諸手当とは
諸手当とは基本給のほかに支給される賃金のことです。
給与明細の中には「○○手当」の欄があります。これは、特定の条件を満たす労働者に基本給に加えて支給される賃金のことを指します。
では「諸手当」とは、具体的に何を指してるのでしょうか。ここでは、手当について、詳しく説明していきます。
基本給との違いとは?
基本給とは企業が社員に支払う最低賃金です。
「基本給」は給与の基本となる賃金のことで、毎月会社が支払う最低賃金のことです。賞与はこの基本給で計算されます。
「諸手当」とは、基本給以外に会社から支給される賃金のことです。残業手当や交通費のように月ごとに変動する手当と、資格や役職のような毎月固定した額の手当があります。
諸手当の12種類
諸手当は企業によって異なります。
A社にある手当がB社にはないということもあり、金額なども企業ごとに違いがあります。とはいえ、大体の企業に就業規則などで以下のような12種類が規定されています。
「時間外・休日・深夜労働手当」においては、国で定められた規定があります。次項から各項目について詳しく説明していきます。
- 時間外・休日・深夜労働手当
- 役職手当
- 資格手当
- 皆勤手当
- 家族手当
- 住宅手当
- 通勤手当
- 営業手当(外勤手当)
- 特殊作業手当
- 特殊勤務手当
- 技能手当
- 精勤手当
1.時間外・休日・深夜労働手当
時間外・休日・深夜労働手当は諸手当の中でも国が規定しているものです。
時間外手当とは、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて働いた場合に支払われる割増賃金で、25%割増の賃金が支払われます。
休日手当は、法定休日(週1日または4週間で4日)に労働した時に支払われる割増賃金で、35%割増の賃金で支払いがされます。
そして深夜労働手当は、夜22時から翌朝5時に労働した時に支払われる割増賃金で、25%割増の賃金で支払いがされます。
2:役職手当
役職手当は役割や責任に対して支給されるもので、役職とは管理職のことを指します。
各企業によって呼び方はさまざまですが、管理職というのは取締役会長、代表取締役、取締役、執行役員、部長、課長、係長、主任と呼ばれる人々で、一般社員とは違って役割も変わり、責任も重くなっていきます。
3:資格手当
資格手当は業務に必要な技術や資格を取得すると支給されます。
資格手当または技能手当は、従業員が資格を取得した場合、または資格を取得しようとする場合に、企業から支払われる諸手当です。資格手当の条件については、各企業によって異なり、対象とする資格も業界によって異なります。
毎月支給される技能手当の他に、資格取得時に一時的に支給される「合格報奨金」があります。
4:皆勤手当
皆勤手当は所定の期間に1日も休まず出勤すれば支給される手当です。
皆勤手当を支給することにより、社員のモチベーションのアップを図ります。遅刻、早退した場合は支払われませんが、有給休暇を取得しても皆勤手当は支給されます。
皆勤手当の支給額は各企業により異なりますが、平均1万円程度です。
5:家族手当
家族手当は養うべき家族(扶養家族)がいる社員に対して支給されます。
家族手当とは、扶養する家族がいる社員に対して支給される諸手当の一つです。配偶者・子・孫・親・兄弟姉妹をその社員が養っている場合、会社が生活を支援するための手当です。
各企業によって異なりますが、家族手当は、扶養配偶者の人数によって決定されます。また扶養の基準は、税法上の扶養配偶者(年収103万円以下)としている会社が多いです。
6:住宅手当
住宅手当は社員の住宅ローンや家賃の一部を会社が負担します。
「住宅手当」は、社員の住宅ローンや家賃などの「住宅にかかる費用」の一部を会社側が負担する諸手当です。
対象が賃貸物件の場合は「家賃補助」といった名前が用いられることもありますが、両者は同じです。規定は各企業によって異なります。
7:通勤手当
通勤手当は月額10万円までは非課税になります。
通勤手当とは、社員の通勤にかかる費用を補助するために会社が支払う諸手当の一部です。扱いは給与の一部ですので、所得税・住民税の課税対象ですが、月額10万円までは非課税となります。
