住宅ローン返済中の転職・審査項目|控除を受けている場合は?

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住宅ローンを組んでいるときの転職は、どうなるか?

住宅ローンを組んでから、事情があって審査で申告していた職から転職することは、住宅ローンに何か影響があるでしょうか。住宅ローンが組めて契約等全て終わり、無事返済がはじまった状態であれば、転職してはいけないということはありません。毎月の返済さえしっかりと出来ていれば転職しても問題ないでしょう。

しかし、転職により収入が思ったよりも激減してしまって、今後の返済が厳しくなりそうというのであれば、早いうちに住宅ローンを組んだところに相談することが大切です。金融機関によっては、「返済期間をのばして、毎月の返済額を少なくする」「一定期間の返済額を少なくしてもらって、後から上乗せして返済する」など、返済計画を見直してくれるところもあります。但し、全ての金融期間がそのように対応してくれるわけではなく、また選んだ住宅ローンのプランによっても対応できないということもありますので、まずは電話や直接金融期間の窓口に行って相談してみましょう。間違っても、住宅ローン金利の何倍もする消費者金融でお金を借りて返済費用にあてる、ということはやめましょう。

転職したばかりで、住宅ローン審査に通るのか?

金融機関によって住宅ローンの審査基準は異なりますが、「勤続年数」を審査基準にしている金融期間は多いです。そのため、勤続年数を審査基準として公表している金融機関では審査に通ることは困難になりますが、勤続年数を審査基準にしていない金融機関では、転職したばかりでも住宅ローンの審査に通る可能性があります。

例えば、住宅ローンの審査基準に勤続年数の決まりがない金融機関は以下になります。

・ソニー銀行       勤続年数:特に決まりなし
・住信SBIネット銀行  勤続年数:特に決まりなし
・じぶん銀行       勤続年数:特に決まりなし

但し、審査基準には前年度の年収がありますので、その基準に達しないと住宅ローンは通らなくなります。また、たとえ審査基準をクリアしたとしても、職歴に一貫性がなく短期間に何度も転職を繰り返している人は、審査に通る可能性は低くなります。住宅ローンの返済は長期間に及ぶことが一般的なので、安定した勤務状態であることが審査に通るための条件の一つです。

なお、勤続年数や雇用形態だけが住宅ローンの審査基準ではなく、様々な内容を見て行われるので、転職した場合でも「転職により、給料が上がった」「同じ業種でより規模の大きな会社へ転職した」といった、前向きな転職をしている人の場合は、審査が通りやすいといでしょう。

住宅ローンと転職-住宅ローン審査項目は?

では、転職したいけど住宅購入も早くしたいという方は、どんな点に気をつけていけば良いのでしょうか。まずは、住宅ローンの審査基準を知ることが大切です。審査基準がわかれば、転職しても基準に達しているかがわかるからです。では、どんな審査項目があるのか見てみましょう。

転職後の住宅ローンの審査項目7つ

住宅ローンを借りる人に対して、大きく分けて7つの項目の審査が行われます。金融期間によって住宅ローンの審査基準は異なりますので、必ずしも全てが当てはまるわけではありません。もし自信がない場合は、3~4社に申し込みをすることをオススメします。

1.過去の借入履歴と、現在の借入状況
過去の借入金の返済が延滞したことがないか、銀行やクレジット会社、信販会社、消費者金融などが共有している個人信用情報を使って審査を行います。また、現在の借入状況を調査して、クレジットカードを利用したショッピング分割払いや車のローンなどの借入額を調査します。また、現在の借入合計額も借入したい住宅ローンの上限額に含まれてしまいますので、住宅ローンを申し込む前には、なるべく借入額を減らして住宅ローンに使える金額を増やすようにしましょう。

2.勤務先
審査を申請した人が勤務している会社の規模の大小で審査の緩慢が決まるということはそれほどなく、最近では勤務先が重要な審査項目ではなくなりつつあります。但し、所属する会社の財務状況が著しく悪化していて、会社存続が危うい場合には、審査が厳しくなることもあります。

3.勤続年数
勤続年数が長いということは、ローン返済もきちんとしてくれるという判断になるため、審査項目の中でも重点が置かれます。以前は、勤続年数が3年以上とする銀行が多かったですが、今では1年未満や勤続年数を問わないという機関も多くなってきています。但し、1年未満の勤続年数で基準を満たす場合であっても、転職回数が多くて審査に引っかかる場合もあります。なお、最も気をつけなければならないのは、住宅ローン審査中に転職する場合です。それは、審査への影響がある可能性が高いからです。審査中の転職は、借入の申し込みをしている金融期間に速やかに報告しましょう。

4.収入
長期間に渡るローンを滞りなく返済でき、安定した収入があるかないかを審査します。正社員や公務員は評価が高いのですが、派遣社員や契約社員などの不安定な雇用形態の場合には、審査が厳しくなる傾向があります。また、自営業者や会社経営者の場合は、事業継続年数が3年以上であることが条件で、過去3年間の確定申告書類や決算報告書を提出した上で審査されます。

