働き方改革の事例は企業によってさまざまである
いま、国を挙げて働き方改革への取り組みが始まっています。減少する労働力を補うための方法や生産性向上による国際的な競争力の確保など課題も少なくありません。
企業によって働き方改革の導入事例はさまざまです。業種や企業規模によってどういった施策を導入するのが得策かは異なります。
法律や社会の仕組みの変化に対応するべく、他企業の事例を研究し、自社に導入できるものを探っていくことが必要です。
働き方改革の事例10個
働き方改革と一口に言っても、その内容は多岐に渡ります。すべての事例を導入できれば企業の働き方改革もかなり進むことになります。
まずはどのような事例があるのか参考にし、自社に当てはまりそうなものがあるかを知ることが大事です。
ここでは内容別に働き方改革に向けた事例を10例ご紹介します。すぐに取り組めるものから、じっくりと改革していくものまでいろんな事例がありますので、ご参照ください。
事例1:育児休暇
働き方改革の重要な目標の一つに女性の活用が挙げられます。特に出産・育児により退職を余儀なくされる人が多いことが労働力確保の妨げの一つとなっている現状があります。
育児休暇は法律で定められていますが、うまく活用できてない企業が多くあります。せっかく育った女性社員が出産、育児で退職してしまうのはもったいないです。
また、最近では男性の育児休暇を促進する事例も増えてきています。
事例2:短時間勤務制度
大きなプロモーションとともに導入されたプレミアムフライデーですが、今のところ定着しているとまでは言えません。しかし多様な働き方を考える上でのヒントにはなります。
企業によっては短時間勤務制度を設けているところもあります。育児中のワーママを対象としたものであることが多いのですが、一般の社員でも限定的に適用する事例もあります。
仕事にメリハリをつける、疲労軽減などの効果が期待できます。
事例3:フレックスタイム制度
事務的な職種やクリエイティブな職場で採用されていることの多いのがフレックスタイム制度です。自分で出勤や退勤の時間を調整することができるのが特徴です。
柔軟な労働時間の管理という点で導入する事例も増えています。特に2019年4月の労働基準法の改正で、これまで1か月単位だった清算期間を最大3か月まで延長することが可能になりました。
この改正でフレックス制度を採用する企業が増えると予想されています。
事例4:テレワーク
通勤時間の負担軽減や、住環境を重視した労働者にとって有利となるのがテレワークです。働き方改革では多様な勤務体系を推進しています。
テレワークは自宅や近所のカフェなど、職場以外での就労を可能にする制度でありIT業界を筆頭に導入する事例があります。
連絡の手段や情報管理、機材の負担など導入にあたっての課題もあります。しかし特に子育て中の女性の就労支援にもなるなど効果が期待されています。
事例5:長時間労働の削減
過重労働による健康被害が深刻な社会問題になっています。体を壊し働けなくなる事例が後を絶ちません。長時間労働の弊害やリスクはようやく認知されてきています。
夜遅くまで残業し、寝不足や疲れが抜けない状態で仕事をしても生産性は向上しません。働き方改革では競争力維持のため、いかに効率よく生産性をあげるかが重要視されています。
労働時間の長さではなく労働の質で評価する方向への転換が働き方改革の背骨ともいえます。
事例6:非正規雇用者の処遇改善
いまや非正規雇用の割合は労働人口の4割近くに達しています。不安定な状態にある非正規雇用の処遇改善は一億層活躍を掲げる働き方改革の重要なテーマと言えます。
大手金融機関など、契約社員を順次無期雇用に転換させていく方針の企業も増えています。非正規雇用を無期雇用に転換する企業には助成金が利用できるなど、国も後押しをしています。
さらに同一労働同一賃金により、賃金格差を解消することが期待されています。
事例7:多様な採用方法の導入
日本の採用の特質として新卒一括採用が挙げられます。これは終身雇用、年功序列を前提としたもので、新卒カードというのは重宝されています。
一方で、新卒時に就職で躓くとその後のキャリア形成が難しくなる点が問題視されていました。
たとえばYahoo!株式会社のように新卒一括をやめポテンシャル採用で通年採用に切り替える企業もあります。
多様な採用は、柔軟な人材発掘の事例として働き方改革のキーになると考えられます。
事例8:高齢者の活用
多くの企業が定年制を採用しています。65歳で退職としている企業が多いのではないでしょうか。
しかし労働人口が減少していることもあり、高齢者の活用が働き方改革では求められています。短時間勤務や週に2~3日の勤務で高齢者を活用する事例もあります。
厚労省の統計では、定年制を廃止している企業は全国で4,064社あります。働き方改革が進めば定年制廃止企業の合もさらに増えると考えられています。
事例9:障害者雇用の推進
障害者の中には積極的に働きたい、社会とかかわりたいと考えている人が少なくありません。しかし受入れ体制ができないことや既存社員の負担増などを理由に障害者雇用は進みませんでした。
しかし近年、企業の社会的責任を果たすため障害者を積極的に雇用する企業が増えてます。ユニクロのように全国の店舗の9割で1名以上の障害者雇用を行っている事例もあります。
社員教育を通じ、理解を求めるなど受入れ体制の構築が重要です。
事例10:就職氷河期世代の雇用安定
バブル崩壊後の就職氷河期世代に学卒を迎えた30代後半から40代前半の世代があります。新卒時に正社員になれないまま、不安定な雇用を続けることを余儀なくされ中高年フリーターのような存在になっている事例も多く見受けられます。
そこで国は今後3年程度の間に集中的に就労支援を行う方針であることを発表しました。大学やハローワークに専門的な部署をつくり就職を支援するということです。
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働き方改革が目指すもの3つ
そもそもなぜ働き方改革が必要なのでしょうか。何のために働き方改革をするのかを理解せずに事例だけ学んでもあまり意味がありません。
これまで述べてきたような事例は、あくまで働き方改革のための手段に過ぎません。生産性の向上や、それに伴う競争力の確保、収入増による消費拡大が目的であり、最終的なゴールは国力の向上だということです。
その1:労働力の確保
先進国でも突出した少子高齢化が進行しています。労働人口は減少する一方のため、生産力を下げないために労働力を確保する必要があります。
これから伸びる分野や力を入れたい産業に労働力が流入しやすいような仕組み作りも働き方改革の一環として行われています。特にIT業界や医療・介護業界の労働力確保は喫緊の課題となっています。
その2:生産性向上
長時間労働の削減は、裏を返せばいままでより短い労働時間で同じだけの成果を出すことを意味します。時間を短くして生産性まで下げても仕方がないということではありません。
業務の無駄を省き、必要に応じて外注化するなど、いかに効率的に業務をこなすかが問われます。働き方改革のベースとなるのは脱時間給です。時間ではなく成果により評価するという意識改革でもあるのです。
その3:労働者の増加に伴う税収増
定年退職でリタイアした年金生活者や専業主婦を労働人口に組み込むことは税収にも結びつきます。
働けば当然所得税や社会保険料を国に収めることになります。働き手が増えれば増えるほど、国の収入は増えます。社会保障費の増大や税収の減少は持続可能な社会をつくるうえで解決しなければならない大きな課題です。
働き方改革の事例を一通り把握しましょう
働き方改革と一口に言っても、さまざまな方法があります。どの方法がふさわしいかは企業規模や業種、職種によって当然異なります。
記事でご紹介した事例を研究することで、自社に合った働き方改革導入の参考になれば幸いです。