制約社員とは
近年増えてきている働き方の1つに「制約社員」がありますが、これは働く場所や働く時間に「制約がある社員」のことを指しています。
例えば、小さな子どもさんを育てている母親が保育園のお迎えのために就業時間は16時までにとすることや、介護のために自宅でしか勤務できないといったような制約社員が考えられます。最近では、正規である正社員でも制約社員を選択する人が増えてきています。
制約社員が必要になった理由3つ
企業側にとって、働く場所や働く時間などに制約を設けられてしまう制約社員はけして使いやすい人材とは言えないでしょう。本来ならば、時間や場所に制限がなく仕事をこなす人材が望ましいのは間違いありません。
そういった事情があるにも関わらず、どうして制約社員の必要度が増しているのか、その理由について見ていきましょう。
制約社員が必要になった理由1:高齢化の進行
制約社員が必要になった理由の1つとして、高齢化が進行して親の介護をする人が増えた結果、介護と仕事を両立させる必要があるためという理由があります。
日本は少子高齢化なので親の介護を子どもが行うことが増えているのですが、介護をするとなるとこれまでのように無制約社員のようには働けません。
介護をしながら仕事と両立させることになるので無制約社員では都合が悪く、制約社員としての働き方が求められているためです。
制約社員が必要になった理由2:女性雇用の推進
制約社員が必要になった理由の中には、家事や育児・出産のある女性も採用して働いてもらいたい、という企業側の事情があります。
日本は少子高齢化により労働人口が減少しており、人手不足となっています。そんな中で注目されているのが、育児や出産で退職してしまう女性の雇用です。
女性に働き手として戻ってきてもらうために、育児や家事がしやすいようある程度制約を設けた制約社員として、女性を採用する会社が増えています。
制約社員が必要になった理由3:ライフスタイルの多様化
現在の若者のライフスタイルが多様化しており、画一的な働き方をしたいと考えている人が少ないために制約社員を必要としている、という理由もあります。
昔は出世を目指す若者が多かったのですが、最近は出世よりも自分の時間を大切にしたいという若者が増えています。若者の多様化したライフスタイルに合わせるためには制約社員という働き方がマッチしているために、企業側も制約社員を積極的に売れ入れているという理由です。
制約社員導入の働き手のメリット3つ
制約社員を導入することで、働き手にはどのようなメリットがあるのかを確認しましょう。
働く場所や働く時間に制約をつけられるということは、働き手にとって働きやすい環境と言えます。以下で紹介する3つのメリットの他にも、自宅で勤務する場合には制服を着る必要がないなど、さまざまな自由度が増すメリットがあるでしょう。
制約社員導入の働き手のメリット1:ワークライフバランスが実現できる
制約社員が導入されれば、働き手には仕事と家庭の時間をバランス良くすることができる、ワークライフバランスの実現ができるというメリットがあります。
日本の労働者は長時間労働が多く、ワークライフバランスはワークに偏りがちとなっています。ワークのためにライフが圧迫されているといったバランスが崩れた働き方をしている人が多いのですが、制約社員導入でワークライフバランスを実現することができると言われています。
制約社員導入の働き手のメリット2:長期就業が可能になりキャリア形成がしやすい
制約社員を導入することになれば、働き手は個人個人で自分の事情に合わせた働き方ができるため、長期就業が可能になると共にそれによってキャリアが形成しやすいというメリットがあります。
制約社員としてワークライフバランスのとれた働き方ができれば、働き手の満足度が上がり離職しにくくなるでしょう。働き手は長く勤めることができますし、勤務期間が長くなればキャリア形成もしやすくなるというメリットです。
制約社員導入の働き手のメリット3:社会保険加入が可能で福利厚生等待遇が良い
制約社員導入による働き手側のメリットとしては、社会保険に加入可能であるなど福利厚生面で正社員並みに待遇が良いというメリットもあります。
