労働生産性とは
労働生産性とは、行った労働力に対してどれくらいの生産量や利益を得ることができたかを数値化したものです。
「生産性が高い」とは、効率良く仕事ができていることを表します。本記事では、普段ニュースで目にすることが多くなった労働生産性について記載します。
労働生産性の種類
労働生産性と一口に言っても労働生産性には二種類あります。区別して混同しないように整理して考えましょう。
1. 付加価値労働生産性
2. 物的労働生産性
労働生産性の計算式
労働生産性はoutput(産出)/input(投入)で計算ができます。このうちoutputは付加価値労働生産性の場合は付加価値額、物的労働生産性の場合は生産量で計算します。
例として、付加価値労働生産性を考えてみましょう。10人の社員で100万円の付加価値(粗利)を生み出すことができれば、付加価値労働生産性 = 100(万円)/10(人)で10万円/人となります。
日本企業の労働生産性の実態
日本企業の労働生産性が他国に比べて非常に低いことはご存知でしょうか。日本企業の労働生産性は1970年代から先進国の中でも非常に低いです。
多くの企業では労働生産性を向上させるための努力がされていますが、今でも日本企業は先進国の中では労働生産性は低いままでなかなか改善することができずにいます。
生産性を妨げる問題点
ここでは労働生産性が低い原因として考えられる要因を挙げてみます。
・管理職のマネジメント力が低い
・優秀な社員を優遇できていない賃金制度
・非効率な階級主義
労働生産性を向上させるポイント7つ
ここまで日本の労働生産性が低い問題点を列挙してきました。では、どうすれば労働生産性を向上させることができるのでしょうか。ここからは労働生産性を向上させるために重要とされるポイントを7つご紹介します。
労働生産性を向上させるポイント1:ビジネスモデルを創出する
今よりも効率的に稼ぐことができるビジネスモデルを創出することが労働生産性向上に効果的です。同じ製品を効率よく製造するのにも限界があります。
また、同じことを繰り返していては付加価値の額はどんどん減少していってしまいます。時代や市場のニーズを拾い出し、それに合ったビジネスを創り出していかなければ、劇的な生産性の向上を達成することはできません。
労働生産性を向上させるポイント2:従業員満足度を向上させる
従業員満足度を向上させれば生産性は向上します。社員がモチベーションを高く働くことができれば、社内の意見交換は活発になり業務の効率化は進みます。社員同士の相乗効果により斬新なアイデアが生まれやすくもなります。
また、優秀な人材の確保にもつながります。離職率は低下し、これから会社を担っていく若手社員の流出を防ぐこともできます。
労働生産性を向上させるポイント3:人事評価制度を導入する
評価基準を明確にし、公平な人事評価制度を導入することは生産性向上に有効です。上司の主観が入るような人事評価制度では、社員の不平不満が溜まり会社全体としての効率が下がってしまいます。
また、残業時間が長い社員が評価されるような人事評価制度は避けるべきです。労働時間で評価されれば、社員は仕事する際に効率ではなく時間で考えてしまい、ダラダラと会社に残って残業ばかりして効率が下がってしまいます。
労働生産性を向上させるポイント4:労働環境を改善する
社員がモチベーションを保って働けるように労働環境を改善することも重要です。対策として、二点挙げます。
・有給取得率向上
・能力主義の導入
労働生産性を向上させるポイント5:ICTリテラシーを向上させる
ICT、つまりコンピューター技術をもっとうまく活用して、生産性を向上させることが必要です。
近年、ビッグデータや人工知能の開発が急速に進んでおり、業務効率化のためのツールが整ってきています。時代の流れに遅れずに、社内教育するなどして社員のICTリテラシーを向上させ、積極的に利活用する必要があります。
労働生産性を向上させるポイント6:適材適所の人材配置
人材を適材適所に配置することは重要です。人には向き不向きがあります。ある部署でエース級だった社員が別部署でもエース級の働きができるとは限りません。
平均以下の仕事しかできないケースも多々あります。最適な仕事に従事している社員はそうでない場合に比べて、効率は250%向上すると言われています。社員の向き不向きを把握し、生産性向上を目指しましょう。
労働生産性を向上させるポイント7:BPMの導入
最後に、労働生産性向上の方策としてBPM(Business Process Management)をご紹介します。BPMとは、現在行っている仕事を洗い出し、プロセスや作業手順を削減・簡素化したりすることでより効率的に仕事ができる環境を整えることです。
ポイント1で紹介したように新しいビジネスを創出することも大切ですが、現在行っている仕事を効率化することで、生産性の向上を進めることも重要です。
業界による労働生産性の違い
ここまで日本の労働生産性が低いことをご紹介してきました。
日本の企業の中でも業界によって労働生産性は大きく異なります。情報通信系や卸売業は労働生産性は高い傾向にあり、飲食サービスや宿泊、福祉や介護のようなサービス産業では、労働生産性が低い傾向にあります。
大企業と中小企業の労働生産性の違い
大企業と中小企業では労働生産性は大きく異なります。近年、大企業では過去最高益を出している企業がいくつもあり、費用や人をかけて生産性の向上に積極的に取り組んでいます。
一方で、中小企業では企業体力がなく労働生産性向上のために十分な投資ができていないのが現状です。特に、製造業において労働生産性の差は大きいとも言われております。
労働生産性を向上させよう
本記事では、昨今ニュースで取り上げられることが多くなった労働生産性についてご紹介してきました。
会社の収益性向上のためには生産性の向上は避けては通れません。これを機に、労働生産性を向上させるためにどのような取り組みができるのかを一度考えてみてはいかがでしょうか。