- ジョブローテーション制度とは
- ジョブローテーションを行う目的
- ジョブローテーションのメリットやデメリット
- 企業・人事側のメリット・デメリット
- メリット1:部署間の関係性・風通しが良くなる
- メリット2:社員の適性を見極めやすい
- メリット3:総合的な判断ができる従業員が増える
- メリット4:幅広い業務の理解がしやすい
- デメリット1:教育に時間と工数がかかる
- デメリット2:短期退職する従業員が多いと効果が乏しい
- デメリット3:尖った人材が生まれにくい
- 異動する従業員側のメリット・デメリット
- メリット1:視野と経験値が広くなる
- メリット2:ジェネラリストになりやすい
- メリット3:望む異動によりモチベーションがあがる
- デメリット1:キャリアが中途半端になる可能性がある
- デメリット2:スペシャリストになりにくい
- デメリット3:望まない異動だとモチベーションがダウンする
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- ジョブローテーション制度が向いている企業
- ジョブローテーションの目的を理解しよう
ジョブローテーション制度とは
「ジョブローテーション制度」というのは、企業の部署をある決められた短期間で移動しながら経験させていく、という人材育成を目的とした制度です。
「ジョブローテーション制度」は新入社員に対して行われる場合と、幹部となる人材に対して行われる場合があります。新人に対して行う場合は3か月~半年の短いローテーションで部署を異動しますが、幹部候補の人材は1年~程度の期間をかけて部署を異動します。
ジョブローテーションを行う目的
ジョブローテーションで人材をわざと色々な部署に配属していくというのは、人材育成という目的から行われています。ここからは、ジョブローテーションを行うことの目的について部署や企業全体、またジョブローテーションの対象となった社員側への目的などを解説していきます。
目的1:自立・部署貢献
ジョブローテーションを行う目的の1つは、社員の自立を促して部署への貢献をしていくことにあります。さまざまな部署を経験するジョブローテーションのため、部署の中に埋没することなく個人で自立することになりますが、その段階で部署に対してどう貢献していくのかという視点を持つことになります。
ジョブローテーションしない場合とは少し違い、その部署について客観的に見ることができるようになるという目的があります。
目的2:企業全体の把握
ジョブローテーションの目的その2は、企業全体がどうなっているのかを従業員自身が把握しやすくなるという目的です。
1つの部署に配属されたままだと、積極的に他の部署のことも知ろうとしない限り自分の部署のことをメインにしか考えられず、企業全体に意識を持っていくことはなかなか難しいものがあります。ジョブローテーションで強制的に他の部署の業務も経験することで、企業全体を把握しやすくなるという目的があります。
目的3:能力発揮
ジョブローテーションの目的3は、従業員個人の能力を発揮させるという目的になります。
従業員にはそれぞれに向き不向きがありますので、ジョブローテーションによりさまざまな部署を経験することで自分の能力を発揮しやすい部署が見つかるでしょう。色々な部署を経験することで従業員自身が多様化しますので、個人の能力を発揮させる場を見つけることが目的になります。
目的4:全社貢献
ジョブローテーションの目的4は、さまざまな部署で働いてみることで多様化し広い視野をもった人材を作り出し、全社貢献をしていくことができるようにすることです。
ジョブローテーションでなくても、新しいプロジェクトの発足で一時的に仕事が変わる従業員などもでますが、ジョブローテーションの経験があるとよりスムーズにいくでしょう。自分の部署だけでなく、全社を意識した貢献ができるようになるという目的です。
ジョブローテーションのメリットやデメリット
ジョブローテーションの目的について解説してきましたが、ここから解説するのはジョブローテーションのメリット・デメリットについてです。ジョブローテーションには目的に沿ったメリットがしっかりある反面で、デメリットも存在しています。
メリット・デメリットをきちんと踏まえた上で、ジョブローテーション制度を取り入れるかどうか考えてみましょう。
企業・人事側のメリット・デメリット
まずはジョブローテーションを提案する側、行う企業や人事の側から見たジョブローテーションのメリット・デメリットになります。
企業がジョプローテーションを行うのは、人材育成をするという目的・企業の中でのコミュニケーションの活性化などが目的にあります。行うことによってどのようなメリットがあり、デメリットが生じてしまうのか見ていきましょう。
メリット1:部署間の関係性・風通しが良くなる
メリットその1は、ジョブローテーションを行うことでさまざまな部署を経験した従業員が多くなることにより、部署の外の人材ともコミュニケーションをとったり、他部署のこともある程度知っていることで関係性や風通しが良くなるというメリットです。
ジョブローテーションの目的の人材育成の中には、従業員同士の人脈強化といった目的もあるのですが、それを生かすことができるというメリットとなっています。
メリット2:社員の適性を見極めやすい
企業側が得られるメリットその2は、従業員が向いている部署や適性のある仕事を見極めることがしやすい、というメリットになります。
仕事内容への向き不向きはなかなか分かりづらいところがありますが、従業員自身にさまざまな部署を経験させることで適正がある部署を判断しやすくなります。従業員の持つ能力を生かしやすくなるという、人材育成の目的にも沿ったメリットでしょう。
メリット3:総合的な判断ができる従業員が増える
ジョブローテーションではさまざまな部署で働く機会があるため、経験した従業員は1つの部署の視点ではなく客観的に、総合的な判断ができるようになるというメリットがあります。
1つの部署で働いているだけでは分かりづらい問題点や改善点を見つけやすく、他の部署のことも考えた判断ができるようになることでしょう。企業側や人事側からみれば、広い視野で考えることのできる従業員が増えるのはメリットです。
