裁量労働制を正しく理解しよう|仕組みや5つの問題点を徹底解説!

人事制度

裁量労働制とは?

裁量労働制とは、労働時間が労働者の裁量で決めることができる労働時間に関する制度です。裁量労働制では実際に働いた労働時間に関係なく、契約の際に決めた労働時間分を働いたこととなります。

そのため、1日7時間の労働時間で契約をした場合は実際の1日の労働時間が5時間でも、10時間であっても、7時間働いたことになります。裁量労働制は厚生労働省のデータ改ざんが問題になったことで、広く認知されるようになりました。

裁量労働制はなぜ生まれたのか

これは、特殊な業務や企画性の高い業務、専門性の高い業務などは、毎日決められた就業時間で対応するよりも、労働者たちの裁量で労働時間を判断した方が仕事の効率が良くなります。そのため、働きやすさなども考慮して、裁量労働制は生まれました。

また、これらの業務では雇用主や、上司などが業務の進行状況を細かく把握して、正確な指示を出すことが難しいため、労働者たちに判断を任せる方が効率が良い場合もあるためです。

裁量労働制とフレックスタイム制の違い

裁量労働制はフレックスタイム制と内容がよく似ているため、よく意味が混同されてしまいます。

しかし、裁量労働制では1日に働いた時間に関わらず、契約で決めた時間だけ働いたことになりますが、フレックスタイム制では1日に働いた労働時間がそのまま労働時間として計算されます。

そのため、時給計算で給与が決まる場合、フレックスタイム制では労働時間が短いと給与もそれだけ少なくなってしまいます。

裁量労働制の種類とは?

裁量労働制はもともと専門性の高い業務や、企画業務などを行う際に取り入れらた労働時間の制度です。

裁量労働制は昭和62年の労働基準法改正によって導入され、平成10年には適用範囲が拡大されました。裁量労働制には多く分けると、専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制の2種類があります。

また、これらの裁量労働制を導入できる職種に制限があるため、裁量労働制は誰にでも適用できるわけではありません。

専門業務型裁量労働制

専門性の高い業務では仕事は時間をかければ良いというものではなく、結果を求められることが多いです。そのため、賃金を決める基準としやすい労働時間と、仕事の結果は一致しないことも多いです。

しかし、裁量労働制で、みなし労働時間を設定とすることで仕事の結果と報酬が一致させやすくなります。専門性業務がた裁量労働制が適用されるのは仕事にはデザイナーや研究者、弁護士、システムコンサルタント業務などがあります。

企画業務型裁量労働制

専門業務型裁量労働制では対象業務となる業務が19種と限定されています。しかし、企画業務型裁量労働制であれば、事業の運営や企画立案などで企業の経営において、非常に重要なポストに就いていれば裁量労働制を適用することができます。

これは仕事に関する知識や経験があれば対象者にすることができるため、専門業務型裁量労働制のように職種などで厳密に適用できる対象が決まっているわけではありません。

裁量労働制の仕組みとは?

裁量労働制は労働者が出勤時間や退勤時間、労働時間を本人の裁量によって決めることができます。そのため、裁量労働制で仕事をする人は労働時間が自由に決められます。

しかし、裁量労働制であっても、労働者が完全に自由に労働時間が決められるというわけではなく、必ず従うべきルールはあります。そのルールを守るためには、裁量労働制の仕組みについて把握しておく必要があります。

勤務時間がなく出退勤が自由

裁量労働時間制ではいつ出勤して、いつ退勤するかは本人の裁量によって判断することになります。そのため、勤務時間の長さも本人で自由に決めることができます。

しかし、仕事には閑散期もあれば繁忙期もあります。そのため、自分の意思とは関係なく、仕事が多くあるため、勤務時間が長くなったり、短くなったりすることもあります。また、勤務時間は自由に決められますが、大前提として仕事で結果は出さないといけません。

みなし時間が設定されている

裁量労働制ではみなし労働時間が設定されています。もし、みなし労働時間が7時間で設定されている場合には、1日に5時間働いたとしても、10時間働いたとしても、7時間働いたことになります。

みなし労働時間は、みなし残業時間とよく勘違いされますが、みなし労働時間ではこのくらいの時間は働くであろうとみなした労働時間を設定し、みなし残業時間ではこのくらいは残業するであろうとみなした残業時間を設定します。

休日手当について

裁量労働制では自由な時間に仕事をすることができます。しかし、それは労働日に限っての話であり、もし会社が休業日などであれば適用されません。

そのため、本来は休日である日に仕事を行った場合には、労働裁量性が適用されていても、休日手当をもらうことができます。

ただし、あまりありませんが、就業規則などに定めがある場合にはその規則に従う必要があるので、会社によっては休日手当がないこともあります。

残業について

裁量労働制では、どれだけ労働時間が長くても、設定されたみなし労働時間分しか働いていないことになります。また、自分の裁量で実際の労働時間を決めるため、残業という概念がありません。

