退職日と入社日が空くときすべき手続き|保険・年金・税金

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転職時にはさまざまな手続きがいる

1つの会社を定年まで勤めあげる人がいる一方、何らかの理由で転職を決意する人もいます。転職時にはいくつかの手続きが必要になりますが、手続きの内容は状況によって変化します。

例えば「次の職場がまだ決まっていない」「入社日までの期間が長い」など、退職日と入社日の間が空く場合、どのような手続きを行えば良いのでしょうか。転職をスムーズにこなせるよう、今回は退職後の手続きなどをご紹介していきます。

健康保険に関する退職後の手続きとは

退職日から入社日の間が空く場合、健康保険の手続きの期間が気になることでしょう。基本的には14日以内に手続きを行います。ここでは退職日・入社日の間が14日以内の場合と14日以上空く場合についてご紹介します。

退職日と入社日の間が14日以内の場合

必要な書類を持って14日以内に市役所へ行き、健康保険切り替えの手続きを行います。会社に勤めている間、加入していた健康保険は退職日の翌日に資格を喪失します。切り替えの手続きに必要となるため、会社には「健康保険被保険者資格喪失証明書」を発行してもらいましょう。

しかし、これは入社日が退職日から2日目以降の場合です。退職日の翌日を入社日にした場合、手続きは会社が行ってくれます。

退職日と入社日の間が14日以上空く場合

退職日から入社日の間が14日以上空く場合でも、国民健康保険の手続きを行うことは可能です。そもそも退職日の翌日から国民健康保険に強制加入はされています。

加入しているが手続きはしない状態で期間が14日以上空くことになれば、医療費用に保険が適用されません。保険料を支払う立場にありながら、医療費用を全て負担することになるため、手続きは早めに行いましょう。

国民健康保険に加入する場合の手続きって?

入社日まで期間が空く時は国民健康保険に加入することが多いですが、期間が空くと分かっているなら、別の選択肢もあります。ここでは国民健康保険・任意継続・被扶養者の手続きについてご紹介します。

国民健康保険とは

国民健康保険とは、個人事業主や無職の人などを対象とした保険制度です。保険料を支払う代わりに医療費用の負担が減るなどのメリットがあります。国民健康保険に加入する際の手続きは、先述したように14日以内に市役所で行います。

退職日の証明ができればいいので、持参する書類は「退職証明書」や「離職票」でも問題ありません。市役所で「国民健康保険被保険者資格取得届」に必要事項を記入して提出します。

退職した会社の保険を任意継続する場合の手続き

会社の保険の任意継続とは、退職した後も引き続き同じ保険を利用することができる制度です。継続加入の期間は最大2年間までとなっていますが、手続きは退職日から20日以内に行う必要があります。

次の仕事が決まっておらず、退職日から入社日までの期間が空く場合は任意継続がおすすめです。ただ退職日と入社日が同月の場合、任意継続の保険だけでなく、転職先の保険料も二重に払うことになる点にご注意ください。

被扶養者となる場合の保険手続き

退職後、仕事がまだ決まっておらず、他に働いている家族がいる場合は被扶養者になることができます。被扶養者になるということは、家族が入っている保険に加入するという意味です。この場合、加入する人数が増えても保険料は変わりません。

保険手続きは退職した後、すぐに行うよう定めているところが多いです。手続きに必要な書類は健康保険組合によって異なるため、窓口に問い合わせた上で被保険者の勤務先に提出します。

年金に関する退職後の手続きはどんなものか

健康保険では退職日と次の会社の入社日が空く場合、14日以内の手続きが必要と先述しました。年金の手続きは期間が空く場合と空かない場合で何か違いはあるのでしょうか。

厚生年金とは

厚生年金とはサラリーマンや公務員など、70歳未満の第2号被保険者を対象とした年金制度です。年金の説明で「二階建て」という言葉をよく見かけます。これは国民年金に上乗せする形で厚生年金が支給される仕組みを建物に例えています。

たまに「厚生年金を払い、国民年金は払っていない」と考える人がいますが、これは間違いです。二階部分の厚生年金を払っているなら、一階部分の国民年金も同様に払っていると考えましょう。

退職日と入社日が空かない場合は手続きは不要

退職日と入社日の間に空白がない場合、手続きは必要ありません。退職日の翌日は厚生年金の脱退日です。しかし翌日を入社日に設定しているなら、転職先の厚生年金の加入日でもあります。そのため引き続き厚生年金に加入していることになり、手続きが不要になります。

注意点は退職日と入社日はいつにするかという点です。基本的に脱退した月の前月分の保険料を払うことになるため、退職日が月末、入社日は翌月の1日がおすすめです。

退職日と入社日の間が空く場合は14日以内に手続きが必要

健康保険と同じく年金も退職日と入社日の間が空く場合、14日以内に手続きを行う必要があります。転職をするまでの間は国民年金に加入することになるため、市役所へ行って切り替えの手続きをします。

市役所へ持参していくものは印鑑・身分証明書・健康保険資格喪失証明書・年金手帳です。年金手帳を会社に渡している場合は、辞める際に返してもらいます。14日を過ぎてしまったとしても手続きを行うことはできます。

税金に関する退職後の手続きって何?

