育児休暇とは
育児休暇とは、子を養育する労働者が法律に基づいて取得できる休業のことを指します。本記事では男性が育児休暇をとるときのポイント12、メリットとデメリットについて紹介していきます。
育児休暇というと、女性が取得するイメージが強いものでしたが、最近では男性が育児休暇をとる動きが少しづつ広がりをみせています。まずはじめに育児休暇についてどのような制度なのか見ていきましょう。
産前産後休業は女性のみに認められる
育児休暇とは別に産前産後休業というものがあります。産前産後休業は、「産休」と省略されて呼ばれているものであり、女性労働者が母体保護のため出産の前後においてとる休業の期間のことです。出産前6週間(双子などの多胎妊娠の場合は14週間)と出産後8週間が認められます。
産前産後休業は女性に認められている制度です。出産するわけではない男性は出産前に休みをとる場合、育児休暇を取ることになります。
育児休暇は男性でもとれる
育児休業とは、労働者が原則として1歳に満たない子を養育するために取得する休業なので女性だけではなく、男性も取得することができます。育児休暇の期間は、子供が産まれてから1年(子供の1歳の誕生日の前日まで)です。
日本における男性従業員の産休・育休の取得率は年々増加傾向にありますが、平成29年度時点では5.14%(厚生労働省「平成29年度雇用均等基本調査」)にとどまっています。
男性が育児休暇をとるときのポイント12
育児休暇取得するには、実際に男性が育児休暇を取得しようとするときの条件について知っておく必要があるでしょう。また育児休暇を取得すると給与面、給付金や手当などの把握も生活をしていく上で重要なポイントになります。
次は男性が育児休暇をとるときのポイントを12個紹介していきます。
1:男性の育児休暇制度ができたのはいつから?
1991年(平成3年)に制定された育児休業制度は、もともと取得する者の男女は問わず、条件に当てはまれば男性も使うことができる制度です。ただ、女性の社会進出のために作られた背景があり男性が取得するケースは非常に少ない制度でした。
2009年(平成21年)、子育て中の父親の働き方を改善するために育児介護休業法の改正が行われるなどさらに男性の育児休暇取得率アップ推奨する動きがみられています。
2:男性が育児休暇をとる場合の条件は?
男性が育児休暇をとる場合の条件が気になってくる部分ですが、条件も女性と同じです。育児休暇を利用するには、まず同一事業主に1年以上雇用され、週3日以上勤務をしていることが前提です。
そのほか、子供が1歳未満(1歳の誕生日を迎えていない)、子供が1歳になった後も引き続き雇用予定である、子供が1歳6ヶ月になる日の前日までに雇用契約が終了する予定ではないという条件を満たした場合、取得可能です。
3:男性が育児休暇をとるときの給与は?
育児休暇中、お金はどうなるのかという部分が特に気になってくるところではないでしょうか。家族が一人増えるということでお金がかかります。
しかし、育児休暇をとる場合、男性であっても給与は無給、0円です。単純に長期の休暇がもらえると考えてしまうと大きな間違いなので注意しましょう。
4:男性が育児休暇をとるときの給付金や手当は?
雇用保険制度のひとつで育児休業給付金というものがあります。これは雇用保険に加入していれば利用でき、育児休業終了後に職場復帰することを前提として給付されます。
基本的には育休開始から6ヶ月:元の給与の67%、それ以降は元の給与の50%が支給されます。育休期間中は、社会保険料や税金が免除されるので、一定の生活水準を満たすことは可能でしょう。
5:男性が育児休暇をとるときの助成金は?
では、男性が育児休暇をとるときの助成金制度についてはどのようになっているのでしょうか。
出生時両立支援助成金といって、中小企業事業主は60万円、それ以外は事業主は30万円、翌年度以降に対象取得者が生じた場合には15万円を受け取ることができます。
これは、子が生まれた男性が育児休業をとりやすい職場作りのための取り組みを行っている事業主に対して助成金が支給されるという制度です。
6:どのくらいの期間育児休暇がとれるのか?
どのくらいの期間育児休暇がとれるのか、というのも育児休暇を取得する上では知っておく重要なポイントになります。
育休の終了日は子供の1歳の誕生日の前日までです。出産と同時に育休を開始すれば、最長1年間の育休が取得可能となります。最短期間の定めなどはなく、この期間の中で、自分で取得する期間は決めて申請することになります。
7:育児休暇は何回とれる?パパ休暇とは?
育児休暇は1人の子どもにつき、原則1回だけ取ることができます。何日かに分けてとることができないので注意しましょう。
ただ、そのほか取得することができる男性の休暇としてパパ休暇というものがあります。パパ休暇は、育児を優先する期間という考えのもと設けられました。出産後8週間以内に育休を取得した場合(し終わった場合)、もう一度育休を取得できる休暇です。
8:育児休暇のパパママ育休プラスとは?
パパ・ママ育休プラスとは、父母がともに育児休業を取得する場合、休業取得可能期間を延長するという法改正の愛称です。
育児休暇の期限は子供が1歳の誕生日の前日までですが、パパ・ママ育休プラスの制度を利用すると子供が1歳2ヶ月になるまで育休期間を伸ばすことが可能です。
この制度の狙いは、夫婦で育児休業を取る場合の休業期間の延長のことで、男性の育児参加や、取得率の低い男性の育児休暇の取得を促すことにあります。
9:保育園に入れない場合は?
保育園に入れない場合、どうなってしまうのか不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
保育園に入れない場合は、特別に育休を延長することができます。2017年(平成29年)10月から保育所に入れない場合、2歳に達する日前までの期間育休手当が受けられるとされました。
注意点として、保育所などでの保育が行われるよう申し込みを行っていない場合は対象外です。最初から2年間の育休を取るということもできません。
10:どのくらいの男性が育児休暇をとっているのか?
