有給休暇取得義務化のポイント7つ|メリットやデメリットは?

働き方改革

有給休暇とは

有給休暇についてどのような休暇か知っていますか。有給休暇とは労働者に取得が認められている休暇制度です。

とはいえ、有給休暇を取りたいけれど、なかなか仕事の状況や職場の雰囲気から取りにくいという人は多いのではないでしょうか。本記事では有給休暇取得義務化のポイント7つ・メリットやデメリットについて紹介していきます。

日本の有給休暇取得の割合

エクスペディアが世界19ヶ国の有給休暇・国際比較調査2018を発表したところ日本の有給取得率と取得日数どちらも世界最下位という結果が出ました。日本の有給休暇取得率は50%で、3年連続の最下位、取得日数はアメリカとタイと同位で最下位でした。

しかし日本人にとって「休む」という行為は「職場に迷惑をかける」など、罪悪感がある行為だと感じている人が多いので休暇が不足している意識はないという人が多い現状です。

有給休暇取得義務化の背景

日本は2019年4月から有給休暇取得の義務化がスタートします。有給休暇取得について最低でも5日以上は雇い主である企業側に指定を義務付けるというものです。

有給休暇取得義務化の背景には、有給取得率の低さを改善する働き方改革にあります。有給休暇の取得義務化をすることによって、過労死につながるような過重労働を防止や心身を休めるときはしっかり休んで、生産性を高めてもらいたい、との想いがあります。

有給休暇取得義務化のポイント7つ

有給休暇取得義務化によって今まで有給休暇をとれずにいた人は有給休暇取得が義務化されたことによって、「休みがもらえる」とほっとする人もいるのではないでしょうか。しかし有給休暇取得の義務化対象は全ての労働者ではありません。

次は、有給休暇取得義務化のポイント7つについて紹介していきます。有給休暇取得義務化の施行日や対象者などを詳しく把握していきましょう。

1:有給休暇取得義務化の施行日

有給休暇取得義務化の施行日は、2019年4月1日で既に開始されています。有給休暇取得義務化の法律により、会社側は対象となる労働者に対し、1年で5日以上の有給休暇を取得させることが義務となりました。

国の政策方針としては、2020年までに有給休暇取得率を70%に引き上げる成果目標を掲げています。

2:有給休暇取得義務化の対象者

有給休暇取得義務化の対象者は、有給休暇が10日以上取得できる労働者(勤続年数6ヵ月以上、その期間の全労働日の8割以上勤務)です。また、以下の条件を満たした労働者も対象者になります。

・3年半以上その会社で働いて週4日(または年間169日〜216日)勤務
・5年半以上以上その会社で働いて週3日(または年間121日〜168日)勤務
・週30時間以上勤務
・週5日以上勤務
・年間217日以上勤務

パートやアルバイトも対象

パートやアルバイトの方は有給休暇が対象になると思っていない方が多いでしょう。「社員にならないと有給休暇はない」と思い込んでいて、仕組みや取得方法をよく知らないまま、有給休暇を取得しないパートやアルバイトの方が多いのではないでしょうか。

パートアルバイトの方も有給休暇取得義務化の対象者は、勤続年数6ヵ月以上、その期間の全労働日の8割以上勤務など、有給休暇10日以上取得の条件を満たせば対象になります。

対象外になる場合とは?

有給休暇が勤続年数6ヵ月以上、その期間の全労働日の8割以上勤務に満たない場合、もともと有給休暇として取得できる日数が10日未満なので、有給休暇取得の義務化の対象者から外れます。

また、前年度から繰り越した有休も合算した有給休暇が10日以上あったとしても対象外です。一回の付与で10日以上有給休暇となる労働者に限ります。働いていれば誰しもが有給休暇取得の義務化の対象となるわけではありません。

3:有給休暇の個別指定方式とは?

有給休暇取得日の義務化に対して企業側の対応として有給休暇の個別指定方式があります。

有給休暇の個別指定方式とは、会社が社員ごとに消化日数が5日以上になっているかを調べ、5日未満になる可能性がある場合、会社が有給休暇取得日を指定する方式です。

基本的には労働者の意見を尊重する形となりますが、有給休暇申請を行っていない労働者に対しては、会社が「○月○日に有休を取ってください」と指定していく形がとられます。

4:計画年休制度とは?

有給休暇取得日の義務化に対して企業側の対応として計画年休制度という制度もあります。

計画年休制度とは制度としては1987年からある古いもので、社員の有給休暇5日間の自由年休を除いては会社側が与えるタイミングを指定できるという制度になります。

つまり計画年休制度で年5日以上の有給休暇を付与していれば、5日以上は有給を消化させていることになり、この制度を使用していれば有給休暇取得義務化の対象から外れます。

5:現在の休日を有給休暇にできるか?

実際、仕事が多く、有給休暇を使って休みをとる暇がない、という人もいるでしょう。休日を返上して仕事をしてきた人は土日などの休日を有給休暇として申請できないか、と考えることはないでしょうか。

しかし、有給休暇は労働義務のある日に請求できるものなので、労働義務の無い「休日」に有給を取得することはできません。有給休暇取得が義務化されたことによって、必ず休日とされていない日に有休をとる必要があります。

労働条件の不利益変更とは?

