出張先で残業した場合の残業代|出張経費の精算方法3つと立替払いを軽減するには?

人事制度

出張経費

出張経費とは、交通費や宿泊費など、出張業務で必要な費用のことです。

とはいっても、出張中に支払った金額すべてが出張経費となるわけではありません。原則的に出張していなくても発生する費用は、出張経費とはなりません。例えば食事代などが該当します。

ですが、食事代であっても、打ち合わせや接待の目的であれば、経費となることがあります。経費となるかどうかのポイントは、「業務上、必要な費用であるか」となります。

出張業務で必要な費用は経費

出張中にかかった費用で「業務上、必要な費用」は、経費になります。

例えば、移動に利用する飛行機や新幹線の交通費、日帰りできない出張ならホテルの宿泊費などが必須でしょう。ほかにも、取引先を訪問するためのレンタカー代や駐車場代なども必要になることがあるでしょう。

ですが、これらの費用であったとしても、必要以上に高額である場合は、経費として認められないこともあるため、金額としても妥当でなければなりません。

出張先での食事代が経費になる?

食事代は、出張してもしなくても発生するものですので、一般的には個人の負担となりますが、食事代も経費となるケースとして「会議費」「交際費」があります。

「会議費」は会議や打ち合わせ目的、「交際費」は接待目的での食事代が該当します。ここでも、「業務上、必要な費用か」ということがポイントです。

ほかにも、会社によっては「食事代補助」などとして支給されることもありますので、規程を確認しておくとよいでしょう。

出張先で残業した場合の残業代

出張時の残業代は、「実働時間」を確認することが難しいため、所定労働時間分を働いたとみなす「みなし労働時間」で支払われるのが一般的です。

この場合は、普段なら残業代が出ているような業務であっても、残業代が出ないことを覚えておきましょう。

例えば、取引先との打ち合わせが長引いたり、ホテルに戻って明日の準備をしたりしても、残業代が出ません。出張先での業務は、深夜に及ぶこともあるでしょうから、注意が必要です。

残業代:みなし残業

出張先での残業代は、通常の残業代のようにタイムレコーダーなどで管理することができないため、会社での所定労働時間分の労働をしたとみなすものとし、残業代としては発生しない扱いとなることが多いです。

例えば、一日の所定同労時間が8時間であれば、8時間労働した扱いになります。つまり、実際は8時間以上業務を行っていても残業代は発生しません。逆に業務が早く終わっても、その分の給料が差し引かれることもありません。

残業代:みなし労働時間を8時間超とした場合の時間外手当

「裁量労働制」で勤務していて、「みなし労働時間」が8時間を超える設定となっている場合は、超えた分について残業代が出ます。

通常の勤務では、実働時間に応じて残業代が支払われますが、「裁量労働制」では、労使協定で合意された時間数と8時間との差で、残業代が支払われます。

「出張だから」「裁量労働制だから」と、残業代は出ないものと考えてしまっていることがありますが、もう一度、労働条件を確認してみましょう。

残業代みなし労働時間を8時間超とした場合の時間外手当:計算例

労使協定で、みなし労働時間を10時間と合意された場合の1日あたりの残業代は、10時間-8時間=2時間分となります。

実働時間で計算すれば10時間を超えて勤務したとしても、残業代は2時間分となります。逆に言えば、実働時間が10時間以下であったとしても、残業代は2時間分になるということです。

また、みなし労働時間が法定労働時間(1日8時間)を超えていない場合には、残業代は発生しないということになります。

出張手当は経費に含まれるか?

出張の際には、通常の食事代や残業代は支払われないということがわかりましたが、この負担を軽減するために、出張手当として一定額を支給する会社もあります。

この出張手当は、出張経費としては認められなかった費用ですから、給与と同様の扱いになり、課税対象となってしまいます。

ですが、会社の「出張旅費規程」に、出張手当を非課税にする旨を明記されていれば、非課税の扱いとなりますので、ぜひ規程を確認しておきましょう。

出張手当は課税対象?

