試用期間について知るためのポイント10コ|退職する場合は?

採用

試用期間とは

試用期間とは、企業が求職者の長期雇用を前提とした上で、一定の期間、社員の適性を判断するために用いられた時間です。期間中に企業側は求職者の能力やスキル、勤務態度などを確認し、その人材を本採用すべきか否か決断します。

応募書類の内容や数回の採用面接だけでは、求職者の適性を見極めることが難しいため、多くの企業で試用期間が設けられています。

試用期間中は簡単にクビになるのか?

正当な理由がない限り、簡単にクビにはなりません。長期雇用が前提のため、勤務態度が悪い場合や出勤不良、経歴詐称などの正当な理由がない場合は、企業側は簡単に解雇できないこととなっています。

企業側は性格が合わないという理由や、求めていた人物像とは異なるという不当な理由では解雇できないため、試用期間中だからといって不安に思う必要はないでしょう。

試用期間中は簡単に退職できるのか?

試用期間中であっても、企業側の就業規則に従った上で退職をする必要があります。即日退職や辞めたい日に無断で退職することは原則禁止です。試用期間中でも労働契約が成立しているため、自己判断で退職することは避けましょう。

労働基準法では、退職予定日の2週間前に退職を申し出ることが定められていますが、企業によって異なるため注意が必要です。必ず企業側の規定に従いましょう。

試用期間について知るためのポイント10コ

試用期間の日数、期間中の給料や社会保険、さらには解雇や退職、残業など、知っているようで意外と知らない試用期間について正しく理解するためのポイント10個を紹介します。

試用期間について知るためのポイント1:試用期間の日数

試用期間の日数は企業によって異なります。試用期間の長さに決まりはありませんが、一般的には1~6カ月、長くとも1年とされています。

詳しくは、企業側の雇用契約書や就業規則を確認しましょう。試用期間が設けられている場合は、必ず明記されています。

試用期間について知るためのポイント2:試用期間中の給料

企業によって異なりますが、試用期間中の給料は本採用後よりも低く設定されている場合があります。試用期間は人手を必要とし、業務に必要な教育を学ぶために設けているなどの理由から、企業側から本採用後よりも少ない額を提示されることがあります。

ただし法律上、最低賃金を下回ってはいけないことになっています。最低賃金は都道府県別に異なるため注意が必要ですが、雇用契約書に明記されている試用期間中の給料を確認しましょう。

試用期間について知るためのポイント3:試用期間中の雇用保険

試用期間中でも、長期雇用が前提として採用されているため、雇用保険に加入する必要があります。31日以上働く見込みがあり、1週間で20時間以上働くといった2つの条件を満たしていれば、雇用保険の加入対象となります。

毎月の雇用保険を支払うことで、失業手当や休業支援、求職支援などが受けられますが、雇用保険に未加入の場合はさまざまな不利益が生まれる危険性があるため、十分注意しましょう。

試用期間について知るためのポイント4:試用期間中の社会保険

試用期間中でも、社会保険の加入対象となります。雇用契約が成立しているため、企業側は労働者を社会保険に加入させることが義務付けられています。社会保険に加入させない場合は、労働基準法に違反することとなるため、注意しましょう。

社会保険は雇用保険以外にも、健康保険や労災保険、厚生年金などがあります。

試用期間について知るためのポイント5:試用開始から14日以内に解雇する場合

試用開始から14日以内に解雇する場合、企業側は労働者に解雇予告を行うことなく解雇できます。ただし、正当な理由の場合に限り、不当な理由では認められません。

また、通常の解雇の場合、30日前に解雇予告、または解雇予告手当として30日分以上の平均賃金の支払いが義務付けられていますが、試用期間の開始から14日以内の解雇は、これらが不要という特例が認められています。

