派遣雇用の3年ルールとは|3年経つとどうなる?法改正後の仕組み

人事制度

派遣社員になるには

派遣社員になるのには人材派遣会社への登録が必要です、登録は無料で派遣会社によっては事前研修やキャリアアップ講習会など頻繁に開いて人材育成に力を入れている企業もあります。また差別化を図るために各専門分野の派遣に特化した派遣企業も多く、派遣社員は一般職から専門職まで幅広い分野で活躍しています。派遣社員になるのに年齢や男女の制限はありません。ただし専門分野の人材派遣登録には各専門資格がないと派遣先の会社を紹介してもらえないことがあるので注意が必要です。

派遣社員のメリット・デメリット

派遣社員で働くメリットとしては厳しい就職活動をしなくても派遣会社がキャリアや資格など条件にあった会社企業を紹介してくれます。給与の支払われかたも正社員とは違い実際に働く会社からではなく派遣先から支払われます。また福利厚生なども実際の就労企業ではなく派遣会社に準じます。

会社への比重が正社員に比べて軽いのが派遣社員です。責任がそれほど大きくなく、売り上げなどが給与に直結しない、というのも正社員との違いです。反面給与が上がらない、社会的地位の高い役職に就けない、雇用が不安定というのも派遣社員にはついてくるデメリットといえます。2015年9月から施工された法改正では派遣社員の雇用が不安定という部分が法律によって改善されました。

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派遣社員~これまでとなにがかわるのか~

1986年に労働者派遣法がスタートしバブル崩壊後の不景気を受けて90~20年代にかけて規制緩和が広まった派遣社員ですがリーマンショック以降の派遣切りで職を失った人も多かったのではないでしょうか。
正社員として就職できる割合が減っているなか、ワーキングプアや低賃金労働、ブラック労働などが社会問題となり2015年に新たな法改正がおこりました。

また今までは専門26業務(現28業務)においてはそれぞれの決まりで雇用期間を定めていましたが2015年の法改正で原則3年目上限が適応されます。

―専門26業務―

・ソフトウェア開発
・機械設計
・放送番組等演出
・事務用機器操作
・通訳、翻訳、速記
・秘書
・ファイリング
・調査
・財務処理
・取引文書作成
・デモンストレーション
・添乗
・建築物清掃
・建築設備運転、点検、整備
・案内、受付、駐車場管理等
・研究開発
・事業の実施体制等の企画、立案
・書籍等の制作、編集
・広告デザイン
・インテリアコーディネーター
・アナウンサー
・OAインストラクション
・テレマーケティングの営業
・セールスエンジニアリングの営業
・放送番組等における大道具、小道具

いわゆる「ブラック」と呼ばれる業界も存在するこれまでの「専門26業務」は撤廃されました。これまでは「事業所単位の期間制限」であったのが「個人単位の期間制限」に変わります。

派遣社員の3年目ルールとは

2015年に変わった労働者派遣法、派遣社員として働くうえで最大の違いは「原則上限3年目」という派遣期間ができたことです。これによって3年目以降の派遣社員の処遇については雇用先が派遣会社へ直接雇用を依頼するか新たな派遣先を紹介しなければならない。もしくは派遣元での無期雇用とすることが法律できまりました。

派遣社員。法律の扱いや法改正の内容

2015年に労働者派遣法で改正された主な部分は以下の4つです。

・労働者派遣事情を許可制に統一。
・専門業務に関わらず派遣期間を原則3年を上限にする。
・3年目以降の派遣社員の処遇については雇用先が派遣会社へ直接雇用を依頼するか新たな派遣先を紹介しなければならない。もしくは派遣元での無期雇用とすること。
・派遣元から派遣社員に対し教育訓練やキャリアコンサルティングを義務付け。
(派遣先とは実際に仕事をする会社・企業のことです。派遣元とは派遣社員登録をした会社・企業のことです)

労働者派遣事情を許可制に統一、というのは人材派遣会社を経営する側に深くかかわることなので今回は詳しい説明は割愛します。簡単に説明すると、これまでグレーゾーンで行っていた人材派遣会社を一掃しようという狙いがあります。

これにともなって【派遣元から派遣社員に対し教育訓練やキャリアコンサルティングを義務付け】という改正も行われ人材派遣会社に登録している派遣社員にとっては利益になる改善といえます。人材派遣会社によっては労働者をただ斡旋するだけ、という会社もあり派遣社員はこれまでキャリアアップを望んでも機会を得ることができない人もいましたが、それが義務化されたことにより仕事の幅が増え所得増にもつながる改正と言ってもいいでしょう。

一方で原則3年上限には多面的な見方があります。正社員の働き口がなく、派遣社員で収入をつないでいる人には3年目から正社員になれるということで喜ばしいことですが必ずしも直接雇用されるとは限らないようです。

派遣社員の契約期間は3年目まで?

