役職定年のメリット3つとデメリット3つ|導入は慎重に検討しよう

人事制度

役職定年制とは?

役職定年とは、一定の年齢に到達すると課長や部長などの管理職から外され、配置転換や部下がいない専門職などに処遇される制度をいいます。

役職定年を採用する会社は、建前上は企業としての組織の活性化や人事の流動化による従業員のモチベーションアップのメリットを強調しますが、実質的には労務費削減のメリットがある制度ともいえます。

役職任期制との違い

役職定年制は役職者の「到達年齢」を制限する制度であり、役職任期制は役職者の「任用期間」を制限する制度です。どちらの制度も会社にはメリットがあり、管理職にはデメリットが多い制度です。

役職任期制においては、役職期中の業績評価に応じて再任(延長やスライド任用)・解任(降格や配置転換)・昇進などの処遇が行われるのが一般的でしょう。

役職定年制を導入する3つのメリット

役職定年制の導入は、会社にとって組織の活性化や人材配置の適正化に伴う人事の流動化が促進され、若手社員のモチべーションの向上につながるメリットがあります。

役職定年制を導入する場合は、一般的に対象年齢を50~55歳に設定しているケースが多いこともあり、概してミドル・シニア層の活性度が低下するデメリットが指摘されています。

役職定年制を導入するメリット1:人件費を削減できる

役職定年者にとってのデメリットは賃金やボーナスがカットされることですが、会社にとってのメリットは人件費の削減効果が得られることです。

役職定年となった場合は、役職給の全額カットとボーナスの大幅カットが実行されると、確かに会社にとって大きなメリットになります。

ちなみに、役職定年の年収の平均的な減額率は20~25%に及ぶことから、役職者にとって見過ごせない大きなデメリットに違いありません。

役職定年制を導入するメリット2:若手育成をする機会が増える

役職定年制を採用する会社にとってのメリットは、若手社員への役職登用のチャンスを広げ活躍の機会を増やすことが上げられます。確かに会社の理屈は理解できますが、そのためには組織として若手社員を育成するシステムが構築されている条件があることが前提です。

せっかくシニア管理職の定年制を採用しても、自動的に若手社員の能力開発ができるわけではなく、組織のパフォーマンス低下のデメリットが露見するだけです。

役職定年制を導入するメリット3:組織の肥大化の抑制ができる

役職定年制を採用すると、新たな組織や役職者を置く必要がなくなり、組織の肥大化を抑制するメリットがあります。

会社などの組織にとっては、組織が肥大化し役職者が増えると人件費が嵩むだけでなく、意思決定の手続きが煩雑になり時間延長のデメリットが生じます。ただし、若手育成や組織のスリム化を図る第一選択肢として役職定年制を採用することは、いささか本末転倒の嫌いが否めません。

役職定年制を導入する3つのデメリット

会社に役職定年制を導入すると、ミドルやシニア層のモチベーションが低下するというデメリットが生じる例が多いといわれています。

組織にとってミドルやシニア層のモチベーションの低下は、本人ばかりでなく会社にとっても大きなデメリットになります。そのため、役職定年制の導入に際しては、あらかじめモチベーション低下に関する防止対策を講じておくことが重要です。

役職定年制を導入するデメリット1:役職者のモチベーションが下がる

役職定年を迎えた課長が役職から外れて配置転換されたり平社員に降格されると、賃金低下のショックと合わせて大きなモチベーション低下に繫がるデメリットがあります。

だからといって、パフォーマンスが落ちた役職者を例外的に留任させると、不公平感が蔓延し組織全体のモチベーション低下を将来するデメリットがあります。

役職定年制を導入するデメリット2:新しい環境に馴染めずケアが必要

社歴の長い役職者が役職定年制でリタイアすると、組織的な環境変改に順応できないためメンタルヘルスケアが必要となり、会社にとって大きなデメリットとなります。

会社にとっては、若手社員のモチベーションの向上と人件費の削減のメリットを享受する代わりに、ミドルやシニア社員のモチベーション維持とヘルスケア対策に掛かる費用負担のデメリットを避けることができません。

役職定年制を導入するデメリット3:社員に不公平感が生まれる

役職定年制において最も大きな課題は、例外なく一律に適用することが原則ですが、会社の都合で役職延長を認める事例が起こると、社員の不信感や不公平感が一挙に噴出するデメリットがあります。

しかし、事業経営においてイレギュラーが起こることは日常茶飯事です。一律な役職定年の運用によって力量不足の若手社員を役職登用することは、会社にとって予測不能なリスクを負うデメリットがあります。

あなたの会社に仕事の生産性をあげる「働き方改革」を起こしませんか?

名刺が多すぎて管理できない…社員が個人で管理していて有効活用ができていない…そんな悩みは「連絡とれるくん」で解決しましょう!まずはこちらからお気軽に資料請求してみてください。

役職定年制を導入している企業の割合

2018(平成30)年の人事院の賃金事情等総合調査の結果によれば、従業員500人以上の企業における役職定年制の導入実績は、おおむね50%に達しているとの報告があります。

役職定年制の導入事例3つ

企業にとって役職定年制を採用する事情や経緯は異なりますが、経営戦略上のメリットとデメリットの比較検証の結果を踏まえて最終的な経営判断を行います。

ちなみに、会社が役職定年制を導入するメリットは、大きく「若手社員の育成」「人事の新陳代謝の促進」「人件費の総額管理」の3項目です。

役職定年制の導入事例1:NTT

NTTは役職定年制どころか、2002(平成14)年以前に約15万人の従業員の大半を対象とした「50歳退職・再雇用制」を導入していました。

しかし、今年になって50歳定年制度を全廃した上で、NTT関連4社の希望者全員を65歳まで継続雇用する方針転換を図りました。

役職定年制の導入事例2:富士通

通信業界大手の富士通は、現行の55~57歳で役職定年を迎える役職定年制によるモチベーション低下のデメリットを抑制するため、2015(平成27)年に新たに新会社を設立しています。

新会社の「富士通クオリティ&ウィズダム」には、管理職を離れた55歳以上SEの全員が転籍し業務に励むことになります。

役職定年制の導入事例3:NEC

NEC(日本電気)の役職定年制は、56歳で役職を離れる制度設計であることから、毎年55歳の管理職対象とした「役職定年研修」を実施しています。

この研修の目的は、社内外における人材ニーズを認識させることで、自らの能力にマッチするシニア向けのキャリア形成を意識付けさせるのが狙いです。

役職定年制の導入は慎重に判断しよう

「役職定年制」にかかわらず、どんな制度にも必ずさまざまな功罪(メリットとデメリット)があります。役職定年制が社会的なトレンドだとしても、安易に導入すると意外な落とし穴に嵌まり大怪我をする危険性があります。

「貧すれば鈍する」の格言のように、経営者が人件費抑制ばかりに目が向いていると、従業員の心が離反し経営破綻に陥る例は枚挙に暇がありません。

タイトルとURLをコピーしました