ワークシェアリングを導入するための5ステップ|海外の先進事例や注意点

人事制度

ワークシェアリングとは

ワークシェアリングとは、雇用者同士で仕事を分け合うことを言います。1つの仕事を複数の人と分かち合うことで、雇用の増大と1人当たりの労働時間の短縮が見込めます。

最近は働き方改革が叫ばれてきていることもあり、ワークシェアリングは注目を集めています。

ワークシェアリングの目的

ワークシェアリングの目的は、1人当たりの労働時間を短縮し、社会全体の雇用者数を増加させることです。会社単位では、従業員のワークライフバランスを実現し、労働環境改善や離職率の低下が見込めます。

特にこれからはAI技術の台頭により、仕事が減少していく可能性が指摘されています。1つの仕事を分け合うことで、より多くの人が仕事に就けるようになります。

ワークシェアリングの種類

ワークシェアリングには大まかに分けて2種類あります。会社が雇用を維持するために導入するワークシェアリングと、国や自治体が雇用創出のために行うワークシェアリングです。

雇用維持型のワークシェアリングは、一時的な不況で仕事量が減少した場合などに、従業員の雇用を維持するために行われます。雇用創出型のワークシェアリングは、不況などで失業者が増加した時に、国や自治体が失業者を減らすために行われます。

海外でのワークシェアリングの先進事例3例

ワークシェアリングはもともと海外で始められたものであり、成功を収めたものも多いです。海外でのワークシェアリングの先進事例を3つご紹介しますので、参考にしてみてください。

海外でのワークシェアリングの先進事例1:フランス

フランスのワークシェアリングは、2000年に制定されたオブリ法によって始まりました。オブリ法とは、労働時間を週35時間とする法律です。

フランスの大手自動車会社ルノーが3年間、週35時間労働制を実行しました。残念ながら雇用を維持する効果は見込めませんでしたが、新規の雇用を創出する効果はありました。

海外でのワークシェアリングの先進事例2:オランダ

オランダのワークシェアリングは、1980年代前半に起こった不況により、失業者が増加したことが原因で始まりました。フルタイム労働者が行っていた仕事をパートタイム労働者が分かち合うことにより、新規雇用が創出され失業者数が減少しました。

公務員の仕事もパートタイム労働者で回すようになりました。オランダはパートタイム労働者なくしては成り立たなくなっており、ワークシェアリングの国とも言われています。

海外でのワークシェアリングの先進事例3:ドイツ

ドイツでは雇用維持を目的とし、1980年代から時短労働の導入によるワークシェアリングが行われました。2001年には新たな労働法が制定され、同一労働同一賃金を実現し、パートタイム労働者への差別を禁止しています。

ドイツの大手自動車会社フォルクスワーゲンは、週28.8時間労働制を導入しました。これにより、社員の雇用を維持することができました。

ワークシェアリングを導入するための5ステップ

近年注目を集めているワークシェアリングですが、何の準備もなくすぐに導入できるわけではありません。これまでの業務を再定義し、複数の労働者で分かち合えるようにする必要があります。

ワークシェアリングを導入するためのステップをまとめてみましたので、参考にしてください。

ワークシェアリングを導入するためのステップ1:現在の業務の流れを理解する

ワークシェアリングを導入するためのステップ1は、現在の業務の流れを理解することです。具体的に会社全体でどのような業務を行っており、流れはどのようなものかを把握する必要があります。

できれば、具体的にタスク単位で業務を分割し、業務の流れを把握してみましょう。どんなに複雑に見える業務でも、冷静に分析してみればタスクの集合体です。

ワークシェアリングを導入するためのステップ2:無駄な仕事を減らす

ワークシェアリングを導入するためのステップ2は、無駄な仕事を減らすことです。意味もないのになんとなく行っている無駄な仕事は、ワークシェアリングの妨げになります。無駄な仕事を行っていないか、1度振り返ってみましょう。

