生産年齢人口とは|生産年齢人口の減少の問題点3つと減少対策4つ

人事制度

生産年齢人口とは

生産年齢人口は、人口統計において、労働意欲があるかないかに関わらず日本国内で労働に従事できる年齢の人口のことです。

日本では15歳から65歳未満の年齢に該当する男女の人口が生産年齢人口にあたります。

生産年齢人口は、実際に働いているか働いていないかに関わらず、働くことができる人口のことを指しています。さらに生産年齢人口は、働く意志が無い非労働力人口と意志がある労働力人口に分けられます。

生産年齢人口の推移と予測

生産年齢人口の推移と予測はどのようになっているのでしょうか。生産年齢人口は、実際に働いているか働いていないかに関わらず、働くことができる人口のことを指しますので、生産年齢人口は今後も減少していくというのは、危機的な状況だと伺えます。

推移

生産年齢人口は戦後一貫して増加を続けていましたが、1995年の8726万人をピークに減少を続け、2015年は7728万人となっています。

日本の総人口に占める生産年齢人口の割合は、2018年には59.77%となり、60%を下回っています。

生産年齢人口に満たない14歳未満の年少人口が1982年から減少を続けており、少子化が進んでいることで生産年齢人口が増えていかないため、このような状態が続いています。

予測

生産年齢人口は今後も減少していくという予測がなされています。

国立社会保障・人口問題研究所が行った日本の将来推計人口の出生中位推計の結果によると、2029年には7000万人、2040年には6000万人、2056年には5000万人、2065年には4529万人へと生産年齢人口が減少していくと予測されています。

これは少子高齢化が今のペースで進んでいった場合の推計であり、早急な対策が求められています。

生産年齢人口の減少の問題点3つ

生産年齢人口の減少は3つの大きな問題を引き起こしています。

生産年齢人口が減少し続けていることによって、超高齢化、労働者の人手不足、年金制度への影響という日本の将来に関わる3つの問題が生じています。それぞれの問題点ついて現在の日本における実例を交えて紹介します。

生産年齢人口の減少の問題点1:超高齢化

生産年齢人口の減少は、超高齢化に拍車をかけています。

超高齢者社会は、高齢化率が人口比で21%以上の社会を表しており、日本は2007年に21.5%へと突入しました。

高齢者が増える一方で、働ける人口が減ることによって、税収の減少や消費の落ち込み、社会保障費の増大などが発生するため、全体として日本経済が停滞する恐れがあります。

また、生産年齢人口の社会保障負担が増えることも予測されています。

生産年齢人口の減少の問題点2:労働者の人手不足

生産年齢人口が減少することで、労働者の人手不足が発生します。

働き手が減ることは、国内の生産力の減少に直結しています。生産力は労働者の数や働く時間、生産性などの要素によって決定するため、生産年齢人口の減少は生産力低下につながります。

実際に、飲食業や小売、運輸などでは人手不足が顕在化しており、生産年齢人口の減少による実害が発生しています。今後はその他の業種でも同様の問題が発生していきます。

生産年齢人口の減少の問題点3:年金制度

生産年齢人口の減少によって年金制度の維持が危ぶまれています。

公的年金制度および公的医療保険制度は、生産年齢人口が65歳以上の老年人口を支える形で成り立っています。これは、人口が増加し経済が発展していた高度経済成長期に作られた制度であり、現在の日本の停滞した経済や人口減少を前提としていません。

実際に年金支給年齢が徐々に引き上げられていることからも、年金制度の危機が迫っていることがわかります。

生産年齢人口の減少対策4つ

生産年齢人口の減少は危機的な問題ですが、対策は4つあります。

子育てをしやすい環境づくり、女性が働きやすい制度、高齢者の力の活用、生産性の向上の4つです。この4つの対策をしていくことで、生産年齢人口の減少に歯止めをかけることができます。

