福利厚生の食事補助とは
福利厚生のひとつとして「食事補助」という制度があります。「食事補助制度」とは、社員食堂の設置や弁当の宅配サービスなど、社員の食事面をサポートする制度です。
食事補助制度は、社員の誰もが使いやすく、同じように恩恵を受けることができるので、導入している会社が多い福利厚生の仕組みです。
食事補助は会社にとって節税にもなる制度ですが、間違った方法で導入してしまうと課税対象になることもあるので、注意が必要です。
福利厚生の食事補助を実施するメリット
福利厚生で食事補助を実施する場合、制度の恩恵を受ける従業員にとっても、制度を実施する側の雇用主にとってもメリットがあります。
従業員にとっては、給与から支出する食事代を節約できます。社員食堂が設置されていれば、仕事と食事を時間をきっちりと切り分けて、メリハリをつけて業務が行えます。
雇用主としても、社員のコミュニケーションの活性化や、健康増進を期待できます。経理面でも福利厚生費として計上できます。
福利厚生の食事補助の種類4つ
福利厚生の食事補助として認められるためには、4つの形態があります。会社の規模や従業員数、従業員が常に社内で働いているのか否かなどの勤務形態によって、導入できる形態が異なります。
福利厚生として認められる食事補助には以下の4形態があります。
・設置型サービス
・社員食堂
・仕出し弁当、宅配弁当
・チケットサービス
ここでは、それぞれの形態の内容についてご紹介します。
福利厚生の食事補助の種類1:設置型サービス
福利厚生の食事補助として「設置型サービス」という形態は、低コストで導入できるので、社員食堂を整備するほどではない規模の会社に向いています。
設置型サービスでは、管理や補充をサービス企業側に委ねることができるので、雇用主としても管理の手間や費用を節約できます。
具体的には、お菓子やドリンクの自販機の設置や、惣菜などを社内に設置した温冷庫を使って適切な温度管理で提供する仕組みなどがあります。
福利厚生の食事補助の種類2:社員食堂
「社員食堂」は、設置されていれば従業員にとってはうれしいものの、設備や管理にかなりコストがかかる福利厚生です。規模の大きな会社でないと導入は難しいでしょう。
コストはかかるものの、食の充実だけでなく、「企業価値向上」「人材の定着」「健康経営」など、多くのメリットもあります。
社員食堂の運営を請け負うサービスを展開する会社もあるので、社員食堂という箱だけ用意して、社外サービスを利用することも可能です。
福利厚生の食事補助の種類3:仕出し弁当
導入が簡単なので、会社の規模に関わらず、多くの企業で導入されているのが「仕出し弁当」や「弁当宅配」です。会社の設備も不要で、納品された弁当コンテナを置くスペースが確保できれば導入できます。
事前に注文を取って、必要個数分の配達をしてもらう形式なので、売り切れの心配や、買いに行く手間を省けるというメリットもあります。急な都合に合わせられなかったり、弁当の内容に不満を感じる場合もあります。
福利厚生の食事補助の種類4:チケットサービス
福利厚生の食事補助として、チケットが支給される方式もあります。支給されるチケットとは、提携しているお店で支払えるチケットだけでなく、アプリや電子マネーカードなどの場合もあります。
チケットサービスの形態は、経営側としては管理がしやすく、従業員側としては食事内容を自由に選択できるというメリットがあります。
社内勤務の従業員も、出張や営業などで外出が多い従業員も平等に活用できるという点でも人気があります。
食事補助の代行業者サービス8選
福利厚生の食事補助を提供する場合、外注業者に管理や運営をゆだねることができます。社員食堂の運営を請け負う会社もあれば、設置型サービスを展開している会社もあります。
ここでは、福利厚生の食事補助という観点で業務を請け負うサービスを展開している会社を8社ご紹介します。
自社の福利厚生として展開できそうか、自社の環境や従業員の勤務形態と照らし合わせながら参照してみましょう。
食事補助の代行業者サービス1:オフィスおかん|株式会社おかん
「オフィスおかん」では、設置型サービスを展開しています。オフィスおかん専用の冷蔵庫とボックスで、約20種類のお惣菜が全品100円で提供されます。
専用の冷蔵庫とボックスは運営企業側で準備してくれるので、導入企業側は電子レンジを設置するだけで食事補助制度を導入できます。
1品ずつパックされているので、持ち帰りもでき、一人暮らしの人などの帰宅後の食事としても活用できます。
食事補助の代行業者サービス2:TAVENAL|株式会社AIVICK
「TAVENAL」は、福利厚生の食事補助制度としては、設置型サービスにあたりますが、宅配弁当サービスでもあります。
Webを利用して、気になるお弁当を注文しておけば、オフィスの決められたスペースに配達しておいてくれます。企業としては、約1畳分のスペースを用意しておけば、20名以上の利用にも対応できます。
お弁当は1食500Kcal前後に設定されており、食事制限に気を使っている人でも満足できます。
食事補助の代行業者サービス3:シャショクル|スターフェスティバル株式会社
「シャショクル」は、宅配弁当サービスを展開しています。メニューが豊富で、有名店の弁当から低価格な弁当まで、バラエティ豊かなラインナップが期待できます。
少ない数量から販売できるプランも設定されており、スマホ決済が可能な無人提供プランもあります。利用者が多い場合には、対面販売プランもあります。
