管理職とは?
管理職とは、社会や会社において階級の高い社員を指す、慣用的に用いられる言葉です。
管理職は、一般社員の場合と、経営者に近い管理監督者とされる場合があります。
一般社員の場合には、一般社員と同じ労働条件が適用されるため、会社側は残業代を支給し、振替休日を与えなければなりません。管理監督者の場合、一般社員の労働条件は適用外です。
管理職、管理監督者とは何か、それぞれの待遇の違いについてご紹介していきます。
管理監督者との違い
労働基準法第41条では、管理監督者は、経営者と並んで意思決定をできる立場にある者(一般的に工場長、部長など)のことを指します。
管理職とされる立場の人が、上記に当てはまる場合は管理監督者とされ、一般社員の労働条件が適用されないため、労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用外となります。
管理監督者に当てはまらない管理職は、役職名にかかわらず、勤務時間、休日等の労働条件は一般社員と同じになります。
振替休日とは?
振替休日とは「休日の振り替え」のことで、あらかじめ休日と労働日を交換し、労働日を休日にすることを指します。
振替休日と似ている制度に代休があります。休日に働くという点では同じですが、休日に働いた代わりに、労働日に休暇を取る事をいいます。振替休日とは異なる制度です。
振替休日と代休の違いについてご説明します。
代休との違い
振替休日は、労働日と休日をあらかじめ交換する制度の事をいい、代休は休日出勤をした際に取得できる休暇をさします。
振替休日の場合は、働いた休日は通常の労働日と見なされるため、休日の労働に対して割増手当はありません。
代休の場合は、休日と労働日をあらかじめ交換したものではないので、休日の労働に対しては割増手当が支払われます。のちの労働日に休暇を取ることもできますが、その日の賃金は無給です。
振替休日 | 代休 |
---|---|
休日出勤にならない | 休日出勤になる |
割増手当がつかない | 割増手当がつく(法定外休日25%、法定休日35%) |
休日と労働日の交換なので控除はない | 代休を取得した日の賃金は控除される |
管理職の社員が振替休日取得時に確認するポイント3つ
会社で部長や工場長などという立場にあり、経営者と一体となった決定権を持ち、勤怠や待遇が一般社員と異なる扱いを受ける場合、管理監督者に当たる管理職と判断できます。
その場合、休日などの労働条件が適用されませんので、振替休日は管理監督者にはありません。
管理監督者に該当しない管理職は、一般社員の労働条件が適用され、振替休日の制度を利用できます。
管理職社員が振替休日を取得する際に確認すべき点をご説明します。
管理職の社員が振替休日取得時に確認するポイント1:法律に定めはあるか?
労働基準法は最低週1日、または4週で4日以上を法定休日としています。法定休日は必ず取得させなければなりません。
週休2日制で土曜日に出勤しても、日曜に休めば法的に問題ありません。
法定休日が守られていれば、振替休日を取得させる義務はありません。
しかし、週休1日制であって休日出勤をした場合や、法定休日が確保できなかった場合には、他の日に休日を振替える必要があるため、振替休日を取得させなければなりません。
管理職の社員が振替休日取得時に確認するポイント2:就業規則を確認する
会社は休日について就業規則で必ず定めなければなりません。また、労働基準法の法定休日を守る必要があります。
振替休日は、会社が任意に定める制度であるため、振替休日を取得する場合には、就業規則を確認する必要があります。
就業規則に振替休日が規定されていない場合、会社から振替休日を指示されても拒否することができます。週40 時間を超えて土曜か日曜に出勤した場合、25%の割増賃金が支払われなければなりません。
管理職の社員が振替休日取得時に確認するポイント3:雇用契約書を確認する
雇用契約書には、休日についての記載があり、振替休日についても明記されています。
就業規則に振替休日の規定がなくても、雇用契約書には振替休日について記載されている場合がありますので、確認しましょう。
雇用契約書と就業規則の内容が異なる場合、労働者が有利な方を選択することができます。
また、いずれも労働基準法の規定より悪い条件の場合には、従う必要がありません。
管理職と管理監督者では手当の内容が違ってくる!
