人事評価制度とは?
日本の人事評価制度のトレンドは、企業の科学的マネジメント手法の1つとして1930(昭和15)年頃にアメリカから導入され、その後のトレンドにおいて「人事考課表」が考案されました。
80年代までの人事評価のトレンドは、業績・能力・情意の3要素に着目した制度でした。1990年以降のトレンドにおいて成果主義が取り入れられ、最近のトレンドでは人材育成や能力開発が重視されるようになっています。
人事評価制度の特徴4つ
人事評価制度は、上司が部下の仕事に対する発揮された貢献度を評価するものですが、貢献度を測定する特性や着眼点によって利害得失の側面で特徴があります。
人事評価制度には、「人が人を評価する」という本質的な矛盾を包含しています。また、過去のトレンドにおいて絶対評価の優位性が論じられていますが、必ずしも原資配分や役職登用における機会均等の原則から矛盾が残ります。
人事評価制度の特徴1:会社ごとに一定の期間で実施される
企業などの人事評価制度のトレンドは、概ね1年に2~3回にわけて一定期間ごとに実施されるのが一般的です。
人事評価制度の対象のトレンドは、大きく1つは賃金査定(定期昇給)と人事査定(昇職級・昇格・昇進など)、もう1つは夏期と冬期のボーナス査定の2つがあります。
人事評価制度のトレンドは、企業の会計年度によって実施時期は異なりますが、賃金査定と人事査定は年1回、ボーナス査定は年2回行うのが一般的です。
人事評価制度の特徴2:年功・成果・職務などの基準が用いられる
企業の人事評価制度のトレンドは、会社の歴史や社風および業種や業態によってさまざまですが、いずれの人事評価制度も一長一短があり唯一全体の人事評価制度は存在しません。
人事評価制度のトレンドは、終身雇用を前提とした社歴や年齢で評価される年功序列主義、組織の重要なポストに就くことで評価を受ける職務主義、年齢・社歴・役職・ポストに一切関わりがなく仕事の成果だけで評価される成果主義があります。
人事評価制度の特徴3:社内にはオープンにされない
人事評価制度の運用のトレンドは、大きく「公開方式」と「非公開方式」の2つがあります。
公開方式の人事評価制度は、評価手順や基準などを全て公開する方式であり、評価結果も面接を通して本人にフィードバックします。
一切の情報公開を行わない非公開方式の人事評価制度は、仮に従業員の人事や賃金などの処遇格差に不平不満がなければ時間や労力が少ない利点がある反面、人事評価制度の設置意義が不可解といわざるを得ません。
人事評価制度の特徴4:評価に応じてそれが報酬に反映される
人事評価制度の主たる目的は、報酬や人事処遇への反映を通して仕事に対するモチベーションの向上を図ることにあります。
会社の業績を上げるためには、いうまでもなく組織的な連係プレーが不可欠であり、一人ひとりの従業員が高いモチベーションを持つための仕組みが人事評価制度の意義であり目的です。
人事評価制度の適切な運用は、生産効率の向上、適所適材の人材配置、スキルアップや能力開発など副次的な効果が期待できます。
人事評価のトレンド6つ
1980年代までの人事評価制度のトレンドは、終身雇用と年功序列の雇用慣行に依存していましたが、1990年代以降のトレンドにおいてはグローバル化の進展に伴い成果主義型の人事評価制度へ舵を切りました。
成果主義型の人事評価制度は、短期的な目先の業績向上に関心が集中し、将来展望につながる長期的課題への取り組みが疎かになるため、長期的な視点に重点を置く人事評価制度へのさまざまな取り組みを行ってきました。
人事評価のトレンド1:リアルタイム評価
リアルタイムフィードバックの人事評価制度は、これまでのトレンドの長時間掛けて評価結果を出すのではなく必要に応じて部下と話し合い、その都度結果をフィードバックを繰り返す方式です。
部下へのアドバイスと問題解決へのアプローチがほぼリアルタイムに進行するため、評価結果に対する上司と部下の意識や記憶のすれ違いが起こりにくい特徴があります。
人事評価のトレンド2:360度評価
360度の人事評価制度は、従来のトレンドとは異なり上司の一方的な評価結果ではなく、評価対象者の周囲の取り巻く上司・同僚・部下などの評判や情報を参考にする制度です。