時間的制約の少ない働き方にはパートといった非正規の仕事がありますが、非正規社員は社会保険に未加入であるなど福利厚生面で待遇が良くないことが多いです。
制約社員は時間や場所に制約をつけながら、正社員として社会保険などの手厚い福利厚生をえられるというメリットがあります。
制約社員導入の会社のメリット3つ
ここまでは制約社員導入による働き手側のメリットについてきましたが、制約社員を導入することについては会社側にもメリットがあります。
企業側の人手不足の問題や、離職率の高さの問題など、さまざまな問題が制約社員導入で解決する可能性がありますので、メリットについて詳しく見ていきましょう。
制約社員導入の会社のメリット1:人材が定着しやすく業務習得者が増える
制約社員を導入して働き手が働きやすいよう環境を整えるということは、育てた人材が定着しやすく熟練の業務習得者が会社に増える、というメリットがあります。
人材を採用する上で、離職率の高さは問題となっています。人材が定着せず離職率が高ければ、せっかく育てた人材がいなくなり新人を育て直すという教育にかかる費用や時間が発生します。制約社員を導入することで、長期で働いてくれる人材が増えるのは会社のメリットです。
制約社員導入の会社のメリット2:優秀な人材を採用しやすくなる
制約社員を導入することによる会社側のメリットには、優秀であるのになんらかの事情で正社員として働けない人材を採用しやすくなる、というメリットがあります。
本人は優秀な社員なのに、育児や介護といった問題で無制約の正社員としては働けないという人は今後も増えていくと予想されます。制約社員を導入していれば、時間的・場所的制約がある優秀な人材にも働く場所を提供できるため、優秀な人材を採用しやすくなるでしょう。
制約社員導入の会社のメリット3:就業環境の改善により会社の社会的信頼が上がる
制約社員を導入することは多様な働き方を受け入れるということであるため、労働者の就業環境が改善しているということで会社の社会的信頼が上がる、というメリットもあるでしょう。
近年ブラック企業という、働き手を使い潰すような企業があることに注目が集まっていますが、こうした企業は社会的信頼が低いです。働き手が働きやすいように制約社員を導入すれば、働き手の満足度が上がると共に会社の社会的評判も向上するでしょう。
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制約社員の課題3つ
制約社員を導入するにはメリットが多いように見えますが、導入するにはまだまだ片づけなくてはならない課題がありますので、紹介いたします。
このような課題は、場合によっては制約社員導入によるデメリットともなりかねないため、きちんと課題を把握した上で、制約社員の導入を検討した方がよいでしょう。
制約社員の課題1:人事評価制度の明確化
無制約の正社員と、制約社員とで人事評価をどうするのかについては、明確化しておいた方がよいでしょう。
制約社員と比較すると、時間的・場所的制約のない無制約の正社員には負担が集中することが予想されます。無制約の社員が不満を持たないように、不公平感を持たないように人事評価制度を明確化しておく必要があるでしょう。
制約社員の課題2:業務の役割分担
制約社員を導入するにあたっては、どのような業務を制約社員に分担するのか、無制約社員に分担する役割についてもきっちりと決めておく必要があるでしょう。
制約社員の制約に違反しないように、業務の役割分担をする必要があります。また、無制約の正社員に負担がいきすぎないように配慮する必要もあるでしょう。
制約社員の課題3:通信機器やネットワーク環境の整備
制約社員として自宅で働くことを選択する社員が出てくることが予想されますので、通信機器やネットワーク環境を整備しておくことは必須です。
テレワークを導入するなど、検討してみることがおすすめです。
制約社員について知ろう!
制約社員は時間や場所に制約がある社員ですが、今後はそのような働き方を希望する社員が増えると言われています。育児や介護で働く時間がままならない人が増えること、人手不足であるためにそういう人たちを積極的に活用しようとなると、制約社員導入が必要です。
制約社員について詳しく知って、どのように導入すべきか検討していきましょう。