5.健康状態
団体信用生命保険加入が義務付けられている住宅ローンの場合は、健康状態審査があります。団体信用生命保険とは、住宅ローン専用の生命保険で、加入者である住宅ローンの債務者が死亡した時や高度障害状態になったとき、住宅ローンの残金分の保険金が金融期間に支払われて住宅ローンを精算できる保険です。審査内容は、現在および過去の健康状態の報告書を提出して、金融期間が提携している保険会社が審査するもので、一般の生命保険加入時の告知書とほぼ同じです。

6.完済時の年齢
金融期間により異なりますが、75歳~80歳が完済時期の上限としている場合が多く、自営業と会社員など職業や資産状況でも異なります。

7.担保物件の価値
新築物件と中古物件では担保物件としての算定方法が異なります。
・新築物件
物件価格と付随する費用を含めた全額となります。但し、立地や建物のグレード、近隣の取引事例などから乖離している場合は、改めて評価額を算出し、物件購入価格よりも低い価格になる場合もあります。
・中古物件
ローンを申し込んだ金融期間が担保価格を算出することになるので、想定していた価格よりも低くなる場合もあります。

住宅ローン控除中の転職は?

住宅購入時に、住宅ローン控除が受けられるということはご存じでしょうか。借入金額やその人の所得税の金額によって控除によって戻ってくる金額は違いますが、この控除は購入してから10年間続きます。では、この10年間の住宅ローン控除期間内に転職をした場合、住宅ローン控除はどうなるのでしょうか。

転職したとしても、年末調整は必要

たとえ年の途中で転職したとしても転職先で年末まで勤務すれば、年末調整対象となり手続きは転職先で行います。所得税額は、前職と転職先の双方の収入の合算となりますので、転職先に前職の「源泉徴収票」を提出しましょう。

転職自体は、住宅ローン控除に影響しない

住宅ローン控除が適用されている期間中に住宅ローン借入者が勤務先を退職した場合でも、住宅ローン控除には影響はありません。退職した同じ年に転職しても、またはその年に転職しない場合でも、住宅ローン控除は引き続き受けられます。但し、退職した年に転職をした場合と、転職しなかった場合では、住宅に居住した年により、必要書類や確定申告等の手続きが変わるので注意が必要です。

退職した同じ年に転職した場合

住宅ローンを組んだ1年目には確定申告、翌年以降は、「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」を転職先に提出することで年末調整によって住宅ローン控除の適用をうけることができます。なお、退職時に退職金をもらっており、「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合には、退職所得に対する税金が源泉徴収されていますので、例年より多く所得税を支払っている場合が多いため、再就職した年の年末調整では通常より多く所得税が還付される可能性が高いです。

転職せずに年末を迎える場合

退職後に転職せずに年末を迎えた場合は、年末調整はできませんので、退職年に対応する前職分の所得税の確定申告時に、自分で再度住宅ローン控除を受けるための確定申告をする必要があります。退職時に勤務先から交付された「給与所得の源泉徴収票」「退職所得の源泉徴収票」、金融期間から送付される「住宅ローンの残高証明書」、手元にある「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」を持って、住所地を管轄する税務署で確定申告の手続きをしましょう。

転職してからの住宅ローン借り換え方法

長年勤めていた会社をやめて、更なるステップアップを狙って転職する、または自分で開業する、という方で、住宅ローンを抱えているという方は多数いらっしゃいます。そして、その中には、住宅ローンを変動や固定5年、10年とした場合や金利面を考慮して借り換えを検討している方も多いでしょう。しかし、例え前向きな転職といえど、実際には銀行からの見方はあまりよくありません。転職回数が多ければ多いほどに、信用面で不安を感じるようになるからです。そこで重要なのが勤続年数になります。

転職してからの勤務実績年数

では、転職してからの住宅ローンの借り換えは実際にどのように厳しいのでしょうか。基本的には、住宅ローンの審査の基準は、以下になります。

・会社員の場合:最近1年間の源泉徴収票の数字
・自営業の場合:3期分の確定申告の数字

この基準をクリアするためには、まずは転職してからの丸1年以上(年途中で辞めて、転職した場合は、2年近い期間が必要)が必要です。自営業の方は、さらに3年間の黒字経営が出来て初めて審査基準に達します。

どうしても転職した今、住宅ローンの借り換えがしたい場合

会社員の場合に限りますが、上記の基準を達してない状態の場合で、どうしてもすぐに借り換えしたいという場合は、一度銀行に相談に行ってみるといいでしょう。場合によっては、みなし年収として、現在の月収×12ヶ月として審査にかけてくれる銀行もあるかもしれません。そういった融通をきかせてくれるのは、都市銀行よりも地方銀行の方が可能性が高いでしょう。

転職すると、住宅ローン審査は厳しい面もあるが不可能ではない。

いかがでしたか。転職した場合の住宅ローンの手続きや年末調整は、間が空かなければ転職先に必要書類を提出するだけで簡単にできますし、そうでない場合でも税務署で確定申告すればOKです。

但し、転職後すぐに住宅ローンを新たに組んだり、借り換えをするのには勤続年数という信用情報が足りないため、ある程度の年数が経たないと難しいということがわかっていただけたでしょうか。但し、例外もありますのでそのような状況になった場合には、諦めずに銀行に相談してみると、もしかしたら希望通りになる可能性もあります。転職によるステップアップは、人生設計で大切ですが、自分が抱えているローンのことも頭に置いて計画的に行動されることが大切です。

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