2010年(平成22年)からは厚生労働省が、国を挙げて子育てする男性を応援する育児休業取得促進事業(イクメンプロジェクト)を推し進めていますが、実際にどのくらいの男性が育児休暇を取得しているのでしょうか。
男性の育児休業取得率は長期的には上昇傾向にあるものの、2016年(平成28年)は3.16%、2017年(平成29年)では5.14%にとどまっており、育児休暇を利用する男性はまだまだ少ない状況です。
11:男性が育児休暇をとるときの手続きとは?
男性が育児休暇をとる手続きは、事前に会社に申告することで取得しますが、まず自分の取得希望日のどのくらい前に申請が必要なのかなど会社育児休暇の規定などを確認しておきましょう。
育児休暇をとる手続きの流れは、会社に育休取得を申し出をし、会社に必要書類を提出、会社経由で育児休業給付金に関する書類を受け取り、育児休業給付金支給申請書を提出するという流れになります。
12:男性が利用できる育児支援制度や両立支援制度とは?
子供の病気があるなどの場合、子の看護休暇・短時間勤務・時間外や深夜労働の制限など、育児支援制度を利用することができます。これは育児・介護休業法という法律で決められている制度なので利用していくと女性側の負担も軽減されるでしょう。
両立支援制度とは、前述した出生時両立支援助成金(子が生まれた男性を支援する事業主に給付される助成金)制度です。
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男性が育児休暇をとるメリット
育児休暇は女性がとるもの、と考えている風潮もあり、男性が育児休暇をとるメリットまで目がいかない人もいるでしょう。実際に男性が育児休暇を取得するメリットとはどのようなことがあるのでしょうか。ここでは男性が育児休暇をとるメリットを紹介します。
子育てに深くかかわり親である意識を持てる
男性が育児休暇をとるメリットとして一つ目は子育てに深くかかわり親である意識を持てることでしょう。
男性は一般的に女性に比べると子供が生まれても、働きに出てることが多く子供と触れ合う機会が少ないものです。しかし、育児休暇をとると生まれたばかりの我が子に触れる機会が増え、育児の大変さの中で父親としての実感を強く感じることができるでしょう。
夫婦で仕事の分担ができる
男性が育児休暇をとるメリット2つめとして、夫婦で仕事の分担ができることでしょう。特に産後の女性は、出産による体の傷の疲労を回復する時期が必要でこの時期に赤ちゃんの世話をするのはとても大変なので、分担することでママ側の負担を軽くすることができます。
育休を取得したパパがいつもそばにいてくれるのは、ママや赤ちゃんにとって大変心強いでしょう。
子供と過ごす時間を長くとれる
子供と過ごす時間を長くとれるというのも男性が育児休暇をとる大きなメリットです。育児休暇を取得しない多くの男性は、仕事から帰ってきても子供の寝顔しか見られず子どもの成長を感じる機会が少ないでしょう。
しかし、育児休暇を取得できれば、赤ちゃんと過ごす時間は長くなり、赤ちゃんが親を認識するようになった、首が座った、ハイハイできるようになったなど我が子の成長過程を日々で感じることができます。
将来設計などを考える期間にもなる
毎日業務など仕事に追われているとどうしても自分の家庭のことを考える時間は少なくなってしまいます。
しかし、育児休暇期間であれば、日々の仕事と切り離されることで、子供と家庭のことに集中でき、将来設計についても考える時間に当てることもできるでしょう。これも男性が育児休暇をとる大きなメリットの一つです。
男性が育児休暇をとるデメリット
最後に男性が育児休暇をとるデメリットについて紹介していきます。よい面ばかりクローズアップされているように感じる育児休暇ですが、もちろんメリットばかりではありません。デメリットがあるからこそ、男性の育児休暇取得率が伸び悩んでいる現実があります。
収入への影響
育休期間中は、社会保険料や税金が免除されますが、育児休業給付金は、休業開始前の賃金の50%(最初の180日間は67%)なので、元々の収入から考えると節制する必要がでてくるでしょう。
家族が増えたことで、今後さらにお金がかかっていきますし、この時期の生活で足りない分は貯金を切り崩して生活する形になります。
会社への影響
育児休暇を取得すると、当然その期間会社から離れるので、上司や同僚、自分が携わっていたプロジェクトなど会社に負担をかけることになります。
会社にもよりますが、社員一人が抜ける穴として、その仕事を残った人員でこなす必要があるなど、周りに迷惑をかけることにもなるでしょう。現場の体制が整っていない会社では快く思われない不安もあります。
キャリアへの影響
法律では育休を取得した際に、不当な扱いを受けることを厳しく禁止していますが、実際男性が育児休暇を取得したことによって、重要なプロジェクトを任せるには少々不安がある、と判断されることがあります。
仕事よりも家庭を大事にするという印象になり、上司にマイナスの印象を与える可能性は高いです。重要な仕事は与えらないと出生で大きなチャンスを逃し、その後のキャリアへの影響が考えられます。
男性も育児休暇を検討しよう
厚生労働省は「2020年までに男性の育児休業取得率を13%にする」という目標を立てています。実際男性の育児休暇の取得率はあがってきていますが13%という数字を満たすには、現状の状況からは達成は難しいところがあるでしょう。
しかし、国の政策からもこれからのは男性も育児に積極的に入っていく時代ではあるので、育児休暇を考えている方は本記事を参考に育児休暇取得について前向きに検討してみてはいかがでしょうか。