ただし、法定労働時間は1日8時間、1週間で40時間と定められています。そのため、週休2日で、週に5日は仕事をして、みなし労働時間が8時間を超えて設定されている場合には、法定労働時間の超過分の時間外手当は発生します。

裁量労働制の問題点5つ

裁量労働制は自分の裁量で労働時間を決めることができます。そのため、労働者にとっては非常に働きやすい制度のように思う人もいます。また、企業側も裁量労働制を導入することで得られるメリットもあります。

しかし、裁量労働制にもいくつかの問題点があります。もし、裁量労働制の問題点を把握しないまま、働いてしまうと労働者が損をしてしまったり、トラブルの原因となってしまうこともあるので注意が必要です。

裁量労働制の問題点1:業種によっては当てはまらない

先に述べた通り、裁量労働制には2種類あり、専門業務型裁量労働制では適用される職種は19種に絞られており、企画業務型裁量労働制は企業の経営企画などの重要ポストに就いている場合に適用されます。

そのため、誰でも裁量労働制は適用できるわけではなく、業種などによっては当てはまらず、適用できないこともあります。専門業務型裁量労働制が適用される職種にはコピーライター、弁理士、建築士、税理士などがあります。

裁量労働制の問題点2:実労働とみなし時間がかけ離れることがある

裁量労働制では、仕事が閑散期であれば早く仕事を切り上げて帰宅したり、繁忙期には労働時間を延ばして対処するなど、うまくみなし労働時間とのバランスを取ることができます。

しかし、会社や業界、業務内容などによっては常にみなし労働時間を超えて仕事をしなければいけないこともあります。裁量労働制ではみなし労働時間が8時間以下で設定されると残業代がでないため、労働者にとって負担が大きくなるだけとなってしまいます。

裁量労働制の問題点3:長時間労働の温床になっている

裁量労働制ではみなし残業時間の設定が8時間以下であれば、法定労働時間を超えないため、残業代が発生しません。そのため、裁量労働制を導入している会社では、できるだけ長い時間働いてもらうほど、会社が得をするような形となります。

そのため、裁量労働制の自由な勤務時間や、早く帰宅できることもあるなどのメリットだけを伝えて、実際は多くの仕事を任せるなど、中には裁量労働制を悪用する企業もあります。

裁量労働制の問題点4:実際は出退勤時間が決められている

裁量労働制は労働時間を自由に決めることができます。しかし、職場が9時から20時までしか入れないなど、何らかの理由で結局は出退勤時間がある程度決まってしまっている場合もあります。

また、22時を超えての労働は裁量労働制でも深夜手当が発生するため、労働時間の記録のために事前に届け出が必要など、手間が増えることもあります。中には深夜手当を減らすために、強制的に帰宅させようとする企業があったりもします。

裁量労働制の問題点5:休日出勤が多い

裁量労働制が適用されるのは、専門性の高い業務をする人や、会社の経営企画などに携わる人などです。これらの人は、もともと仕事量が多いこともあり、会社は休業日でも業務内容によっては土日、祝日も関係なくスケジュールを調整しなくてはいけないこともあります。

そのため、休日出勤も多くなりやすいです。ただし、これは裁量労働制ではなく、就いている仕事内容によって左右されることが多い内容です。

裁量労働制で残業代が発生する場合がある?

先に述べた通り、裁量労働制でも休日手当がでたり、深夜手当が出たりなどすることもあります。また、みなし労働時間の設定など、条件によっては残業代が出る場合もあります。

そのため、裁量労働制で働く場合には、契約が終わってから、契約内容の変更をすることは難しいことも多いため、どのような条件であれば、どのような手当などが付くのかなどを事前に把握しておく必要があります。

深夜残業の場合

基本的に深夜勤務とは22時から翌日の5時までの時間帯で仕事をすることです。深夜勤務を行った場合、深夜手当が支払われることになります。

この深夜手当は裁量労働制が適用されている人にも適用されます。そのため、裁量労働制で働く人が深夜勤務をすれば深夜手当はもらえます。

ただし、常に深夜勤務で仕事をすることを禁止している会社があったり、深夜の労働時間管理のため、事前に届け出が必要な場合などもあります。

そもそも裁量労働制の条件を満たしていない場合

裁量労働制は誰でも適用できるわけではありません。また、裁量労働制は勝手に導入できるものではなく、みなし労働時間が8時間を超える場合は、36協定を締結するなどの条件を満たしたうえで、労働基準監督署に届出をする必要があります。

もし、条件が満たされていない場合、裁量労働制が適用できる職種などであっても、裁量労働制は適用できないため、就業時間に従ったり、残業代が発生するなどの通常通りの勤務扱いとなります。

裁量労働制について正しい理解をしよう

裁量労働制は労働者にとっても、雇用する企業側にとっても、メリットがある制度です。しかし、裁量労働制はお互いが知識を持っていないと、後にトラブルになってしまうこともあります。

そのため、裁量労働制については企業側だけでなく、労働者もその仕組みを理解しておくようにしましょう。

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