社外監査役とは
社外監査役とは株式会社の監査役で、過去一定の期間に当該会社または子会社で役員や使用人であったことがない者を指します。
社外監査役は、会社から独立して会社の会計や業務など経営の監督を行う役割を担っているため、公正で客観的な判断のできる社外の者を選任する必要があります。
資本金や負債額が一定以上である大会社においては、監査役の半数は社外監査役でなければなりません。
監査役と社外監査役の違い
監査役には、その会社の役員や使用人出身の社内監査役と、外部出身の社外監査役があり、それぞれに求められる役割は異なります。
会社内部出身の社内監査役は、会社の経営事情や業務に通じているため、効率よく監査業務が行えますが、客観性に欠けるところがあるため、公正で客観的な監査業務を行うため外部出身の社外監査役が必要となります。
また、大会社や取締役会設置会社である株式会社は、監査役を設置しなければなりません。
監査役が必要な理由
会社の経営方針など重要な事項を決定する取締役会ですが、付き合いの長さからくる取締役同士の馴れ合いなどによって、その役目を果たせず正常に機能しない可能性があります。
会社の経営を不健全なものとしないため、取締役の職務を監査する役割を持った機関として監査役が設置されています。
監査役はその役割から、取締役会に出席し意見を述べることなどに加え、取締役の違法行為を差し止め請求する権限を持っています。
社外監査役の主な役割2つ
監査役は常勤や非常勤、内部出身か外部出身、会社の規模を問わず会社の経営が透明性のあるものとして、健全に行われているかを監査することを役割とする機関です。
監査役の中でも社外監査役はしがらみのない社外出身者として、内部出身者では持てない公正で客観的な視点から業務監査、会計監査の二つを行うことで会社経営の健全性を担保することを主な役割としています。
社外監査役の主な役割1:業務監査
業務監査とは、会計以外の業務活動において、当該会社の取締役の職務遂行の適法性や、定款に違反していないかなどを判断する監査を指します。
社外監査役は取締役会に出席し、会社の意思決定が健全に行われているか、取締役が違法行為を行っていないかなどの情報を収集し評価します。
また、社外監査役は策定した監査計画に基づき、監査を行いその結果を要約した監査報告を作成することが義務付けられています。
社外監査役の主な役割2:会計監査
会計監査とは、会社の財務諸表や会計処理などの会計に関する諸手続きや書類が、適正であるかを判断する監査を指します。
会計監査には、監査役や社外監査役が会社内部で行う監査と、第三者である監査法人または公認会計士が行う監査があります。
監査役には原則として会社の規模を問わず、業務監査と会計監査両方の権限がありますが、非公開会社では、定款に定めることによって会計監査に権限を限定することができます。
社外監査役としての活動のポイント3つ
社外監査役は取締役会への監督強化の必要性から設置された経緯があり、会社内部の役員や従業員から選任される社内監査役とは違い、監査活動に際して客観的な視点で役割を果たすことが、社内からも社会的にも期待されます。
以下では社外監査役が監査活動を行う際に重要となるポイントを3つあげて、解説していきます。
社外監査役としての活動のポイント1:社会的期待の認識
内部から選任される社内監査役は、代表取締役や取締役会と距離が近く、客観的な視点での監査が行えない問題点がありました。
対して会社外部から選任される社外監査役は、客観的な視点で監査を行い、会社の健全で適正な経営の維持に貢献する役割を果たすと社会的な期待がかけられています。
この社会的期待に沿えるような、優秀な外部人材を社外監査役として登用できるかが、会社のコーポーレートガバナンスにとって重要でしょう。
社外監査役としての活動のポイント2:取締役に対してへの率直な意見や質問
代表取締役や取締役会と近い関係にある社内監査役では、取締役会に出席しても率直で忌憚のない意見を述べることは難しく、馴れ合いのような監査を行ってしまう恐れがあります。
代表取締役に対して萎縮し、意見が述べられないのであっては、健全な会社経営に資するような監査の役割を果たすことができません。
このため、外部出身である社外監査役には、相手が誰であっても率直で忌憚のない意見を述べる役割が求められています。
社外監査役としての活動のポイント3:社外からの目と監査の目を持って挑む
その会社内部においては、常識のように扱われていることであっても、外部から見れば非常識なものとして映ることがあります。
しかし社内出身の社内監査役では、なかなかそれが非常識であると気付くことができません。社外監査役には、外部出身者としての客観的な視点から、会社の経営方針などについて監査を行う役割が求められています。
社外監査役としての注意点2つ
社内出身者であるがゆえに、馴れ合いになりがちな社内監査役に対して、会社から独立し、公正で客観的な視点から監査の役割が果たせる社外監査役ですが、外部出身であるがゆえの問題点や注意点も存在します。
社外監査役であるがゆえのデメリットとも言える注意点を、以下で解説します。
社外監査役としての注意点1:会社の問題点を深掘りできない
社外監査役は外部の客観的視点で会社を見ることができる一方で、会社内部の事情や実務には精通しておらず、問題を発見しづらく仮に発見したとしても、深く追求することが難しくなっています。
対して社内監査役は内部の事情に精通しているため、外部の客観的視点を持つ社外監査役と協力することで、より監査の実効性を高めることができます。
社外監査役としての注意点2:業務に充てられる時間に限りがある
監査役には他に常勤の仕事がなく、勤務中は監査役の業務に専念する常勤監査役と、他に常勤の仕事を持つ非常勤監査役が存在します。
社外監査役を常勤とすることも許されますが、ほとんどの社外監査役は非常勤であり、監査役としての報酬の他に常勤の公認会計士や税理士といった本業での収入を持っています。
このため収入面で会社に依存せず独立性が保てますが、社外監査役の業務に充てられる時間が限られるという問題があります。
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社外監査役の要件
社外監査役は以上の要件を満たす必要があります。
・過去10年間当該会社または子会社で、役員や使用人でなかったこと
・過去10年の間に当該会社または子会社で、監査役であった者は、当該監査役就任前10年の間に、当該会社の役員や使用人でなかったこと
・当該会社の親会社の役員や使用人でないこと
・当該会社の親会社の子会社の業務執行取締役でないこと
・当該会社の役員や重要な使用人の配偶者または二親等内の親族でないこと
要件の改正について
平成26年改正前の要件では、過去に一度でも当該会社または子会社の役員や使用人であった者は、社外監査役になれませんでしたが、改正により過去要件は10年に緩和されました。
改正により、過去要件は緩和されましたが、社外監査役になれない者の人的範囲が親会社や兄弟会社の関係者にまで拡大したため、要件自体は厳格化されたと言えるでしょう。
社外監査役は重要な役割を担っている
社外監査役は、会社から独立して客観的視点から監査を行い、会社経営を健全なものにする重要な役割を担う存在です。
また、相次ぐ企業不祥事などを受け、社外監査役など社外役員が持つ外部監視の役割を強化する流れもあります。
健全な企業統治には経営の透明性向上が不可欠であり、優秀な外部人材にその役割を担ってもらい、風通しが良い企業風土とすることは今後より重要性を増してくるでしょう。