8:営業手当(外勤手当)
営業手当は営業職に支払われる諸手当ですが、残業手当は含まれません。
営業手当とは、営業職についた社員に支給される賃金です。法律で決められているわけではないので、詳細は各企業で異なります。
ここで注意したいのは、営業手当の中に「残業手当は含まれない」ということです。営業職が一般職よりもはるかに労働時間が長い場合、雇用者は時間外手当を支給しなければなりません。
9:特殊作業手当
特殊作業手当は他の社員と比較して危険な仕事をしている社員に支給されます。
特殊作業手当は、危険作業、高熱作業、低温作業、高所作業など、他の社員に比べて危険な仕事や困難な仕事に従事する社員に支給される諸手当の一つです。身近なところでは、工事現場での大型機械車両を使用する場合などがあります。
10:特殊勤務手当
特殊勤務手当は特殊な業務を行う日本の公務員に支給されます。
危険や肉体的・精神的労苦、困難を伴う勤務、または著しく特殊な勤務に従事した公務員に支給される手当です。高所、坑内での作業や、被爆物、有害物を取り扱う作業などが該当します。身近なところでは、消防や看護があります。
11:技能手当(資格手当)
技能手当は特別の技能や資格を有する社員に支給されます。
技能手当は、企業が必要とする特別の技能や資格を有している社員に対して、支給する手当のことです。基本給の決定要素に技能の程度を含める場合には、企業は改めて手当を設定する必要はありません。
技能手当(資格手当)の支給理由といては、企業内の技能レベルの維持や有資格者が業務の中でその資格や免許が活用される場合に賃金に反映させる目的があります。
12:精勤手当
精勤手当は精を出して働くということです。皆勤手当が「無欠勤」であることに対して、精勤手当は「欠勤が少ない、仕事に励む」ことを意味しています。
そのため、やむを得ない事情で遅刻や早退した場合でも、精力的な仕事ぶりが評価されれば支給されることもあります。ただし基準は企業ごとに独自に定められており、それぞれ異なります。
あなたの会社に仕事の生産性をあげる「働き方改革」を起こしませんか
名刺が多すぎて管理できない…。社員が個人で管理していて有効活用ができていない…。そんな悩みは「連絡とれるくん」で解決しましょう!まずはこちらからお気軽に資料請求してみてください。
優良ベンチャー企業のユニーク諸手当
業務だけではない、魅力的な諸手当もあります。
これまでは、一般的な諸手当について記載してきましたが、ベンチャー企業のユニークな諸手当をご紹介します。業務内容だけでなく、諸手当を見ることによって、その会社の特色が垣間見ることができます。
1:サイコロ給:株式会社カヤック
「運」も実力のうち、誰の評価も受けないという手当です。
「サイコロ給」とは、毎月社員がサイコロを振り、出目数によって給与に+αされるというもので、「基本給×サイコロの出目数(%)」が上乗せされます。
例えば、月額30万円の人がサイコロで6を出した場合は30万円×6%=1万8000円が上乗せされ、合計31万8000円となります。数ある諸手当の中でも、かなり特徴的な手当と言えるでしょう。
2:ヘルシー部活制度:Chatwork株式会社
社員の健康は会社の健康につながります。
スタッフの健康維持・促進を促すため、運動する部活動に対し、部費を四半期に14,000円支給する制度です。部活動の部費を支給する制度なので、個人への諸手当とは異なります。
昨今は部活動に力を入れ始める企業も出てきています。健全な会社作りは社員の健康から、という考え方が広まっているのでしょう。
諸手当の内容をしっかりと理解しましょう
諸手当が給料の一部と考えられている側面もあります。
ですが諸手当はあくまでも付加的に支給されるもので、1時間当たりの賃金算出の基になる給与の額には参入しないことが定められています。
ただ、一般的に「給与」の一部として考えられる側面もあるため、自分の会社の諸手当にどんなものがあるか、また就職先の企業にどのような諸手当があるのか把握しておくことも重要でしょう。