派遣社員と正社員の違い|給料・法律・内容・メリット・デメリット

人事制度

正社員と派遣社員の違い

「正社員」「派遣社員」とよく耳にすると思います。あなたの会社にも両者ともいらっしゃるのではないでしょうか。
まずは、それぞれの定義や雇用形態について説明していきます。

正社員とは?

正社員とは、正規雇用で企業に雇われた労働者のことを指します。一般的に、「社員」や「会社員」というと、だいたいが正社員を指し、総合職・一般職などの区分がある場合はそれを全てまとめてそう呼ぶことが多いです。

正社員は、正式には「正規社員」と言い、相対する雇用形態として「非正規社員」があります。
「非正規社員」は、アルバイトや派遣社員、契約社員のことです。

正社員の雇用形態は?

正社員は、企業で働く上で最も保証されている立場にあります。
いわゆる労働者は、「労働基準法」によって雇用主からの横暴や職権乱用などから守られ、自身の安定や働く権利を保障されています。その中でも最もその保障が厚いのが、正社員です。

正社員は、社会的なルールからの逸脱行為により懲戒事由にあたらないかぎりは、正当な理由なく雇用主から解雇されることはありません。
仮に体調が悪く長期の休みを取っていたとしてもですし、採用時に期待していただけの能力がなかったとしてもです。

入社後に3ヶ月や半年などの試用期間を設ける会社もあります。しかし、この期間であってもよほどの理由がない限り、解雇することはできません。ほとんどの人が自らの意思によって退職しています。

「労働基準法」では、正社員に対して、休日や有休の取得や一定の休憩時間の確保、産前産後休暇などを与えるように示されています。さらに最近では、国の方針や、企業のイメージアップなどから育児休暇や介護休暇の導入を謳っている企業も多く、充実した内容の福利厚生制度を設置する企業も増えています。

もちろん、正社員は、厚生年金、健康保険、雇用保険という社会保険の適用も受け、
医療費の負担軽減や、失業や退職時の保護、将来の老後生活に備える社会保障の恩恵を受けます。

派遣社員とは?

正社員に対して、最近よく聞くのが非正規雇用者で、その代表格が派遣社員です。あなたの会社にも一人はいるのではないでしょうか。

派遣社員は、人材派遣会社に登録後、派遣会社より仕事の紹介を受け、紹介先の企業に派遣されて就業します。一番の特徴としては、雇用契約先が就業企業側ではなく、登録している人材派遣会社のため、給与形態が登録先の人材派遣会社に従うということです。もちろん、支払い主も登録先の人材派遣会社です。

派遣先はどうやって決まるの?

人材派遣会社に登録する際に、職種や勤務地などの希望を伝えることができます。その登録情報を元に、人材派遣会社から希望にあった企業の紹介があります。
企業も人材派遣会社へ派遣社員の募集をかける際に、人材の希望を提出しています。スキルレベルやコミュニケーションレベル、給与、勤務体系等々、、。
両者の希望を照らし合わせ、募集要項にあった企業を紹介してくれる仕組みです。
派遣期間や給与、勤務日数などは、就業前にあらかじめ人材派遣会社より提示されており、その内容を了承した上で就業を開始していきます。

また、多くの企業が派遣契約を結ぶ前に、派遣される人材との面接を実施しています。
そのため、人材派遣会社に紹介された企業に必ずしも就労が確定するとは限りません。実際に派遣先の企業の方と面接を行い、派遣が了承された後に契約の手続きが進みます。

派遣社員の勤務形態はどうなっているの?

法律で定められた雇用保険や健康保険は保障されますし、休日、有給休暇、解雇予告などは「労働基準法」のもとにおかれます。
また、登録先の人材派遣会社が独自に提供する福利厚生サービスを受けられることもあります。ただし、給与や福利厚生等は派遣先で派遣契約が成立し就業している期間のみしか受けることはできません。つまり、派遣先となる企業との就業が成立していない期間はお給料が発生しないです。そのため、正社員に比べ、安定という意味では劣るでしょう。
このようなことを防ぐために、複数の派遣会社に登録している方も多いようです。