税金の手続きも退職時に終わらせなければいけません。ここでは退職日と次の会社の入社日が空く場合、住民税と所得税の手続きなど何をすればいいのかをご紹介していきます。

住民税とは

住民税は都道府県税と市町村民税の総称で、教育や福祉などに使われています。基本的に会社員は給料から住民税を天引きされているため、あまりピンとこない人も多いことでしょう。この徴収方法を特別徴収、納付書などを使って自分自身で納税することを普通徴収といいます。

住民税は1年間の収入に税率をかけて計算され、翌年に納めます。そのため、住民税の金額も前年の収入が少ない場合は安く、多い場合は高くなるということです。

住民税に関する手続きが必要なケース

住民税の手続きが必要なケースは1~5月の間に退職する場合、普通徴収を希望した場合です。前者は住民税の納付が6月から5月と決められているため、退職する際に5月までの住民税を一気に天引きしてもらいます。

後者は会社側が普通徴収への切り替えの手続きを行ってくれます。しかし、後で自宅に住民税の納付書が郵送されてくるため、記載されている期限までにコンビニや郵便局で支払いをする必要があります。

住民税に関する手続きが不要なケース

住民税に関する手続きが必要ないケースは、転職前の会社と入社予定の会社が手続きをやってくれる場合です。退職日から一か月の期間が空く前に入社する際は、会社側に特別徴収の引継ぎを希望します。会社同士で住民税の手続きを行ってくれた場合、自分でやることは何もありません。

しかし、引継ぎを断られた場合は退職する会社に普通徴収への切り替えを依頼し、転職先には入社時に特別徴収への切り替えをしてもらうことになります。

所得税とは

所得税とは、個人の所得にかかる税金の名称です。住民税と所得税を混同して覚えている人も多いですが、この2つは全く異なります。住民税は市町村・都道府県へ納める地方税であるのに対し、所得税は国へ納める国税という違いがあります。

さらに他の違いとして、住民税は今年の所得を計算して次の年に納めますが、所得税は今年の所得で計算した税金を今年中に納めます。ただ、基礎控除内に収まる金額なら所得税はかかりません。

所得税は確定申告や年末調整をしよう

所得税は確定申告や年末調整をすると、いくらか戻ってくる場合があります。住民税と同じく所得税も給料から天引きされていますが、所得税の計算は事前に想定された1年分の収入がもとになっています。

そのため、退職日から入社日まで一か月以上の期間が空く場合、所得税を余分に納めている状態です。したがって、退職日と入社日が同年なら年末調整、次の年まで転職する期間が空く場合は自分で確定申告を行います。

退職後に手続きをしない場合はどうなる?

入社日まで期間が空くと分かっていながら、退職後に手続きをしない場合、後々自分が困った状況に陥ります。例えば健康保険は切り替えの手続きを行わない限り、保険に加入していない状態になるため、先述したように病院に行けば高い医療費を支払わなければなりません。

厚生年金から国民年金への切り替え手続きをやらなかった場合、退職日から入社日までの間が一か月以上空くなら未納扱いになってしまいます。

入社後に必要な手続きとは

前の会社の退職日と次の会社の入社日に空きが出てしまう場合の手続きについては、先述したとおりです。それでは次の会社に入社した後はどんな手続きが必要なのでしょうか。

健康保険に関する入社後の手続き

社会保険に加入する手続きは転職先が行い、そのために必要な書類は自分で用意します。すでに加入している健康保険がある場合は、自分で脱退の手続きを行う必要があります。

以前の会社の健康保険に任意継続してるなら、社会保険へ加入後に入手した新しい保険証のコピーと以前の保険証と資格喪失申出書を組合に提出します。被扶養者になっているなら家族の会社に保険証を返却し、健康保険被保険者異動届を提出します。

国民健康保険に関する入社後の手続き

以前の会社を退職してから国民健康保険に加入していた場合、脱退手続きは自分で行います。入社後も国民健康保険の脱退手続きを行わないまま、一か月以上の期間が空くと保険料を余計に払うことになります。

ただ、75歳の人は自動で資格喪失となるため、何もする必要はありません。手続きで持っていくものは印鑑・身分証明書・マイナンバー・新旧の健康保険証です。市役所で国民健康保険異動届に必要事項を記入して提出しましょう。

保険に関する入社後の手続き

厚生年金保険や雇用保険の手続きも転職先の会社が代わりにやってくれます。2つの手続きで必要になるのは年金手帳と雇用保険被保険者証です。速やかに新しい会社へ提出しましょう。

雇用保険被保険者証は以前の会社を退職する際に渡されます。何らかの手違いで受け取ってない場合は以前の会社と連絡を取り、発行してもらいます。失くした場合はハローワークで再発行できます。年金手帳の再発行は年金事務所窓口でお願いします。

他に必要となる書類

入社後の手続きで他に必要となる書類は主に下記の4種です。源泉徴収票は年末調整を行う際に使用するため、入社日によっては提出の必要がない場合もあります。給与振込口座届は会社側が準備したものに必要事項を記入する形式です。

健康保険被扶養者異動届は扶養家族がいる場合、扶養控除等申告書は扶養家族がいない人も提出する書類です。

  • 源泉徴収票
  • 給与振込口座届
  • 健康保険被扶養者異動届
  • 扶養控除等申告書

退職日と入社日まで期間が空く場合の手続きに注意しよう

退職日と入社日が空く時、どのような手続きが必要かを解説いたしました。入社日までの期間が空くと油断して手続きを忘れてしまうこともあり得ます。退職日と入社日まで期間が空く場合は、期限に注意して速やかに手続きをしましょう。

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