出張手当は、本来は出張経費として精算するべきであるものの、細かくて煩雑になる支出についてを手当として支給するものなので、一般的には非課税です。

ですが、給与として支給された場合の出張手当は、課税対象となってしまいます。所得税や住民税など、さまざまなことに影響するため、出張が多い場合には、大きな問題となります。

出張手当が非課税となるには、会社の「出張旅費規程」にその旨が明記されている必要があります。

出張旅費規程で定められた手当は非課税

会社の「出張旅費規程」に、出張手当が非課税となる旨の明記がされていれば、出張手当は課税対象とはなりません。

まずは、会社に「出張旅費規程」があるかを確認し、その中で出張手当は非課税と定められているかも確認しましょう。

会社に「出張旅費規程」がある場合は、従業員が必要な時に閲覧できるよう保管されていたり、社内イントラやポータルなどにアップされていることが多く、確認することは難しくありません。

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出張経費の精算方法3つ

出張経費を精算するポイントは、「領収書の保管」「清算手続き」「必要に応じて立替払いが必要」の3つです。

「出張旅費規程」を確認できたのであれば、出張経費の精算方法もあわせて明記されているでしょうから、目を通しておきましょう。

出張経費の精算をする具体的な方法については、会社で作成されているマニュアルなどがあれば、そちらを参照するのが確実ですが、以下の一般的な出張経費精算で重要な点も覚えておきましょう。

出張経費の精算方法:領収書は必ず保管

出張経費を精算するためには、領収書の保管が必須です。

交通費や宿泊費はもちろんですが、業務上で必要となった費用については、すべて領収書をもらい、必ず保管しておいてください。紛失しないよう大切に取り扱いましょう。専用のケースなどを活用するのもよいでしょう。

電車やバスなどの公共交通機関のように領収書が発行されない費用についても、メモを残しておいて、スムーズに経費として申請できるようにしておきましょう。

出張経費の精算方法:経費精算書で精算

出張後に、保管しておいた領収書を添付した経費精算書で清算します。

会社で用意されている経費清算書に必要事項を記入し、上長に承認を受けたのち、経理担当部署で処理され、口座に振り込まれるという流れが一般的です。

最近では専用のシステムで経費清算書を作成する会社が増えており、システムの利用手順や清算手続きの締切日など細かなルールのマニュアルがあることが多いので、そのようなものがあれば参照して清算しましょう。

出張経費の精算方法:立替払いが必要になる場合

総務部などが飛行機やホテルを手配してくれる会社もありますが、そうでなければ、出張者自身で高額な立替払いが必要になります。

交通機関や宿泊施設を利用する際の費用は高額になりがちですし、出張先でかかる細かな費用がかさむことも考えられます。

余裕をもって現金を用意したり、高額な費用についてはあらかじめクレジットカードが利用できるかを確認しておきましょう。立替払いをしたら、必ず領収書を保管しておきましょう。

出張者の立替払いを軽減するには?

出張者の立替払いを軽減するために、多くの企業が行っている方法としては、「仮払金を支払う」「出張管理システムを活用する」というものがあります。

まずわかりやすいのは、出張中に必要となる費用を「仮払金」として先に渡しておくという方法です。出張者の負担を減らすことはできますが、手間を考えると、最良の方法とは言えません。

そこで近年では、オンラインで出張手配ができる「出張管理システム」の活用が増えています。

仮払金を受取る

出張者の負担を軽減するために、出張にかかる費用をあらかじめ「仮払金」として支払い、出張後に差額を清算する方法をとる企業が多いですが、申請の手間が増えてしまうという難点があります。

立替払いの負担は軽減できますが、交通機関や宿泊の予約などの手間を軽減することはできず、かえって仮払金申請と仮払金清算の手間が増えてしまい、出張者本人のみならず、その承認をする上長や処理をする経理部の手間も増えてしまいます。

出張管理システムを活用

出張者の金銭的な負担と、申請や出張手配の手間を軽減するために多くの企業が利用し始めているのが「出張管理システム」です。

「出張管理システム」を導入すれば、申請から支払いまで、煩雑な出張手配を一本化することができます。「出張管理システム」から出張手配と支払いが行えるようになれば、出張者の金銭的な負担を減らすことができ、申請がワークフローシステムで管理できれば、上長や経理部の負担も減らすことができます。

出張の残業代についての理解を深めよう!

出張先での労働は、労働基準法で「事業場外労働」と言って、労働時間の算定が難しいため所定労働時間を労働したものとみなすことになっており、基本的には残業代が出ません。

ですが「出張だから残業代が出ない」とは限らず、残業代が発生するケースもありえます。疑問に感じることがあれば、労働基準監督署の相談窓口などに相談してみましょう。

残業代についてしっかりとした知識をもち、出張先でも良いお仕事をなさってください。

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