家に帰りたがらないフラリーマンとは?
あなたは、フラリーマンという言葉をご存知ですか。サラリーマンに対してフラリーマンという言葉はユーモアさえ感じさせます。フラリーマンとは、仕事が終わったのにすぐ家に帰らず、文字通り街なかでフラフラと寄り道してから帰宅するサラリーマンの俗称です。社会心理学者の渋谷昌三さんが2007年に著書の中で命名されたのが始まりです。
ここでは今、増えているというフラリーマンについてご紹介します。
フラリーマンが増えた背景
ここ数年で増加し続けているというフラリーマンですが、なぜフラリーマンが増えてきたのでしょうか。それは、働き方改革で国の指針のもと、企業が残業時間を厳しくチェックして減らさざるを得なくなったことが大きな一因です。
残業が減れば、当然その分給料も減ります。その埋め合わせとして早く家に帰って家事や育児に積極的に取り組んでくれればよいのですが、そうはなりませんでした。
夫がフラリーマンになる理由4つ
ここでは、夫がフラリーマンになる理由について、4つあげてみました。あなたの夫や、あるいはフラリーマンであるあなた自身にも、思い当たることがあるのではないでしょうか。
夫がフラリーマンになる理由1:趣味に時間を使いたい
夫がフラリーマンになる理由その1は、趣味に時間を使いたいからです。独身時代に熱中していた趣味のある人でも、結婚して世帯をもつと、子供がいたり、妻と趣味が合わないなどの理由でこれまでと同じように趣味にお金や時間をかけることが難しくなります。
そう考えると会社が終わった後の時間を趣味に使いたくなるのは当然ともいえます。ただ、その趣味を家庭内ですることができないため、外で趣味に時間を使うことになります。
夫がフラリーマンになる理由2:家事や育児ができない
夫がフラリーマンになる理由その2は、家事や育児ができないからです。夜帰宅する時間は、妻にとっては夕食の支度や子供の世話など、まさに猫の手も借りたいほど忙しい時間帯です。当然家に帰れば、手伝わないわけにはいきません。
しかし、夫が家事や育児ができないとなると、家にいるとかえって迷惑になります。夫婦喧嘩のタネにもなりかねないので、夫は家に帰りたくない、帰ることができないのです。
夫がフラリーマンになる理由3:ひとりになりたい
夫がフラリーマンになる理由その3は、ひとりになりたいからです。フラリーマンは毎日会社で上司や部下に気を使い、家では忙しい妻と子供の相手をしています。会社と家の往復の毎日の中で、時にはひとりになるたいときもあるでしょう。
そんな時、ひとりになれるのが仕事が終わってから帰宅するまでの時間です。フラリーマンはこの時間にひとりを満喫します。
夫がフラリーマンになる理由4:妻の愚痴を聞きたくない
夫がフラリーマンになる理由その4は、妻の愚痴を聞きたくないからです。一般に男性より女性の方がストレス発散の手段をたくさん持っていると言われています。悩み事を気軽に人に相談して気持ちを切り替えることにも長けています。
対して男性は悩みを自分一人で抱えこんでしまう傾向があります。つまり、自分だけでいっぱいいっぱいのときに、帰宅して妻の愚痴を聞く余裕はなく、なるべく帰宅時間を遅くして避けようとします。
フラリーマンに対する妻の感情3つ
ここからは、フラリーマンに対して世間の妻はどう感じているのかについてお伝えします。もし自分の夫がフラリーマンだとしたら、またフラリーマンのあなたは妻にどう思われているのか、ぜひ参考にしてください。
フラリーマンに対する妻の感情1:育児を手伝ってほしい
フラリーマンに対する妻の感情その1は、育児を手伝ってほしい、です。365日24時間終わることのない育児は、重労働です。夫が仕事で忙しいのはわかるけれど、妻も育児だけでなく同時に家事をして、さらに仕事をこなしている人も少なくありません。
当然会社帰りに自由な時間があり、フラフラしているならば、早く帰ってきて育児を手伝ってほしいと考えていることでしょう。
フラリーマンに対する妻の感情2:夕食の準備が大変
