派遣法とは?
派遣で働いてる人達の中で、派遣法をきちんと知っている人はどのくらいいるでしょうか。
そもそも派遣法の存在自体を知らない人達が多いのではないのでしょうか。
派遣法の正式な名称は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」といいます。その名称通り、派遣事業の適正な運用と派遣労働者の保護や雇用の安定、福祉の充実の為に1985年に制定されました。
派遣法の歴史
派遣法の歴史はまだ浅いですが、これまでに何度も改正が行われて来ました。その歴史を確認してみましょう。
1985年 労働者派遣法 制定
1986年 労働者派遣法 施行
1996年 対象業務を26業務に拡大
1999年 派遣業種を原則自由化、政令26業務は原則3年、新規追加業務は最長1年の期間制限
2000年 紹介予定派遣解禁(企業と本人が合意したとき、派遣雇用後の直接雇用が可能)
2004年 自由化業務が原則3年に延長、政令26業務は無制限に変更
2006年 医療関係業務の一部で派遣解禁
2007年 製造派遣の雇用期間が3年に延長
2012年 政令26業務が政令28業務に拡大、事業規制を強化
2015年 労働派遣事業を許可制に変更、派遣期間を原則3年に変更、etc…
3年ルール
現在の派遣法では、派遣労働者を受け入れる期間が原則3年です。しかし例外もあります。
過半数労働組合等に意見聴取を行えば、3年以上派遣労働者を受け入れることが出来ます。
抵触日
抵触日とは、派遣受け入れ期間に抵触する最初の日のことです。抵触日以降は同一部署、同一業務で派遣の受け入れが出来ません。
自由化業務
政令業務以外の職種です。一般事務、営業、販売、軽作業、物の製造業務等が該当します。
派遣可能な職種は指定されていたのですが、禁止業務を指定する方法に変わってから、派遣業務がほとんどの分野でOKとなりました。
政令28業務
下記職種が政令28業務として定められていました。
・情報処理システム開発関係・機械設計計係・機器操作関係・通訳、翻訳、速記関係・秘書関係・ファイリング関係・調査関係・財務関係・貿易関係・デモンストレーション関係・添乗関係・受付案内関係・研究開発関係・企業の実施体制の企画、立案関係・書籍などの制作編集関係・広告デザイン関係・OAインストラクション関係・セールスエンジニアの営業、金融商品の営業関係・放送機器操作関係・放送番組等の制作関係・建築物清掃関係・建築設備運転等関係・駐車場管理関係・インテリアコーディネイト関係・アナウンサー関係・テレマーケティングの営業関係・放送番組における大道具小道具関係・水道施設等の設備運転関係
派遣業禁止の業務
専門的な知識や技術が必要な職種は原則派遣が禁止されています。
・港湾運送業務
・設計業務(工程管理や事務職を除く)
・警備業務
・医療関係の業務
・人事労務関係の一定業務
・士業の一部
医療関係業務に関しては、紹介予定派遣はOKとなっています。
改正後の派遣法
最近では2015年に派遣法は改正されました。
これまでの派遣法とは違いは大きく5つに分けられます。
・派遣期間規制の見直し
政令職種かどうかの判断が分かりにくい為、全ての派遣業において上限3年となりました。
・派遣労働者と派遣先の労働者との均衡待遇の推進
派遣労働者と派遣先の労働者の均衡待遇確保の為の措置が強化されました。
・雇用安定措置の義務化
雇用が安定するように雇用を継続する為の措置が派遣先に義務付けられました。
・派遣労働者のキャリアアップ推進を法令化
派遣労働者のキャリアアップ支援が派遣元に義務付けられ、派遣先にも特定の派遣労働者に対する労働者募集情報の周知が義務付けられました。
・全ての労働者派遣事業を許可制にした
これまでの区分を廃止し、全ての労働者派遣事業を許可制にしました。
原則上限3年
政令28業務において派遣法改正前までは制限なく働けるシステムでした。しかし2015年の派遣法改正で全ての業務が上限3年までとなりました。
例えば、2017年2月1日に派遣受け入れをした場合、2020年1月31日までの雇用となります。
2020年2月1日は抵触日となります。抵触日以降は同一部署・業務での受け入れは原則禁止です。
抵触日と意見聴取
では抵触日以降は一切派遣の受け入れが出来ないのでしょうか?
この抵触日ですが、実は更新することが出来ます。
派遣業務開始日から抵触日の一ヵ月前までの期間を意見聴取期間といいますが、この期間中に労働者過半数組合に意見聴取を行えば、抵触日を更新することが出来ます。
労働者過半数組合
労働者が弱い立場にならないように労働条件の改善や維持することを目的として団結して作った組織が労働者組合です。労働者が2人以上であれば労働組合は結成出来ます。
労働者にはアルバイトやパートタイマーも含まれています。しかし、企業の管理者側は含みません。
企業の労働者の過半数以上が労働組合に加入していれば、労働組合と雇用者の同意によって労働協定を結ぶことが出来ます。
3年ルールと抵触日
皆さんが仕事を探すときに派遣の仕事を目にすることは多いと思います。しかし抵触日や上限3年などの文言は記載されてないことが多いでしょう。
しかし、派遣会社のHPにはそれぞれ抵触日と上限3年の説明分が掲載されていました。
いざ自分が派遣の仕事が決まったときは抵触日がいつなのか確認しておいた方が良いでしょう。
2015年9月30日以前に締結された派遣契約は旧・派遣法が適用されます。
自分の抵触日がいつなのか見据えた上で働きましょう。
派遣法改正によってどうなっていくのか
派遣法が改正で変わった点などをまとめていきます。
政令業務と自由化業務
これまで政令28業務は無期雇用で派遣で働くことが出来ました。しかし、2015年が派遣法改正で自由化業務との区分がなくなって、上限3年になったことで長く働くことが難しくなってしまいました。
専門的分野で働いてた人達にとっては、モチベーションが下がることは間違いないでしょう。
長く同じ職場で働く為に専門知識や技術を習得してきたと思います。しかしこれからは専門分野だろと関係なく上限3年でした働けないのですから、専門知識や技術を習得する意欲がなくなってもおかしくないのです。
3年も働けるor3年しか働けない
正社員で働きたくても働けずに派遣でしょうがなく働いてる人が多いでしょう。長く働きたい人達にとっては正社員で働くことが良いのは当たり前です。
しかし、長く同じ職場にいることが苦痛な人達もいます。そんな人達にとっては派遣という働き方が合ってるのかもしれません。
3年経って長いと感じるか短いと感じるかは人それぞれでしょう。
抵触日を迎えたときに、違う仕事が出来る!と感じる人も少なからずいます。
色々な経験が出来ると思えれば、派遣という働き方はメリットが多いと思われます。
一つの会社に縛られずに色々な知識が得られる。色んな人間関係を作れる。色んな場所で働ける。こうしたメリットがあるのも確かなのです。
派遣法をよく理解しておこう
これまでに何度も改正されてきた派遣法は今後もまた改正を重ねていくと予想されます。
2015年の改正で注目されたのは全ての業務が3年抵触日になったというルールだと思われます。
この改正によって専門分野で働く人達が減っていくのではないのでしょうか。それによって社会はどう変わっていくのか注目されると思います。
難しい知識を持たなくても最長3年働けると思える人達もいるとは思いますが、企業側にそういう人材は果たしてメリットとなるのでしょうか。
派遣雇用で働いてる人達にとっては、今後の働き方を大きく見直す時期だと言えます。
働き方の形態はさまざまありますが、どれが一番自分にあっているのか改めて考えてみましょう。
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