多能工とは?単能工との違い
「多能工」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。組織の人材の教育、訓練によりマルチスキルを身に着けた人のことで、複数の業務がこなすことができます。「多能工」の対義語が「単能工」です。「単能工」は1つの業務を集中的に行う人のことを指しています。
今回は「多能工」についての紹介をしていきます。
多能工化とは?
1人のスタッフが複数の業務をこなすことができるように指導、教育を行うことです。そうすることで、人員の配置に無駄がないように調整することができます。
余っている物を作っている人員を、別の作業へ回しても問題なく仕事をすることができ、作業が滞ることがなくなったり、暇な時間帯に配置されている人員に別の作業も受け持ってもらうことができたりと全体の流れがスムーズになります。
多能工が活躍する業種とは?
「多能工」という言葉から見て、活躍できる業種は製造業のイメージが強いのではないでしょうか。
もちろん、製造業でも活躍できる多能工ですが、特にリフォームの時などは職人同士の連携ミスでトラブルが起きがちな建築業、人の動きが時間で決まっているホテル業においても、多能工が活躍する場面が多々あります。
その場に応じて1人の人間が一貫して仕事を受け持つことができるという特性は、さまざまな業種で幅広く活躍できます。
多能工化のメリット7つ
ここまで大まかな括りで「多能工」について説明をしてきました。何となく「多能工化」することで、仕事がしやすくなりそうな感じは分かっていただけたのではないでしょうか。
では次に、具体的に「多能工化」することで得られるメリットを7つ紹介していきます。
1:特定スタッフへの負担が分散される
難しい、もしくは量が多い、といった業務に配属されているスタッフには多くの負担がかかります。こんな場合は多能工化が進むことで、特定の作業が行えるスタッフを増員することができます。
一部のスタッフにだけ多くの負担がかかり、それ以外で時間を持て余しているという事態が改善され、無駄がなくなる上にスタッフの健康や精神衛生面も向上に繋がります。
2:残業を分散できる
仕事をしていると、何らかの事情で残業をしなければならない時は必ずあります。特定の仕事だけが多く残ってしまっている時に、その作業を行えるスタッフが複数いれば、手分けをしてより早く残っている仕事を片付けられます。
多能工化が進むことで、特定のスタッフだけが遅くまで残量をしなければならないという事態を避けることができます。
3:助け合う雰囲気が生まれる
単能工だけで仕事をしていると、他の工程で行き詰まったり問題が起きていても自分には関係ないという意識になりがちです。多能工化が進むことで、問題が起きた時にはそちらを助けることができ仕事全体をチームで支えることが可能になります。
こういった仕事をしていると自然と職場自体にお互い助け合う雰囲気が生まれ、職場環境も良好になります。
4:効率的な人材配置ができる
効率よく仕事を進めるうえ上で、効率的な人材配置は重要な要素です。
多能工化が進めば、1人のスタッフが行える作業の種類が多いので、よりその時の状況に合わせて振り分ける人数を変えたり、別の仕事に当たってもらうということができます。不要な場所に多く人材が配置されているという事態を避けることができます。
5:組織の柔軟性が高くなる
多能工化が進めば、組織自体の柔軟性も高くなると言えます。単能工は1つのスキルしかないため、組織自体が経営方針や内容を変えた場合に対応できないスタッフが増えてしまうことが考えられます。
多能工が多くいれば、多少事情が変わったところで柔軟に仕事内容を変えて業務を行うことができます。
6:担当者が欠勤しても仕事が滞らなくなる
担当者がいないために、確認ができなかったり書類の用意ができなかったりと細かい部分で仕事が滞ってしまう場合があります。多能工がそれらのスキルも身につけていれば、誰かが欠勤したために当日の業務に支障が出るという状態を避けることができます。
7:スキルアップの機会が増える
単能工は、1つのスキルを極めていればいいので、色々なことをしようという意識も生まれませんし、当然そのような機会を与えられることもありません。
しかし、多能工は積極的にスキルの数を増やせば増やすほど、幅広く活躍することができるようになるためモチベーションも高まりますし、支援を受けることもできます。
多能工化のデメリット4つ
メリットが多く、効率よく仕事が回るようになる「多能工化」ですが、やはり良いことだらけというわけにはいきません。
「多能工化」のことについて正しく知るためにも、今度は「多能工化」のデメリットを4つ紹介します。
1:人材育成に時間がかかる
当然のことなのですが、複数のスキルを身につけなければならない「多能工化」は、1つのことを集中して身につける「単能工」に比べれば圧倒的に人材育成に時間がかかってしまいます。
通常の業務も行いながらの人材育成は、ただでさえ時間がかかり負担になります。この部分の労力が増えることは軽く考えることはできないでしょう。
2:多能工への業務指示が煩雑になる可能性がある
多能工は、いくつもの作業がこなせるからこそ1日の業務の内容が複雑になりがちです。誰がどのように動くのか、分かりやすい形で伝える方法を工夫しなければ、多能工への指示が煩雑になり連携ミスが起こる可能性があります。
3:評価方法次第ではモチベーション低下につながる
多能工はいくつもの仕事をこなさなければならないため、その働きについては正しく評価される必要があります。せっかくいくつものスキルを身につけて会社に尽くしているのに、それが評価されていないようでは、モチベーションの低下につながってしまいます。
4:人材マネジメントが複雑になる
人には得意不得意というものがあります。複数のスキルを身につける多能工も、人によって身につけやすいスキルと、あまり向いていないスキルがあります。人材育成自体に時間がかかることからも、それらの特性を見極めて適切なスキルを身につけてもらう必要があります。
スタッフ1人1人に対する人材マネジメントはどうしても複雑になってしまうでしょう。
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多能工化の事例2つ
ここまで「多能工」の重要性と利便性、加えてその難しさも紹介してきました。
このように育成自体も簡単ではない「多能工」ですが、ここで実際に「多能工化」を取り入れている企業の事例を紹介しましょう。
1:トヨタ自動車
そもそも「多能工」という方式はトヨタ自動車が最初に始めました。トヨタ自動車の副社長であった大野耐一氏が考案したもので徹底的に無駄を排除するというトヨタの生産方式に則ったものでした。
余分な在庫を抱えるなどの無駄を排除し、足りない部分を臨機応変に補うことのできる「多能工」は生産効率の向上を実現しました。
2:星野リゾート
ホテル業界は統廃合の多い業界ですが、その中で星野リゾートは「多能工化」を成功させてホテル業界の中の勝ち組と言われています。
ホテルを利用する人の流れはだいたい決まっており、何時頃にどの業務が忙しくなるかは分かっています。そのため人が出入りする時間帯であれば受付に、食事の時間であれば調理補助に、といったように暇にしている時間を作らないようにすることでスムーズなサービス提供を可能にしました。
多能工と多能工化について知っておこう
今回は、多能工とはどういったものか、また多能工化についてのメリット、デメリットについて紹介してきましたがいかがだったでしょうか。
どのような業種でも、どんな場面でも必ず多能工が優れているとは言い切れませんが、正しい知識を身に着けておくことで適切な場面で取り入れていくことができることでしょう。多能工化で快適な仕事環境を整えましょう。