人事考課が賞与査定に影響する?|人事考課を構成する3つの評価軸

人事制度

考課とは?

人事考課とは、社員の能力、業務への取り組み態度、業務成績などを評価するために考えられた仕組みです。人事考課には、社員の給与・賞与の管理、能力の開発、異動配置などさまざまな目的があります。

なお、人事考課とよく似た言葉に「人事評価」がありますが、厳密な定義の違いがあるわけではありません。人事評価とはもともとアメリカで誕生したもので、それに日本独特の考え方を加えて人事考課という考え方が生まれました。

人事考課の評価は賞与の査定に響く

人事考課とは、社員の能力や業務への貢献度、遂行度などを総合的に評価したものが給与・賞与や昇給・降格などの人事査定に反映されます。そのため、人事考課の評価がランク一つ違うだけで、賞与の査定にも大きな差がつくことが多いです。

人事考課でどう評価されるかによって、今後の昇進や昇給に大きな影響が及びます。つまり、人事考課の評価が将来の生活設計を決定しかねないと言ってもよいでしょう。

賞与の査定に影響する3つの基本項目

賞与とは、社員のモチベーション向上や、企業への貢献度に対するインセンティブの意味があります。

企業によってその方針や理念に沿った異なる評価項目がありますが、どこの企業にも当てはまる3つの基本項目があります。賞与の査定にも大きな影響を与えるその3つの基本項目である「出勤状態」、「成績」、「勤務態度」について、以下でそれぞれ詳しくお伝えしましょう。

賞与の査定に影響する基本項目1:出勤状態

人事考課のなかで、賞与の査定に影響する重要な項目が出勤状態です。遅刻や欠勤が多いほど評価が下がるのは、企業の生産性にもかかわるため当然のことと納得できるでしょう。企業によっては、出勤率によって賞与の支給自体を決めるところもあります。

なお、産休や育休を欠勤とみなしてその取得者に賞与を支払わないことは違法ですが、産休・育休の期間を考慮し、その割合に応じて賞与から減額することは違法ではありません。

賞与の査定に影響する基本項目2:成績

企業は採用の段階で社員の能力を判断していますが、実際の能力は本当に働かせてみないとわかりません。そのため、どんなに能力があると判断されても、それが業務成績に結びつかなければ賞与の査定は上がりません。

能力と成績は別という考え方は営業を例に取るとわかりやすいでしょう。「毎日20件以上訪問しました」や「一生懸命努力しました」などということより、実際に契約を取った数が評価されるのです。

賞与の査定に影響する基本項目3:勤務態度

客観的な数字が出る成績と違って、数字では表せないのが勤務態度です。しかし、勤務態度が賞与に影響を与えることは否定できません。

多くの企業では、社員の勤務態度は上司が評価を下します。そのため、主観的な評価になりやすく、相性の悪い上司に当たったがために不当な評価を受けるリスクもあります。

とはいえ、遅刻や欠勤がなく、真面目に、かつ、積極的に業務に取り組んでいれば、大きくマイナス評価されることはありません。

人事考課を構成する3つの評価軸

上で説明した「出勤状態」、「成績」、「勤務態度」を基本として、人事考課では公正を期すために、さらに詳しい評価軸を定めています。

具体的な評価方法は企業によって細かな差があります。しかし、基本的な評価軸はどこも同じです。

ここからは、人事考課の基本的な考え方である「成績考課」、「能力考課」、「情意考課」という3つの評価軸について詳しくお伝えしていきましょう。

人事考課を構成する評価軸1:成績考課

成績考課とは、実際に業務で達成した成績に関係する評価です。また、成績そのものだけでなく、「なぜそのような成績になったのか」という成績までの過程も評価されます。

成績評価では、社員が自分で目標を設定する制度(目標管理制度)が採用されることが多く、上司が目標を決めて社員がただ従う場合より、社員が自ら目標を立てることで積極的に業務に従事することが期待できます。