メリット4:幅広い業務の理解がしやすい
ジョブローテーションで企業・人事側が得られるメリット4は、ジョブローテーションで経験した他の部署の業務も従業員が理解しているため、本来は関係ない部署の業務に対しても理解をもって対応するようになるというメリットです。
視野が狭く自分の部署の業務しか理解していないという従業員もいるのですが、ジョブローテーションで強制的に他の部署のことも知ることにより、自分に関係しない業務に対しても理解が深まります。
デメリット1:教育に時間と工数がかかる
ジョブローテーションを行うことによる企業側のデメリットとして、部署を異動するたびに教育や引継ぎなどが必要となるため、本来の業務よりも他に工数をとられるというデメリットがあります。
人材育成が目的であるため、ジョブローテーションをしていく従業員に多くの教育を行うことはできますが、その分その従業員に対する教育には多くの時間をかける必要がでてくるということになります。
デメリット2:短期退職する従業員が多いと効果が乏しい
仕方のないことではあるのですが、ジョブローテーションを行う従業員が短期で退職してしまうとジョブローテーションを行う目的をなかなか達成できず、その効果もほとんど出ないことでしょう。
とくに新卒で3年以内に退職してしまう早期離職率は高めなので、新人を対象にジョブローテーションを行っていた場合はとくに、退職してしまう従業員が多くたいした効果は得られない可能性があります。
デメリット3:尖った人材が生まれにくい
尖った人材というのは、言い換えれば専門性に特化した人材ということになります。ジョブローテーションを行った場合、そういった専門性に特化した人材が生まれにくくなるというデメリットがあります。
1つの部署に長く務める場合は従業員側も仕事内容についてよく勉強したりするものですが、ジョブローテーションでは強制的に短期間で異動するため、あまり深く学ぼうとはしなくなるというデメリットです。
異動する従業員側のメリット・デメリット
それでは、実際にジョブローテーションで異動する側のメリットやデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。ここからは、企業・人事側ではなく実際に多くの部署を異動することになる従業員側にフォーカスを当てていきます。
メリット1:視野と経験値が広くなる
ジョブローテーションの目的の1つ、部署間の風通しを良くするという目的のとおり、多くの部署を異動して業務を行うことで従業員側も視野が広くなり、さまざまなことを経験できるというメリットがあります。
1つの部署にいただけでは狭い視野になりがちですので、あえて他の部署も経験できるジョブローテーションの強みでしょう。
メリット2:ジェネラリストになりやすい
ジェネラリストとは広い分野で経験や知識を持っている人のことで、ジョブローテーションでさまざまな部署を経験する従業員はジェネラリストになりやすい、というメリットがあります。広い範囲の知識や経験を持っているため、将来管理職になるときにも役立つことでしょう。
メリット3:望む異動によりモチベーションがあがる
従業員側も望む部署に異動して実際に経験することができるため、働くモチベーションが上がるというメリットがあります。今いる部署が自分に合わないと感じていたとしても、ジョブローテーション制度ならしばらく我慢すれば次に異動できるため、モチベーションを維持しやすくなります。
デメリット1:キャリアが中途半端になる可能性がある
ジョブローテーションによる従業員側のデメリットですが、さまざまな部署を異動することにより、長い目で見てみるとキャリアとしては中途半端なものになる可能性があります。
短いと3か月から半年、長くても数年で色々な部署を異動しているため、自分でプランを持ってキャリアを積もうとしている従業員はともかく、言われるままローテーションしている従業員では中途半端なキャリアを持つことになる可能性が高くなります。
デメリット2:スペシャリストになりにくい
ジョブローテーション制度では、従業員が1つの部署に長くいるということがないため、専門特化したスペシャリストの従業員にはなりにくい、というデメリットがあります。
ある特定の分野だけものすごく飛びぬけたスペシャリストという存在がありますが、ジョブローテーション制度を実施しているとそういった従業員は育ちにくいことになります。この点は、人材育成という目的の面から見てもデメリットとなるでしょう。
デメリット3:望まない異動だとモチベーションがダウンする
従業員が望んでいない部署、また向いていないと自覚している部署へ異動された場合は従業員のモチベーションがダウンすることになります。しばらく我慢していれば他の部署に異動になるということもあり、従業員は真剣に学ぼうとせず、適当にその部署での仕事を終えてしまう可能性が高いでしょう。
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ジョブローテーション制度が向いている企業
ジョブローテーションにはメリットやデメリットがありますので、制度として導入を検討している企業は自社に向いているかどうかが気になることでしょう。実際にジョブローテーション制度が向いている企業はどのような企業なのか、紹介いたします。
業務に一連の流れがある企業
ジョブローテーションでは異動するたびに教育が必要となるため、ある程度マニュアルにそって業務が行える部署や、複数の部署に関連が強く一連の流れとなっている企業が向いています。短期間のプロジェクトをよく行う企業も向いているでしょう。
企業文化を一つに集約したい企業
グローバルな企業や合併などを経験している企業の場合は、その企業の文化を1つに集約するために、部署に左右されない人脈を作りコミュニケーションを活性化させる目的で、ジョブローテーションを行うことが向いています。
ジョブローテーションの目的を理解しよう
ジョブローテーションはメリットが大きいですが、デメリットもそれなりにある制度となっているためメリット・デメリットをそれぞれ熟知しておく必要があります。ジョブローテーションの目的を理解し、なるべくメリットを引き出せるように行っていきましょう。