非正規雇用とは?メリットとデメリット・問題点と対策

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非正規雇用とはなにか?正規雇用との違いとは?

正規雇用と非正規雇用は、どういった点が違うのでしょうか。実際には正規/非正規という区分が法律的にあるわけではありませんが、一般的に、「正規雇用=無機雇用、非正規雇用=有期雇用」と考えられています。読んで字のごとく、無機雇用とは定年まで期間の定めのない雇用、有期雇用とは期間の定めのある雇用のことです。この考え方をベースにすると、いわゆる「正社員」を正規雇用、それ以外の雇用形態を非正規雇用と呼ぶことができそうです。

正社員であれば勤務先を通して健康保険・厚生年金・雇用保険に加入できますが、正社員以外であってもこれらの待遇を受けられる場合が多くあります。また、ひと昔前は正社員であればもらうことのできた退職金については、最近は制度自体を設けていない企業も多く、正社員だからといってその恩恵を受けられないことも増えてきました。

働き方が多様化する中で、正規雇用と非正規雇用の間のボーダレス化が進んできたと言えますが、本日は、非正規雇用と呼ばれる正社員以外の働き方に焦点をあてていきたいと思います。

非正規雇用の種類

それでは、正社員以外の、いわゆる非正規雇用の雇用形態には、どのようなものがあるでしょうか。

契約社員

正社員とは別の労働条件下で、給与額や雇用期間など個別の労働契約を結んで就労している社員です。一般的な解釈としては、「雇用期間に定めがある常勤社員」ということになると思います。契約期間は一年程度が多いですが、業績悪化等がない限り、一年毎に両者合意のもと更新していく場合がほとんどです。

派遣社員

派遣会社に雇用されて企業へ派遣される労働者のことです。雇用主と就業先が違うということになります。契約社員に比べ、就業時間や勤務日などがさらに多種多様になり、就業契約期間としては1日といった超短期から、一ヵ月、三ヵ月、六ヵ月、一年程度の長期まで本当に様々です。給与は時給で計算されます。企業としては、必要な時に必要なスキルを持った人材を直接雇用せずに確保できるという利点があります。

パート・アルバイト

契約社員や派遣社員よりもさらに短い期間・時間で一時的に就業するパートタイムの雇用です。パートとアルバイトの明確な線引きはありませんが、主婦などがパートタイムではたらく場合はパート、学生の場合にアルバイトと呼ばれる場合が多いです。どちらにしても、大抵はシフトなどで自分の都合のつく時のみ働き、給与は時給で計算されますがその値段は派遣社員より低い水準となります。

嘱託社員

「嘱託」ということばの意味は、仕事などを依頼して任せることですね。契約社員との違いが法律で明確に定められているわけではありませんが、定年退職した後に再度雇用された人をこのように呼ぶことが多いので、年齢としては60歳台以上の人が多いと言えます。呼び名は違うものの、実際は契約社員と同様、個別の契約を結んで就業している社員と言えます。

労働者全体における非正規雇用の割合の推移

2016年、とうとう労働者全体に対する非正規労働者の割合が40パーセントを超えました。1980年台には全体の10パーセント台でしたが、その後増加の一途をたどり、2014年には37パーセントに達し、2016年に大台を超えたかたちです。

1990年代初頭にバブルが崩壊して一気に経済が不安定になり、その後2008年にはリーマンショックと、企業側が雇用を保障できる状況ではなくなってきました。多くの企業にとっては無期雇用のリスクが高まり、その分有期雇用が増加してきたのです。また、バブル崩壊でやむを得ずリストラにあった正社員の人達が、非正規社員としての労働にシフトしていきました。

若い世代の非正規雇用の割合が増えている昨今ですが、同時に60代以降のシニア世代の非正規雇用割合も増加しています。2000年に年金受給開始年齢が60歳から65歳へ引き上げられ、今後は70歳となる可能性も色濃くなってきました。また、受給額が減少していく可能性も無視できず、定年後にパート・アルバイトとして就業するケースが目立ってきたのです。

非正規社員として働くメリット

非正規雇用が増えた背景を考えると少し暗い気持ちになってしまいますが、労働者にとって、非正規で働くことは悪いことばかりではありません。ここでは、正規雇用では実現できない、非正規雇用されるからこそ享受できるメリットについて見ていきましょう。

働きかたを柔軟に選択できる

非正規社員として働くいちばんのメリットは、なんと言ってもその柔軟性にあります。自分のライフスタイルに合わせて、仕事の内容・期間・時間を選ぶことができます。他にやりたい事がある人や小さいこどもを育てている人にとって、この点は重要でしょう。また、こどもが成長して手がかからなくなったなど、状況や環境が変化したタイミングで働き方を変えることも可能です。

仕事内容が一定している

異動や昇進・降格などに振り回されがちな正社員と違って、同じ就業先にいる限り、仕事内容や責任範囲が大幅に変わることはありません。有期雇用の場合、就労期間と同様に仕事内容についても契約書によって定められているからです。バラエティに富んだ仕事はできないかもしれませんが、雇用されている限り急激な変化は起こらないので、落ち着いた日々を送ることができます。

転勤がない

もちろん正社員だからといって必ず転勤があるわけではありませんが、ひとたび転勤の辞令が出ればなかなか逆らえないのが正規社員です。それに比べて、非正規社員でいる限り転勤はありませんし、むしろ自身の都合で引っ越しをする場合にはそれにあわせて仕事を選ぶことすら可能です。特に一緒に暮らす家族がいる場合や、パートナーに転勤の可能性がある場合、このメリットは大きいと言えます。

非正規社員として働くデメリット

当然のことながら、非正規社員として働くデメリットもあります。非正規雇用における労働者側のデメリットとはどういったものがあるのでしょうか。

雇用不安が強い

そもそも非正規と呼ばれる有期雇用が増えてきたのは、企業側が景気や業績に応じて雇用調整しやすい状況をつくるためです。無期雇用の契約を結んでいる正社員は、業績が悪化したからといって容易に解雇するわけにはいきません。こういった時に非正規社員は職を失いやすいと言えます。「派遣切り」ということばも記憶に新しいのではないでしょうか。

給与額が少ない

ひと月に稼ぐ金額のみで比べると、正社員と契約/派遣社員の違いがそう大きくない場合もあります。しかし、年収や生涯賃金で比べると、統計的には正社員の方が圧倒的に上回ります。これは、正社員には業績の良い場合に支給されるボーナス、また昇進などによる昇給の機会が多くあるためです。

社会的信用が薄い

例えば、非正規社員は家購入などの高額なローンを組むことが難しい場合があります。上述のような雇用不安から、非正規社員は職を失い収入が途切れる可能性が高いと判断され、ローンを組めない、またクレジットカードに加入できない場合もあります。

自分らしい働き方を選択しよう!

非正規雇用について、理解が深まったでしょうか?ひと昔前は、非正規雇用というとネガティブなイメージしかありませんでした。しかし、現在はそうではありません。働き方が多様化する中で、正規/非正規にとらわれず、自分に合った働き方を選択できる時代になったと言えます。何を選択しても、メリット・デメリットがあります。それを踏まえて、自分自身が仕事を選ぶ上で何をいちばん大事にするのかということがポイントになるのではないでしょうか。

当然、選択するということには責任も伴います。どんな働き方を選んだとしても、自分らしく、やりがいを持って仕事に取り組んでいきたいものです。

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