正社員と派遣社員との雇用形態の違いによるメリット・デメリット

正社員と派遣社員の違いはなんとなくわかっていただけましたでしょうか?
では、次にそれぞれのメリットとデメリットを各トピックスにおいて比較してみたいと思います。
さらに、両者の違いを感じていただけると幸いです。

社会保険

正社員:(○)全て完備

派遣社員:(×)条件により派遣会社の社会保険を適用される

交通費

正社員:(○)ほとんど支給

派遣社員:(×)案件によるが、ない場合もある

ボーナス

正社員:(○)あり

派遣社員:(×)なし

雇用の安定

正社員:(○)雇用期間の定めはない

派遣社員:(×)派遣されている期間のみ契約

勤務時間

正社員:(×)就業規則に定められた時間

派遣社員:(○)派遣先を選ぶことで自由に選びやすい

転勤

正社員:(×)ある(拒否できない)

派遣社員:(○)派遣先を変えない限りない

残業

正社員:(×)ある(応じる必要あり)

派遣社員:(○)あり、なしを選べる

有給休暇

正社員:(×)業務の都合で取りにくい場合もある

派遣社員:(○)取りやすい

アメリカと日本との違い

では、文化の違う日本とアメリカでは正社員と派遣社員に違いはあるのでしょうか。
それぞれの違いについてみていきましょう。

正社員での違い

アメリカでは、一般的に正社員でも終身雇用を保障されてはいない状態となっています。業績が悪くなれば突然解雇されるという事態がありえる社会です。
突然の解雇は稀ではなく、数万人の失業者というのも頻繁にあるとされています。
2016年の失業率を比較しても、日本が3.18%であるのに対して、アメリカは4.90%と日本より高い値を示しています(決して正社員の雇用形態だけが原因というわけではありません)。

アメリカでは60歳までひとつの会社にいることはほとんどなく、多くの人が会社を転々としています。

雇用形態の違いが大きい?

日本とアメリカの一番の違いは、雇用形態です。

日本では、会社の指示によって仕事内容や職種が変わるという特徴があります。
それに対しアメリカでは、入社前に労働内容を厳密に取り決め、それ以外の労働はしないという働き方を採用しています。

派遣社員での違い

アメリカでは、いわゆる契約社員が日本の派遣社員に似た雇用身分となっています。この契約社員には大きく分けて2種類あり、「企業から直接採用される契約社員(日本における契約社員)」と、「派遣会社から派遣される契約社員(日本における派遣社員)」とに別れます。
通常、派遣会社から派遣された契約社員の報酬は、企業から直接採用された契約社員に比べ、30%から50%低めとなっています。

契約方法による報酬の違いの理由

アメリカでは日本のように就職雑誌などが出回っておらず、就職に関する情報が手に入らないため、派遣会社を通して職を見つけるというスタイルが存在しています。派遣会社に職を探してもらうことで手間が省けるというわけです。

さらに、企業側からしても、自ら広告を出さなくても派遣会社が適切な人材を紹介してくれる上、その人材に対して支払う金額は直接採用するのと同じであることから、費用対効果が高くなるということです。

注意するべき点

契約社員は30%から50%の減額報酬を企業からではなく派遣会社から受け取る上、多くの派遣会社が競合禁止契約(条項)という契約を結ぶことで派遣された働き手が直接企業と雇用契約を交わすことを阻止するケースが多いです。
もし企業が派遣された人を気に入って気に入って正社員としての採用を望んだ場合には、企業派遣会社から派遣会社へ相応の金額を支払うことになります。そのため、企業側も相当な出費を覚悟での採用となることから、特別な人材でない限りは、契約社員から正社員になる道はかなり難しいでしょう。

終わりに

いかがでしたでしょうか。
「正社員」と「派遣社員」の違いやメリット・デメリットについて、理解していただ桁でしょうか。それぞれの働き方において様々な違いを見つけることができました。
近年では様々な働き方が存在し、多くの選択肢があります。それぞれの働き方を理解した上で、各々に合った雇用形態を見つけてみてください。

また、アメリカとの違いについてもフォーカスしてみました。正社員においても、派遣社員についても、やはり違いはみられました。これだけが全てではありませんが、もし海外で働くことを考えていらっしゃる方がいるのであれば、それぞれの雇用形態についての違いをしっかり把握する必要がありそうですね。

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