縁故採用とは?
就活では志望先の企業を決め、そこにエントリーしてさまざまな選考を受けなければなりません。これは一般的な就活の方法であり、縁故採用の場合はこのプロセスが違っていることも多いです。
縁故採用とは平たく言えばコネ採用であり、就活生の親や親戚などに業界、企業の関係者がいた場合に行われます。親や親戚の口利きによって就職するのが縁故採用であり、実際に現在でも行われる採用方法です。
縁故採用の場合は面接も顔合わせ程度であることが多く、他の就活生とは別の日程で選考が行われることが多いです。親や親戚の力がよっぽど大きければまず確実に就職できますが、そうでない場合は不合格になる可能性もあります。縁故採用は絶対に採用が決定しているものではなく、他の就活生よりも選考で有利になるものと覚えておきましょう。
業種別縁故採用の有無は?
縁故採用は一昔前の風習に感じる人も多いですが、実際には現在でも縁故採用を行っている企業はたくさんあります。大っぴらに縁故採用を行っている企業もあれば、中小の小さな企業であったとしても縁故採用となるケースも多いです。
しかし縁故採用はすべての業界、企業で行われるものではなく、業界や企業によって縁故採用の有無があります。もちろん人脈を活かした採用であればすべて縁故採用と言えなくもないですが、本当の意味での縁故採用は業界、企業によって違っています。
業界や企業の理解をさらに深めるためには、志望する業界などで縁故採用があるかどうかを知っておくことが大切です。もしその企業に関係した親戚などがいれば採用が有利になるケースも多いです。
公務員
公務員になるためには公務員試験を受けなければなりませんし、厳格なイメージがありますので縁故採用はないように感じますが、実際はそうではありません。公務員であっても縁故採用はあり、かなりの数の人が縁故採用で働いています。
もちろん公務員は縁故採用は禁止されていますので、大っぴらに公言されていることではありませんが、縁故採用があるのは事実です。公務員のポストに官僚などが天下りすることもありますし、公務員は意外とグレーな部分も多いです。
縁故採用の場合でも筆記試験は受けなければならず、面接は免除となるのか、あるいは筆記試験は免除で面接だけになるのかは違っています。また場合によっては筆記試験と面接の両方が免除される場合もあります。
フジテレビ
フジテレビは縁故採用が多いことでも有名であり、アナウンサーなどの職種は特に縁故採用が多いと言えます。現在活躍しているアナウンサーでも縁故採用の人はたくさんいますし、またアナウンサーだけではなく、他の職種であっても縁故採用は多い傾向にあります。
フジテレビの場合は縁故採用でも一般の就活生と混ざって面接を受けることが多いです。特別が設けられている場合もありますが、それだけではなく通常どおりの試験を行い、自動的に合格するという仕組みをとっていることが多いです。
受けた時点ですでに合格が決まっているケースは多く、よっぽどのことでなければ落とされません。フジテレビは職員のつながりだけではなく、芸能人とのつながりによって縁故採用が行われることが多いです。
NHK
NHKも縁故採用が多く行われています。NHKは公益法人としての位置づけではありますが、公務員と同じくグレーな部分も多く、縁故採用で働いている人も多いです。NHKの場合も職員からの口利きだけではなく、芸能人からの口利きによって入社が決定する場合も多いです。
NHKやフジテレビに関わらず、マスコミ業界は縁故採用が多い傾向にあります。NHKの場合はNHKのそのものだけではなく、関連企業などへの縁故採用もあります。またNHKの場合は政治家からの口利きも多く、さまざまな縁故によって採用が決定しています。
通常の採用枠とは別の採用枠を持っており、それが縁故採用となります。NHKでは縁故採用で就職する人がほぼ毎年おり、かなりの人数が縁故採用で働いています。
ホンダ
縁故採用はさまざまな業界、企業で起こっていることではありますが、ホンダでは縁故採用は行われていません。ホンダはあくまで公正、公平に選考が行われており、縁故採用での入社は基本的にはないと考えておきましょう。
ホンダで縁故採用が行われない理由としては、ホンダの創業者の強い想いによるものが大きいです。ホンダでは倫理観が大切にされており、権力に屈するのではなく、常に公平に選考が行われています。
またホンダではさまざまな決まりがあり、それが縁故採用を行わない理由としても考えられます。ホンダのルールとして有名なのが社長は技術者しかなれないということです。技術者以外は社長にはなれず、高いスキルを持っていなければ活躍することはできませんので、何の能力もない縁故採用は行われていないと考えられます。
メガバンク
大手メガバンクでは縁故採用が行われており、一般的な就活とは別のスケジュールで採用が決定することは多いです。メガバンクに限らず、中小の銀行であっても縁故採用は幅広く取り入れられており、銀行を始めとした金融業界では縁故採用は非常に多いです。