試用期間について知るためのポイント6:試用開始から14日を過ぎてからの解雇

試用開始から14日を過ぎてから解雇する場合、30日前に解雇予告をするか、解雇予告手当として30日分以上の平均賃金の支払いをすることが必要となります。

解雇する際は、試用期間の開始から14日以内と以後で大きく異なるため、注意が必要です。

試用期間について知るためのポイント7:試用期間中の退職

試用期間中に退職したいと思った場合は、なるべく早めに直属の上司に退職の意思を伝えましょう。労働基準法では、退職予定日の14日前に退職の申し出を行うことが定められていますが、企業によって規定が異なります。労働者は、企業側の規定に従いましょう。

企業側も後任者が必要となるので、退職の意思が固まり次第、できるだけ早めに退職の旨を直属の上司に相談することが大切です。

試用期間について知るためのポイント8:試用期間の延長

試用期間の延長は、4つの条件を満たしていれば認められます。それらは、雇用契約書や就業規則に延長する可能性が明記されていた場合、合理的な理由がある場合、本人の合意がある場合、そして延長期間が当初の期間を含み、およそ1年以内である場合です。これらの条件全てを満たしている場合は、延長が認められることとなっています。

しかし、企業側の気分や都合で延長することや、明確な理由がない場合は延長することはできません。

試用期間について知るためのポイント9:試用期間中の残業

試用期間中の残業は、基本的に問題ありません。試用期間中であっても、企業と労働者との間に雇用契約が結ばれているため、試用期間中と本採用後での残業の扱いに相違はありません。そのため、試用期間中の労働者に対しても、残業の要請ができ、企業は労働者に残業代を支払う必要があります。

試用期間中でも残業代が支払われないという場合は、労働者はその分の残業代を請求することが可能です。

試用期間について知るためのポイント10:試用期間後に本採用拒否ができるか

正当な理由がある場合、試用期間後でも本採用拒否はできます。試用期間終了後の本採用拒否は法的には解雇と同様の扱いになるため、30日前に労働者に予告、あるいは解雇予告手当として30日分以上の平均賃金を支払う必要があります。

合理的な理由があり、社会一般常識に適っているという正当な理由の2つの条件を満たしていない場合は、違法、無効になります。

試用期間中に退職する場合の注意点3つ

試用期間中に退職する場合、注意点が3つあります。それらは、退職の意思は口頭で伝えること、退職理由は会社批判にならないようにすること、そして退職届提出のタイミングです。

注意点1:退職の意思は口頭で伝える

退職の意思が固まったら、直属の上司に口頭で伝えましょう。上司に相談する前に、まずは退職希望日をあらかじめ自分の中で決めておくことが大切です。

伝える際は、周りの社員など、会社側への気遣いも忘れないようにしましょう。できるだけ個別面談など、個別で相談できる時間を取ってもらい、個室や会議室などで相談することが大切です。

注意点2:退職理由は会社批判にならないように

職場を円満に退社するためにも、退職理由は会社批判にならないように気を付けましょう。注意すべき点は、相手が納得できるかどうかというところです。上司に相談する前に、納得してもらえるような、前向き、かつ正当性のある理由、またはやむを得ないような退職理由を考えて準備しておくことが大切です。

円満退社するためにも、これまでお世話になったことに対するお礼や、退職後もご縁を大切にしたい気持ちを表すことが重要です。

注意点3:退職届提出のタイミング

退職届を提出するタイミングは、直属の上司に口頭で退職の意思を伝えた後がよいでしょう。上司に相談後、上司を通して企業の責任者に退職届を提出します。企業によっては、退職届の様式が企業側指定のものがあるときがあります。その場合は、企業側に従ったものを提出しましょう。

試用期間中の退職の場合は、自己都合退職になります。退職届には、「一身上の都合により」と記載したものを作成し、上司に提出しましょう。

試用期間について理解しよう

さまざまな問題を回避するためにも、試用期間について理解しておくことは非常に大切です。試用期間について何か分からないことや不明な点があれば、もう一度読み返し、正しい知識を身につけておきましょう。

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