フラリーマンに対する妻の感情その2は、夕食の準備が大変、です。夕食の準備と一言で言っても毎日献立を考え、買い物に行き、調理をして、帰宅時間に合わせて提供し、後片付けをするという一連の作業は、思ったより大変です。これが外食の日を除いてほぼ毎日続くとなると、妻の負担は大きいです。
それに比べてフラリーマンは好きな時間に帰宅して出された食事を食べるだけだとしたら、妻の不満は相当なものになるでしょう。
フラリーマンに対する妻の感情3:家にいると気兼ねするのでありがたい
フラリーマンに対する妻の感情その3は、家にいると気兼ねするのでありがたいです。夫が家事や育児ができない、または家事育児に非協力的だった場合、かえって何もせずに家にいられるとイライラが募ってきます。
また子供が成長して手がかからなくなっていたら、夫がいるとかえって気を遣うのでいない方がいいと考える妻もいて、ひとりで時間を潰して、就寝時間の少し前に帰ってきてくれた方がありがたい、と考えています。
フラリーマンへの改善策5つ
ここまで、フラリーマンの実態と、フラリーマンが増えてきた理由、その妻の思いについてお伝えしてきました。世間的にも、フラリーマンに対してあまりよい印象ではありません。そこで、ここではフラリーマンへの改善策についてお伝えします。
フラリーマンへの改善策1:報連相をしっかりする
フラリーマンへの改善策その1は、報連相をしっかりすることです。共に生活をしている妻にも、ビジネススキルの基本である報告・連絡・相談を自発的にすることです。自分が今何を考え、どのように動いているか、これからどうしていきたいかをきちんと妻に発信し、自分の立場や考えを理解してもらう努力が必要です。
フラリーマンへの改善策2:家事を分担する
フラリーマンへの改善策その2は、家事を分担することです。妻に任せっきりになっている家事を率先して引き受ける姿勢が大切です。ここで重要なことは、家事を手伝う、というスタンスではなく、家庭の中で自分に分担された役割と認識することです。
妻が大変そうだから手伝ってあげた、という気持ちで家事をしていると言葉や態度にあらわれます。妻は毎日当たり前にこなしている家事を、フラリーマンも粛々とこなしていくことです。
フラリーマンへの改善策3:コミュニケーションをとる
フラリーマンへの改善策その3は、コミュニケーションをとることです。夫婦なのでこれくらいのことは言わなくてもわかるはず、という概念を捨てて、あえてコミュニケーションをとるよう意識することが必要です。
夫婦ふたりで出かける用事をつくる、たまには二人きりで食事をするなど、わざわざ設定して夫婦間のコミュニケーションを図り、忙しい日常から一歩離れる時間をもつことは、フラリーマン防止に役立つことでしょう。
フラリーマンへの改善策4:企業側が副業を許可する
フラリーマンへの改善策その4は、企業側が副業を許可することです。昨今は働き方改革で残業時間が規制され、多くのサラリーマンは減給に追いやられています。そこで、残業に充てていた時間に副業をすることができれば、家計の足しにもなり、本人のモチベーションも上がります。
しかし2018年の統計では、副業を推進、容認している企業の割合はまだ全体の28.8パーセントです。各企業の制度改革が待たれます。
フラリーマンへの改善策5:企業側が課外活動の参加を促す
フラリーマンへの改善策その5は、企業側が課外活動の参加を促すことです。終身雇用制度がなくなりつつある近年は、企業が個人のエンプロイアビリティを育成していくことも必要です。
そこで、終業後の時間の有効活用として、企業が課外活動の参加を積極的に推進していくことが望まれます。
自己啓発セミナーや語学、異業種交流会などの情報提供や、参加しやすい環境を整えることが必要です。
フラリーマン対策として夫婦間で良好なコミュニケーションをとろう
ここまで、最近増えてきたフラリーマンについて、その実態と改善策についてお伝えしてきました。夫をフラリーマンにしないために、そして自分自身がフラリーマンにならないようにするために、最も必要なことは夫婦間で良好なコミュニケーションをとることです。
忙しい毎日だからこそ、お互いにもう一歩譲って協力しあう姿勢が大切です。意識してコミュニケーションをとり、少しでも意志疎通がスムーズに図れるようにしましょう。