特にメガバンクに就職しようと考えたときには、縁故採用がなければ採用されることは難しく、一般的な就活の場合の合格率はかなり低いと言えます。メガバンクでの縁故採用としては、銀行内の役職者による推薦の場合と銀行との取引先企業からの口利きの大きく2つに分けられます。
メガバンクでは規模の大きな取引先もあり、その企業から銀行への就職が決定するケースもあります。メガバンクを目指すのであれば、まずは自身の血縁に関係者がいないかを確認してみることが大切です。
日本航空
日本航空、通称JALでも縁故採用は行われています。しかし日本航空における縁故採用の数はそれほど多くはなく、一般選考で就職する人の方が多いと言えます。日本航空での縁故採用の場合としては、政治家や芸能人などの名家、著名人であることが多いです。
それは飛行機内でもクラスの高いファーストクラスやビジネスクラスを利用している大切な顧客だからです。有数シーズンを除けばファーストクラスが満席になることはそれほど多くはありませんし、少しでも席数を確保して利益を出さなければなりません。
席数が埋まらなければそれだけ利益率は下がりますし、とにかく満席を作ることが大切です。政治家や有名人は少しでも満席に近づけてくれる優良顧客ですので、縁故採用のケースも多くあります。
総合商社
総合商社は縁故採用が多い業界でもあり、場合によっては採用の約半数が縁故採用になることもあります。半分が縁故採用と言っても、もともとの採用人数は多いですし、一般選考であっても合格できる可能性は充分にあります。
もちろんコネがあるのであれば、当然選考では有利に働きますが、コネが一つもないからと諦める必要はありません。総合商社の場合は縁故採用も多いですが、すべての人が合格するというわけではありません。
縁故採用で選考を受けている場合であっても落とされてしまうことはありますし、全員が全員内定を勝ち取ることができるわけではありません。しかし会長や社長、役員などからの口利きだとほとんどの場合で就職が決定します。コネにも強い弱いがありますので、それも覚えておきましょう。
縁故採用で入社するデメリットは?
よっぽど強力なコネがあれば話は別ですが、コネがあるからといって必ずしも内定をもらえるわけではありません。コネであっても落ちることはありますし、縁故採用であっても油断することはできません。
しかし一般的な選考に比べれば、どんなに弱いコネであっても就職する確率はぐっと高まりますし、コネがあるに越したことはありません。コネがあれば就活も有利に進めやすく、いいことづくめだと感じる人は多く、実際にコネがあることを羨ましがる人もいます。
しかしコネがあって縁故採用が決定することは必ずしもいいことだけではありません。メリットがあると同時にデメリットも存在していますので、それらを正しく理解しておくことが大切です。
辞めづらい
縁故採用のデメリットとしては、辞めづらいことが挙げられます。仕事は長く続けていくことが大切ですが、いざ仕事を始めてみれば合わないと感じてしまったり、続けるのが苦痛になる場合もあります。
一般的な選考で入社した場合であれば、自身の都合でいつでも辞めることはできます。しかし縁故採用の場合は辞めるとなると口利きをしてくれた人に迷惑をかけることになりますし、その人の信用を損ない、顔に泥を塗ってしまうことになります。
縁故採用の場合は辞めることも自身の一存で決められるものではありませんし、しっかりと長く勤める覚悟で就職しなければなりません。もちろん辞めようと考えればいつでも辞めることはできますが、他の人にも迷惑がかかることを覚えておきましょう。
周囲に目線が気になる場合も
縁故採用の場合は他の人とは違った選考ステップを踏むことが多く、同期との距離が縮めにくい可能性があります。また上司などは縁故採用であることを知っていることが多いですし、期待値は高くなってしまいますので働きづらいこともあります。
コネが強力であればあるほど上司や先輩は注意深く接しますし、他の人から見れば違和感を感じてしまうことも多いです。縁故採用は苦労せずに親や親戚の力だけで入社したというイメージが強いため、周囲から孤立してしまうこともあります。
能力が充分に備わっていれば問題ありませんが、そうでない場合は周囲からの視線が気になってしまうことも多いです。周囲の当たりがきついからとすぐに辞めることはできませんし、意外に働きづらい場合も多いです。
縁故採用も上手に利用しよう
縁故採用とは何かや、デメリットについて紹介しましたが、縁故採用は必ずしもいいものではなく、デメリットがあることも忘れてはなりません。縁故採用は苦労せずに就職できたと他人からの評価が厳しくなる場合もありますし、良いことばかりではありません。
選考で合格しやすいというメリットはあるものの、大事なのは就職後ですし、しっかりと力をつけて活躍することが大切です。縁故採用も上手に使いながら就活を有利に進めていきましょう。