業務を仕事の量・質などによって評価する

社員の目標は個人単位で異なるため、成績考課では実際に行なった業務の質と量を総合的に判断して評価します。

個人ごとに業務の質・量を総合的に判断した結果の評価ですので、個人レベルで積極性を向上させることができ、それが企業全体の積極性につながることが期待できます。その結果、成績考課によって、将来的に企業全体の成果に大きく反映されると考えらるのです。

人事考課を構成する評価軸2:能力考課

成績考課では、社員が設定した目標に対する成果を評価しました。一方、能力考課では、社員が業務を遂行する過程で、どのような能力や経験を身につけたかを評価します。

部署間の調整や業務のサポートなど、具体的な数字に表れない部分も評価されるのが能力考課の特徴です。

従業員の知識・スキル・経験など職務を通して身につけた能力を評価する

社員が業務を通してどのような知識、スキル、経験を身につけたかを評価するのが能力考課ですが、これは具体的な数字に表れにくい部分です。

たとえば、営業で単独で商談を行った場合と上司が同行した場合とで売上に違いがあるなら、その社員の能力を容易に判断できますが、そう簡単に評価できないことも多数あります。そのため、企業によっては社内試験を実施して基準を明確にすることもあります。

人事考課を構成する評価軸3:情意考課

「情意」とは、個人の感情や意思を表す言葉ですが、「情意考課」と言う時は、個々の社員が日々どのように業務に取り組んでいるか、その姿勢を評価することを言います。

一般的に情意考課は、規律性、積極性、協調性、責任性の4つの要素からなる評価です。情意考課では、社員自身の評価と、それに上司や同僚の評価を加えて総合的に判断します。

成績考課・能力考課ではカバーできない仕事への意欲や勤務態度を評価する

成績考課と能力考課とは違って、情意考課は最も主観の入りやすい評価軸です。

しかし、「情意」という個人の感情や意志は、実際の勤務態度や意欲に表れます。

本人が自分だけにしかわからない感情を自分で評価するというのではなく、遅刻、早退、欠勤などの勤務状態はもちろん、職場での協調性、モラル、言動などを客観的に評価するための基準と考えるとわかりやすいでしょう。

人事考課は社員の明暗を分ける評価制度

日本の企業では、多くが半期に一度のサイクルで人事考課を行っており、経営陣や人事部がその結果を参考に最終的な評価をします。

実際の賞与の金額や昇給・降格にも影響するため、人事考課は社員の明暗を分ける制度と言ってよいでしょう。

多くの日本企業は若手社員の育成期間は評価に差をつけない

人事考課を徹底させると、入社直後から大きな差がつくことも考えられます。実際、アメリカなどの成果主義の浸透している国ではそうなっています。

ところが、国内の企業の多くは、いまだに育成期間ということを理由に若手社員を評価によって差別化することを避ける傾向が強いです。「入社3年目まで賞与は基本的に同じ金額」などという企業は多いでしょう。明確な差がつくのは40歳前後からという企業がまだまだ多いです。

数年後には給与・賞与に大きな格差も

現在は国際競争が激化し、日本企業もグローバル化が進みました。そのため、従来のように、「若手社員の賞与は全員同じ金額」というおおらかとも言える体制を維持することは難しくなっています。

若手社員でも育成期間を早め、早いうちから人事考課で差をつけるという考え方が広がっている模様です。そのため、最近では「入社3年目で賞与が数十万円も違う」といったように、同期の間でも処遇に格差が生まれています。

人事考課で評価を上げて賞与アップを狙おう

日本では、成果主義はネガティブに捉えられやすい面があります。しかし、逆に考えると、人事考課で評価を上げれば若手でも大幅な賞与のアップが見込めるということです。

人事考課は企業に所属する社員にとって避けることができないものですので、企業がどのような方針によって評価基準を定めているかを意識し、それを達成するために努力することが大切です。賞与や評価について不明点がある時は、上司に積極的に尋ねましょう。

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