内評価・社会評価が極めて高く、経営者側になるための最右翼ポストと言えます。
10:次長
「次長」の役職は、部門の最高責任者である長の代理者または次席として設けられます。企業によっては、「総務部次長」や「支店次長」など部署名・支店名をつけることが多く見られます。
組織形態として「庁」制をとる行政機関(警察庁・消防庁・海上保安庁など)では、長官の次席は次長となり、局長・部長・本部長などの上位に位置し、組織上のナンバーツーとなります。
11:課長
「課長」の役職は、所属する部門の他課や室、グループなどと相互連携・協調し部門の業績必達するためのマネジメントを行う役割を持っています。
また、課内メンバー相互の良好なコミュニケーションの構築によりチーム・組織としての総合力の発揮を果たすことが求められます。
課長は中間管理職として大切な存在であり、部署における業績の向上は課長次第と言われています。
12:室長
「室」という組織は、ある企業目的達成のため、企業の基本的な組織にプラスした形で社長などに直属して付置される組織を言い、「室長」はその組織単位の長にあたる役職で、その役職の権限と責任の範囲は企業により異なります。
室長の地位は、一般的に部長より下位、課長より上位とされる場合が多いですが、「国家行政組織法」では、官公庁における「室長」は課長と同じ地位だとされています。
13:係長
「係長」の役職は、企業組織における業務の最小単位である「係」の責任者として監督機能を果たす立場にあります。役職者として最も下位に位置します。
係長は、現場におけるプレーイングマネジャーとして、部下とともに仕事を行うとともに、ときには部下の仕事をフォローするなどして係に与えられた目標を達成することが求められます。
14:主任
「主任」は一般の社員の中の熟練者などチームリーダーを指し、係長を補佐する立場にはありますが、役職者とは見なされません。
主任は、会社が決定した大まかな方針や目標などをメンバーに具体的に分かりやすく説明し理解させるなどパイプ役・調整役としての役割・能力が求められます。
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アルファベットやカタカナで表記される役職8つ
アメリカのビジネス風土から生まれた「CxO(オフィサー制)」は、経営の迅速な意思決定のスピード化や業績に対する経営責任・執行責任を明確化にする制度として日本で注目されました。
日本企業でも「CxO(オフィサー制)」を導入し、アメリカにならって、「CEO」や「COO」などアルファベットやカタカナの役職の表記をそのまま採用する企業が増えてきました。
その代表的な「役職」8つを見てみましょう。
1:CEO
「CEO(Chief Executive Officer)」は、「最高経営責任者」の役職を意味し、企業戦略の策定や経営方針を決定し実行する責任を負います。
「CEO」の呼称は、事実上の権力序列を示す肩書きとしても使われ、「COO」の上位に位置し、会社における役職の最高位のポジションを表します。
2:COO
「COO(Chief Operating Officer)」は、「最高執行責任者」の役職を意味します。「COO」は取締役会で選任され、取締役会・CEOの指揮・統括のもと、企業経営など業務執行を統括しその執行責任を負います。
「COO」は決定された経営方針や業務内容を忠実に執行することが求められ、「COO」が取締役会やCEOの方針に異議を唱えることはできません。
3:CFO
「CFO(Chief Financial Officer)」は、「最高財務責任者」の役職を意味し、財務に関する業務の執行に責任を負います。
コスト、予算、税金、経済戦略や予測など広範囲にわたる専門領域の識見が必要なため、アメリカでは公認会計士や経営学修士(MBA)などの有資格者を外部から招き入れることも多く見られます。
4: グループ長
「グループ長」は、フラット型組織を構成するグループの長として、グループ内の20~30人の部下を抱えてマネジメントを行います。
役職階層の集約化により組織管理における責任と権限の所在が明確化し、「グループ長」を基点とした指示命令の有数ダウンや情報のボトムアップが迅速に行うことができます。
5:チーフリーダー
「チーフリーダー」は、技術開発現場や工場の生産ライン現場などさまざまな現場業務において、現場組織の最小単位である「係」を束ねる係長級の役職を意味します。通常は、その下に3,4人の「グループリーダー(CL)」を置き、CLを統括して組織管理にあたります。
6:サブマネージャー
「サブマネージャー」は、「マネージャー」を補佐する役職を意味し、主としてベンチャー企業、飲食業界、ホテル業界などにおいて支配人や部門管理者をサポートして組織管理にあたります。
「サブマネージャー」としての権限や責任の範囲、組織内の序列などについては、企業により異なっています。
7:スーパーバイザー
「スーパーバイザー」は、主としてコンビニエンスストアなどフランチャイズチェーンにおいて、複数のチェーン店を担当して各店舗の指導・監督する管理者を言います。
各チェーン店のPOS端末から集積したデータを分析し、その集計情報や本部ノウハウなどを活用して店舗ごとの改善指導や発注指導などを行います。
8:シニアディレクター
「シニアディレクター」とは、一般的に「専務取締役」を意味し、取締役会の構成員として企業の経営方針を決定するとともに、その業務執行を指揮・監督します。
野球界での「シニアディレクター」とは、主に選手に対する技術的アドバイザーとしての役割で、経営権を有する役職者ではありません。
役職について理解しよう
企業活動は組織を構成する人的資源により営まれていますが、その骨格を支えるのが、社長など上級管理職から末端の係長などプレーイングマネジャーに至る役職者です。
その役職の意味や存在意義を理解することにより、あなた自身の組織人としての幅がより広くなるでしょう。