東京、横浜、大阪のみで展開されているので、この地域に属している場合は、検討してみてはいかがでしょう。
食事補助の代行業者サービス4:DAILY|タベル株式会社
「DAILY」は、不足しがちだといわれる野菜と肉をまとめて補給できる、栄養士が監修した弁当を提供してくれます。福利厚生の食事補助制度として活用できる宅配弁当サービスです。
事前予約や集計が不要で、届けられた弁当の中から気に入ったものがあれば購入するという形態です。
豊富なメニューが準備されているので、選べるメニューが多く、通常の宅配弁当よりも従業員の満足感が高くなります。
食事補助の代行業者サービス5:エームサービス
「エームサービス」では、社員食堂の導入サービスを行っています。旬の食材や地域性を活かした豊富なレシピをもとに、企業のニーズに応えた社員食堂が導入してくれます。
単純な社員食堂ではなく、企業特性を伝えれば、特性に合ったメニューの提案もしてくれます。
たとえば、実業団を抱える企業なら、実業団向けの営業サポートを受けたり、肉体労働者用、事務選任用など、企業の課題にメニューを合わせてくれます。
食事補助の代行業者サービス6:チケットレストラン|株式会社エデンレッドジャパン
「チケットレストラン」は、大手コンビニや全国の飲食店で使える専用カードを支給し、どこでも食事補助が受けられるサービスです。
オンラインチャージや残高照会などをスマホアプリを使って社員も見ることができます。通常の電子マネーのように、紛失時にはカードブロックもできます。
全国展開している企業や、内勤者と外勤者がいる企業の場合、地域間による格差も抑えられるので、社員の満足感が高くなります。
食事補助の代行業者サービス7:株式会社KOMPEITO(コンペイトウ)
「KOMPEITO(コンペイトウ)」では、「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」というサービスを展開しており、福利厚生の食事補助制度のひとつとして認められます。
「OFFICE DE YASAI」は、全国各地で厳選した産直野菜などの新鮮な野菜・果物、農産加工品をオフィスの冷蔵庫に配備し、従業員がオフィスで食べることができるサービスです。
価格もリーズナブルで、現金で購入することになります。
食事補助の代行業者サービス8:レムネラ・ジョルダン株式会社
「レムネラ・ジョルダン」の「ミール・プラス」というサービスが、福利厚生の食事補助制度として利用できます。
「ミール・プラス」とは、お店で使ったレシートをスマホから登録して、食事補助を受けるシステムです。
「ミール・プラス」のサービスは、福利厚生の食事補助制度として活用できるだけでなく、全国9,000の施設で、特典を受けることができる優待サービスもついています。
福利厚生として食事補助を計上するには
福利厚生として食事補助の費用を計上するためには、いくつかの条件があります。条件を守っていないと、福利厚生の制度として経理上認められない可能性もあるので注意が必要です。
大前提として、福利厚生の一環として社員の食事補助を行う場合、食事代の半分以上を社員が負担したうえで残額を食事補助として福利厚生で賄うことになります。会社が負担する食事代が月3,500円以下でなければならないという制約もあります。
福利厚生として食事補助を計上するには1:昼食代の扱い
昼食代を福利厚生の食事補助として支給する際には、食事補助制度の基本条件をクリアしていれば問題ありません。
食事補助制度の基本的な要件は以下です。
・食事代の半分以上を社員が負担している
・会社が負担する食事代は、月3,500円以下
「食事代」の定義は、社員食堂の材料費や、会社が手配して支給する弁当などの金額を指しており、弁当代などを現金で支給した場合は給与手当とみなされるため、食事補助には含まれません。
福利厚生として食事補助を計上するには2:夕食・夜食代の扱い
夜間勤務の人や、勤務時間を超えて夜間も作業をしている人の、夕食や夜食にあたる食事の補助を福利厚生費用として計上するためには、通常の食事補助とは要件が異なります。
夕食や夜食に関しては、現物支給に限りその全額を福利厚生費として計上することが認められています。
現物支給といっても、おにぎりやパンを提供することしかできないわけではなく、飲食店での食事も認められています。一旦立て替えて清算をします。
福利厚生として食事補助を計上するには3:深夜勤務社への夜食の扱い
深夜勤務者の定義は、正規の勤務時間が午後10時から翌日午前5時までと設定されている人です。残業者ではありません。
この時間帯の夜食を福利厚生の食事補助として扱うための要件は、基本的には「夕食代・夜食代」と同じです。基本は一緒ですが追加で認められる要件があります。
社員食堂などの設備がなく、現物支給が難しい場合に限り、現金支給が認められます。1回300円以下の定額を現金支給することが可能になります。
福利厚生として食事補助を実施してみよう!
福利厚生として企業が従業員に提供するサービスの種類はたくさんありますが、その中でも食事補助は家計にも直結するので、恩恵を実感しやすい福利厚生の制度です。
求職活動の際は、給与条件などとともに、福利厚生もチェックポイントとなります。就職希望者へのアピールとしても、食事補助制度は大変有効です。
会社としては、従業員が満足して働ける環境を提供するためにも、福利厚生としての食事補助を実施しましょう。