履歴書の返送とは
募集して不採用となった方々に履歴書をどのようにして返却するか、ということは企業としての十分な配慮が必要な事項の一つではないでしょうか。
履歴書には個人情報が数多く記載されています。それにより、個人情報の漏洩への不安、紛失など、リスクを伴うため、扱いには十分注意が必要です。
ここでは、履歴書返送のあり方、履歴書を返送する際の送付状に書く内容、履歴書を返送する際のマナーについてまとめてみました。ぜひご参照ください。
不採用者の履歴書についての決まり
不採用者の履歴書をどう扱えば良いかは法律に定められていませんが、企業が応募の際に取り扱った履歴書については、厚生労働省が「第三者に開示しない」「権限を持ったものが管理する」など、おおまかな指針を示しています。
この指針に法的な拘束力はなく、応募の際に取り扱った履歴書を破棄するのか、応募者に返却するのか、または会社で一定期間保管するのか、その選択肢は保管する期間も含めて企業の判断に委ねられています。
企業モラル
応募により集められた履歴書は個人情報ですから、その取り扱いには慎重を期さなければなりません。
最近のさまざまな企業の情報漏えい問題により、社会の個人情報取り扱いに対する意識は高まってきています。法律で定められていないからといって、集めた履歴書などの個人情報をぞんざいに扱うようなスタンスでは、企業の信用問題となりかねません。
今、採用活動を行う企業には、かつてないほどモラルが求められています。
履歴書を返送する際の送付状に書く内容7つ
ここでは、履歴書を返送するときの送付状の7つ内容についてお伝えします。
内容1~3の「名称」「日付」「会社名」は、非常に基本的なことで、簡単なことのように捉えがちですが、その一つ一つが重要な意味を持っています。
内容4~6の「感謝の言葉」「不採用という言葉を使わない」「お預かりした履歴書」は、どれも応募者に対する会社側の姿勢を物語っている言葉です。
内容7の「例文」は、まとめとして載せてあります。
履歴書を返送する際の送付状に書く内容1:名称
送付状の名称は「履歴書の返却について」あるいは「履歴書の返送について」が一般的です。
文書の名称、いわゆる標題は文書の顔のような役割を果たします。人目見ただけで主文のおおよそが分かります。送付状の名称も同じです。
送付状の目的が、履歴書の返却あるいは返送にあることを明確に伝える名称(標題)である必要があります。不採用者が送付状を見たときに、名称を読んだだけである程度の内容を把握できるものでなければなりません。
履歴書を返送する際の送付状に書く内容2:日付
日付は(令和○年○月○日)と書くのが一般的です。
日付は、履歴書を返送した日として、返送した側・受け取った側の両者にとって大切な意味を持ちます。履歴書が届いたときに送付状を見たら日付が10日前だったとなると、せっかくの会社の誠意が伝わりません。
送付状の日付と実際に返送した日の差異がないようにする必要があります。そのためには、書類発送日を決め、その日を目指して送付状作成・発送作業を行う必要があります。
履歴書を返送する際の送付状に書く内容3:会社名
送付状には会社名と代表者(社長)名を記載し、社長名義の文書にしましょう。
社長名義の送付状は、会社が厳正な選考が行ったことを印象づけます。また、社長名義であることから、選考に関して社長がしっかりと関わっている会社であると認識します。そして、そうした送付状には会社としての誠意も感じます。
たまに会社名だけの送付状を見ることがありますが、一目見ただけで重要度の低さを感じることがあります。ぜひ社長名を記載をしてください。
履歴書を返送する際の送付状に書く内容4:感謝の言葉
入社試験に応募いただいたことや、試験当日、来社いただいたことに対する感謝の意を表した上で、不採用であることを伝えましょう。
例えば「お忙しい中ご来社いただきまして、ありがとうございました」「先日は当社入社試験にご応募いただき誠にありがとうございました」などです。
特別なことではありませんが、不採用者からすればこの言葉があるかないかで会社の印象は大きく変わります。感謝の言葉は、文書の内容を和らげます。
履歴書を返送する際の送付状に書く内容5:不採用という言葉を使わない
不採用者には既に選考結果は伝えてありますから、繰り返して結果を伝える必要はありません。また、不用意に不採用という言葉を使うべきではありません。しかし、会社として不採用者に履歴書を返送するという趣旨は伝えなければなりません。
そこで、履歴書の送付状には「不採用」という言葉は使わずに、「残念ながら採用を見送らせていただきました」などと表現してはどうでしょうか。かなり柔らかい印象になります。
履歴書を返送する際の送付状に書く内容6:お預かりしていた履歴書
これは、会社として応募者の履歴書をどう捕らえるかということにつながってきます。履歴書には個人の情報が数多く記載されている、あくまで応募者個人の書類ということになります。
ですから、入社試験のために一時会社が預かっているという認識が必要です。
履歴書は応募の際に預かったものと捕らえ、「お預かりしていた履歴書」と表現します。それによって、応募者が書いた履歴書を丁寧に扱っている会社であることが伝わります。
履歴書を返送する際の送付状に書く内容7:例文
これまでのまとめとして、履歴書の返却についての例文を提示いたします。