法改正によると3年目以降、派遣先がそれまで契約していた派遣社員を直接雇用しなければ新たな派遣先を紹介しないとならない、とあります。法改正を行った厚生労働省の狙いは安定した雇用を生みだすために派遣社員の同一事業者での就労を3年目までとし、直接雇用の義務を派遣先企業に選択させる制度をつくりました。つまり派遣社員は3年目以降はこれまでと同じ場所で派遣労働者として働くことはできないということです。これまでと同じ派遣先で働くためには派遣先に直接雇用してもらわなければならない、ということです。

派遣社員を初めて3年後はどうなる?

人材派遣会社に登録し企業とマッチングできた派遣社員は派遣先で3年間仕事をします。そして順調にいった3年後にはいくつかの選択肢の中から「次」を派遣社員と企業は選ばなければなりません。

派遣社員の3年後は直接雇用になる?

法改正の内容をもう一度おさらいすると

・専門業務に関わらず派遣期間を原則3年を上限にする。
→同じ企業で3年以上働くことは法律で原則できなくなりました。

・3年目以降の派遣社員の処遇については雇用先が派遣会社へ直接雇用を依頼する。
→厚生労働省の意図である「三年間働いた戦力を正社員として雇用してほしい」がこちらの文言に如実に表れています。失われた20年と呼ばれる不況・就職氷河期やリーマンショックを経て労働者側が切り捨てられる現状に行政がメスを入れた形の法改正ですがもともと直接雇用できる体力のある企業が派遣社員を受け入れているかというと微妙だと言わざるを得ないのが現状です。もちろん厚生労働省は新たな従業員を抱える体力の無い企業には直接雇用しない、という選択肢も残しています。それが「直接雇用しない場合新たな派遣先を紹介しなければならない」か「もしくは派遣元での無期雇用とすること」という選択肢です。

・直接雇用しない場合新たな派遣先を紹介しなければならない
→派遣社員は3年間働いた会社企業から派遣契約を満期終了し、新しい会社企業で一から派遣社員として仕事をすることになります。その場合新しい派遣先の会社も3年目の上限は適用されます。

・派遣元での無期雇用とすること
→登録している人材派遣会社に無期限で雇用してもらうということです。人材派遣会社に無期雇用の派遣契約をしてもらうと3年目の縛りがなくなります。現在多くの派遣社員がこの方法をとるとされるのではないかと言われています。

同一事業所で3年派遣社員として働いた社員にはこの3つの選択肢があり、いずれも選択する場合は自分の人生プランや現状のキャリア、社会事情などを踏まえてよく考えなければなりません。

ポイントは「3年目」という区切り

3年というスパンは短いようでいて意外といろいろなことができる年月です。生まれたての赤ん坊も三年もあれば一人で歩き大人と同じような食事をとることができます。ただその日その日を過ごすよりも3年目の自分の選択をどうするか考えて行動することもキャリアアップの一つと言えます。

3年目、というのは裏を返せば3年分の経験があるということに他なりません。昨今同じ仕事を3年間続けられる人が減っている中において同じ場所で忍耐強く仕事ができるのは一つの武器となってきています。「3年目からどうしよう」ともし思っているのなら空いた隙間時間をキャリアアップに使うのも一つの有効な手段です。3年間分の隙間時間ですから塵も積もれば山となり、契約満了の3年目以降のキャリアにもつながります。

3年目をどう過ごすか

キャリアアップを考えいているかたは契約満了になる3年目こそいろいろと行動に移せるチャンスです。転職エージェントなどでもよくコラムになる「円満退職のやり方」などがありますが派遣先の企業に直接雇用されず、派遣元とも無期雇用の契約をしていない3年目の派遣社員は好都合なことに退職する予定がすでに既定路線としてできています。契約満了ゆえの退職ですからなに一つ後ろめることのない「円満退職」になります。

もし、あなたが3年目の派遣社員で次の派遣先が決まっていないのなら3年目こそ就職・転職活動のチャンスです。3年間の経験やスキルを活かしハローワークに足を運んだり転職エージェントに登録してみましょう。転職エージェントは転職サイトや人材派遣会社と違い企業雇用の求人を豊富にそろえています。転職エージェントにはキャリアコンサルタントやアドバイザーが在籍しているのであなたのこれまでの派遣社員としての経験を生かした求人をマッチングしてくれます。

派遣社員として3年目に入り、次の派遣先や雇用先が決まっていないなら選択肢の一つに就職活動を加えるのもありだといえます。

自分の希望する条件がそろう企業で働きたいと思ったら、転職エージェントに相談することをおすすめします。あなたの代わりに希望する条件の仕事を探し、紹介してくれます。サポートは無料ですので、あなたに合ったエージェントを探してみましょう。

オススメの派遣会社サイト

派遣社員として働きたい、派遣社員で働いてみて水のあった企業に直接雇用で就職したいというかたにおすすめの派遣会社をまとめました。

働きかたは変化していく

労働者派遣法が始まった当初、3年目という上限は存在しませんでした。流動する社会で働きかたは日々変化していきます。終身雇用制度も機能不全がみられる企業も出てくるなかで派遣社員は賢い就労選択の一つとなってきました。どんな状況にも対応できるよう、キャリア形成やスキルアップで自分を磨いていってください。

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