労働条件の不利益変更とは、雇用者(会社側)と労働者との間にすでに成立している労働契約の内容を、雇用者が労働者にとって不利益な方向で労働条件を変更するという行為です。

有給休暇5日取得義務化に伴って、土日・お正月・お盆休みなど、これまでは休日としていた日を労働日に変更、それらの日を有休の取得としてしまう会社も出てくる可能性があるといわれています。これは、労働契約の不利益変更になるので違法です。

6:有給休暇取得の義務化に違反した場合の罰則

有給休暇取得の義務化に違反した場合、会社側は罰則を受けることになります。違反すれば労働基準法違反となり、30万円以下の罰金や状況によっては6か月以下の懲役が科されることもあります。有給休暇取得の義務化は事業規模に関わらず中小企業も含まれます。

罰則の対象は経営者・代表取締役・会社・業務命令者です。業務命令者とは人事などで権限を持つ立場の者も含まれるので、労働者であっても罰則対象になることもあります。

7:有給休暇の管理簿と保管義務

有給休暇の取得義務化の制度がスタートしたことによって、その実効性を高めるために「年次有給休暇管理簿」を作成することが義務付けられました。

管理簿では、有給休暇の取得日・日数・有給休暇の付与日を基準日から1年以内の消化日数を記録し、各社員の消化状況を把握することが目的となり、この管理簿の保管義務期間は3年間と定められています(労働基準法施行規則第24条の7)。

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有給休暇取得義務化のメリット3つ

エクスペディアによると、有給休暇取得が義務化される事に対して「嬉しい」と喜んでいる人は70%以上という統計が出ていますが、有給休暇取得義務化のメリットにはどのようなことがあるでしょうか。

次は、有給休暇取得義務化のメリット3つについて紹介していきます。有給休暇取得義務化がこれからの社会にどう影響していくのか考えながら見ていきましょう。

1:有給休暇が取りやすい雰囲気が作れる

「働かざる者食うべからず」ということわざがあるように、日本人はもともと「休むこと=悪い」という気持ちを持っている人が多いといわれています。

有給休暇取得が義務化は、日本社会の根底にある休みづらい雰囲気や休むことへの罪悪感を払拭することが目的といわれています。有給休暇取得を義務化することによって、以前よりも有給休暇が取りやすい雰囲気になることがメリットの一つでしょう。

2:有給休暇によりリフレッシュできて仕事の能率が上がる

「休日もなかなか休めず、プライベートの時間がない」「毎日夜遅くまで仕事をして、心身ともにひどく疲れている」など、休暇が取れない状況では体は疲れ、精神的にもストレスが溜まっていきます。

有給休暇取得の義務化で休日が増えることによって、今までとれなかった時間を作ることができ、心身ともにリフレッシュ、仕事の能率がアップするなどメリットがあるでしょう。

3:従業員の会社に対するイメージが良くなる

有給休暇が使えない労働環境であったり、使いづらい雰囲気の会社はどうしても会社に対するイメージが悪く、ブラック企業といわれてしまうことがあります。

従業員に対してしっかりと有給休暇を与えている会社はクリーンなイメージができるので、有給休暇取得義務化によって有給休暇を会社側が積極的に促していくことで、従業員の会社に対するイメージは良くなります。

有給休暇取得義務化のデメリット2つ

有給休暇取得義務化のメリットをあげましたが、デメリットになってくる部分も存在します。

有給休暇取得義務化には会社側がしっかりと人員の管理や取得を奨励する仕組みづくりが必要です。整っていない状況で有給休暇取得を義務付けられても、デメリット面が浮き彫りになるだけでしょう。

それでは、最後に有給休暇取得義務化のデメリット2つについて紹介していきます。

1:有給休暇の取得により他の従業員の負担が大きくなる

有給休暇取得義務化のデメリットとして有給休暇の取得により他の従業員の負担が大きくなることがあります。

もともと有給休暇を使いにくかった理由として、自分の仕事を他の従業員にお願いする必要がありましたが、有給休暇取得が義務化されてもこの部分は変わっていないので、休みにくい問題は残ったままになっています。

また、他の従業員が有給休暇を使ったとき、自分へその作業が回ってくることもあるでしょう。

2:人手不足の会社では仕事が受注できなくなる場合も

人手が足りている会社では、有給休暇を取得してもその穴を埋める人はいますが、人手が足りていない会社は交代できる人員がいません。余力がない状態の中、有給休暇の取得が義務化されたことで、仕事の受注にも制限をかける必要がでてくるでしょう。

労働時間がもともと多い企業では、無理に取得を義務付けても、サービス残業や休日出勤など普段の労働時間が増加する可能性があり、労働状態が改善されないという場合もあります。

有給休暇の取得義務化について理解しよう

有給休暇取得義務化のポイント7つ、メリットやデメリットについて紹介していきましたがいかがでしたでしょうか。

デメリット面として、休んだ人の仕事の折り合い、調整などうまくつくように体制を考えていく必要はあります。

有給休暇取得の義務化によって、どんなに仕事がしたくとも、有給休暇の消化が優先されるので、会社にとっても労働者にとっても、計画的な取得が望ましいので注意していきましょう。

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