拝啓
時下、益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。
さて、先日はお忙しい中ご来社頂きましてありがとうございました。
既にお知らせいたしましたとおり、残念ながら採用を見送らせて頂きました。
つきましては、お預かりしていた履歴書を返却させて頂きますのでご査収ください。末筆ではありますが、○○様のより一層のご活躍をお祈りいたしております。
敬具
履歴書を返送する際のマナー5つ
履歴書を返送する際のマナー1:取り扱いについて事前に募集要項に記載する
応募者の個人情報漏洩に関する不安解消や紛失防止のため、履歴書を含めた応募書類を会社としてどう取り扱うのかについて、応募要項に記載しておきましょう。これによってトラブルやリスクが低減されます。
その際、応募要項に「不採用時に履歴書などの応募書類の返却を希望する方は、応募書類と共に書留用封筒を提出してください」と記載しておくと、希望者に確実に返送できます。
こうした会社の配慮が企業イメージを向上させます。
履歴書を返送する際のマナー2:破棄か返送か事前に話し合う
応募者が履歴書の返送を希望しなかった場合の取り扱いについて、「破棄する」「一定期間保管した後に破棄する」などを社内で話し合っておく必要があります。
その上で、返却を希望しなかった場合の取り扱いを応募要項に明記しておくことが大切です。
このことをしっかりと応募者に伝えておくと、返送された履歴書と送付状を見たときに、一連の文書との整合性に気づく方もいるはずです。会社としての一貫した姿勢も見えてきます。
履歴書を返送する際のマナー3:返送時は送付状をつける
不採用者に履歴書を返送するときに送付状をつけるのは、とても大切なことです。不採用者はそれ以前に「選考結果のご連絡」という標題の不採用通知を受け取っています。不採用になった会社からの封書となると、少なからず中身を想像することでしょう。
そんなときに、「履歴書の返送について」という送付状を見ることで、会社側の配慮に気づきます。このように丁寧な送付状をつけることは、会社のイメージ向上にもつながります。
履歴書を返送する際のマナー4:封筒のサイズ
履歴書を返送する封筒は、長形3号がいいでしょう。
A4サイズの三つ折りが入るし、B5サイズも二つ折りで入ります。通常、一度提出した履歴書を再利用する人はいないはずです。一度使った履歴書ですから、折って返送しても差し支えありません。
もちろん、A4サイズが折らずに入る角形2号でもかまいません。履歴書や送付状を折らずに送りたいという会社の配慮は、不採用者にとっても、会社にとってもプラスに働くことでしょう。
履歴書を返送する際のマナー5:履歴書の返送は書留郵便で
履歴書には個人情報が記載されているので、書留郵便で送った方が安全です。郵便料金がかかりますが、紛失のリスクを避けるためにの最良の方法です。
もし郵便料金の負担が大きいと感じるのであれば、応募要項で履歴書返却の希望をとり、応募書類を送付するときに、書留で送ることができるようにした返信用封筒を同封してもらう方法もあります。
いずれにしても、個人情報を守るための取り組みは今後も検討すべき課題となります。
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相手に合わせた送付状の書き方について
アルバイトやパート
アルバイトやパートの方は、仕事上のパートナーと成り得る人材であると同時にお客さまにも成り得ます。したがって、送付状の内容そのものに違いはありません。
非正規で時間労働のアルバイト・パートだからといってぞんざいな扱いをするようでは企業イメージを損ないかねません。より一層の配慮が必要です。もう少しだけ柔らかい言葉・表現を使ってみませんか?
「厳正なる選考」「遺憾ながら」といった固い表現は避けましょう。
中途採用者
中途採用者は、第二新卒や正社員未経験の方であると捕らえられ、社会人としての経験があっても即戦力には満たないと判断されることが多いはずです。そういった方々への履歴書の返送についても配慮が必要です。
この方々は、これまでも頑張ってきたし今も頑張っています。そんな方々に対する言葉の配慮が必要です。
結びの言葉は「より一層のご活躍をお祈りします」とせず、「今後のご健勝をお祈りいたします」に止めておきましょう。
新卒者
新卒者は、多くの採用試験を受け、自分が最も希望する会社に入ることを願っています。しかし、希望どおりに行くとは限りません。不採用になった会社からの履歴書の返却をどう捕らえるかは、新卒者の資質の一つと捕らえることもできます。
新卒者には、送付状の内容をしっかりと読み取り、会社からのメッセージをしっかりと捕らえられる力が必要です。新卒者には激励の意味で「より一層のご活躍をお祈りいたします」と結びましょう。
履歴書を返送する際は送付状を忘れずに
履歴書返送のあり方、履歴書を返送する際の送付状に書く内容、履歴書を返送する際のマナーについてまとめてみましたが、ご理解いただけましたでしょうか?
履歴書の返送にあたって大切なことは、送付状によって「会社としてお預かりしていた履歴書をお返しします」という誠実な姿勢を示すことです。その返送にあたっては、個人情報の取り扱いに充分な配慮を傾けることです。
履歴書返送の際はぜひ送付状を同封してください。