360度の人事評価制度においては、普段の部下の言行について上司の目の届かない視点からの評価を取り入れることで、より客観的な情報が得られるメリットがあります。
人事評価のトレンド3:バリュー評価
バリュー(価値)の人事評価制度は、自社の社会的な存在意義や企業価値への理解を深め、それに沿って部下がどのように行動したかを評価する制度です。
例えば、自分の会社で新商品のキャンペーンを行った場合、営業マンの一人ひとりが会社の置かれた状況や新商品の価値を理解していなければ、自ら工夫したり独創的なアイディアを発案しることがありません。
人事評価のトレンド4:情報のオープン化・曖昧さの排除
そもそも人事評価制度の運用は、過去のトレンドにおいても公平公正の観点から情報公開が原則であり、できるだけ曖昧さを排除することが基本としています。
人事評価制度は、従業員の成長を促し、モチベーションを高め、組織を挙げて業績向上に結びつけることにあるため、情報のオープン化と曖昧さの排除が効果的な運用にとって生命線です。
人事評価のトレンド5:成長志向を重視
日本企業の人事評価制度のトレンドは、常に会社の業績アップと従業員の成長との二律背反する命題へのチャレンジといっても過言ではありません。
過度な能力主義や目標管理主義に偏った人事評価制度は、一過的な成長につながることがあっても継続的な成長に資することはありません。
人事評価のトレンド6:評価者訓練
人事評価制度のトレンドにおいて、評価者訓練を疎かにしことによって人事評価制度の信頼性を失った事例は枚挙に暇がありません。
人事評価制度の採用にあたって最も大事なことは、管理者の評価者訓練を通して人事評価制度の趣旨や目的の理解を深めることが成功の鍵です。
あなたの会社に仕事の生産性をあげる「働き方改革」を起こしませんか?
名刺が多すぎて管理できない…社員が個人で管理していて有効活用ができていない…そんな悩みは「連絡とれるくん」で解決しましょう!まずはこちらからお気軽に資料請求してみてください。
人事評価制度導入の注意点4つ
人事評価制度の導入に際し、組織全体で制度の趣旨や目的を正しく共有することが効果的な運用の鍵を握っています。
人事評価制度の導入に際して大事なことは、とりわけ人事評価を行う管理者層に対し運用上の注意点を徹底することが肝心です。
人事制度導入の注意点1:紙ベースによる人事評価だけで判断しない
人事評価を行う管理職は、人事管理ノートなどの紙ベースの情報だけに頼っていては適正な評価にはつながりません。
管理者は必要に応じて、部下との面談を通して意見交換や情報交換しながら、適正な人事評価を行うことが大事です。
人事制度導入の注意点2:目標を明確化にさせるだけではダメ
人事評価制度において目標管理を行う際、目標を明確にするだけでは期待する成果につなげることができません。
目標の明確化に合せて目標達成の意義を理解させることや、「いつまでに」「どの程度まで」「どのような方法で」などの相互確認が大事です。
人事制度導入の注意点3:上司の意見がすべてではない
人事評価制度の重要なポイントは、部下のモチベーションを引き出し挑戦することの楽しさを与えることが重要です。
上司の自分の考えを押し付けたり経験則を強調しすぎると、却って部下のやる気が減退しモチベーションの低下を招きます。
人事制度導入の注意点4:公平な評価が必要
人事評価において上司が犯しやすい錯誤が、過去の記憶に頼った一方的な思い込みや勘違いです。
高圧的な上司に限って自分に似たタイプの部下は好評価を付けがちで、自分の性格に合わない部下は否定的な評価を行う癖があります。上司はすべからく公平公正は評価に徹する姿勢が大事です。
人事評価制度のトレンドについて知ろう
日本の人事評価制度は、親方徒弟制度の時代から右肩上がりのバルブ崩壊まで、終身雇用と年功序列が当たり前であり疑いもしませんでした。
バブル崩壊後のトレンドは、成果主義・目標管理・行動プロセス管理・自己評価・コンピテンシー評価などの変遷を辿ってきました。これらの制度もそれぞれ特有のメリットやデメリットがありますので、流行り廃りに関わりなく自社にあった制度設計が賢明です。