嘱託社員とは
嘱託社員とは非正社員の雇用形態の1つで、企業と有期の労働契約を結んでいる社員のことです。
いわゆる契約社員ですが、待遇や条件・労働時間が企業によって多少違う点が特徴です。医者・弁護士のように特殊技術や技能の持ち主が依頼されて出向した場合も、嘱託社員と呼ばれるケースがあります。
現実に多いケースの嘱託社員は定年退職後の再雇用であり、基本的には契約期間が設けられています。
契約社員との違い
嘱託社員と契約社員との違いは、労働時間です。
嘱託社員と契約社員との違いに法律的な取り決めはありませんが、契約社員は主にフルタイムで働いている場合がほとんどで、嘱託社員は働く時間がまちまちであるケースが多いです。
定年退職後の再就職というケースが多いことから、嘱託社員は非常勤や臨時雇いという意味合いが強くなります。
また、契約社員のように随時契約更新が必要です。
給与体系
嘱託社員の給与体系は社によってまちまちですが、基本的には正社員とあまり変わりがありません。
嘱託社員のボーナスはある場合とない場合とがあります。基本給は、正社員の基本給を基準にしてそのうちの何割などと決められるケースもあります。退職金の支給は無いケースが多いです。
嘱託社員はあくまで契約の中での雇用になりますので、契約更新をしてもらえなければそこで仕事が終わってしまい、給与の支給もなくなります。
労働条件の規定
嘱託社員の労働条件の規定は、正社員とあまり変わりません。
嘱託社員でも労働時間や雇用期間などの条件が正社員とほぼ同じであれば、社会保険に加入することもできますし、待遇面も優遇されます。福利厚生は嘱託社員だから悪いという規定はなく、会社の方針次第で違ってきます。
求人で嘱託社員と書かれてあっても、会社によって労働条件の規定は違います。事前の確認が必要です。
嘱託社員の有給休暇についての豆知識3つ
嘱託社員の有給休暇についての豆知識3つについてご紹介していきます。
嘱託社員は労働時間が正社員よりも少ないケースが多いです。有給休暇もその分比例して、同じ会社の正社員と比べると少なくなるということがよくあります。しかし有給休暇の繰り越し規定や計算方法は正社員と一緒で、労働基準法やその会社の規定に準じています。
労働時間だけ気をつければ、嘱託社員も正社員並みの有給休暇がもらえることを覚えておきましょう。
嘱託社員の有給休暇についての豆知識1:嘱託社員の有給休暇が正社員と同じ日数になる条件
嘱託社員の有給休暇についての豆知識として、嘱託社員の有給休暇が正社員と同じ日数になる条件は、週の所定労働日数が4日以上か週の所定労働時間が30時間以上の場合です。
嘱託社員は入社6ヶ月で有給休暇の発生時期となります。週の所定労働日数か週の所定労働時間のどちらか1つが条件を満たせば、正社員と同日数の有給休暇が給付されます。
勤続年数に対する有給休暇の日数
嘱託社員の勤続年数に対する有給休暇の日数は、6ヶ月で10日・1年6ヶ月で11日・2年6ヶ月で12日・3年6ヶ月で14日・4年6ヶ月で16日・5年6ヶ月で18日・6年6ヶ月で20日となります。
嘱託社員も正社員と同じで、最大で40日の有給休暇をためることができます。ただし、2年を超える前の有給休暇は、消滅時効にかかりなくなっていきます。
嘱託社員の有給休暇についての豆知識2:嘱託社員の有給休暇が少なくなる条件
嘱託社員の有給休暇についての豆知識として、嘱託社員の有給休暇が少なくなる条件は、週の所定労働日数が4日以下で週の所定労働時間が30時間未満の場合です。
これらの2つの条件に該当する嘱託社員の有給休暇は、正社員よりも少ない日数となります。これらは比例付与と呼ばれています。
発生する有給休暇の計算法
嘱託社員に発生する有給休暇の計算法をご紹介していきます。
特定の式に当てはめて計算をすると、嘱託社員の有給休暇の発生日数がわかります。それが「10日×週所定労働日数÷52日」です。
嘱託社員の有給休暇についての豆知識3:有給休暇の日数以外で正社員と違うこと
嘱託社員が有給休暇の日数以外で正社員と違うことは、ありません。
有給休暇の申請方法・申請ルール・企業からの時季変更権の行使・退職時の有給休暇・有給休暇日の賃金・有給休暇の発生条件の出勤率など、すべて正社員と同じです。
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有給休暇の繰り越しについて
嘱託社員の有給休暇の繰り越しについてご紹介していきます。
再雇用の嘱託社員でも勤続年数を通算して年休を繰り越すことができます。嘱託社員の年次有給休暇の付与については労働基準法第39条により、雇入れの日から起算して6ヶ月継続勤務し全労働日の8割以上出勤した者に対して付与されると定められています。
有給休暇の時効について
嘱託社員の有給休暇の繰り越しには2年間の時効(労働基準法第115条)があります。
嘱託社員として定年退職後に再採用されるケースでは、実質的に労働関係が継続している限り勤務年数を通算するという決まりがあります。
ただし時効が存在します。それは、退職と再雇用の間にかなりの期間があった場合です。客観的に労働関係が切れている状態があったと認められるケースでは、有給休暇の繰り越しは時効になり消滅してしまいます。
繰り越し無効の就業規則は許される?
嘱託社員の繰り越し無効の就業規則は法律上は許されません。
会社によっては、有給休暇の繰り越しはしないなどの就業規則を作っている場合があるようですが、繰り越し無効というルール自体が労働基準法に違反しているので、無効となります。
定年退職後に嘱託社員になった場合の有給休暇の繰り越しは、2年の時効以外は無効になることはありませんので、気をつけましょう。
契約更新時に有給休暇はリセットされるのか
嘱託社員の契約更新時に、有給休暇はリセットはされません。
定年退職後の再採用は2年間の時効以外では、有給休暇はリセットされないので安心してください。
ただし、再雇用後の所定労働時間が週30時間未満に減った場合は、労働基準法施行規則第24条の3により、再雇用後の付与日で付与される年次有給休暇日数の比例付与の対象になってしまいます。
また、未消化の年次有給休暇は、定年再雇用後に繰り越しをすることができます。
定年後の再雇用の際に有給休暇の繰り越しはできるのか
定年後の再雇用の際に有給休暇の繰り越しはできます。
定年退職後に再雇用された場合の嘱託社員の有給休暇は、退職手当規程に基づき所定の退職手当を支給した場合も繰り越しがされます。嘱託社員の年次有給休暇は、定年前の勤続年数を通算した付与日数分を、給付してもらうことできます。
嘱託社員にも法律に沿った有給休暇が発生する
嘱託社員にも法律に沿った有給休暇が発生します。
定年退職後の嘱託社員になっても労働時間が規定を満たしていれば、正社員と変わらない待遇が受けられることをご理解いただけたでしょう。有給休暇の繰り越しに関しては、2年間の時効だけ気をつければ、正社員と同じように付与してもらえることもわかりました。
もしも有給休暇の繰り越しを会社からしてもらえない場合は、労働基準法にのっとり正当な有給休暇を要求しましょう。