それぞれについて詳しく紹介していきます。

生産年齢人口の減少対策1:子育てしやすい環境づくり

生産年齢人口の減少対策の一つとして、子育てしやすい環境づくりが上げられます。

生産年齢人口の減少は少子化が原因です。少子化を食い止めるためには、産休や育休などの子供を作りやすい制度の整備や、子育て中でも仕事を辞めることなく働き続けられるような働き方を可能にすることが必要です。

また保育園不足も全国的な問題となっており、官民一体となって子供を産みたい人が産みやすく、育てやすい環境づくりが求められています。

生産年齢人口の減少対策2:女性が働きやすい制度

生産年齢人口の減少対策として、女性が働きやすい制度づくりが挙げられています。

女性は出産や育児などによって、仕事を止めなければならないケースが多くあり、また再就労も困難な状況にあります。また、男女間における賃金格差も女性の就労に悪影響を与えています。

さらに、セクハラやパワハラといった問題もあり、これらを改善し、女性が働きやすい制度を組み上げていくことが求められています。

生産年齢人口の減少対策3:高齢者の力を活かす

生産年齢人口の減少対策として、高齢者の労働力を活用するという方法も考えられています。

生産年齢人口は15歳から65歳未満の働ける人口を表していますが、65歳以上の老年人口の中でも働きたい・働ける人が働ける環境を整えることが対策になります。

実際に2013年には、定年年齢が60歳から65歳に引き上げられました。70歳以上に引き上げられる可能性もあり、高齢者の力を活かす方策が取られています。

生産年齢人口の減少対策4:生産性を上げる

生産年齢人口の減少対策として、生産性を上げるということも挙げられています。

日本の労働者の生産性の低さは世界的に知られています。日本の1人あたりの労働生産性は、先進国が集まるOECD加盟36カ国中で21位と、先進国の中でもかなり低い水準となっています。

このかなり低い生産性を上げることで、日本の生産力向上につながり、生産年齢人口の減少に対応できるようになります。

生産性を上げる実際の方法としては、長時間の残業を減らすことや有給休暇取得率の向上などが挙げられています。

生産年齢人口と労働力人口の違い

労働力人口は満15歳以上の労働する意志と能力を持った年齢の人口を表しています。

労働力人口には、働く意志と能力を持っており実際に働いている人と、働く意思と能力を持っているものの仕事が無く失業中の人も含まれています。

生産年齢人口には働く意志が無い人が含まれますが、労働力人口には含まれません。また、労働力人口には65歳以上で働いている人が含まれますが、生産年齢人口には含まれません。

労働力人口の推移と予測

労働力人口の推移と予測はどのようになっているのでしょうか。働く働く意志が無い人が含まれる生産年齢人口とは違いますが、働く意思と能力を持っているものの仕事が無く失業中の人も含まれています。

推移

2018年度の日本の労働力人口は、総務省が毎年行っている労働力調査によるもと6830万人で、前年に比べ110万人増加しています。

2018年の労働力人口は2008年から2018年の10年間でもっとも高い数値で、2012年以降日本の労働力人口は毎年増え続けています。

非労働力人口は、2018年平均で4263万人で、前年に比べ119万人の減少となっています。6年連続で非労働力人口は減少しています。

予測

労働力人口は今後も増えていくことが予測されます。

労働力人口の増加および非労働力人口の減少は2012年から継続しており、今後もこのトレンドが続いていくと考えられています。

この理由は、定年が伸びたり働き方改革によって主婦や高齢者の労働参加が増えたりしていることが影響しており、全体として働ける人の母数が増えているからです。

今後もさらなる定年の延長や制度改革によって働き続けられる環境が整えば、より労働力人口は増えていきます。

生産年齢人口が減っても持続可能な会社にしよう

生産年齢人口およびその減少について紹介してきました。

生産年齢人口の減少は、今後も長期的に続いていくと予測されており、その結果として企業にとっては採用や人材獲得に大きな影響を与えます。生産年齢人口が減れば減るほど人材獲得競争が厳しく激しくなり、優秀な人材の獲得が難しくなります。

企業の発展のためには今のうちから生産年齢人口の減少に対応していく必要があります。生産年齢人口の減少に常に注視して、生産年齢人口が減っても持続可能な会社にしましょう。

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