会計事務所とは?
会計事務所は企業や個人事業主などの会計や税金の計算等の業務を請け負います。一般の消費者向けのサービスではないことから実態がよくわからないこともあるのではないでしょうか。
公認会計士や税理士が事務所を開く場合、会計事務所ではなく正式には「公認会計士事務所」や「監査法人」、「税理士事務所」などの名称を用いなければなりません。
ここからは会計事務所の仕事内容について詳しく解説していきます。
会計に関する仕事
会計事務所の主たる業務に企業の会計業務補助があります。仕訳業務や会計帳簿の作成に始まり財務諸表の作成や資金繰り表など企業の財務に関する全般に対して関与します。
会計事務所は企業の財務状況が健全な状態にあるか、支出や売上の計上は適正に行われているかなどをチェックしなければなりません。
会計ついては法律で厳格に扱いが決められています。コンプライアンスの観点から企業を指導する役割が会計事務所にはあります。
税金に関する仕事
事業年度終了後に決算を行い、納付すべき税金の計算をするのも会計事務所の重要な仕事の一つです。税金の徴収は国の財政の根幹を成すため、厳密な計算が求められます。
脱税に関しては厳しく追及され、不正行為に積極的に加担したことが明らかな場合は企業とともに会計事務所の責任も問われます。
一方で企業が会計事務所に求めるのは適法な節税です。法律に則った節税策の提案がどれだけできるかは会計事務所の腕の見せ所です。
給与計算、社会保険に関する仕事
その他企業の会計業務に係る事務的作業を請け負うこともあります。毎月の給与計算業務を会計事務所に委託している企業もあります。
給与計算業務は、社員の給与という非常に重要な労働条件に関わるものであり、正確性が何より求められます。また毎月給与支給日は決まっていますので、遅れることは許されません。安定した手続きを提供できることが会計事務所には求められます。
会計事務所を辞めたい理由7選
会計事務所は、一般企業と違い高度な専門的職業です。勤務することで専門的な知識を身につけることができます。
そんな会計事務所勤務を辞めたいと考えるようになるのはどういった理由によるのでしょうか。ここからは会計事務所を辞めたい人の代表的な理由を紹介していきます。
辞めたいと思ったきっかけや、会計事務所特有の問題についてなど辞めたいけど迷っている場合に参考にしてみてください。
1:職場の人間関係の悩み
会計事務所に限らず、仕事を辞めたいと考えるきっかけとして多いのが人間関係の悩みです。大手の監査法人などは別ですが、一般的に会計事務所は10人未満の少人数というところがほとんどです。狭い世界のため、一度人間関係がこじれると修復が難しくなります。
そもそも会計事務所の職員は一匹狼的な資質の人が多く、そうした雰囲気に馴染めず辞めたいと考えるようになることが多いのではないでしょうか。
2:年収が低くなりがち
大手の法人であればそれなりの報酬を得ることが可能ですが、小規模の会計事務所の場合年収もそれほど高くありません。おおよそ300〜400万円代が主流です。税理士資格を持っていればさらに100〜200万円程度基本給がプラスされる場合もあります。
無資格者の場合は、修行させてもらってるという意識があり、特に地方では年収200万円代も珍しくありません。こうした収入の低さから辞めたいと考えるようになります。
3: 労働条件に不満
収入以外の労働条件に不満があって辞めたいと考える人もいます。個人会計事務所では労務管理も杜撰であることも多く、有給休暇が取れないとか福利厚生が貧弱なことなどが不満の種になります。
労働条件については一般企業であれば労働組合などを通じて交渉する余地もあるのでしょうが、個人会計事務所ではそうした改善もあまり期待できないことから辞めたいと感じるようになります。
4:各種ハラスメントがある
普通の企業と同じように会計事務所でもパワハラやセクハラ等のハラスメントが行われていることがあります。個人事務所では所長の権限が強く、誰も逆らうことができないこともあります。
女性職員の場合は同僚や顧客からのハラスメントで心身に不調をきたし辞めたいと思うようになります。パワハラに関する意識が低い事務所もあり、多少怒鳴られたくらいで辞めたいと考えるのは弱い、甘えだといわれることもあります。
5:会計という仕事そのものが嫌になった
日々数字のことを追っかけていると、会計の仕事そのものが嫌になるケースもあります。もちろん適正の問題もあります。自分には向いてないと感じ辞めたいと思うようになります。
また年度末や5月など個人の確定申告や法人決算が重なる時期は非常に激務になります。決算は申告時期が決められており遅れることは顧客に迷惑をかけてしまうため許されません。そうしたプレッシャーで追い詰められ辞めたいと感じるようになります。
6:キャリアアップが望めない
専門職であるがゆえに潰しがきかないというデメリットがあります。商品やサービスを販売する一般企業と異なり事業所自体の規模の拡大にも限界があります。そのためキャリアアップの展望がひらけす辞めたいと考えるようになります。
もちろん個人事務所から大手法人へキャリアアップすることも能力次第では十分可能です。現状維持では満足できない上昇志向のある人は入社後割と早く辞めたいと感じ始めることもあります。
7:税理士試験との両立が難しい
税理士試験は難易度が高く、取得までの年数も10年近くかかることも珍しくありません。特に勤務しながらの勉強は時間的な制約があり、険しい道です。
税理士を諦め辞めたいと思う人もいれば、試験に集中するために一度仕事を辞めたいと考える人もいます。いずれにしても激務と言われる会計業務をこなしながら勉強の時間を確保できるのは覚悟と強い意志が必要だと言えるでしょう。
会計事務所を辞めたい時に押さえておくポイント
会計事務所を辞めたい時に押さえておくべきポイントはあるのでしょうか。一度は目指した道を断念するのは思い切った決断になります。中には辞めたいと感じて衝動的に退職するケースもありますが、できれば善後策を講じてからやめる方が良いでしょう。
通常業務をこなしながら転職活動をして、再就職先が決まれば退職前の引き継ぎをする。環境も大きく変わることになりますので、十分な準備で臨むことをおすすめします。
会計事務所から1年間で転職するのはあり?
