見積もりとは?
「見積もり」とは、何かを計画したときに必要な金額(経費)や物の量、期間などを前もって概算することです。
見積もりを書面にしたものを「見積もり書」と言いますが、主に売買契約を行う際に、物品の購入やサービスを受ける金額を事前に算出し、購入や契約前の承認を得るための資料として使われます。
多くの会社では、稟議書という形で保管されていることも珍しくありません。
見積もりが必要な理由
見積もりは、契約前の交渉を具体的にまとめ、契約後にトラブルが起きないように、お互いの意思を尊重するためにも必要なな書類です。
例えば、物を購入する前には、商品の特徴などを確認し、お互いに話し合い条件交渉をいたしますが、口頭で話し合ったことを具体的に数値化したものが見積もり書となります。
見積もり書には、金額や納期、支払い条件などが具体的に明記されており、事前に予測できるトラブルを対策しています。
正確性が大事
どのくらいの商品(物量)を、いくらで(金額)、いつまでに(納期)、どこに(場所)届けるのか、計画が正確であればあるほど、取引上の信頼に繋がります。
取引先との信頼が大きくなれば、ビジネスは発展していきます。発展させていくためには、見積もりから正確である必要があります。
契約を締結する前に、正確性の高い見積もりの提出があれば、取引上の信頼に繋がり、社会的評価が高くなることは間違いありません。
見積もりを依頼した側のマナーとは?
依頼側のマナーとして、聞き間違いや認識の違いがないように、なるべく文面に書き起こしたほうが、依頼側も受ける側も分かりやすいです。
ネット上で気軽に依頼できる見積もりもそうですが、見積もりを依頼する場合には、お礼などの礼儀やマナーを知っているだけでも良い条件が引き出せるかも知れません。
お礼の言葉や感謝の言葉を付け加えてみましょう。受ける側の印象も変わるはずです。
「お礼」がビジネスマナー
依頼した見積もりが届いたとき、まずは相手に対して、お礼を述べるのがビジネスマナーです。
現代のビジネスシーンでは、見積もりを受け取った際のお礼については、メールか電話で行いますが、タイミングによっては、不出や未読になることもあるでしょう。
このようなことを防ぐために、先にメールを送り、さらに電話で、メール送付の確認をお願いすれば、メールの未読というようなトラブルにはなりません。
【状況別】見積もり依頼の返信例4例
見積もりを受け取ったお礼の返信は、返信前に内容の確認を忘れずに行いましょう。
良い結果を出すために、迅速な行動はとても大切です。見積もりを受け取り、できるだけ早い返信は、好印象にもつながりますが、誤字脱字や、内容が分かりづらかったりすると、効果が薄れてしまいますので注意が必要です。
お礼の返信例を4パターンあげていますので、ぜひご参考にしてください。
見積もり依頼のお礼の返信例1:受領
〈例文〉
件名:お見積もり書につきまして
○○株式会社
○○ 様
いつもお世話になっております。
○○会社の○○でございます。
先日依頼しました
「○○○○」のお見積もり書を拝受いたしました。
ご多忙にもかかわらず早々にご対応いただき
まことにありがとうございました。
現在、社内で確認しているところでございますが
一両日中には、回答のご連絡をさせていただきます。
まずはお礼まで。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
(署名は省略)
注意点
大切な場面では「拝受(はいじゅ)しました」「拝受いたしました」が使われます。
「拝受」は、自分を下げて相手を立てるときに使う謙譲語で「つつしんで受ける」という意味が含まれています。お礼の言葉と一緒に使いましょう。
親しい間柄では、簡素化されたお礼や受領の言葉が使われますが、状況によっては使いわけが必要です。会社の上司に対しては「お受け取りいたしました」「確かに受領いたしました」などの丁寧語が良いでしょう。
見積もり依頼のお礼の返信例2:社内検討
〈例文〉
件名:お見積もり書につきまして
○○株式会社
○○ 様
いつもお世話になっております。
○○会社の○○でございます。
先日依頼しました
「○○○○」のお見積もり書を拝受しました。
突然のお願いにも関わらず、ご丁寧に対応いただきましたこと
厚くお礼申し上げます。
お見積もり書の内容につきましては、
早々に社内精査の上、検討を進めてまいります。
確認事項が出た場合には、ご相談することもあるかと存じますが
その際には、お力添えいただければ幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
(署名は省略)
注意点
早々(そうそう)という言葉には、すぐ・直後などの意味が含まれ、急いで事を行うさまが見て取れます。
社内で検討することを伝えるために「少々時間がかかりますが、なるべく早く返答します」このような主旨が含まれたお礼を伝えると、相手も理解しやすくなります。
また、検討することに対して、「お力添えいただきたい」とまとめていることで、上から目線での対応ではないことが伝わります。
見積もり依頼のお礼の返信例3:承諾・発注
〈例文〉
件名:お見積もり書につきまして
○○株式会社
○○ 様
いつもお世話になっております。
○○会社の○○でございます。
先日は、ご多忙にもかかわらず、お見積もり書をお送りいただき
厚くお礼申し上げます。
その後、拝受しました
お見積もり書を検討させていただきました結果
上司から承諾を得ることができました。
つきましては、ご提示いただきました金額で
正式に発注をお願い致したく存じます。