管理職と管理監督者は、共に会社から雇用された労働者ですが、与えられた権限や待遇が大きく異なります。
管理監督者には一般社員の労働条件は適用されず、地位に相応しい相応の手当をうけていなければなりません。
一般社員にあたる管理職ではなく、管理監督者と認められるには、役職名だけではなく、実際に与えられている権限や待遇、ポジションから判断する必要があります。
管理監督者と認められるポイント4つを確認しましょう。
管理職ではなく管理監督者と認められるポイント4つ
管理職が、一般社員なのか管理監督者なのかを判断するには、役職名だけでなく、実質的な権限や待遇から判断する必要があります。
管理監督者かどうかのポイントは以下の4つです。
·労働時間等の規制を超える重要な職務内容である
·経営者と一体的な立場にある
·出退社時や勤務時間に厳しい制限を受けない
·その地位にふさわしい待遇がされている
つぎに詳細をご説明していきます。
管理監督者と認められるポイント1:労働時間等の規制を超える重要な職務内容である
管理監督者は、勤務時間に縛られず、経営上の判断を求められる立場にあります。
社員を管理するポジションのため、一般社員と異なる立場にある必要があります。このため、管理監督者は勤務時間の制約を受けず、労働時間等の規制を超えて活動しなければならない重要な職務内容を遂行します。
管理監督者と認められるポイント2:経営者と一体的な立場にある
管理監督者は、労働条件の決定などの労務管理を中心に、経営に関わる重要な権限が与えられています。
管理職の肩書きがあっても、自分の判断で決定できる権限が少ない場合は、命令を伝達しているに過ぎないため、管理監督者には該当しません。
管理監督者と認められるポイント3:出退社時や勤務時間に厳しい制限を受けない
管理監督者は、職務内容から、一般社員の労働条件で働くことが適当でないため、出退社時間、勤務時間の厳密な制約を受けません。
自身で出勤、退勤時間、労働時間を調整することが可能です。
遅刻、早退で減給やボーナスカットがされる場合は、管理監督者には当たらないと言えます。
管理監督者と認められるポイント4:その地位にふさわしい待遇がされている
管理監督者は、経営者と一体となって重要な職務を遂行します。
そのため、一般社員と比較して、ポジション、給料、その他の待遇が、管理監督者としての職務に相応しい待遇である必要があります。
管理職になって、給与が下がる、役職手当が少額すぎる場合は管理監督者には該当しません。
具体的な例 | 管理監督者にあたるかどうか |
---|---|
〘ファミリーレストランの店長〙店長として従業員を統括し、採用に一部関与している。店長手当の支給を受けている。労働条件の決定権は経営者にある。 出退勤の自由はない。 店長の職務に加えて、従業員と同じ業務もおこなう。 | 管理監督者ではない。 |
〘地方銀行支店長代理〙通常の就業時間に拘束されて出退勤の自由はない。部下の人事考課には関与しない。銀行の機密事項に関与しない。 | 管理監督者ではない。 |
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手当に関わる「名ばかり管理職」問題とは?
一般社員なのか、管理監督者なのかは、相応の立場にあるか、相応の待遇を受けているか、また権限を委ねられているのか、より総合的に判断する必要があります。
もし、管理監督者には該当しないにもかかわらず、会社の都合のいいところだけ管理監督者としての待遇が適用されているとしたら、「名ばかり管理職」と言わざるおえません。
残業代が支給されない、振替休日が認められないなどの場合、どうしたらいいのか確認しましょう。
名ばかり管理職に当てはまる際の対応4つ
下記の表は名ばかり管理職のチェックリストです。3つ以上あてはまるなら、名ばかり管理職の可能性は高いです。名ばかり管理職に当てはまる場合、受け入れることなく、改善を求めましょう。
名ばかり管理職の待遇改善には、まずは会社、労働基準監督署、弁護士に相談し、もし改善しない場合には転職を視野に入れることです。
名ばかり管理職に当てはまる際の対応の詳細、ポイントについてみていきましょう。
名ばかり管理職チェックリスト |
---|
出退勤の時間が自分の自由にできない |
役職手当が少額である(3万円未満など) |
取締役会などに出席できない |
社員の募集・採用の権限がない |
社員の昇進・昇給の決定権がない |
会社全体の経営方針の決定権はない |
遅刻したら賃金が引かれる |
一般社員と比較して、賃金が高くない |
一般社員より賃金が低くなった |
名ばかり管理職に当てはまる際の対応1:会社と話し合う
名ばかり管理職にあてはまる場合、残業時間の未払いや振替休日が取得できなかったなどの証拠を集め、会社に待遇の改善を求めましょう。
内容証明郵便で不利益に対しての請求を送ると効果的です。
送付後に会社側と直接交渉しましょう。合意に至った場合、合意書を作成します。
名ばかり管理職に当てはまる際の対応2:労働基準監督署に相談
待遇の改善に対し、会社側との交渉がうまくいかず、会社側が請求に応じなかった場合、労働基準監督署に相談しましょう。
労働基準監督署が会社側に是正措置を勧告することで、待遇の改善が期待できます。
名ばかり管理職に当てはまる際の対応3:弁護士に相談
会社側にはたいてい法律関係の専門家がついており、個人での交渉は難しいことが想定されるため、弁護士に依頼をすることが一番確実でしょう。
弁護士に依頼する場合も、証拠を集めておくことは重要です。もし、弁護士によっても会社との合意が得られなかった場合、弁護士により労働裁判など法的手続きをとり、裁判所から会社に対して請求の支払いを命じてもらうことになります。
名ばかり管理職に当てはまる際の対応4:転職を視野に入れる
名ばかり管理職の待遇が改善されてもされなくても、社員を都合よく扱い、大切にしない会社であることは確かです。また、会社と争うことになるので、会社と交渉する際には覚悟が必要です。
転職先を見つけておく、また退職覚悟で臨みましょう。
転職活動においては、管理職としてのスキル、過酷な労働の経験が評価される可能性があります。
管理職の振替休日について正しく理解しよう
管理職には、一般社員であるケースと、管理監督者のケースがあります。
一般社員である管理職の場合、一般社員の労働条件が適用されるので、残業代の支払い、振替休日を取得する権利があります。
管理監督者にあてはまる場合、振替休日の取得、残業代(深夜割増手当のぞく)は適用外です。
管理監督者の待遇について理解し、会社の都合のいいように労働力を搾取されることがないように、自分を守ることが大切です。