せっかく入った会計事務所をわずか1年で退職するのは問題があるでしょうか。人や状況によるので一概には言えませんが、どうしても合わない、辞めたいと強く感じるのであれば退職した方が良いでしょう。
やめるのを躊躇して、不平不満を抱えたまま勤務を続けるのはキャリアを考えた場合好ましくありません。合わない理由が近い将来解消される見込みがなければ思い切った決断をすることも必要です。
退職理由はどうするべき?
退職理由は正直に書くべきでしょうか。結論から言うと退職理由は建前で伝えても構いません。そもそも職業選択の自由があり、退職理由が会社の気にいる物でなければ退職できないということはありません。
正直に書くと揉めそうだな、と感じるのであれば当たり障りのない「一身上の都合」や「家族の事情」などとしておけば大丈夫です。例えば残業代が支払われないなど法令違反がある場合にはその旨をしっかり明記しても良いでしょう。
転職活動で入社前に職場環境を知る方法
転職したは良いものの、いざ入社すると思っていたのと違うという状況になると困ります。そこで事前に職場環境を知ることができれば良いのですが、外部からうかがい知れることには限界があります。
例えば転職サイトの口コミを利用すれば、現役もしくはOBなど実際にその職場に勤めていた人たちの声を知ることができます。こうした情報は価値があるもので、多少の時間や手間、費用をかけてでも招集しておくべきです。
「会計事務所を辞めたい人」におすすめの転職方法
会計事務所を辞めてたい場合に、どのような転職方法を用いると良いのでしょうか。ハローワークは手軽に利用できる方法です。
ただし、会計事務所の求人数自体それほど多くなく、掲載されているものも好待遇のものはあまり多くないのが現状です。
転職サイトを利用すれば、豊富な案件から選ぶことができます。また、転職エージェントの力を借りると転職活動もスムーズに運ぶことができるのでおすすめです。
別の会計事務所に転職する
会計事務所からの転職先で最もポピュラーなのは別の会計事務所への転職です。業務内容も似ていて、これまでの知識や経験を活かすことができます。
場合によっては担当顧客を持っていくこともできますが、元の事務所とトラブルになるリスクも考慮した方が良いです。また競業避止義務の誓約書へのサインを求められることがあります。
会計に関する別の職種に転職する
培った会計知識を活かせる職種への転職も一般的です。税理士資格の有無で転職先や転職後の給与などの労働条件が異なります。辞めたいと思った時点で、あと少しで税理士資格が取れそうであれば時期を見るのも一つの手です。
職種としては経営や経営企画など、会計事務所での知見を活かせるものを目指す人が多いです。経営に関与する役割が期待されます。
一般企業の経理管理職
キャリアが浅いようであれば一般職の経理課員として就職することもありますが、会計事務所である程度のキャリアを積んでいる場合は経理課長などの管理職として期待されます。
会計事務所で複数の企業を担当し、さまざまな事例を知っていることは大きな強みになります。経理は硬直しやすい部署です。多様性を保つために多くの経験を持っている人材は歓迎されます。
コンサルティングファーム
企業の財務関係の指導をしてきた実績を活かせるコンサルティングファームも転職先の一つです。財務評価や企業の立て直しはもちろんM&Aなどの経験があれば重宝されます。
税理士資格を保有している人が辞めたいと思った場合で独立開業以外の転職先としては待遇面などを含め有力な候補の一つになります。
会計ソフト開発の会社
会計ソフト開発の会社も有力な転職先の一つです。顧客は会計事務所や一般企業です。顧客がどんな会計ソフトを求めているのか、自分自身の経験を活かせるのは大きな強みです。
未経験の職種に転職する
辞めたいと思った理由が、会計事務が嫌になったということであれば、未経験の仕事に転職することも考えられます。
IT系や営業職、介護系の仕事などに転職する例があります。その場合でも会計の仕事を通じて培った数値の見方や論理的な思考など別の職種でも能力を活かすことができます。
会計事務所を辞めたいと思ったら転職をしよう
会計事務所を辞めたいと悩むことは誰しもあるでしょう。キャリアプランや人間関係の悩み、激務による健康面の問題など理由はさまざまあります。大切なのは自分の気持ちに従うことと十分な準備をすることです。
退職を決めたら転職先の選定や退職の手続きなどしっかりと、確実に進めましょう。必要に応じて転職エージェントなどを利用し効率的に転職を進めるのも良いでしょう。