具体的には、利益に直接結びつかない仕事や、後で見返されることのない煩雑な報告書の作成業務などです。無駄な仕事を減らせば、業務の流れもシンプルになり仕事も分かち合いやすくなります。

ワークシェアリングを導入するためのステップ3:ワークシェアリングが可能な業務を見つける

ワークシェアリングを導入するためのステップ3は、ワークシェアリングが可能な業務を見つけることです。すべての業務がワークシェアリング可能なわけではないからです。ワークシェアリングが可能でも、ワークシェアリングに向いていない業務もあります。

行っている業務を分析し、タスク単位の単純作業まで分割できれば、ワークシェアリング可能な業務も見つけやすくなります。冷静に業務内容を分析してみましょう。

ワークシェアリングを導入するためのステップ4:マニュアルを作成する

ワークシェアリングを導入するためのステップ4は、マニュアルを作成することです。ワークシェアリングは、複数のパートタイム労働者が業務を担うことになります。誰でも一定のクオリティで業務をこなすためには、マニュアルを作成し業務内容を統一する必要があります。

誰でもすぐに理解することができるように、わかりやすく単純化したマニュアルが理想的です。これさえ読めば誰でもできる、というマニュアルを作成しましょう。

ワークシェアリングを導入するためのステップ5:KPIの設定

ワークシェアリングを導入するためのステップ5は、KPIの設定です。KPIとは、目標の達成度を評価するための指標です。ワークシェアリングを行うことで、何を目的とするのか決めるということです。

ワークシェアリングを導入する場合のKPIは、従業員の離職率を下げるとか、従業員満足度や勤続年数を上げることなどに設定されることが多いです。最適なKPIを設定し、ワークシェアリングを効果的に導入しましょう。

ワークシェアリングを適用する際の注意点3つ

ワークシェアリングは良いことばかりに見えますが、導入する際は注意点もあります。実際にワークシェアリングを導入したものの、目立った効果が見られなかった事例もあるからです。

ワークシェアリングを適用する際の注意点を3つご紹介します。

ワークシェアリングを適用する際のポイント1:社員の思考性

ワークシェアリングを適用する際に注意するポイントとして、社員の思考性が挙げられます。すべての社員がワークシェアリングを望んでいるとは限りません。社員のなかには、たくさん働いてそのぶん稼ぎたい社員もいるでしょう。

社員がどういった働き方を望んでいるのか、注意して考える必要があります。社員の多くが望まないワークシェアリングを導入してしまうと、逆に大量退職が起こる可能性もあり得ます。

ワークシェアリングを適用する際のポイント2:年齢構成

ワークシェアリングを適用する際に注意するポイントとして、社員の年齢構成も挙げられます。ワークシェアリングを導入すると、そのぶん賃金は下がる傾向にあります。子供の学費や住宅ローンの返済にお金がかかる年齢層の社員が多い場合、反発を招く可能性があります。

逆に家庭やプライベートに時間を割きたい比較的若い年齢層の社員が多い会社であれば、比較的スムーズにワークシェアリングが進む可能性があります。

ワークシェアリングを適用する際のポイント3:生活水準の引き下げ

ワークシェアリングを適用する際に注意するポイントとして、生活水準の引き下げも挙げられます。ワークシェアリングを導入すると、労働時間が減ることで給料も下がってしまう場合が多いです。

これまでの生活水準では生活が苦しくなるため、生活水準の引き下げもセットで必要になります。

一時的な不況で業務量が減少した場合などは、雇用を維持するという目的があるため、社員の理解も得られやすい傾向にあります。

ワークシェアリングを検討しよう

ワークシェアリングの海外における事例や導入のためのステップ、注意点などを紹介してきました。ワークシェアリングのメリットとデメリットが伝わりましたでしょうか。

特にこれからはAI技術の発達により、仕事が減っていくことも予想されています。働き方改革によるワークライフバランス実現のためにも、雇用を分かち合うワークシェアリングを検討してみましょう。

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