まずは、発注書を添付いたしますので、ご確認を
お願いいたします。
内容に不備などがございましたら、○○宛までに
ご連絡をお願いいたします。
引き続きのご対応、何卒よろしくお願いいたします。
(署名は省略)
注意点
見積もりの結果が社内承認されたことを、承認や了承ではなくて「承諾」という言葉を使っています。
「承諾」は、承認や了承という言葉より重い意味を持ち、取引やビジネスでの重要な約束事や契約をするときに使われます。
相手からの提案や要求を受けるという意味の言葉はいくつかありますが、「承諾」は、相手に納得してもらった上、同意をもらうことまたは申し込みの意思と同時に契約を成立しようとする意思表示があるの意味が含まれます。
見積もり依頼のお礼の返信例4:お断り
〈例文〉
件名:お見積もり書につきまして
○○株式会社
○○ 様
いつもお世話になっております。
○○会社の○○でございます。
先日は、ご多忙にもかかわらず、お見積もり書をお送りいただき
まことにありがとうございました。
社内にて、内容を慎重に検討させていただいた結果
まことに恐縮ではございますが、費用面での折り合いがつかず
今回は見送らせていただくことになりました。
せっかくのご提案にお応えできずに大変申し訳ございません。
何卒事情をご賢察のうえ、ご了承くださいますよう
お願い申し上げます。
注意点
お断わりを申し入れることに対して「お断わりします」というストレートな言い方はビジネスマナーとして避けたほうがよいでしょう。
一般的には「見送る」「見合わせる」「遠慮する」などの言葉を使い分けますが、お礼を交えたクッション言葉を使いながら、お断わりの意思表示をすることで柔らかい印象を与えられます。
「恐れ入りますが」「申し訳ございませんが」「申し上げにくいのですが」など状況に応じて使い分けてください。
見積もりに関するビジネスマナー
見積もりを受け取ってから契約までの道のりは、ビジネスマンにとっては、ハラハラドキドキの毎日です。
スムーズに進めば良いのですが、時間がかかったり、値引き交渉や質問があったりと悩むことが常にでてきます。ミスやトラブルは会社の信用を落としたり、自分の評価に影響したりと責任も重大です。
そんな時の対応方法を紹介しますので、ご参考にしてください。
受け取ったお礼はいつまでに返信?
取り急ぎのお礼だけでもかまいません。24時間以内には対応するように心がけましょう。
最終的な承諾やお断わりは後々になりますので、まずはお見積もりを拝受したお礼をすることで、見積もりを確認・検討していることが伝わります。
返信が遅いと、相手側も不安にり、次のステージへ行動が遅くなります。お礼の効果も薄れてしまいますので、返信は24時間以内に必ずおこないましょう。
社内検討で時間がかかりそうな場合は?
時間がかかりそうな場合は、気づいた時点ですぐに連絡しましょう。
相手側は、いつ返事がもらえるのかと不安になっています。上司に検討していただく時間の確認やスケジュールなどを確認して、回答できる時間を換算してみましょう。余裕をもって期日を設定することが大切です。
あらかじめ、回答時間が予測できる場合には、お礼の返信の際に期日の設定をしても良いでしょう。
見積もりの値引き交渉はメールでもOK?
メールで行うビジネスシーンが多い中、値引き交渉をメールで行うことも問題ありません。
しかし、メールで交渉を行う場合は、相手の立場を尊重しつつ、こちらの主張を明確に伝えることが必要です。自社の利益ばかり考えて、ふっかけるような値引き交渉は、交渉の破談に繋がりますのでやめましょう。
お互いの利するところ「落としどころ」を見つけて交渉するのが、winwinの関係を構築する理想の方法です。
見積もりの内容に質問があるときは?
疑問や不明点は、丸投げに聞くのではなく、下調べをして、詳細を確認しておくことが大切です。
連絡手段も電話よりもメールのほうが良いでしょう。質問内容が複雑の場合は、メールを見返すことができたり、文書として記録に残るため、電話のように聞き間違いが起きる心配がありません。
質問の仕方としては、質問1質問2というように箇条書きで書いたほうが、質問が分かりやすく、答える側も答えやすくなります。
見積もりのお礼と敬語のマナー
見積もりのお礼を伝えるときには、しっかりした敬語が使われているか確認しておきましょう。
ビジネスマナーにおいて言葉遣いは大切です。しかし、丁寧語を使っていれば大丈夫というわけでもありません。場合によっては、尊敬語や謙譲語を使う場面が出て来るかも知れません。
しっかり使いこなせれば、社会的評価も高くなること間違いありませんが、「ご」や「お」を間違えてしまう場合もありますので、注意が必要です。
間違いやすい敬語の言い回しに注意
敬語にも種類があり、「丁寧語」「尊敬語」「謙譲語」があります。
例えば「言う」は丁寧語では「言います」尊敬語では「おっしゃる」謙譲語では「申し上げる」と変化します。「です」「ます」をつけるのが丁寧語。目上の人を敬う表現が尊敬語。自分を下げて相手を高めるのが謙譲語です。
「お金」「お礼」「お茶」などの訓読みする和語には「お」を使い、「ご祝儀」「ご住所」「ご連絡」などの音読みする漢語には「ご」をつけます。
見積もり作成に対するお礼の気持ちを忘れずに
見積もりを依頼し受け取った後には、見積もりを作成してくれたお礼と、送付してくれたお礼を必ず伝えましょう。
感謝の気持ちを込めて、できるだけ早く行うことが、好印象をもたらします。万が一、多少連絡が遅くなっても24時間以内なら大丈夫です。
誤字脱字には、くれぐれも注意し、誰からも信頼される素晴らしいビジネスマンを目指しましょう。